定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成21年12月3日(木)

午前10時00分 午前11時30分

第2 出席者 中井委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

現在、「委員長を代理する者」の第4順位である佐藤委員が12月6日に任期を終えることから、委員間の互選により、12月7日以降の「委員長を代理する者」の順位について、第1順位葛西委員、第2順位長谷川委員、第3順位田尾委員、第4順位吉田委員とした。

(2)犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について

官房長から、広島県公安委員会が行った犯罪被害者等給付金の裁定について、審査請求人から平成20年12月16日付けで国家公安委員会に対して行われた審査請求に関し、審理の状況について報告があり、同審査請求を棄却する裁決を行った。

(3)犯罪による収益の移転防止に関する法律第17条第1項の規定に基づく意見陳述の実施について

刑事局長から、都内に所在する郵便物受取サービス事業者2業者について犯罪収益移転防止法上の本人確認等義務違反等が認められることから、同法の規定により、国家公安委員会が所管行政庁である経済産業大臣に対し、当該事業者への是正命令を行うべき旨意見を述べる旨の説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)国民及び職員からの意見聴取について

官房長から、12月1日に閣議決定された「国民及び職員からの意見聴取について」の概要の報告があり、委員長より、趣旨等について説明があった。

(3)行政刷新会議における議論の状況について

官房長から、行政刷新会議において、事業仕分けの対象とならなかった事業についても横断的な見直しを行い、平成22年度予算に反映させることとされたことを受け、警察庁関係の一部の事業についても見直しの検討を要すること、契約の競争性の徹底を図る観点から実施された総務省の緊急調査結果において警察庁の契約の一部について実質的な競争性が担保されていないおそれがあるなどの指摘を受けたことについて報告があった。

委員長より、「総務省の指摘については、色々と理由があるが、徹底的に是正しようということであるので、素直に指摘を受けて、是正をしていただきたい。また、予算の見直しについては、警察は事業仕分けの対象に入っていなかったが、襟を正して検討してもらいたい。国務大臣の立場として申し上げたい」旨の発言があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、鳥取県警察の警部補が、恐喝未遂をしたとして通常逮捕された事案に関し、同県警察は、12月3日、同警部補を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、当時の上司2名を本部長注意の措置とする予定である旨の報告があった。

(5)平成22年における街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策の基本方針について

生活安全局長から、平成22年の街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策を推進するに当たっての基本的な考え方、対策の重点等について報告があった。

(6)ファイル共有ソフトを利用した著作権法違反事件一斉取締の実施について

生活安全局長から、11月30日、10都道府県警察においてファイル共有ソフト「Share」を利用した著作権法違反事件の一斉取締を実施し、合計26箇所を捜索、11人を逮捕した旨の報告があった。

(7)顧客管理に関するFATF指摘への対応について

刑事局長から、昨年10月のFATF対日審査における顧客管理に関する指摘を踏まえ、問題の所在や今後の検討の進め方について報告があった。

葛西委員より、「顧客管理に関する指摘で不履行とされ、最低の評価を受けた事項があるのは非常に不名誉なことである。有識者等との会議を開いて、速やかに徹底的に対処していく良い機会にして、指摘されていることは実効性を高めれば良いと思う」旨の発言があり、佐藤委員より、「FIU関係事務の主管官庁が金融庁から警察庁に移されてからまだ2年しか経っていないこともあり、国内制度の整備と並行して、FATF側に捜査当局の視点からの問題意識や事情を説明していくことも大事だと思う」旨の発言があり、官房長から、「これまでに何度もFATFの審査を受けてきたが、従前は、指摘を受けたことはなかった。ところが、21世紀に入ってFATFの審査が厳しくなった。これまでは、本人確認、疑わしい取引の届出等の措置で十分であるという前提で、FATF指摘に対応しようとしていたが、実は十分ではなかった。今回の審査のときも、FATFの日本での現地調査本部でのヒアリングなどの場で我が国の現状と見解を主張してきたが、顧客管理については、実質上できているだけでなく、法令上の義務とされていなければならないとのことであった。条約ではないFATF指摘への対応という事実だけでは、立法の理由としては弱いこともあり、顧客管理のための情報の収集・確認を法令上の義務とした場合、国内のマネー・ローンダリング対策に効果があるという観点から説明しなければならないと思う。事業者への負担等について有識者を交えて意見を聴取するには良い機会だと思う」旨の説明があった。

(8)「治安の回顧と展望」について

警備局長から、本年の公安情勢、外事情勢、国際テロ情勢及び来年の展望について記述した「治安の回顧と展望(平成21年版)」を取りまとめた旨の報告があった。

委員長より、「最終的には来年2月にできるとのことなので、北朝鮮が今回実施したデノミネーションについても分析をお願いしたい」旨の発言があった。

(9)鳩山内閣総理大臣のインドネシア訪問(バリ民主主義フォーラム出席)に伴う警護警備について

警備局長から、鳩山内閣総理大臣は、12月9日から10日までの間、バリ民主主義フォーラム出席のため、インドネシアを訪問する予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

10)IOCE・ICPO・警察庁共催による情報技術の解析に係る国際会議の開催について

情報通信局長から、情報技術の解析に係る知見の集約・体系化を図り、各国法執行機関の解析能力を向上させるため、12月9日から11日の間に開催されるIOCE・ICPO・警察庁共催による情報技術の解析に係る国際会議の概要について報告があった。

3 その他

(1)官房長から、市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)の対日審査フォローアップの国家公安委員会の議論を踏まえた警察庁からの修正案に関し、法務省は、法務省の専管部分並びに法務省及び警察庁に関する部分は法務省の考え方で記載させてもらいたいと主張していること、法務大臣がフォローアップ内容の冒頭に新政権の姿勢を示す必要があると強く主張していること、外務省は、両省庁の意見の調整をすべく検討中の模様であること等について報告があった。

 葛西委員より、「『ここまで努力したが、この程度しかできていないので、これからも努力する』というトーンでフォローアップ内容ができているところに、国家としてのプライドが感じられないところが、問題である。最小限度、会議録に我々の論点を明確に残し、歴史の評価に委ね得るようにしておく方が良い」旨の発言があり、佐藤委員より、「最終的には英文で提出するので、そこで我々の意向が反映されていることが大事だと思う。第2に、これからのことを書くに当たっても、選挙の公約だからというよりも、政府の方針として書く方が良いと思う。3番目が一番大事なポイントだが、可視化との絡みで、『可視化を含め、幅広く捜査手法について調査研究を進める』ということで、国家公安委員会として、意見がまとまっているので、今回もその範囲で表現してもらえれば良いのではないかと思う」旨の発言があった。

(2)佐藤委員より、12月6日付けで国家公安委員会委員を離任するに当たり、「この仕事をさせていただき、大変光栄に思っている。この間、皆さんから支えていただいたことに、感謝申し上げる」旨のあいさつがあり、委員長より、「長年の仕事の経験、高い識見を生かして公安委員会で立派な御活躍をいただいたことを一同代表して心から敬意を表し、御礼を申し上げる。また、これからも色々な形でお願いをすることもあるかと思うが、御協力を賜るとともに、お元気でお過ごしいただくことをお祈り申し上げる」旨の発言があり、長官から、「5年間にわたり、警察の各行政について深い御理解、貴重な御指導・御助言をいただき、我々は刺激を受けました。警察行政の進展のために大変ありがたいと思っています。誠に名残惜しいが、引き続き、外から警察行政あるいは警察庁を見て、お気付きの点があれば、職員に対し、言葉をかけていただければありがたいと思います」旨の発言があった。