定例委員会の開催状況

第1   平成20年1023日(木)

午前10時00分 午前125

第2 出席者 佐藤委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)犯罪被害者等の支援に関する指針の策定について

官房長から、犯罪被害者支援法に基づき、都道府県公安委員会による民間団体の自主的な活動の促進のための措置等に関して必要な事項を定める「犯罪被害者等の支援に関する指針案」について説明があり、次のような議論を行い、原案を一部修正した上、同指針を決定した。

佐藤委員より、「指針案の『コーディネーターの育成』という項目でいうコーディネーターは、どのような役割を担うのか」旨、質問し、官房長から、「犯罪被害者等の多種多様なニーズに応じて、必要な支援を行う機関等を紹介するなど連絡窓口的な役割を果たすことを想定している」旨の説明があり、佐藤委員より、「コーディネーターとは、日本語でいえば調整者で、一定の権限を有することになる。有識者会議での議論もあるようだが、外国語についてその定義を吟味せずに用いるのはいかがなものか。しかも、本文中には『支援全般を統括する』ともあり、これでは支援をすべて仕切ることになるとも読める。そこまでの権限とか責任を民間団体にゆだねることが適当なのか。もし、そこまでは考えていないということなら、『コーディネーター』の役割を明確に定めるよう表現振りを検討すべきではないか」旨、発言し、官房長から、「指針案の同項目中、『・・・・必要な支援についての情報提供・相談、適切な機関・団体への橋渡し等、支援全般を統括するコーディネーターの役割が重要・・・・』とある中から『支援全般を統括する』を落として『・・・・必要な支援についての情報提供・相談、適切な機関・団体への橋渡し等を行うコーディネーターの役割が重要・・・・』と文言を修正し、その役割を明確に規定したい」旨の説明があり、これを了承した。

田尾委員より、「一般的な質問だが、犯罪被害者等基本計画に盛り込まれている各種施策のうち警察に係る施策が61あるが、これらの施策はすべて既に実施されていると理解してよいか」旨、質問し、官房長から、「基本計画を受けて経済的支援の在り方、情報提供や支援に係るネットワークの構築及び財政的支援の在り方の3つの課題について、それぞれ検討会を設置し、提言を受けているが、現在は、その提言の実施段階、いわば基本計画の具体化の段階である」旨の説明があり、さらに同委員より、「今後は、この指針に沿ってさらに充実発展させるということになろうか」旨質問し、官房長から、「そのとおりである。警察は、従前より先導的な役割を果たしてきたが、地方公共団体の取組みには必ずしも十分でないところもあり、その充実を働きかけていく」旨の説明があった。

(2)インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案等について

生活安全局長から、6月6日に公布された「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律」の施行期日を平成20年12月1日とする政令案の閣議請議並びに同法の施行に伴い、都道府県公安委員会がインターネット異性紹介事業者に事業の停止を命ずることができる事由となる児童の健全な育成に障害を及ぼす罪及び道公安委員会の権限の方面公安委員会への委任について定める「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行令案」の閣議請議及び同政令案に対する意見公募手続の実施結果の公示等について説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成20年度第2四半期監察の実施状況について

官房長から、警察庁が都道府県警察等に対して行った平成20年度第2四半期における監察の実施状況について報告があった。

(3)警察庁指定広域技能指導官(第8回)の指定について

官房長から、10月28日に、新たに28名を警察庁指定広域技能指導官として追加指定する旨の報告があった。

(4)日中刑事共助条約の批准書交換及び日中領事協定の署名について

官房長から、本年5月に国会承認を得、中国における国内手続の完了を待っていた日中刑事共助条約の批准書の交換が10月24日に行われる予定である旨及びウィーン条約の規定を確認・補足等するため、平成15年4月に交渉を開始し、本年3月に実質合意に至った日中領事協定は、署名に向け日程を調整中である旨の報告があった。

(5)監察の取扱い事案について

首席監察官から、中部管区警察局の技官が、タクシー運転手に暴行したとして、9月22日に現行犯逮捕された事案に関し、同警察局は、10月24日、同技官を減給処分とする予定である旨の報告があった。

(6)第7回東南アジアにおける児童の商業的・性的搾取対策に関するセミナー及び捜査官会議の開催について

生活安全局長から、10月30日及び31日、東京都内において、第7回東南アジアにおける児童の商業的・性的搾取対策に関するセミナー及び捜査官会議を開催する旨の報告があった。

(7)第5回東アジア地域組織犯罪対策会議の開催について

刑事局長から、10月29日から31日までの間、東京都内において、14か国・地域から40名の捜査幹部等の参加を得て、第5回東アジア地域組織犯罪対策会議を開催する旨の報告があった。

葛西委員より、「組織犯罪対策の実効を上げるためには、中国だけでなく、ビザなし渡航などで人の交流が多く、マフィアの問題や麻薬問題もある台湾を招へいすべきではないか。必要な国を呼ぶということであるならば、両方呼ぶか、両方バイで会議を持つか、でもよいと考える。会議への中国の参加の必要性は理解できるが、台湾についても、東アジア地域という以上、呼ぶべきではないか」旨、発言し、刑事局長から、「なるべく実効の上がる会議をやりたいと考えており、前回から中国がこの会議に正式に参加している」旨の説明があり、長官から、「来年の検討とさせていただきたい」旨の説明があった。

(8)第77回ICPO総会の開催結果について

刑事局長から、10月7日から10日までの間、ロシア連邦において、第77回ICPO総会が開催され、薬物犯罪対策、組織犯罪対策、知的財産権犯罪対策等に関する活動報告や2009年の活動計画、予算案の審議等が行われた旨の報告があった。

(9)FATF対日相互審査の実施結果について

刑事局長から、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策に関するFATF勧告の我が国における実施状況を審査する対日相互審査に関し、10月16日にブラジル・リオデジャネイロで開催されたFATF全体会合において確定した審査結果の概要等の報告があった。

10)麻生総理大臣の中国訪問(ASEM出席等)に伴う警護警備について

警備局長から、麻生総理大臣は、10月23日から25日までの間、アジア欧州会合第7回首脳会合(ASEM7)出席等のため、中国を訪問する予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

11)皇太子殿下の第32回全国育樹祭御臨場等(愛媛県)に伴う警衛警備について

警備局長から、皇太子殿下は、10月25日から27日までの間、第32回全国育樹祭御臨場等のため、愛媛県へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

12)天皇皇后両陛下の源氏物語千年紀記念式典御臨席等(奈良県及び京都府)に伴う警衛警備について

警備局長から、天皇皇后両陛下は、10月30日から11月2日までの間、源氏物語千年紀記念式典御臨席等のため、奈良県及び京都府へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

3 その他

(1)吉田委員より、警察庁における犯罪被害者等支援の組織体制に関し、「警察庁で犯罪被害者支援を担当する部署が給与厚生課であるということに従来から違和感を感じている。給付金の支給事務だけをやっているという印象を持たれやすい。被害者支援は、もともと給付金の支給から始まったのかもしれないが、底流としては、戦後、加害者の人権だけが過分に擁護され、その反面、被害者の支援がないがしろにされているという反省から発展してきたもので、包括的で幅広いものである。将来的な問題としては、むしろ一つの独立した課とすべきではないか」旨、発言し、官房長から、「給与厚生課が従前からつかさどっていた警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する事務との親和性があるとして、犯罪被害者給付金の事務を同課の所掌としたという経緯があった。現在では、給付金の支給だけでなく、被害者に対する支援全般に広がり、関係省庁との調整や庁内各課との調整など業務はかなり増大している。理想的には課にしたいとも思うが、課の新設は現実的には難しい。少なくとも給与厚生課で犯罪被害者支援の事務を所掌することに現実的な支障は生じていないので、当面は現在の組織としたい。ただし、事務の親和性という観点からは、給与厚生課の事務とは異質なものが入ってきているという御指摘はそのとおりであり、将来の検討課題としたい」旨、長官から、「被害者とのかかわりは古くからある問題だが、具体的な行政事務としては、給付金の支給から始まったものであり、給与厚生課の中の犯罪被害給付室が担当していた。その後同室の名称を『犯罪被害者対策室』とし、さらに先般、その名称を『犯罪被害者支援室』に改め、マンパワーの増強も行っているので、実態としては支障はないと考えている。在り方論として給与厚生課の中にあるのがおかしいという問題意識は理解できるが、課の新設にはスクラップ・アンド・ビルトという制約があり、警察全体の中の事務量バランスを考えると、現段階で室を課に格上げすることは難しい」旨の説明があった。