定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成20年24日(木)

午前10時00分 午前145

第2 出席者 佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、情報通信局長

長官官房審議官(警備局担当)、首席監察官、情報公開・個人情報保護室長

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「8月8日付けを始めとする地方警務官等6名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案に対する意見の募集について

刑事局長から、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等の施行に伴う犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の状況等について(行政機関情報公開法関係)

情報公開・個人情報保護室長から、7月18日までの間に警察庁長官に対してなされた行政文書の開示請求の状況及び開示請求に対する決定について報告があった。

(2)警察改革の推進状況について

官房長から、平成17年12月に策定した警察改革の持続的断行についての指針に基づき、警察改革の推進状況について報告があり、検証を行った。

葛西委員より、「『持続的』というが、このような取組みをいつまで続けるのか」旨、質問し、官房長から、「その問題意識は、当方にもある。関連して、田尾委員から、事前説明の際、取調べの適正化の取組みは入れないのかと御質問があった。警察改革は、平成12年の『警察刷新に関する緊急提言』を受けて策定した『警察改革要綱』に基づいて取り組んできたもので、5年が経過した平成17年には、もうそろそろ終わりにしてもいいのではないか、という議論もあった。しかし、すべての問題点が解消したと言い切れる状況ではなく、平成16年には会計経理の問題も発覚し、平成17年にはこれも取り込んで、警察改革を持続的に断行していくことになった。警察として自己観察の機会を持つことは重要であり、問題の有無を一定の基準の下に定期的に検証していく作業は必要だと思う。ただし、それが『改革』の継続として位置付けるべきものなのかについては議論もあり、取調べの適正化の取組みについても今後検討してまいりたい。どこかで切り替えは必要なのではないかと思う」旨の説明があった。

葛西委員より、「『断行』とは、断乎として一気に行うべきもので、『持続的』とは矛盾する概念ではないのか。中身も足元の乱れを直すというネガティブな話ばかりで、警察力を強化するという点については、付け足しのように書いてあるだけだ。『持続的に』自分の身を身ぎれいにできるかできないかを調べなければならないような組織は、企業であれば、そこで清算して新しい組織にしなければならない。組織としての在り方そのものを、毎年、毎年、事改めて点検しなければならないとすれば、それはもう組織として成り立っていないことを意味する。例えば、犯罪組織と闘うとか、犯人を検挙するとか、抑止力を働かせるとか、そういうことが警察の本来の使命である。それらの本来の使命を達成するための前提条件となる部分を毎年自分で改革し続けなければならないようなら、それは警察組織が自己否定していることになる。今警察がやらなければいけないことは何か、を明らかにして、それに力を注ぐということを鮮明にすべきである」旨、発言した。

さらに、葛西委員より、「日常業務として当然なされているべきことを『改革』とか『○○本部』という名前にするのは、官庁でも企業でも見られるが、マスコミ受けのポピュリズムである。ポピュリズムは、警察組織を弱くする一番の要素の一つである。日常やらなければいけないことは、『改革』ではない。当然できてしかるべきことについての点検は、『監査』ということでやればよい。組織内部の点検というのは、組織の持っている自律的な機能であり、実際にやればよいのであって、それを外から言われて、やらなくてはならないからやるというのはおかしい。それを看板に掲げるのは間違っているのではないか。今警察が抱えている課題はこうだということを整理し、より積極的に前向きな話として何をやったらよいのかというところに切り替えるべき時期だと思う」旨、発言し、長官から、「『持続的断行』という言葉は、最初に使われた当時から議論はあったが、あの時点では、警察改革の取組みを風化させることはできない状況であり、もう一度原点に立ち戻って取り組むという趣旨で打ち出した意味合いがある。警察改革はきちんとやっていかなければいけない。ここで言う警察改革はマイナスの話ばかりでなく、仕事の進め方がこれでいいのかということを年に1回はきちんと点検して次を展望していこうという意味である。ただし、検証のやり方がこのままでよいか、ということは考えないといけないとは思う」旨の説明があった。

吉田委員より、「私は平成17年から国家公安委員を務めているが、当時は『警察改革から5年が経過したが、まだ少し足りないのではないか』という雰囲気であり、いつまで取組みを続けるかについてはっきりした議論はなかった。ただ、当時の自分の頭の中には、あと5年くらいはかかるのかなという感じはあった。これまでは、治安と信頼の回復に向けて警察改革を持続的に断行してきたが、『回復』というのは、マイナスをゼロにすることである。これからは、ゼロをプラスにしていくという方向に向かっていく時期が来ているのではないか」旨、発言し、佐藤委員より、「必要とされた警察改革をこのように行ってきたという形で過去の問題に対する答えを示していくことも大事ではあるが、その上で、今後何をやっていくかを示すことが必要であり、具体的には、より強く、より頼りがいのある警察を作るという目標に向けての努力がここまで来ているという報告をするのが本来ではないかと思う。来年の報告では、治安再生に向けた今後の取組みを軸に、必要な警察改革の推進状況も入れながら、もう少し前向きな方向を出すように、まとめ方を変えていってはどうか」旨、発言した。

(3)平成20年警察白書(案)について

官房長から、8月下旬に閣議配付される予定の平成20年警察白書の内容等について報告があった。

(4)合理化・再配置及び増員の現状について

官房長から、都道府県警察における合理化・再配置及び地方警察官の増員の現状について報告があった。

葛西委員より、「合理化というのは、必要な部分として評価すべきものを守った上で、生産性を上げることをいうが、この報告では、ただ、定員がどう配置されているか、どうシフトしたかを示しているに過ぎない。数量化するのは難しいのかもしれないが、パフォーマンスとして、こういうところが強化されたという説明がないと説得力がない。まず、警察は何をやらなくてはいけないのかということを明確にし、例えば、犯罪抑止力が高まったとか、事前情報で未然に犯罪を防止したとか、速やかに逮捕したというような、合理化により強化された部分が分かるようにしないまま『適正配置』『再配置』という話をしてもあまり意味がないと思う」旨、発言し、官房長から、「委員御指摘のとおりであり、どのような目的で行った合理化がどのような結果になったのか、ということの説明責任はあると思うが、なかなか難しい」旨の説明があり、さらに、葛西委員より、「積極果敢に主張すべきことは主張しておかないと、すべてが逐次後退になって、組織として徐々に弱くなっていく。例えば、警備部門の定員を削減しているが、なぜ警備を減らす必要があるのか、本当に減らしてよいのか、警備部門のパフォーマンスはそれでもなお問題ないといえるのかなどについてきちんと説明すべきである」旨、発言し、長官から、「地方警察官の増員を検討するときには、現行の人員を最大限有効に活用しているということが議論の出発点であり、そのため、現行のマンパワーをどう配分し、どういう業務につけているかということを各都道府県警察に調査報告を求め、年に1回集約している。平成12年当時は、機動隊の出動する事象があまり見られなかったため、機動隊がやり玉に挙がり、かなり削減した。しかし、いくらでも減らせるわけではなく、機動隊は、本年4月現在、9405人であるが、これは必要最小限の数であると考えている」旨の説明があった。

佐藤委員より、「そういう意味では、再配置の基礎にあった考え方そのものをもう一度見直した上で、配置を再検討する時期に来ているのではないか」旨、発言し、葛西委員より、「世の中の期待にこたえるという姿勢で物事に処するのではなく、専門家として、自分たちが何をやらなければ将来の要請にこたえられないかということを自律的に考えなければならない。治安は生活に直結する部分であり、問題を自分で先取りするという姿勢に転じた方がよいと思う」旨、発言した。

(5)平成20年度第1四半期監察の実施状況について

官房長から、警察庁が都道府県警察等に対して行った平成20年度第1四半期における監察の実施状況について報告があった。

(6)平成20年上半期の懲戒処分者数について

首席監察官から、平成20年上半期の全国警察職員の懲戒処分者数は、合計125人で、その内訳は、懲戒免職19人、停職22人、減給45人、戒告39人である旨の報告があった。

(7)監察の取扱い事案について

首席監察官から、福島県警察の巡査が独身寮の寮費を横領した事案等に関し、同県警察は、7月25日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司ら3名を本部長注意等の措置とする予定である旨及び長野県警察の警部補が、交通事故に関する虚偽の報告書を作成・行使したとして6月10日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、7月22日、同警部補を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、当時の上司4名を本部長訓戒等の措置とした旨の報告があった。

(8)都道府県警察における取調べ適正化施策等についての説明会の終了及び今後の予定について

刑事局長から、4月8日から7月18日までの間、長官を始め刑事局長等の刑事局幹部が47都道府県に赴き、一連の諸対策を講ずることに至った経緯、取調べの適正化の趣旨・意義、取調べの一部録音・録画の趣旨・意義等について説明し、これらの趣旨、意義等を第一線の捜査員に浸透させ、諸対策を確実に実施していくことの必要性、重要性等について警察庁の考え方を示したこと並びに今後の予定として、取調べ適正化施策推進状況の検討会を開催すること及び取調べの一部録音・録画の試行の開始に向けた取組状況について報告があった。

佐藤委員より、「短期間の間によく進めていることを評価したい。出張の際に、県の公安委員の方々から、警察庁や県警の幹部が取調べ適正化施策等の趣旨・意義等を丁寧に説明してくれているという話を聞いているが、今後とも引き続き努力いただきたい」旨、発言した。

(9)公共事業からの暴力団排除の推進状況について

刑事局長から、平成18年12月の第8回犯罪対策閣僚会議において決定された公共事業からの暴力団排除の施策の推進状況について報告があった。

10「幼児2人同乗用自転車に求められる要件について(中間取りまとめ)」について

交通局長から、本年4月から4回にわたって開催された「幼児2人同乗用自転車」検討委員会において取りまとめられた中間とりまとめの内容等について報告があった。

11平成20年上半期の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について

平成20年上半期の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について、資料の配付をもって報告があった。

12平成20年上半期の暴走族の動向及び取締り状況並びに暴走族取締強化期間の実施結果について

平成20年上半期の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について、資料の配付をもって報告があった。

13)皇太子殿下の平成20年度全国高等学校総合体育大会御臨場(埼玉県)に伴う警衛警備について

長官官房審議官(警備局担当)から、「皇太子殿下は、7月28日、平成20年度全国高等学校総合体育大会御臨場のため、埼玉県へ行啓になる。これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の報告があった。

14)皇太子殿下のトンガ国御訪問に伴う警衛警備について

長官官房審議官(警備局担当)から、「皇太子殿下は、7月30日から8月3日までの間、トンガ国国王陛下戴冠式御参列等のため、トンガ国を御訪問、その途次、オーストラリア国にお立ち寄りになる。これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の報告があった。

15)福田総理大臣の平和記念(祈念)式典出席に伴う警護警備について

長官官房審議官(警備局担当)から、「福田総理大臣は、8月5日から6日までの間、『広島原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式』出席等のため広島県を、8月9日、『被爆63周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典』出席等のため長崎県を、それぞれ訪問する。これに伴い、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

16)福田総理大臣の中国訪問に伴う警護警備について

長官官房審議官(警備局担当)から、「福田総理大臣は、8月8日から9日までの間、北京オリンピック開会式出席等のため、中国を訪問する。これに伴い、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

17)岩手県沿岸北部を震源とする地震に伴う被害状況と警察措置について

長官官房審議官(警備局担当)から、本日午前0時26分ころ発生した岩手県沿岸北部を震源とする地震に伴う被害状況と警察措置について報告があった。

3 その他

(1)官房長から、第29回オリンピック競技大会に参加する警察関係の選手・役員の報告があった。

(2)刑事局長から、7月22日に発生した八王子市所在ショッピングセンター内刃物使用殺人等事件の事案概要、捜査経過等について報告があった。

吉田委員より、「最近、無差別殺傷事件が連続して発生しているが、どの事件も犯人の身柄を確保しているという点は評価できる。もし、犯人を取り逃がしていたら、社会不安は大変なものがあったと思う。ところで、無差別の通り魔事件が起きているのは、駅前とか繁華街とか歩行者天国といった場所であるが、こういう場所の交番は、道案内のような本来業務以外の雑多な業務に忙殺されているのではないかとも思われる。そういう交番こそ、不審者に目を光らせ、何かあったらすぐに対応できるということが重要であり、特に繁華街等にある交番については強化が必要ではないかと思われるがどうか」旨、質問し、官房長から、「今回の八王子の事件は、八王子駅北口交番の勤務員が立番勤務中に検挙した。秋葉原の事件などを受け、街頭活動を強化しているが、今回のようにショッピングセンター内の書店における発生については、対策にも限界がある。発生の一報があったときに、被害を最小限に抑えるために、いかにそこに警察力を集中し、情報をつかんでいくかという瞬発力が重要だと思う。今回の交番は1当務5名の体制であり、よく機能していたと思う」旨の説明があり、吉田委員より、「現在の社会情勢、経済情勢やプロフ、ブログなどが犯罪の契機となるという新しい傾向と結びついて、今後ともこの種の犯罪が増える可能性があると思われるが、これらを事前に予防することは困難であり、それだけにこういった事件が発生したとき被害を最小限にとどめるような対応が重要であると思う」旨、発言した。