定例委員会の開催状況

第1   平成20年1218日(木)

午前10時00分 午前130

第2 出席者 佐藤委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)        人事案件について

官房長から、「1月1日付け国家公安委員会犯罪被害給付専門委員2名の任命について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)次期通常国会提出予定法律案件名要旨について

官房長から、次期通常国会に提出予定の法案として、提出確定のもの1法案、検討中のもの1法案を登録すること及びそれに伴う手続について、また、交通局長及び生活安全局長から、各法律案の概要について説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公務員法等の一部を改正する法律の施行等について

官房長から、国家公務員法等の一部を改正する法律のうち、再就職規制関連規定の施行に伴う警察庁の定員に関する規則の一部を改正する規則案及び国家公安委員会の権限に属する事項の専決区分の整備等について説明があり、原案どおり決定した。

佐藤委員より、「再就職等監視委員会は発足したのか」旨、質問し、官房長から、「再就職等監視委員会の委員の任命は、国会同意人事であり、今国会に同意人事案が提出されたが、否決されたため、現在、同委員会は成立していない。ただし、法律の規定によれば、同委員会は、内閣総理大臣の委任を受けて事務を行うことになっているので、委員会が成立しない場合には、内閣総理大臣が自ら再就職あっせんの承認をするという運用がなされると聞いている」旨の説明があった。

田尾委員より、「あっせん承認を受ける件数は全省庁でどれくらいになるのか」旨、質問し、官房長から、「具体的な数字は承知していないが、年間1,000人以上が退職していると聞いているので、相当な数に上るのではないかと思う」旨の説明があった。同委員より、「警察だけの問題ではないが、この機会にできるだけ定年まで勤務を続ける方向で人事管理を考える時期に来ているのではないか」旨、発言し、葛西委員より、「単に退職年齢を引き上げるだけでは、老齢化した弱い警察組織になってしまう。現場の指揮官のように体力も気力も旺盛な時期の者こそがふさわしいポストもある。その年代を越えた人のため、民間企業であれば顧問とか相談役といったポストがあるが、警察も定員を増やすなどの対応をしないと、若い者の人事が滞り、組織全体の士気の低下も招くと思う」旨、発言し、長官から、「地方公務員の場合、再任用制度というものがある。ただし、定員は増えないので、この制度で再任用した数だけ新規の採用を控えることになる。人事管理は、一か所で運用を変えると、ほかのところに色々な影響が出てくるので、トータルに検討する必要がある。他省庁のやり方も参考にしながら、最大限努力していかなければならないと考えている」旨の説明があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、福島県警察の警視正によるセクシャル・ハラスメント事案に関し、警察庁長官は、同警視正を懲戒手続に付する必要があると認め、本日、国家公安委員会に申立てを行う旨の説明があった。

本申立てを受け、国家公安委員会においては、懲戒審査会に審査を要求する旨を決定した。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況及び予算関係スケジュールについて報告があった。

(2)「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」(案)について

官房長から、12月22日の犯罪対策閣僚会議において決定される予定の犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」(案)に関し、内閣官房による意見の公募の実施結果、案文の主な変更点、今後の予定及び先般の定例会議における佐藤委員の「多文化共生」という標題とその下で書かれている施策の内容との差異に係る指摘に対する内閣官房との協議について説明があった。

これに関連して、葛西委員より、「犯罪対策閣僚会議は、いつごろから開催されているのか。政府の策定する行動計画のたぐいは、単なる作文のようなものもあると思うが、これはどうか」旨、質問し、長官から、「平成14年に刑法犯認知件数が285万件を超えるなど犯罪情勢が深刻化したことから、警察庁では『緊急治安対策プログラム』を策定したが、犯罪対策、とりわけ予防に関しては、警察だけで対応できるものではなく、むしろ各省庁に広く協力してもらう必要がある。ところが、政府全体で治安について検討する場がそれまではなかった。そこで、犯罪対策に特化して、閣僚メンバーで政府全体として施策を集約するために平成15年から開催することとされているものである」旨の説明があった。次長から、「閣僚会議の立ち上げや行動計画の策定に携わった。施策メニューの多くは、都道府県警察の意見を踏まえ、警察庁の方から所管官庁に提案したものであるが、内閣総理大臣が主宰する会議で決定することにより、各省庁が同じ方向で取り組むことが確保でき、連携強化の機運が高まった」旨、官房長から、「かつては、犯罪対策は警察の仕事、という意識が強く、自分のところは関係ないという意識の役所も多かった。この会議によって、各省庁としても対策をとらなければならないという意識に変わり、大きな意味があった」旨の説明があった。

長谷川委員より、「発生してしまった犯罪に対処するのは警察の仕事であるが、どうしたら犯罪を発生しにくくすることができるかというのは、町づくりとか社会全体のことであり、いろいろな省庁が協力しなければならない。その土台ができたということはよいことである」旨、発言した。

(3)(財)犯罪被害救援基金による犯罪被害者等に対する支援金支給事業について

官房長から、(財)犯罪被害救援基金において、犯罪被害者等基本法の趣旨を踏まえ、現に著しく困窮している犯罪被害者等であって、社会連帯共助の精神に則り特別な救済を図る必要があると認められる者に対して支援金を支給する事業を開始する旨の報告があった。

(4)G8ローマ/リヨン・グループ12月会合の結果について

官房長から、12月9日から12日までの間、京都において開催されたG8の国際組織犯罪・テロ対策の専門家会合であるG8ローマ/リヨン・グループの結果について報告があった。

(5)繁華街・歓楽街を再生するための総合対策の推進について

生活安全局長から、平成17年9月から推進した繁華街・歓楽街を再生するための総合対策の成果と課題を踏まえつつ、その取組みを更に前進させるため、主要な繁華街・歓楽街を管轄する指定都道府県における対策の重点、推進体制の確立、繁華街・歓楽街再生推進計画の策定等を内容とする通達を各都道府県警察に発出する旨の報告があった。

長谷川委員より、「繁華街・歓楽街の再生と同様のものとして、自分が取り組んでいる環境再生関係を例にして申し上げたい。例えば、荒れ果てた里山をどう再生させるかとか、汚染された湖をどうするかということについて、地元の方々、有識者、関係行政機関の人たちが集まって、『自然環境再生事業協議会』を作り、地元の人々がどういう自然に戻したいのかということを協議し、生態学者がそれを実現するためにどういう再生プロジェクトができるのかを助言し、各行政機関がそれぞれできることを推進する、ということをやり効果を上げている。繁華街・歓楽街の再生についても、定期的に『協議会』のような会合を持つのか」旨、質問し、生活安全局長から、「市、自治会、ボランティア団体、警察等関係者が集まって協議会をつくり、どういう街にするかを議論している。なかでも、東京・歌舞伎町での取組みは最も進んでおり、『歌舞伎町ルネッサンス推進協議会』という協議会を結成して、青写真を描き、その実現に向けた諸対策を講じている。場所によって進捗状況はまちまちではあるが、どんな街にするのかということを協議会で議論して進めている」旨の説明があった。

田尾委員より、「繁華街・歓楽街再生のための総合対策は、平成17年に犯罪対策閣僚会議で策定された『安全・安心なまちづくり全国展開プラン』が基になっているが、本年6月、これについての総括が行われたと聞いている。そのときの警察の施策に対する評価はどのようなものであったか」旨、質問があり、生活安全局長から、「手元に資料がないが、悪質な客引き行為や違法性風俗店等の取締りについては、数字上、顕著な成果がでており、違法駐車についても改善した」旨の説明があり、田尾委員より、「地方視察の折、博多の中州や仙台の国分町の状況について説明を受けたが、現場は、17年通達に基づいて非常によくやっていると感じた」旨、発言した。次長から、「歌舞伎町が最も進展しており、客引き、ピンクチラシ、わいせつビデオ店、暴力団の地回り行為や暴力団の違法駐車は激減して3年前より街はきれいになっているが、取締りを逃れて、風俗店や暴力団、国際組織犯罪が潜在化している点が課題である。もう一つの課題は、再開発や風俗店等の取締りによってできた空き店舗、空きビルに性風俗店ではなく文化・芸術的なものを入れて街を変えていくという構想なのであるが、今は、言わば産みの苦しみの段階である」旨の説明があった。

(6)犯罪対策閣僚会議における消費生活侵害事犯対策ワーキングチームの設置について

生活安全局長から、12月22日に開催される犯罪対策閣僚会議において決定される「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」を踏まえ、同計画中にある「消費者の目線に立った生活経済事犯への対策の強化」の具体的推進方策を検討するため、同会議の指示に基づき、同日、関係省庁申合わせにより、「消費生活侵害事犯対策ワーキングチーム」を設置する旨の報告があった。

佐藤委員より、「ワーキングチームが取り組むことは、内容的にみて、普段からやっていて当然のもののように思うが、警察の立場からは、このようなチームを設置することによって関係行政機関の協力が得やすくなるという効果が期待できるのであろうか」旨、発言し、生活安全局長から、「この種の事案については警察の対応だけでは限界があり、所管省庁にしっかり取り組んでもらう必要がある。平素から協力関係を構築するよう努めており、事案ごとに窓口もできているが、中には十分に機能していないものもある。ワーキングチームの設置により、関係機関の取組みが強化され、警察としても取締りを行いやすくなることが期待できる」旨の説明があった。

(7)都道府県警察における取調べ適正化施策推進状況について

刑事局長から、取調べ適正化施策の推進状況について、10月及び11月に各都道府県警察に直接赴いて個別に検討会を行うとともに、11月末から12月初旬にかけて、全国を4ブロックに分けたブロック別検討会を実施し、被疑者取調べ監督制度の試験運用、改正犯罪捜査規範の施行状況、取調べ状況の把握を容易にするための施設整備の推進状況及び人事上の措置について、都道府県警察における推進状況の検討を行った旨の報告があった。

(8)下肢不自由の障害を有する者に係る駐車規制からの除外措置の対象範囲の変更について

交通局長から、下肢不自由の障害を有する者に係る駐車規制からの除外措置の対象範囲の基準を、障害の級別「1級から3級の1までの各級」から「1級から4級までの各級」に変更することについて報告があった。

(9)天皇誕生日一般参賀及び新年一般参賀に伴う警備について

警備局長から、12月23日に天皇誕生日一般参賀が、1月2日に新年一般参賀が、皇居において、それぞれ行われる予定であり、これに伴い、所要の警備を実施する旨の報告があった。