定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成20年17日(木)

午前10時00分 午前145

第2 出席者 泉委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、

情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「7月22日付けを始めとする地方警務官50名の人事案件について発令していただきたい」旨、「8月7日付け、警視総監の任免について内閣総理大臣に承認を依頼したい」旨、「8月7日付け、警視総監の任免について東京都公安委員会に同意を求めるよう依頼したい」旨及び「自動車安全運転センター役員の選任について認可していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)「平成19年実績評価書(案)」等について

官房長から、「平成19年実績評価書(案)」及び「平成19年政策評価実施結果報告書(案)」について説明があり、原案どおり決定した。

長谷川委員より、「これら政策評価の作業には膨大な労力がかかっていると思うが、それに値するものとなっているのか。いずれも、対前年比とか、過去5年との比較など画一的、統一的な指標による評価がなされているが、これではそれぞれの分野で警察がどれくらい努力したのかということが見えてこないのではないか。社会情勢による変動と警察の努力による変動とが渾然一体となって警察事象として現れてくるのに、このような評価は、警察の活動実態を反映していないと思う」旨、発言し、官房長から、「御指摘のとおり政策評価には膨大な作業を要し、また、そもそも犯罪捜査などの警察活動が数字による評価になじむかという問題もあるが、政策評価法により実施が義務付けられており、総務省に報告しなければならない。警察行政と他の行政分野が同じ評価方法でよいかという問題は当初からあるが、政府全体としては、むしろ画一的に行うようになってきている」旨の説明があり、佐藤委員より、「政策評価をいかに合理的かつ効果的に行うかは政府全体として検討すべき問題であると思う」旨、発言し、委員長より、「私としても、御趣旨をしっかり受け止めたい」旨の発言があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、神奈川県警察の警部補らが被留置者から要求され、居室内にタバコ、ライター等を提供するなどした事案に係る監督責任として、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、7月22日、地方警務官の警察署長を本部長訓戒の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

田尾委員より、「本事案が発覚した経緯はどうだったのか」旨、質問し、首席監察官から、「適正に職務を行っていた職員が上司に相談したことにより事案が発覚した」旨の説明があった。

葛西委員より、「同種の事案はほかにもあるのか」旨、質問し、首席監察官から、「居室内でトラブルを起こす問題被留置者は常におり、留置勤務員が神経をすり減らしている。不当な要求を繰り返し、勤務員がうっかりそれを認めると、そのミスに乗じて要求をエスカレートさせていくというケースが過去にもみられる」旨の説明があり、長谷川委員より、「そのような問題のある被留置者については、早期に組織全体で情報を共有する必要がある」旨、葛西委員より、「個々の職員のミスにつけ込んで組織を分断しようとするのは、この手の人間の常套手段であり、これに対しては当該担当職員を孤立させることなく、組織的に一体となって対応することが重要である」旨、発言した。官房長から、「留置業務にトラブルはつきものであり、幹部は部下からの報告を待つのでなく、『トラブルはあり得るべきこと』として何か問題が生じていないかを聞き出せるようにしなければならない。勤務員がミスをした場合にも、その非をとがめられることを懸念して報告がなされないのは、かえってよくないのであり、むしろ早期の報告を促すようにすべきである」旨の説明があった。

(4)東組の指定の確認について

刑事局長から、東組が暴力団対策法第3条の要件に該当するかどうかにつき、大阪府公安委員会からなされた確認請求について説明があり、同法第6条に基づき、同暴力団が同法第3条の要件に該当する旨の確認をした。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)「銃砲規制等の在り方に関する意見書」の取りまとめ及び意見公募手続について

生活安全局長から、本年5月から5回にわたり開催した「銃砲規制のあり方に関する懇談会」において取りまとめられた「銃砲規制等の在り方に関する意見書」の概要、同意見書に対する意見の募集の実施等について報告があった。

田尾委員より、「今回、新たな規制を検討するに当たり最も難しい問題は、近隣住民が持っている不審者情報をどのように把握し、これをいかにして不適格者排除につなげていくかという点にあると思う。国家公安委員会に対する意見・要望の中にもあったのだが、一般人からすれば、不審な言動をしている者が銃を所持しているかどうかということは、警察に相談するきっかけとして重要な情報であると思う。ホームページで公開するなど積極的に開示すべきだと思うがどうか」旨、質問し、生活安全局長から、「懇談会でも議論になり、アメリカでは公開しているとの指摘もあったが、情報公開法上の個人識別情報でもあり、我が国の法制上直ちに同様にはできないということになった。意見書の中にもあるが、銃の所在を明らかにすると、盗難等を誘発するおそれもある。ただし、個々の許可申請に係る調査において、近隣住民の意見を聴く際には、申請者の氏名を告げるような運用をすべきではないかと考える」旨の説明があり、田尾委員より、「特段の不利益情報ではないから、開示しても問題はないのではないか。盗難等の懸念も、開示の程度の問題ではないか」旨、発言し、葛西委員より、「許可銃よりもはるかに危険性の高いけん銃などの違法銃器については当然明らかではないのに、許可を持っている人についての情報を公開するのはバランスを失するのではないか」旨、発言した。

委員長より、「銃砲所持者の情報の開示については様々な意見もあるので、これからの議論の中で対応を検討してほしい」旨の発言があった。

佐藤委員より、「パブコメに先立って、あるいは遅くともそれと並行して、実際に事務の主体となる都道府県公安委員会の意見を聴く必要があるのではないか」旨、発言し、生活安全局長から、「都道府県公安委員会の意見は、懇談会の開催に先立って実施した『銃砲に係る2つの総点検』の段階で既に聴いており、意見書にも反映されていると考えているが、委員の御指摘を踏まえ、パブコメと並行して意見を聴くこととしたい」旨の説明があった。

佐藤委員より、「許可及び更新の申請の際に必要となる医師の診断書について、意見書では、『可能な限り専門医の診断書を求める』とされており、専門医の地理的分布が偏っている等の現状に配慮した表現となっている。しかしながら、審査の厳格化という観点からは、専門医の診断を極力確保すべきであり、受診が難しい場合についてどのような手立てを講ずるかについてもあらかじめ詰めておく必要があるのではないか」旨、葛西委員から、「専門医といえども不許可相当という診断書はなかなか出さないのではないか」旨、それぞれ発言し、生活安全局長から、「精神障害等の欠格事由に該当する疑いがあるケースについては、最終的には、すべて専門医の診断を受けるようにする」旨の説明があった。

委員長より、「医師の診断書は、許可及び更新について判断する際の根拠の一つである。種々の問題もあるが、今後も検討を重ねてほしい」旨の発言があった。

(2)食品の産地等偽装事案に対する警察の取組みについて

生活安全局長から、全国的に相次いで発生している食品の産地等偽装事案に対して警察が行っている関係省庁との連携や取締り等の取組みについて報告があった。

(3)振り込め詐欺撲滅アクションプランの公表及び携帯電話事業者等との協議状況について

刑事局長から、警察庁と法務省が策定し、7月15日に公表した「振り込め詐欺撲滅アクションプラン」及び携帯電話事業者、金融機関等と進めている協議の状況について報告があった。

葛西委員より、「通話履歴データの保存期間の延長については、携帯電話事業者と合意に至らず、引き続き協議を継続する必要があるという説明であった。コストの問題もあるようだが、携帯電話事業者の事業規模に照らし、対処不可能なほど大きいものなのか。すべての携帯電話事業者と合意できなくても、合意可能な事業者があるのであれば、まず、そこから保存期間を延長すればよいのではないか。その事業者は、犯罪に使われにくい、安心な携帯電話という評判を得ることになるのではないか」旨、発言し、刑事局長から、「携帯電話事業者は、料金を徴収する必要から通話履歴データを保存しているが、今後、3か月間を超える保存について引き続き協議していきたい」旨の説明があった。

(4)(株)加ト吉を舞台とした循環取引を巡る有印私文書偽造・同行使、詐欺事件について(香川県警察)

刑事局長から、(株)加ト吉を舞台とした循環取引を巡る有印私文書偽造・同行使、詐欺事件の事案概要、捜査経過等について報告があった。

(5)尼崎公害訴訟のあっせんに基づく国土交通省からの交通規制の可否の検討に係る要請への回答について

交通局長から、尼崎公害訴訟のあっせんに基づく国土交通省からの交通規制の可否の検討に係る要請及び同要請に対する回答の内容について報告があった。

3 その他

(1)吉田委員より、「本日の振り込め詐欺撲滅アクションプランの報告にも、高齢者が被害に遭っていると説明があったように、最近の世相をみていると、アナログ世代の者がデジタル世代の者に振り回されているように思われる。これは警察だけで対応できる問題ではないが、例えば、インターネット上のブログには、互いの人格を傷つけ合い、結果として犯罪を誘発するようなものもあり、ネット社会の負の側面にどう取り組むかは現代社会の大きな問題であるという認識が必要だと思う」旨、発言し、長官から、「警察としては、まずは、インターネット上のわいせつ物や児童ポルノなど違法情報に対して取り組んでいく」旨の説明があった。