定例委員会の開催状況
第1 日 時 平成18年6月8日(木)
午前10時00分~午後0時05分
第2 出席者 川口、大森、佐藤、吉田、葛西各委員
長官、次長、官房長、刑事局長、警備局長、情報通信局長
長官官房審議官(生活安全局担当)、長官官房審議官(交通局担当)、首席監察官、情報公開・個人情報保護室長
第3 議事の概要
1 議題事項
(1)人事案件について
官房長から、「5月31日付け地方警務官1名の人事異動について発令していただきたい」旨の説明がなされ、原案どおり決定した。
(2)監察の取扱い事案について
首席監察官から、「岡山県警察の巡査長が、インターネット上に捜査資料等を流出させた事案に関し、同県警察は、6月9日、同巡査長等を減給処分等とするとともに、国家公安委員会の了承が得られれば、監督責任として、地方警務官の前警察署長を本部長訓戒の措置とする予定である」旨の説明がなされ、原案どおり了承した。
大森委員より、「流出した捜査資料等について説明があったが、この流出した内容はプライバシーそのものであり、一般的 には日本全国に撒かれたのと同じで、重大な問題である。『減給100分の10、6月』という処分量定はどのような理由によるものか」旨、質問し、長官から、「今までの同種事案については、最高で『減給100分の10、1月』であるが、本事案の内容に照らして、同6月としたものである」旨、説明があった。
大森委員より、「結果の重大性を考慮して今回の処分量定になったことは分かった」旨、発言があった。
大森委員より、「警察が保有している情報の内容を考えると、厳格な秘密保持措置を講じることが必要である」旨、発言し、長官から、「かねてから申し上げているとおり、これまでの対策では不十分であることから、今回のような事案が物理的に発生しないようなシステムやソフトを構築すべく取り組んでおり、構築できるまでの間は、暗号化等の対策を講じていきたい」旨、説明があった。
(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)警察庁長官に対する開示請求の措置について(情報公開法関係)
情報公開・個人情報保護室長から、6月6日までの間に警察庁長官に対してなされた情報公開法関係の開示請求の状況及び当該請求に係る開示決定等の概要について報告がなされた。
(2)国会の状況について
官房長から、6月1日に行われた参議院内閣委員会等の状況について報告がなされた。
(3)G8司法・内務閣僚会合の開催について
官房長から、「6月15日及び16日の両日、ロシア連邦モスクワ市において、テロ対策等を主な議題としたG8司法・内務閣僚会合が開催され、警察庁からは、吉村次長が出席する予定である」旨の報告がなされた。
(4)探偵業の業務の適正化に関する法律について
長官官房審議官(生活安全局担当)から、今国会で成立し、本日公布された探偵業の業務の適正化に関する法律の概要等について報告がなされた。
川口委員より、「10年前と比べて探偵業者数が2倍以上になったとのことであったが、探偵業者や興信所を何かの法律で管理していたのか」旨、質問し、長官官房審議官(生活安全局担当)から、「今まで規制する法律はなく、御報告した探偵業者数については、『探偵』や『興信所』という名称のものを電話帳等で調べた結果である。今回の法律により都道府県公安委員会への届出制になることから、実態把握が可能になるものと思われる」旨、説明があった。
川口委員より、「探偵業者は、他人のプライバシーに関わる情報を収集することになるが、個人情報保護法との関係はどのようになっているのか」旨、質問し、長官官房審議官(生活安全局担当)から、「この法律の第1条では、『探偵業について必要な規制を定めることにより、その業務の運営の適正を図り、もって個人の権利利益の保護に資することを目的とする』と定めているほか、第6条では、『探偵業務を行うに当たっては、法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない』という原則を定めているところである」旨、説明があった。
川口委員より、「実態としては、自己の権利・利益として他人の情報を入手しようとする者があり、また他方で人は自己の情報を他人に知られたくないという相反する利益があるので、他人の情報を入手するという探偵業務を認めることは、法律的にいろいろな問題が起きる可能性がある。個々の具体的事例への適用では気をつけなければいけないと思う」旨、発言し、長官官房審議官(生活安全局担当)から、「従来からの探偵業務にお墨付きを与えるというものではなく、実態として探偵業務が行われていることから、違法な目的、手段等で探偵業務を行ってはならないという原則の下、法律で規制し、違法な行為が行われた場合には行政処分あるいは罰則を適用し、探偵業を適正化の方向に向けていこうというものである。なお、施行後3年を目途として検討が加えられることになっており、必要な場合には改正がなされるものと思う」旨、説明があった。
(5)空き交番解消計画の進捗状況について
長官官房審議官(生活安全局担当)から、「平成18年4月現在のいわゆる空き交番は、前年と比べ約950か所減少し、約270か所となっており、引き続き、来年春を目途にその解消を図るため、地域住民の理解を得ながら、交番勤務員の増配置、交番の配置見直し、交番相談員の活用等を進めている」旨の報告がなされた。
川口委員より、「空き交番の解消が非常に進んでいるが、交番相談員が在所しているような場合には、空き交番でないものとして計上されるのか」旨、質問し、長官官房審議官(生活安全局担当)から、「原則として、交番には一当務2人以上の警察官を配置することとしているが、警察事象の取扱いが少ない交番もあることから、このような交番では、一当務1人の警察官しかいないが、昼間帯に交番相談員が在所している場合等は、例外の類型として認めて空き交番解消計画を進めている。空き交番の解消を図る来年の春現在でも、例外類型の交番は、全国で約1,000か所になるものと思われる」旨、説明があった。
(6)平成18年米国国務省による人身取引報告書について
長官官房審議官(生活安全局担当)から、本年6月に発表された平成18年の人身取引報告書では、日本は、昨年と同様、「米国人身取引被害者保護法」に定める「最低基準は満たしていないが努力している国」とされる「第二分類」に位置づけられていること等、平成18年米国国務省による人身取引報告書について報告がなされた。
(7)秋田県藤里町における小学1年生男子児童被害に係る殺人・死体遺 棄事件について(秋田県警察)
刑事局長から、「秋田県警察では、藤里町居住の小学1年生男子児童が5月17日に所在不明となり、翌18日に能代市内の草地で遺体で発見された事件に関し、6月4日、被疑者を死体遺棄罪で逮捕した」旨の報告がなされた。
川口委員より、「被害児童の遺体には、被疑者の毛髪が付着していたとのことであり、警察もそれを押収しているが、DNA鑑定ができるようなものだったのか」旨、質問し、刑事局長から、「一般論として申し上げると、毛髪についてはDNA型鑑定が可能である場合もある。いずれにせよ、秋田の事件については捜索等により得た資料について様々な視点から分析しているところである」旨、説明があった。
(8)後部座席におけるシートベルトの着用促進について(案)
長官官房審議官(交通局担当)から、「後部座席のシートベルト着用率は、運転席や助手席に比べて低いこと等から、警察においては、関係機関・団体等と連携し、後部座席におけるシートベルトの着用促進を図るための広報啓発活動等を推進する」旨の報告がなされた。
大森委員より、「シートベルトの着用促進には大賛成であり、是非、この内容で推進していただきたい。私自身、以前裁判官として悪質交通事故を専門に担当し、事故の状況が身に染みていることから、自分は家族間でも着用を徹底し、後部座席に乗っている家族がシートベルトを着用しないとマイカーを発進させないことにしている。当初、家族も嫌がっていたが、今では、当たり前のように着用するようになっている。着用促進のため、今後、広報啓発活動を推進するとのことであるが、やはりマイカーを運転する際、後部座席の家族の着用を徹底させるという、家庭内での徹底を図ることも必要だろうと思う」旨、発言があった。
(9)新たな駐車対策法制の施行状況について
長官官房審議官(交通局担当)から、施行後5日間における駐車監視員の活動状況、放置車両の確認状況、交通渋滞・路上駐車が減少した状況等、新たな駐車対策法制の施行状況について報告がなされた。
川口委員より、「新たな駐車対策法制が施行されて以降、『違法駐車が減少した』等という好意的な報道が少なくないが、他方で、駐車する場所がきちんと確保できないからであると思われるが、宅配業者の運転手等が『すぐに車の所に戻ってこないと違反になるから大変だ』等と言っている状況も問題として報道で取り上げられている。実態としてはどのような状況なのか」旨、質問し、長官官房審議官(交通局担当)から、「委員御指摘のような宅配業者の運転手等の声が、テレビ等で報道されていることを承知している。これに関しては、以前から申し上げているとおり、トラック協会からも具体的に意見を聞きながら、規制そのものをかなり見直し、また駐車監視員の活動ガイドラインも策定するなどして、駐車監視員活動重点地域を決定したという前提があるわけで、あらゆる地域で駐車対策が強化されたということではなく、かなり限られた地域内でのことである。他方、警察としては、今回の新たな駐車対策法制の施行に際し、運送業者に対して、二人一組での配送、駐車場の確保等の自助努力をお願いし、業者においてもかなり意識が変わりつつあるのも事実である。しかしながら、現実問題として中小零細業者では自助努力での対応が困難等の事情もあると思うので、今後とも各種業界の意見に耳を傾け、問題点があれば弾力的に見直しを行っていきたいと考えている」旨、説明があった。
(10)警察庁特殊標章等の交付等に関する訓令の制定について
警備局長から、「国民保護法の規定に基づき、武力攻撃事態等において、警察庁長官が国民保護措置に係る職務を行う職員等に対し、識別のための特殊標章及び身分証明書を交付する基準、手続等について訓令を定めた」旨の報告がなされた。
3 その他
(1)官房長から、愛媛県警察の巡査部長が、平成17年2月23日に同県人事委員会に対し、自己の配置換え等の取消しを求める不服申立てを行っていた事案に関し、平成18年6月6日に同人事委員会が行った配置換えを取り消す旨の裁決について報告がなされた。
大森委員より、「今回の裁決に関し、愛媛県公安委員会委員長が『県警が厳粛に受け止め、粛々と履行していくことを指導していきたい』旨のコメントをしたとのことであるが、今回の件に関しては、これまでにも警察庁から報告を受けており、本日も、人事委員会での審理における県警察側の主張内容を含めて説明を受けたが、それに照らして考えると、愛媛県公安委員会のコメントは適切な内容であると思う」旨、発言があった。
(2)大森委員から、5月29日開催の中部管区内公安委員会連絡会議に出席した結果に関し、「都道府県公安委員会の委員は地元の有識者から選任されているが、今回の会議での報告内容を聞いて、このことが非常に有効に働く面があることを実感した。その事例を2つ申し上げると、一つは愛知県の例であり、これは先週の定例委員会でも話題になったが、各委員がそれぞれ別途有している仕事の関係を活用して、犯罪抑止と交通事情の改善を図ろうということで、当時の委員の一人がNHK名古屋放送局の番組審査委員を務めていたという関係で、同放送局の責任者に働きかけ、『安全・安心一口メモ』という形で、週に何回か、1回1分で、多頻度、継続的に放送を始めたということである。この放送は非常に良い内容で地元でも高い評価を受けているとのことであり、これが可能になったのも、公安委員が公安委員とは別に有している社会的地位を生かして他機関の長と有効に連携できたという表れであったと思う。逆に言うと、他の都道府県公安委員会においても、有識者が公安委員になっているので、愛知県のような事例をいろいろな機会に紹介し、社会的地位の活用を公安委員に期待すれば、公安委員会の機能の発揮に役立つのではないかと思う。一つの案ではあるが、『安全・安心一口メモ』は60回を超えているとのことであり、CDに録画するなどして、各都道府県警察に参考資料として配付することも検討していただきたいと思う。二つ目は、警察官の採用に関して人事委員会から委任を受けるに至ったとの報告があった岐阜県の例である。報告を受けたところでは、約2年をかけて同県知事との直談判を重ね、全面委任に近い成果を勝ち取ったとのことであった」旨の報告がなされた。
川口委員より、「大森委員から報告のあった各都道府県における取組みの他府県への紹介に関連してであるが、今週、富山県の公安委員とお話をした際にも、『国家公安委員会の会議録が非常に参考になる』、『愛知県のNHKに関する取組みを他県でも取り組んでみたら良いのではないか』、『各都道府県での効果的な取組み事例をもっと紹介して欲しい』との御意見があった」旨、発言し、官房長から、「適宜、各都道府県警察等に対しては好事例を紹介しているが、先ほど、大森委員から御指摘のあった公安委員が社会的地位を活用した取組みの紹介を含めて、紹介方法等について検討したいと思う」旨、説明があった。
吉田委員より、「6月20日に開催される全国公安委員会連絡会議の場を利用して紹介することとしてはどうか」旨、発言し、長官から、「配付資料の内容についても検討したい」旨、説明があった。
(3)川口委員から、6月5日から6日にかけて富山県公安委員会及び同県警察本部等を視察した結果に関し、「富山県警察が取り組んでいる伏木富山港周辺プロジェクトについて報告したい。この地域には中古車販売業者が多数おり、さらに多数のロシア人が船でやって来て買っていくという地域で、その中古車販売業者のほとんどはパキスタン人である。このように、この地域は特殊な地域で、平成13年には、日本人女性がコーランを破ったということで、全国からイスラム系の人が富山県に集まってきて抗議をしたり、中古車販売業を営んでいるかなり裕福な外国人を狙った強盗事件が多発するなど、様々な問題が発生している。これまで各警察署がそれぞれ対策を講じていたものを、対策を強化するため、昨年10月から、警察本部各部局と関係4警察署からなる35人体制のプロジェクトを立ち上げているとのことであった。プロジェクトでは、いろいろな対策を行っているが、私が感心したのは、プロジェクトを中心とした行政が、多くのイスラム系の外国人やロシア人と、地域住民の間に入って、三者で共生を図り、半年間ではあるが、犯罪がかなり減少しているということであった。この中で、特に重要だと思うのが、中古車販売業者である外国人等が日本の法律を守らなければならないということを教えられ、かつ自分達もこれに納得して行動しているということである。例えば、中古車販売業者である外国人は、買い取り業者であるロシア人の何人かを警備員として雇用しているが、その際日本国内で車を運転させる時には、無免許であるロシア人に対しては『無免許運転はいけない』等と注意したり、また、ロシア人が夏に上半身裸で街を歩くのは、日本の風習では受け入れがたいことを警察官が教えて、これを止めさせたとのことであった。これらの外国人は、日本でやってはいけないこと等を知っていても、当初は、言葉の壁を理由にして、日本でのルールを無視していたため、思うように対策を講じることができなかった。そこで例えば、警察では職務質問や交通違反の取締り等の身近な対応に関しては、英語・ウルドゥー語・ロシア語に訳したものをファイル化して、必要に応じてそのファイルを使って対応しているとのことであった。日本がこのような対策を講じることは外国人も一目置くことになり、非常に効果的であると思う。外国人が多数集住している地域は国内に他にもあるが、彼らに日本を学ばせ、日本のルールを守らせるという取組みを地道に行えば、その地域における犯罪も減っていくのではないかと思う」旨の報告がなされた。
(4)佐藤委員から、5月20日に発生した、佐賀県唐津市の小学5年生の男児がトラックにはねられて連れ去られ、その後放置されたひき逃げ事件に関し、「この事件に対する警察の対応に関し、『被害者の捜索で、警察は住民よりも先に捜索を打ち切った』、『犯人らしき人物を発見したが、警察官が連絡のために現場を離れた時に、その人物に逃げられた』、『犯人の雇い主が町中で犯人を偶然発見し、自首させようとしたら、警察はそれを断って後で逮捕した』等、批判的な内容が新聞や週刊誌に掲載されている。マスコミが書いた内容をそのまま鵜呑みにしているわけではないが、事実はどうなのか報告して欲しい。万が一にもこのようなことが事実だとしたら、我々も含め、警察全体で回復に努めている信頼が、このようなことから崩れてしまうことが懸念されるので、このような事案については、警察庁の方から自主的に報告するようにして欲しいと思う」旨、発言し、長官から、「週刊誌等に掲載されている内容とどのように違うのかを含めて、後日、事実関係について報告させていただきたい」旨、説明があった。