定例委員会の開催状況

第1   平成216日(木)

午前10時00分 前1135

第2 出席者 佐藤委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、警視庁の警視正による多額借財事案に関し、警察庁長官は、同警視正を懲戒手続に付する必要があると認め、本日、国家公安委員会に申立てを行う旨の説明があり、その結果、国家公安委員会において懲戒審査会に審査を要求する旨の決定をした。

佐藤委員より、「国家公務員制度改革に当たって、警察の職務の特殊性に配慮した制度設計がなされたが、そうした特例も人事管理がきちんと行われてこそである。地方警務官の人事についても部内に緊張感があるべきであり、本件についての処分の問題とは別に、この機に、地方警務官人事の運用の在り方についても改めて考えてみる必要があるのではないか」旨、葛西委員より、「確かに再点検をする必要があると思う」旨、発言し、長官から、「こうした状況を警視庁としてなぜ把握できなかったのか、事実関係を調査して報告したい」旨の説明があった。

(2)銃砲刀剣類所持等取締法施行令の一部を改正する政令案及び銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令案について

生活安全局長から、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う規定の整理及び同法の一部の施行期日を平成21年6月1日とする政令案について説明があり、原案どおり決定した。

(3)銃砲刀剣類所持等取締法施行規則の一部を改正する内閣府令案に対する意見の募集について

生活安全局長から、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律の一部の施行に伴い、銃砲刀剣類の保管、返還等に関する規定の整備等所要の規定の整備を行う内閣府令案に対する意見公募手続について説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)街頭防犯カメラシステムモデル事業の実施地区の決定等について

生活安全局長から、平成21年度から2か年を予定している街頭防犯カメラシステムモデル事業の実施地区として「神奈川県川崎市JR川崎駅東口地区」を決定し、今後、有識者会議を設置して、調査・検討を進めることとした旨の報告があった。

葛西委員より、「モデル事業として成果を上げるまでは、街頭防犯カメラの設置を進めることを控えるという趣旨なのか」旨、質問し、生活安全局長から、「本事業は、限られた人員体制でも効果的な運用ができるような高機能のシステムを開発し、その普及を図っていこうとするもので、これ以外の防犯カメラの設置を排除するものではない。モデル事業に併せて、各都道府県において防犯カメラを設置することは構わないと考えている」旨の説明があり、長官から、「防犯カメラを設置するとそれをモニターする人員も必要になるので、これが隘路となって設置が進んでいない。そのため、このような高機能の防犯カメラであれば設置を促進することができるのではないかと考えている」旨の説明があり、同委員より、「防犯カメラの設置効果は、やったことが画像として記録され、必ず検挙されるという抑止力にあると思う。開発しようとしている『異常行動検出機能』には過大な期待をしない方がよいと思う。また、『プライバシーに関する国民の不安を払拭する機能』を強化するということだが、これは具体的にはどういう意味か」旨、発言し、生活安全局長から、「防犯カメラの設置により、例えば、カメラの設置位置の関係から、意図せずにマンションの窓が映ってしまうような場合に、その部分にマスキングが掛かるようにする機能である」旨の説明があった。

田尾委員より、「街頭緊急通報システム、いわゆるスーパー防犯灯は整備が進んでいるようだが、将来的には、街頭防犯カメラシステムとどのような棲み分けになるのか」旨、質問し、生活安全局長から、「スーパー防犯灯は平成13年から整備を進め、19年度末で全国で752基設置されている。防犯活動に対する地域の関心が高まるなど、街頭犯罪対策として先駆的な役割を果たしたが、現在は、都道府県からの設置要望もなくなっている。今後は、街頭防犯カメラの整備に移行したいと考えている」旨の説明があった。

(3)痴漢事件に対する最高裁判所の無罪判決について

刑事局長から、4月14日に最高裁判所から無罪判決が言い渡された痴漢事件に関し、事案の経緯、無罪判決の理由の要旨、捜査の在り方についての今後の検討等について報告があった。

(4)平成21年春の全国交通安全運動の実施結果等について

交通局長から、4月6日から15日までの間実施した春の全国交通安全運動期間中の交通事故の発生状況、主な取組みについて報告があった。

吉田委員より、「歩道を歩いていて、後ろから自転車が来ているのに気が付いていないまま、すぐ脇を追い越されて怖い思いをしたり、車に乗っていると、前を走っていた自転車が後ろを確認せず急に曲がったりするなど、自転車のマナーがたいへん悪くなっているように思う。昔と違って、最近の自転車にはベルやバックミラーを付けていないものが多いように思われるがどうか」旨、質問し、交通局長から、「都道府県によって規定はまちまちであるが、ベルについては、道路交通法で鳴らさなければならない場合が定められているので、自転車に備えていなければならない。ミラーについては確認する」旨の説明があった。

佐藤委員より、「免許なしに乗れる自転車については、規則を守ることが大切であるが、そもそも、どういう規則になっているのかを改めて周知徹底する必要があると思う」旨、発言し、交通局長から、「自転車を運転するに当たって守るべき法令については、自動車運転免許の更新の際の講習資料にも含まれているが、学校等で行われる自転車安全教室などではパンフレットを配付しながら教えたりして徹底を図っている」旨の説明があった。さらに、同委員より、「一方でだれでも乗れて、他方で守るべき規則が周知徹底していないという透き間に危険な自転車運転者が存在するのではないか」旨、発言し、交通局長から、「街頭で指導警告を行うなどしているが、指導すべき対象者になかなか浸透しないというギャップはあるかもしれない」旨の説明があり、同委員より、「例えば、全国民に基本的な教則を漏れなく配付したり、一定期間、新聞に広告を出したりするなど、いろいろな手段を使ってこの透き間を埋めることを考えるべき時期が来ているのではないか」旨、発言した。

葛西委員より、「昔の、日常生活用に利用していた自転車はそれほど問題ないが、最近の、愛好者が乗るような自転車はスピードが出るので、そういうタイプの自転車を街で乗るときには、きちんとルールを守らないと危険である。高速で長距離を走るための自転車は別に考えた方がよいかもしれない」旨、発言した。

吉田委員より、「車道を走行する自転車の交通事故被害が増え、自転車が歩道を走行するようになったころから自転車の交通秩序が崩れてきたような感じがする。部分的に対応するのではなく、もう一度、全体的に自転車通行の秩序を立て直す機会がきているのではないか」旨、発言した。

交通違反の取締りに関し、委員長より、「昨日の国会で質問もあったが、例えば、右折禁止場所で、たまたま誤って曲がってしまったときに、そこに警察官がいて取り締まられたという事案で、わざわざ違反するのを待ち受けて取り締っているかのような、あたかも点数稼ぎと受け取られかねない取締りの仕方では国民の理解は得られないと思う。むしろ違反が多い場所であれば、手前に警察官が立って姿を見せ、違反させないようにした方がよいのではないかという考え方の方が理解が得られやすいのではないか。そうすれば、点数稼ぎのためにやっているのではないかという一般国民のイメージを払拭し、警察官に対する一般国民の信頼を一層高めることになるのではないか」旨、発言し、交通局長から、「交通違反の取締りは、交通事故の防止等を図るために行っているのであり、決して取締り実績を上げるための取締りを行っているのではない」旨の説明があった。

葛西委員より、「以前に比べ、現場における警察官の裁量の幅が狭くなっているのではないか。最近の世の中は、ゼロかイチしかないというようにデジタル的に物事を割り切る風潮が強くなってきている。一定の裁量の幅を持った上で職務執行すると、その後、説明義務を生じることになるので、社会全体が裁量しない方向に動いているように思われる」旨、発言し、交通局長から、「どういうものを取り締まり、どういうものを指導とするかについて、個々の警察官の判断に委ねる部分が大き過ぎると、かえって不公平との批判を招くおそれがある」旨の説明があった。

長谷川委員より、「その一方で、日本の駐車違反の取締りは不十分ではないかと思う。イギリスは極めて厳格であり、駐車違反は必ず取り締まられる。また、取締りの件数が業績として評価されるシステムであると、きちんと交通秩序を保つことよりも業績を上げることの方に警察官の意識がシフトしてしまうので、そのような評価の仕方はすべきではないと思う」旨、発言し、交通局長から、「例えば、一時停止違反による事故が多発している場所で、一時停止違反の取締りを行うということはあっても、単に何件取り締まったら評価するというようなことはしていない。駐車違反については、監視員制度の導入により、厳しく取り締まっている。その結果、取締り重点路線の幹線道路などはかなり違法駐車が少なくなり、渋滞は減っている」旨の説明があり、長官から、「実態や状況等に応じて具体的に指導しないと、警察官個人の判断に任せた裁量では混乱が生じ、収拾がつかなくなる。委員長の発言の御趣旨は理解できるが、取締りの管理面できめ細かく対応できるか、もう少し時間を掛けて検討させていただきたい」旨の発言があった。

(5)皇太子殿下の第20回全国「みどりの愛護」のつどい御臨席等(神奈川県)に伴う警衛警備について

警備局長から、皇太子殿下は、4月19日、第20回全国「みどりの愛護」のつどい御臨席等のため、神奈川県に行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、「以前、定例会議において吉田委員から質問のあった自動二輪車への青色回転灯の装備については、先般の定例会議において、排気量が125cc以下であれば規制はない旨の中間的な報告をしたところである。その後、125ccを超える自動二輪車について、全国でどのくらい青色回転灯の装着の要望があるのか調査を行った結果、要望があったのは大型自動二輪車愛好者の2団体だけであった。大型自動二輪車を使ったイベントの盛り上げとか、ツーリングの際の広域的なパトロールといったことが青色回転灯装着の理由であり、本来の防犯パトロールの趣旨とは必ずしも一致しない。125ccを超える自動二輪車に青色回転灯を装着するには、国土交通省が所管している保安基準の改正が必要になるが、今回の調査結果も踏まえながら、今後とも検討してまいりたい」旨の報告があり、吉田委員より、「質問に対して、早速誠実に対応していただき感謝している。今回のような調査を実施することにより、125cc以下の自動二輪車には青色回転灯を装備することができるということが周知できたのではないかと思う」旨、発言した。