定例委員会の開催状況

第1   平成20年1211日(木)

午前10時00分 午前130

第2 出席者 佐藤委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)国家公安委員会・警察庁の権限に属する事項の専決区分の整備について

官房長から、国家公安委員会の権限に属する事項に関し、最近の法令改正等により新たに規定された事項等について、専決区分の整備を行う旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「12月4日の国家公安委員会の審査の要求を受け、警察庁懲戒審査会は、同日、佐賀県佐賀警察署の警部補によるけん銃不適正使用事案に係る同署長の監督責任等について審査を行った」旨の説明があり、その決定事項が答申された。

これを受け、佐賀県佐賀警察署長を戒告処分とすることを決定した。

(3)日中韓首脳会議開催に伴う静穏保持法に基づく外国公館等周辺地域の指定に関する協議について

警備局長から、日中韓首脳会議の開催に伴い、12月13日、九州国立博物館等の周辺地域を静穏保持法に基づく地域に指定したい旨の外務大臣から国家公安委員会に対する協議について説明があり、異議のない旨回答することとした。

(4)国家公安委員会・警察庁業務継続計画の策定について

警備局長から、首都直下地震の発生により人的・物的資源に制約がある状況において、優先して実施すべき業務の継続性を確保するために必要な事項を定める「国家公安委員会・警察庁業務継続計画」について説明があり、原案どおり決定した。

吉田委員より、「首都直下地震が発生した場合など非常時に業務を継続するための執務環境の整備としては、排泄物の処理が極めて重大ではないか」旨、発言し、警備局長から、「御指摘のとおりである。阪神・淡路大震災のときも排泄物の処理が大きな問題で、マンホール直結型の兵庫県庁のトイレだけが使えたことが知られている。この合同庁舎2号館についても、マンホール直結型により対応したいと考えている」旨の説明があった。

佐藤委員より、「緊急時には委員が参集できない場合も考えられるので、国家公安委員会の緊急時における意思決定の仕方について、あらかじめ最悪の事態を想定して、対策を講じておくべきだと思う」旨、葛西委員より、「委員が参集できず、また、テレビ会議システムも使えず、定足数を満たすことができない場合に備え、こういう時にはこうするということをあらかじめ予防的に意思決定しておけばよいのではないか」旨、発言し、長官から、「検討し、御報告したい」旨の説明があった。委員長より、「私は、防災担当大臣も務めているが、防災の分野では、私に事故がある時には副大臣が、副大臣がいない時には政務官が、というように大臣の職務を行うことになっている」旨、発言した。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)地方分権改革推進委員会「第2次勧告」について

官房長から、12月8日に地方分権改革推進委員会において決定された「第2次勧告」の概要、今後の予定等について説明があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、石川県警察の巡査部長が、住居手当を詐取する等した事案に関し、同県警察は、12月15日、同巡査部長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司2名を本部長訓戒等の措置とする予定である旨の報告があった。

佐藤委員より、「説明によると、何年にもわたって住居手当を不正に受給していたようだが、居住実態を把握できていなかったのは組織として問題ではないか」旨、発言し、首席監察官から、「書類上は不正を発見しにくい事案であったが、私生活の指導、監督が不十分であった面もあり、石川県警察では、上司についても監督責任を問う予定である」旨の説明があった。

(4)平成20年(1~11月)の刑法犯認知・検挙状況について

生活安全局長から、11月末現在の刑法犯認知件数は、前年同期に比べて4.9%減少、検挙率は0.2ポイント低下したこと等、本年1月から11月の刑法犯の認知・検挙状況について報告があり、刑事局長から、振り込め詐欺の認知・検挙状況について報告があった。

(5)初動警察強化推進委員会の設置及び第1回委員会の開催について

生活安全局長から、近年の警察事象の多様化・スピード化に対応するため初動警察強化推進委員会を設置し、通信指令を中心とした初動警察の強化のための総合的な施策の推進を図ることとし、第1回委員会を12月10日に開催した旨の報告があった。

佐藤委員より、「初動の効果を上げるための方策については、出張した際に各地における工夫の話をよく聞く。例えば、山形県警察では、集中豪雨時の冠水道路対策として、新幹線の下をくぐる道路など車両水没危険箇所に番号を付与して場所の特定が直ちにできるようにする施策を検討していたり、鳥取県警察では、通信指令業務に使用する地図を改良して、学校などについては、場所だけでなく校門の位置も示したりするなど、迅速に初動措置がとれるようにそれぞれ工夫している。この機会に、このような好事例を集めて全国的に活用できるようにするとよいと思う」旨、発言し、生活安全局長から、「過去の失敗を教訓としてきめ細かく対応をしている県がある一方で、対策が遅れている県もあり、各県の取組みはまちまちである。全国一律というより、各県の実情に応じて対応していくべき分野であるが、警察庁としても、各県の好事例を全国に紹介して、全体のレベルアップを図りたい」旨の説明があった。

(6)新しい「青少年育成施策大綱(案)」について

生活安全局長から、平成15年12月に策定された「青少年育成施策大綱」の見直しが行われ、本年12月12日の青少年育成推進本部において決定される予定である新しい「青少年育成施策大綱(案)」の概要について報告があった。

(7)第5回人身取引事犯に係るコンタクトポイント連絡会議の開催について

生活安全局長から、人身取引被害者の保護の適性を図ることを目的に、12月16日、関係省庁、関係国大使館、国際機関、NGO等関係機関・団体の担当者等を招致して第5回人身取引事犯に係るコンタクトポイント連絡会議を開催し、情報交換、意見交換を実施する旨の報告があった。

(8)指名手配被疑者捜査強化月間の実施結果について

刑事局長から、11月に実施した指名手配被疑者捜査強化月間の結果について報告があった。

(9)厚生労働省関係者に対する殺人及び殺人未遂事件の検挙並びに警察措置について(埼玉県警察・警視庁)

刑事局長から、厚生労働省関係者に対する殺人及び殺人未遂事件の事案概要、捜査状況及び今後の警察措置について報告があった。

10)千葉県東金市における女児死体遺棄事件について(千葉県警察)

刑事局長から、9月21日に千葉県東金市において発生した女児死体遺棄事件について、事案概要、捜査状況等の報告があった。

11)京都家庭裁判所書記官による偽造有印私文書行使事件について(埼玉県警察)

刑事局長から、埼玉県警察が、12月7日に京都家庭裁判所書記官を偽造有印私文書行使で逮捕した旨の報告があった。

12)日中韓首脳会議開催をめぐる情勢と警察措置について

警備局長から、12月13日、温家宝中華人民共和国国務院総理及び李明博大韓民国大統領が来日し、福岡県内において日中韓首脳会議が開催される予定であり、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

13)端末、ウェブサーバ及びメールサーバに係る情報セキュリティ対策に関する検査等について

情報通信局長から、内閣官房情報セキュリティセンターが第1次情報セキュリティ基本計画において求めている端末、ウェブサーバ及びメールサーバに係る情報セキュリティ対策の実施状況について報告があった。

3 その他

(1)交通局長から、高齢運転者の支援に関する検討委員会における検討の概要等について報告があった。

(2)留置業務に係る不適切事案に関し、吉田委員より、「先日、警視庁玉川警察署における留置担当者の不適切事案が報道された。どうして500万円も脅し取られたのか理解できない。以前にも申し上げたように、私は、懲戒免職となるような事案について、『亡国警官』、『悪徳警官』、『馬鹿警官』の3つに分類していたが、更にその下に『腰抜け警官』とでも言うべき新たな分類をつくらなければならないのであろうか。『精強な第一線警察の構築』というスローガンが泣くような情けない事案である」旨、発言し、官房長から、「現在、事案の詳細や事案発生の背景等について調査中であり、後日、報告したい」旨の説明があった。

   葛西委員より、「留置業務に関しては、以前にも同様の事案があったと思うがどうか」旨、質問し、官房長から、「非違事案を行った留置勤務員が、被留置者につけ込まれ、脅されて、便宜を図るという事案が前にもあった。悪質な被留置者には組織で対応しなければならないのに、自分ひとりで思い悩み、かえって相手につけ込まれてしまうというものである」旨の説明があった。葛西委員より、「勤務成績とか部内評価に過剰に神経質な体質が出てくるとそのようなことになるのではないか。組織に連帯感があれば、周囲のだれかに相談できるはずだ。周りの人が一人でも知れば、つけ込まれずに済む」旨、発言した。佐藤委員より、「留置業務の場合、同じような事案が繰り返されているのであれば、勤務員にあらかじめ注意を喚起することもできるのではないか」旨、発言し、葛西委員より、「気をつけるべきポイントはそれほど多くはないはずであり、失敗談などは参考になるだろう。やはり、人間関係の接点が少なくなっているということに問題があるのではないか」旨、発言し、官房長から、「いろいろ調べながら、どこに問題があったのかよく見ていきたい」旨の説明があった。