定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成18年4月6日(木)

午前10時00分午前11時35分

第2 出席者 沓掛委員長、川口、大森、佐藤、吉田、葛西各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、警備局長、情報通信局長

長官官房審議官(刑事局担当)、長官官房審議官(交通局担当)、首席監察官、情報公開・個人情報保護室長

第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「4月9日付け地方警務官1名の人事異動について発令していただきたい」旨の説明がなされ、原案どおり決定した。

(2)無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況に関する国会報告について

警備局長から、平成17年における「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」の施行状況に関する国会報告案について説明がなされ、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、3月30日に行われた衆議院拉致問題特別委員会等の状況について報告がなされた。

(2)警察庁長官に対する開示請求の措置等について(情報公開法関係)

情報公開・個人情報保護室長から、4月4日までの間に警察庁長官に対してなされた情報公開法関係の開示請求の状況及び当該請求に係る開示決定等の概要並びに異議申立てに対する決定の概要について報告がなされた。

(3)警察庁長官に対する開示請求の措置について(行政機関個人情報保護法関係)

情報公開・個人情報保護室長から、4月4日までの間に警察庁長官に対してなされた行政機関個人情報保護法関係の開示請求の状況及び当該請求に係る開示決定等の概要について報告がなされた。

(4)犯罪被害者等に係る「基本計画推進専門委員会議」等の設置について

官房長から、「昨年12月に閣議決定された『犯罪被害者等基本計画』において、閣議決定後2年以内を目途に結論を得ることとされている施策が盛り込まれているところ、この度、その検討を行うため、3つの『検討のための会』と、この3つの会を束ねる役割等を担う『基本計画推進専門委員会議』が『犯罪被害者等施策推進会議』の下に設置されることとなった」旨の報告がなされた。

(5)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「山形県警察の警部補が、平成18年3月25日、ひき逃げ事故を起こしたとして、3月27日、通常逮捕された事案に関し、同県警察は、4月7日、同警部補を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として上司ら2名を所属長訓戒等とする予定である」旨の報告がなされた。

大森委員より、「本人の刑事処分の見込みはどうなのか」旨、質問し、首席監察官から、「検察庁が判断するものであるが、過去の事例等から判断し、公判請求になるものと思われる」旨、説明があった。

(6)平成18年度「地域安全安心ステーション」モデル事業実施地区の選定結果について

生活安全局長から、「活動拠点を中心とした自主防犯活動を支援するための『地域安全安心ステーション』モデル事業について、この度、新たに100地区を実施地区として選定し、平成17年度から実施している231地区と併せて、平成18年度は計331地区において本モデル事業を実施する」旨の報告がなされた。

(7)バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会の設置について

生活安全局長から、「子どもを取り巻く性や暴力に関する情報の氾濫や、ゲームやインターネットにのめり込むことの弊害について、幅広く議論し、問題点を整理して社会に問題提起するとともに、その改善策を検討するため、部外有識者等からなる研究会を設置する」旨の報告がなされた。

(8)平成17年における風俗関係事犯等について

生活安全局長から、「平成17年における風俗関係事犯の検挙は、7,340件(前年比+761件)、8,154人(同+884人)、また、風営法に基づく行政処分件数は、7,766件(同+2,770件)で、いずれも過去5年で最高を記録した」旨の報告がなされた。

(9)司法解剖に伴う経費の見直しについて

長官官房審議官(刑事局担当)から、「平成18年度予算において司法解剖に伴う経費について所要の見直しを行い、本年4月1日から執行されることとなった」旨の報告がなされた。

10)交通安全対策推進プログラムについて

長官官房審議官(交通局担当)から、本年3月14日に定められた第8次交通安全基本計画を踏まえ、同計画の計画期間である平成18年度から22年度までの5年間に警察として重点的に取り組むべき施策をとりまとめた交通安全対策推進プログラムについて報告がなされた。

吉田委員より、「飲酒運転等により人を負傷させるなどした場合の量刑を重くするため、危険運転致死傷罪が設けられたが、飲酒運転で交通事故を起こすと重い罰を逃れるために逃げてしまうという傾向が指摘されている。このような指摘に対する対応策はプログラムに盛り込まれているのか」旨、質問し、長官官房審議官(交通局担当)から、「ご指摘のように危険運転致死傷罪の適用により量刑が重くなった関係で、交通事故を起こしても、酔いが覚めてから出頭するなど、危険運転致死傷罪の適用を逃れている場合があるのではないかとの意見もあることから、この点についても検討していきたい」旨、説明があった。

佐藤委員より、「このプログラムでは、悪質自転車対策として、『特に、中学生・高校生による交通ルール違反・マナーの悪さについての指摘もあることから、文部科学省と連携し、中学校・高校教育の場における交通安全教育を推進する』ということが盛り込まれているが、この問題は、マナーというよりもルール遵守の問題だと思う。自転車に関してはこれまで、法を遵守するという観点から道路交通法等の法令を教えるという取組みは少なかったと思うので、是非とも、この機会に文部科学省、あるいは都道府県のレベルで言えば教育委員会と連携して、義務教育の一環として道路交通法を教えることについて検討して欲しいと思う。『マナーを良くする』ということは極めて抽象的で、受け止める側の判断によるところもあるが、自転車にも道路交通法等が適用されているので、関連法令をみんなが知って、各々が社会の一員として法令を遵守するということが大事だと思う。このことをプログラムの一環として行うのが良いのか、それとも自転車対策検討懇談会で議論していただくのが良いのか、あるいはその双方が必要なのかもしれないが、自転車関連の法令の周知徹底について是非検討していただきたい」旨、発言し、長官官房審議官(交通局担当)から、「学校において、自転車教室等により交通安全教育を実施しているが、御指摘を踏まえ、検討を進めたい。また、自転車対策検討懇談会でも、オブザーバーとして文部科学省の職員も参加することになっているので、ご指摘のような点の議論もあると思う」旨、説明があった。

11)自転車対策検討懇談会の設置について

長官官房審議官(交通局担当)から、「最近の自転車に係る交通事故の増加や自転車利用者の交通ルール・マナー違反に対する社会的批判の高まりなどを踏まえ、自転車の安全対策を検討するため、部外有識者からなる『自転車対策検討懇談会』を設置する」旨の報告がなされた。

委員長より、「現在ある自転車道や道路を前提としての議論が中心になると思うが、自転車道等をこのようにしたら良いのではないかという施設面でのアドバイスもいただき、そのアドバイスを生かしてみたらどうかと思う。自分の経験で言えば、第9次道路整備5カ年計画の時、建設省道路局長であったが、道路整備に関し女性から意見を聞いたら、歩道を土か芝生にしたらどうかとの要望があり、担当課長等はこの要望は非現実的であるとして真剣に取り上げようとしなかったが、考え方を参考にしてみようということで研究した結果、開発されたのが浸透性舗装であった。最初は歩道だけと思っていたが、現在は、高速道路の肝心な箇所が浸透性舗装で、スリップ防止等に役立ち、事故防止につながっている。このように意見を採り入れて研究すれば、何か進歩がある場合もあるので、今回の懇談会でも、いろいろな意見を出していただき、参考にしていただきたいと思う」旨、発言があった。

3 その他

(1)官房長から、平成18年3月28日から4月4日までの間(警察日程のみ)、JICAとの共催により実施したイラク警察の第一線の鑑識責任者等10名を対象とする鑑識分野に焦点を絞った研修に関し、同研修の結果の概要、今後の方針等について報告がなされた。

(2)長官官房審議官(交通局担当)から、国家公安委員会の権限に属する事項で専決処理した案件に関し、「自動車安全運転センター法に基づき、同センターから、国家公安委員会に対し、平成18年度の予算及び事業計画について申請がなされたが、申請内容は適正と認められることから、長官決裁の上、同予算等について認可を行った」旨の報告がなされた。

(3)吉田委員より、最近川崎市で発生したマンションの15階から少年を落として殺害した事件や滋賀県での同じ幼稚園に通う園児の保護者による幼稚園児殺害事件に関し、「この2つの事件は非常に衝撃的な事件だったと思う。これらの事件はあまりにも残酷で、例外的な事件であると思われているかもしれないが、事件の背景からすれば今後発生しても不思議ではないと思う。少年を15階から落とした事件の背景には、被疑者が競争社会から脱落したことがあるようだが、今後、高齢化が進むと、自分が脱落者だと思う高齢者でも同様の事件を起こす可能性は否定できないと思う。また、滋賀県で幼稚園児を殺害した事件を見ると、その動機は、『自分の子が幼稚園で馴染めないのは周りの子が悪いからだ』という信じられないものであった。この事件の被疑者は中国籍の母親であったが、どうも日本の文化等に馴染めなかったのではないかと思う。今後、外国人が増えたり、また外国人に限らず、少子化に伴って甘やかされて育った自己中心的な人間が増えてくれば、同様の事件が起こる可能性が十分にあることを考慮に入れておいた方が良いと思う。そもそも、脱落者を生み出さないなどの社会構造にすることが重要であるが、そのような構造にすることは大変に時間を要するものである。しかし、この種の事件が起きてしまうと体感治安が一気に悪化することから、難しいことだとは思うが、このような事件の予兆を事前に把握して事件発生を未然に防止することを検討していただきたいと思う」旨、発言し、生活安全局長から、「川崎市で発生した事件を見ていると、社会から放り出されたと思い込んだ被疑者による犯行ということで、大阪教育大附属池田小学校での児童殺害事件の被疑者を彷彿させるものがあり、委員御指摘のとおり、今後同様の事件が発生する可能性が高いと思う。しかし、池田小学校の事件の被疑者は、天涯孤独で孤独感を深めていったという感じであるが、今回の川崎の事件の被疑者の場合には、精神状態も含めて捜査中であるが、妻子もいたということで、若干、異なる面があり、今、すぐにこれといった防止策があるというものではない。いずれにしても、この種事件の分析を進めながら、対応策を検討していきたい」旨、説明があった。

川口委員より、「滋賀県の事件を知った時、平成11年に東京都内で発生した同じ幼稚園の園児の母親による幼稚園児殺害事件を思い出した。この事件も非常に衝撃的であった。幼児を持つ現代の母親は、公園で自分の子供が疎外されないようにとか、自分自身も公園で疎外されないようにとか、いわゆる公園デビューに関して大変神経を使っており、このような社会構造には何か問題があるように思う。また、今回の滋賀の事件の場合は、被疑者が中国籍であったが、外国人だから馴染めないという状況も無くしていかないといけないと思う。事件の原因や背景はある程度分かっているわけで、現在、警察も協力しながら行っている地域社会の再構築等の範囲を拡大していけば、手掛かりはあるように思う。また、川崎市の事件で言えば、被疑者の周りにいた家族は、『お父さんの様子がおかしい』等と気が付かなかったのかなという点で、警察の役割ではないが、家族というものも見直す必要があると思う。制度云々の問題ではなく、人々の意識の問題であるが、『ちょっとおかしいのでは』と周囲に自然に話せるような社会になって欲しいと思う」旨、発言し、長官から、「予兆を把握することは難しく、他の事件の例を見ても、徐々にエスカレートして、後から判明する場合が少なくない。現在の社会構造の問題等に対して、警察として協力する点はあるにしても、警察だけでは解決できない問題である」旨、説明があった。

委員長より、「日本は、明治以降、競争原理を取り入れ、競争原理そのものは否定されるものではないが、現在では、道徳や倫理を教えてもらう機会が少なくなり、日本独特の和を以て尊しとする協調性や倫理観が薄れてきている。平成14年2月に当時のブッシュ米国大統領が来日して、国会で演説した中に『日本は、明治以降、新しい競争原理を取り入れ、その際、competitionを競争と訳したが、本来、competitionは、精神的かつ倫理的意味合いを持っている』旨の内容があり、私はこれを競争には敗者に思いやりをかけて復活させるという意味を含んでいると理解した。アメリカ的な競争原理で行くならば、敗者に対する対策を講じなければならないが、この対策は警察のみでは限界があり、今後、皆さんのお知恵をお借りしたいと思う」旨、発言があった。

(4)葛西委員より、警察行政における意思決定の在り方に関し「本日の報告の中にあるように、警察では、懇談会、有識者会議等を設置して、外部の人の意見を聞き、コンセンサスのようなものを得てから、政策を進めていくという手法が多いように思われる。物事を決定する場合、政治的な意思決定のやり方と事業運営的な意思決定のやり方があって、政治的な意思決定の場合は、コンセンサスを得る過程で、必ず妥協というものが特性として出てくる。もちろん、外部の人から意見を聴取することも必要であるが、警察内部で十分に検討し、方向を決定した後は、確固たる不動の信念を持って徹底的に遂行することが必要ではないかという気もする」旨、発言し、長官から、「警察は、強制力を伴って業務を遂行するという面があるため、新しい施策を唐突に打ち出した場合、いろいろな所から反発が来る場合がある。そこで、様々な角度から御意見を頂戴するために外部の有識者等に検討していただくという手続きを経ることとしている」旨、説明があった。