定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成20年12日(木)

午前10時00分 午前155

第2 出席者 佐藤委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

首席監察官、国家公安委員会会務官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)国家公安委員会委員長に対する開示請求に関する決定について

国家公安委員会会務官から、国家公安委員会委員長に対して本年9月9日付けでなされた行政文書の開示請求に対する開示決定について説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、佐賀県佐賀警察署の警部補が交番内で部下職員にけん銃を押し付けた事案に関し、警察庁長官は、本事案を惹起せしめた監督責任等により、同署長を懲戒手続に付する必要があると認め、本日、国家公安委員会に申立てを行う旨の説明があり、その結果、国家公安委員会において懲戒審査会に審査を要求する旨を決定した。

(3)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について

交通局長から、悪質・危険運転者対策、高齢運転者対策等を内容とする道路交通法の一部を改正する法律の施行等に伴う「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。

高齢運転者対策に関連して、吉田委員より、「いわゆる『もみじマーク』の表示について警察庁が検討を始めた旨の新聞報道があった。『もみじマーク』は定着しているように思うが、デザインを変えるのか」旨、質問し、交通局長から、「高齢運転者標識については、本年6月から75歳以上の者に表示が義務付けられたが、『高齢者いじめ』等の批判があり、1年間は取締りは行わずに指導・広報とすることとした。高齢運転者の安全対策を更に充実させるため、本年9月からこれまでに『高齢運転者の支援に関する検討委員会』を3回開催しており、高齢運転者の支援に関して様々な意見が出されているが、その中には高齢運転者標識のデザインについての議論もあった。近く検討委員会の報告書もまとまる見込みであり、高齢運転者標識についても、報告書を踏まえつつ、幅広く国民の意見を聴きながら、時間を掛けて検討したい」旨の説明があった。

また、田尾委員より、「高齢運転者対策として認知機能が低下した場合に行われやすい行為についての説明があったが、免許の取消し等がなされることとなる認知症について、その判断基準は医療の専門家の間では一致しているのか」旨、質問し、交通局長から、「臨時適性検査の基準行為は、専門医による診断を受ける必要がある者を抽出するための基準であり、多量のデータを統計的に処理し、専門家の意見を聴いて定めたものである。個々の人が認知症に当たるか否かの判断は、最終的には専門医の個別の診断による」旨、長官から、「認知症の個々の診断には医学上の難しい問題もあるかもしれないが、現に認知症によると思われる事故が発生しているにもかかわらず、これまでは、認知症に着目した形で、運転をやめてもらう仕組みがなかったわけであり、家族等の協力を得て免許を返納するよう説得するなどの取組みを含め、種々の対策を講じていきたい。その際、検討委員会の議論を踏まえながら、高齢者の方々の立場にも配慮してまいりたい」旨の説明があった。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)国家公務員制度改革の状況について

官房長から、国家公務員制度改革推進本部顧問会議の「報告」の概要、今後の進め方について説明があった。

(3)行政支出総点検会議の指摘事項について

官房長から、内閣官房長官の下に開催された行政支出総点検会議において、12月1日に取りまとめられた指摘事項の概要について説明があった。

葛西委員より、「『行政コストの節約・効率化』という指摘事項の中には、『随意契約の見直し』として、競争性の高い契約方式への移行ということが言われているが、警察の情報システムの機密性を保持することに支障はないか」旨、質問し、官房長から、「機密性の高いシステムについては随意契約としているものもあるが、指名競争入札などによって、より競争性の高い方式に移行することは可能であると考えている。その際は、単に価格競争によるのではなく、保秘体制がとれるかといった価格以外の要素も評価することによって機密性は確保していく」旨の説明があった。

吉田委員より、「『公益法人への支出』という指摘事項では、公益法人への支出の削減ということが求められているが、そういう中であっても警察庁が事業を委託しているインターネット・ホットラインセンターについては拡充させていく必要がある。これに限らず、インターネット犯罪対策は、今後の警察の重点課題である。単に一つ一つの施策がそれぞれ大切だ、という説明では説得力に欠ける。治安対策の大きな構図の中でインターネット犯罪対策を位置付け、その中でホットラインセンターを明確に位置付けていくことが必要だと思う」旨、発言し、官房長から、「インターネット・ホットラインセンターが対象とする情報は、犯罪そのものである『違法情報』と犯罪を誘発する情報や犯罪に近い情報である『有害情報』に限り、警察の責任の範囲内のものとしてこの事業をやっている。他方、一般的にいう『有害情報』には、子どもに有害な情報を含むなど範囲が広く、関係省庁や民間の努力が重要であり、民間でやっていくべきことについては要請をしていく」旨の説明があった。

委員長より、「インターネット上の有害情報はあまりに膨大で、警察だけでは手に負えない。民間事業者の責任が大きい分野だと思う」旨の発言があった。

これに関連して、佐藤委員より、「インターネット関連の業務には高い能力が要求されるので、サイバーフォースなどに携わっている警察職員については、給与体系などの面で人材確保策をよく考えておかないと、せっかく警察で養成した技術者を民間に引き抜かれるということになりかねないのではないか。インターネット対策の問題は、今後ますます進んでいく技術との競争であり、警察も能力を高めていかなければならず、そのためには、技術開発の最先端にいる人材を確保しておくための方策が重要である」旨、発言した。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、関東管区警察局の技官が家電店でDVD等を窃取した事案に関し、同警察局は、12月5日、同技官を停職処分とする予定である旨の報告があった。

葛西委員より、「警察職員による窃盗事案に対する処分としては軽過ぎるということはないか」旨、発言し、官房長から、「私行上の行為であり、他の事案と比べても軽いということはない」旨の説明があった。

(5)第17回全国小学生作文コンクール「わたしたちのまちのおまわりさん」の審査結果等について

生活安全局長から、第17回全国小学生作文コンクール「わたしたちのまちのおまわりさん」の実施概要、審査結果及び12月13日に東京都内において表彰式が開催される旨の報告があった。

(6)最近における悪質商法の検挙状況と今後の対策について

生活安全局長から、最近における大規模な悪質商法の検挙事例、悪質商法検挙上の課題と対策について報告があった。

(7)警察における取調べの一部録音・録画の試行状況について

刑事局長から、5都府県警察において本年9月から実施している取調べの一部録音・録画の試行について、11月末までの実施回数、実施状況の概要の報告があった。

(8)けん銃と認定されたエアーソフトガン事件の検挙について

刑事局長から、殺傷能力のあるエアーソフトガンを製造、販売した被疑者を、12月2日、警視庁が銃砲刀剣類所持等取締法違反で検挙した事件について、事案概要、今後の方針等の報告があった。

(9)「治安の回顧と展望」について

警備局長から、公安情勢、外事情勢、国際テロ情勢等に係る本年の主要な動向と警察の諸対策及び来年の展望について記述した「治安の回顧と展望(平成20年版)」を取りまとめた旨、本年は北海道洞爺湖サミット警備についても記述している旨の報告があった。

10)首都直下地震発生時の広域緊急援助隊等派遣計画について

警備局長から、警察庁では、マグニチュード7クラスの首都直下地震が発生した場合を想定した広域緊急援助隊を始めとする応援部隊の派遣計画を策定した旨及び同計画は、今後、内閣府が関係省庁の派遣計画を取りまとめ、今月中に開催予定の中央防災会議で報告される予定である旨の報告があった。

11)インド・ムンバイにおける連続テロ事件について

警備局長から、11月26日にインド・ムンバイにおいて発生した連続テロ事件の事案概要、捜査状況について報告があった。

3 その他

(1)刑事局長及び警備局長から、厚生労働省関係者に対する殺人及び殺人未遂事件について、捜査状況、警戒状況等の報告があった。

(2)警備局長から、政府関係者等への攻撃等に対する危機管理体制にについて、本日開催された副大臣会議の結果の報告があった。