定例委員会の開催状況

第1   平成19年1025日(木)

午前1000分午前11時30分

第2 出席者 大森、佐藤、吉田、葛西、長谷川各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、情報通信局長

首席監察官、警備企画課長、情報公開・個人情報保護室長

第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「自動車安全運転センター役員の選任について認可していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)国家公安委員会・警察庁の権限に属する事項の専決区分の整備について

官房長から、国家公安委員会の権限に属する事項に関し、新法の制定により設けられた新たな手続等について、専決区分の整備を行う旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「宮崎県警察における不適正な会計事務処理事案に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、地方警務官2名を本部長訓戒の措置とする予定である」旨の説明があり、その内容を了承した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の状況等について(行政機関情報公開法関係)

情報公開・個人情報保護室長から、10月19日までの間に警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係の開示請求の状況及び開示請求に対する決定について報告があった。

(2)国会の状況について

官房長から、10月19日に開催された衆議院内閣委員会等の状況について報告があった。

(3)平成19年度第2四半期監察の実施状況について

官房長から、警察庁が都道府県警察等に対して行った平成19年度第2四半期における監察の実施状況について報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「警視庁の巡査部長が、平成19年10月2日、電車内において女性の体を触ったとして迷惑防止条例違反で現行犯逮捕された事案に関し、同庁は、10月22日、同巡査部長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司ら2名を警務部長訓戒等の措置とした」旨及び「警視庁の巡査長が、平成19年10月9日、正当な理由なくドライバー1本を隠して携帯したとしてピッキング防止法違反で現行犯逮捕された上、10月11日、アパートに侵入して下着等を窃取したとして窃盗罪等で送致された事案に関し、同庁は、10月30日、同巡査長を懲戒免職処分とする予定である」旨の報告があった。

(5)第40回全国少年補導職員等研修会の開催及び皇太子殿下の御接見について

生活安全局長から、「10月29日から10月31日までの間、第40回全国少年補導職員等研修会を開催し、本研修中の10月30日、東宮御所において、皇太子殿下の御接見を賜る予定である」旨の報告があった。

(6)出会い系サイト等に係る児童の犯罪被害防止研究会の開催について

生活安全局長から、「出会い系サイト等に係る児童買春等児童の犯罪被害防止対策を検討するため、有識者等から成る研究会を設置し、第1回会合を10月31日に開催する」旨の報告があった。

(7)新型インフルエンザ対策に関する政府の対応等(閣議決定案)について

生活安全局長から、「新型インフルエンザの発生に備えた対応が世界的に急務となっていることから、国の危機管理対策の一環として、必要に応じて緊急かつ総合的な対応を行うための態勢を整備することについて、明日(10月26日)の閣議において決定される見込みである」旨の報告があった。

(8)ミートホープ(株)による不正競争防止法違反事件の検挙について

生活安全局長から、「北海道警察は、10月24日、ミートホープ株式会社の社長ら4人を不正競争防止法違反容疑で逮捕した」旨の報告があった。

(9)指名手配被疑者捜査強化月間の実施について

刑事局長から、「オウム真理教関係の警察庁指定特別手配被疑者や悪質・重要な指名手配被疑者の早期検挙を図るため、11月に指名手配被疑者捜査強化月間を実施する」旨の報告があった。

10)捜査特別報奨金取扱要綱に基づく懸賞広告の実施について

刑事局長から、「指名手配被疑者捜査強化月間の実施に合わせ、11月1日、警察庁指定重要指名手配被疑者に係る3事件について、捜査特別報奨金取扱要綱に基づく懸賞広告を実施する予定である」旨の報告があった。

11)昨今の司法制度改革をめぐる動向について 

刑事局長から、刑事手続の在り方等に関する協議会(いわゆる「法曹三者協議会」)に警察がオブザーバーとしての立場で参加したこと及び自由民主党内に設置された「新時代の捜査のあり方プロジェクトチーム」について報告があった。

大森委員より、「刑事局長の報告に関連して申し上げるが、富山事件や志布志事件を受けて、世論、マスコミから、警察の捜査、特に取調べ状況について、今までになく非常に厳しい批判がある。取調べの全過程の録音・録画、いわゆる可視化の問題は、先ほど報告のあった三者協議会でも課題の一つとして取り上げられるであろうし、与党でも、新時代の捜査のあり方のPTが立ち上げられるなど新しい情勢が生じている。これらのことを考えると、警察としても、従前の対応、見解から一歩も前進しないという姿勢では、今後の対応が困難であり、国民の理解を得られるようにならないのではないかと、非常に心配している。さらに、新しい事態としては、平成21年には、裁判員裁判制度が発足して、素人の人たちが裁判にプロの裁判官と対等の立場で入ってくる。そういう人達に、警察における取調べが実体的真実に適合するんだということを分かってもらわないといけない。また、政党でもそれを真剣に取り上げて検討しようという新しい情勢があるわけで、警察の立場を説明して理解を得るという努力を継続することはもちろん必要だが、従前より一歩前進した立場を打ち出すことが要請されるのではなかろうかと考える。そこで、取調べ過程について、国民の目から見ても納得の得られるような効果的な方策をこの際十分に検討して打ち出すということをしない限りは、可視化を促進すべしとする意見に対抗することは非常に困難になってしまうのではないか、あまり旧来の対応を墨守することなく、虚心坦懐に検討をしていただくことが必要であると思う。これは、私個人の考えだが、このほか、各委員のいろいろな立場からご意見があろうかと思うので、そういう意見を開陳し合って、それを踏まえ、次回、公安委員会として意見を集約できればと考えている」旨、発言し、葛西委員より、「私は、『国民の声』という言葉を一方的に使うのはよくないのであって、有効なる犯罪捜査をやって、犯罪に対する抑止力を強めよ、というのも国民の声であるから、その両方の声のバランスをきちんととらないとよくない。世の中の人の常識というのは、やはりきちんとした捜査を求めているので、もっといい方法が別にあるとか、世界で他に進んでいるやり方があって法律をこういうふうに変えることによってやれるとか、予算の問題とかいろんな問題を絡めた話として議論するならいいが、例外的事件を一般論に拡大するという議論の仕方は、いかがなものか。それに対して、やはり一歩前へ出て対応すべきだというのは、私も賛成で、可視化ということだけに絞るのではなく、それが犯罪対策の中でどういうふうに位置づけられるかという俯瞰的な議論をすべきである。そういうところでは、専門家としての見識を、一歩踏み込んで出していくという姿勢が必要だ。常に受け身のアカウンタビリティーあるいはトランスペアランシィーということだけに終始している結果、警察力が弱くなっているということでは困る」旨、発言した。

吉田委員より、「すでに可視化が行われている一部の国と日本とは司法文化が異なると思う。他国の制度をそのまま日本に持ち込むのは無理があるし、全面的な可視化というのは相当弊害も予測されるので、直ちに賛成するわけにはいかないが、今後、裁判員制度も始まるなど状況が変わるわけで、時代の変化に対応する方策も必要になるのではないか」旨、発言し、葛西委員より、「裁判員制度ができたから即可視化という議論にはならないように思う」旨、発言した。長官から、「弁護士の方々の見解は、要するに、裁判員制度になると、市民が参加をして短期間でシロクロつけなければならない。目の前で被告人の言っていることが正しいのか、取調べの際に供述したことが正しいのかを裁判員は判断しなければならない。そのため、取調べの過程で被疑者という立場で供述していたことに任意性があるのかどうかを検証する方法として、ビデオで撮っていれば、どういう調べが行われたかは分かるのではないか、だいたいこういう議論だと思う」旨の説明があった。

大森委員より、「裁判員制度と可視化の問題は、私のかつての刑事裁判官としての経験から言うと、争いのある事件で、調書に記載された供述の任意性が争われれば、検察官の方で任意性の立証をしなければならない。今現在、立証の方法として、取調官あるいは取調べに立ち会った者、検察庁では検察事務官を証人として呼んで、取調状況を質問し、それを通じて任意の供述であったということを立証しているわけだが、得てしてそこが水掛け論になって、時には、非常に防御意識が強い証人が過度に任意供述であることを強調するとかえって信用しがたい、などということがままある。そこで、そういう個別的な任意性の立証でなくて、もう少し客観的な形の証拠方法があるべきでないか、ということが一つの理由だろうと思う。決して、取調べ過程をすべて丸裸にするということ自体を目的としているのではないのではないか」旨、発言し、葛西委員より、「問題の争点は、ビデオの有無にかかわるのではなくて、任意性というのは一体どういうものなのかということにあるのではないか」旨、発言した。

佐藤委員より、「裁判員制度が導入されることは既定路線であっても、この制度にも試行錯誤があるであろうし、改善していく必要のあることがいずれ出てくるであろうと思う。また、それはそれとして、新制度の下で、警察の捜査、取調べの実効性をいかに高めていくかということは改めて考える必要がある課題だと思う。そのような検討を進めるに当たっては、現場の意見や都道府県公安委員会の意見も聴くべきだと思うが、まずは、このような検討を進めていくという方針を、来週にでも、公安委員会として決めることが重要だと思う」旨、発言した。

葛西委員より、「大森委員が言われた効果的な方策を打ち出すことは、当面対処する方法としてやむを得ないかもしれないと思う。しかし、物事の本質はそこにあるのではなく、この種の問題については、大きな体系の中の座標上の一つの点として捉えて、それをどう持っていくかという議論を片方で進めていくことが必要だ。『何となく』とか、『このくらいで』とか言いながら、状況に迎合して逐次後退するというのは、日本的やり方でよくない。我々として、何を主張し、どうアピールして、安全をどう守るのかを検討すべきである。そうでないと任務を誠実に果たしているとは言えないのではないかと思う」旨、発言した。

長谷川委員より、「先ほど吉田委員から司法文化の違いという話があり、また、刑事局のご説明でもよくそのように言われていたのだが、捜査のやり方や法律、文化などが、欧米など取調べをある程度公開できるような形になっている国と我が国とで、本質的に、どこが、どのように違うのか、分かるように説明してほしい。また、私は、今の取調べのやり方が一番よいとは思っていない。戦後の冤罪事件や最近の無罪事件などを見ても、ある種の隠蔽されていることによる弊害はあると思う。通常の仕事のやり方の中に組み込まれている職業的雰囲気というようなものがあって、それが、志布志事件などのように、誤った方向が出てくる可能性をある程度高めているのではないかという感じがする。そのようなものを払拭し、みんなが納得でき、裁判所でもひっくり返るようなことをなくすためにも、何かもう少し考えた方がよい。この問題を考える場合の私の立場は、もし自分が誤って逮捕された場合、自分の意見がきちんと採用されるのか、どのように国が私を守ってくれるのか、というものだ。今のような形だけでは十分に自分を守れない気もするので、納得がいくまで検討したい」旨、発言した。長官から、「弁護士の立会いのない取調べ、あるいは録音録画をされていない取調べについては、全く証拠能力がない、という刑事訴訟法を改正する法案が現に衆議院に出ている。これは、戦後の取調べのあり方、ひいては捜査のあり方を全面的に変えてしまうことになりかねない。取調べの全過程の録音・録画をすべきであるという考え方に対しては、従来、警察として3点ほど理由を挙げて、賛成できないということを申し上げてきた。その考え自体は間違っているとは思わないし、変えるつもりもないが、そうであるからといって、このままでよいとも思わない。すぐ結論が出るとは思わないが、いろいろ御指示をいただければ、それを受けて抜本的に検討する準備は十分整っている」旨、また、刑事局長から、「議論は、裁判員裁判をにらんでの公判での立証のあり方の話と、警察捜査の、特に取調べの適正さの確保の話とがごちゃごちゃになっている。警察捜査の適正を確保するために、全過程録音録画しか処方箋はないんだという議論があるが、本当にそうなのか。我々は我々自身として、適正化したいし、そういう処方箋は出したいと思っている」旨の説明があった。

大森委員より、「冒頭に私が、次回に公安委員会としての意見をまとめて、と言ったのは、固いことばで言えば、国家公安委員会の管理機能の内容である大綱方針を示す、ということに当たるわけで、大綱方針を示して、それに基づいて警察庁が大綱方針に沿った検討を行うという形になる。だから、大綱方針として、どういう文字を使い、どういう表現でそれをあらわすかということは、なおよく皆で協議して文章を固めたいと思う」旨、発言した。

12)薬物再乱用防止モデル事業の実施について

刑事局長から、「薬物の再乱用の防止、末端乱用者の減少を図るため、本年10月26日から平成20年3月31日までの間、警視庁において薬物再乱用防止モデル事業を実施する」旨の報告があった。

13)改正道路交通法の施行後の状況について  

交通局長から、本年9月18日に施行された改正道路交通法の一部の施行状況について報告があった。

14)皇太子同妃両殿下の第22回国民文化祭・とくしま2007御臨場等(徳島県)に伴う警衛警備について

警備企画課長から、「皇太子同妃両殿下は、10月26日から28日までの間、第22回国民文化祭・とくしま2007御臨場等のため、徳島県に行啓になる。本行啓に関し、関係警察で警衛警備を実施する」旨の報告があった。

15)天皇皇后両陛下の福岡県西方沖地震災害復興状況御視察等(福岡県)に伴う警衛警備について

警備企画課長から、「天皇皇后両陛下は、10月29日から31日までの間、福岡県西方沖地震災害復興状況御視察等のため、福岡県へ行幸啓になる。本行幸啓に関し、関係警察で警衛警備を実施する」旨の報告があった。

3 その他

(1)吉田委員より、時津風部屋の力士急死事案に関して、「以前説明を受けたときは、長官が記者会見で言ったような『慎重に判断すべきだった』というような状況ではなかったように受け止めていたが、見解が変わったのか」旨、質問し、刑事局長から、「最初に説明した時は、まだ鑑定書が出ておらず、死因を確認できていない段階であった」旨の説明があり、さらに、同委員より、「調査が進んで見解が変わること自体はあり得ることだが、そのようなときには、再度説明していただきたい」旨、発言した。

(2)吉田委員より、死体の取扱いに関して「警察庁は、犯罪性に疑いが残る場合は司法解剖するように都道府県警察を指導しているのにもかかわらず解剖率が低いのは、予算的な問題があるからなのか」旨、質問し、刑事局長から、「司法解剖は国費で支弁しており予算的な問題はない。しかしながら、専門医の数は限られており、解剖するか否か、ある程度のスクリーニングはどうしても必要になる」旨の説明があった。

佐藤委員より、「そのような実情についても世論の理解を得るように、説明していく必要がある」旨、長谷川委員より、「私もそれを言いたい。日本は、不審死に対する検視解剖が少ない。死体をいじってもらいたくないという遺族感情もその理由の一つだ。しかし、私自身、解剖の経験があるから分かるが、法医学を専攻する人が本当に少なく、解剖をきちんとやれる人はほとんどいない。それゆえ、この問題を訴える先は医学界ではないかと思う」旨、発言した。