定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年1月28日(木)

午前10時00分 午前11時35分

第2 出席者 吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「2月15日付けを始めとする地方警務官等33名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案について

官房長から、国家公安委員会に置く大臣政務官の新設等を内容とする「政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案」について説明があり、原案どおり了承した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の決定等について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係の開示請求の決定について報告があった。

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(3)高知県警察に係る損害賠償請求訴訟の控訴審判決について

官房長から、1月26日に言い渡された高知県警察に係る損害賠償請求訴訟の控訴審判決について報告があった。

(4)日中犯罪人引渡条約締結交渉の開始について

官房長から、2月3日から5日までの間、都内において、第1回日中犯罪人引渡条約締結交渉が実施される旨の報告があった。

田尾委員より、「途中、節目節目で報告していただきたい」旨の発言があった。

(5)監察の取扱い事案について

首席監察官から、千葉県警察の警部補が、平成21年12月15日、覚せい剤取締法違反で通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、1月28日、同警部補を懲戒免職処分とした旨の報告があった。

葛西委員より、「犯罪者と親しくなるというのは警戒心が薄過ぎる。極めてリスクが高く、自分もいずれ被害に遭うと思うのが普通である。そう思わないのは、警察官と被疑者という立場上の優位があって自分は免疫を持っていると思っていたからか」旨の発言があり、首席監察官から、「今回の場合は、女性から他の事件情報をいろいろと聞いていたところ、その過程で相談を受けて親しくなった」旨の説明があり、葛西委員より、「もう一歩進むとこれは危ないということで自分の身を守ろうという本能が働き、普通は止まるのではないか。現場にいる直属の上司は、犯罪者との対応について部下への指導を徹底すべきではないか」旨の発言があり、次長から、「覚せい剤を使用した被疑者と交際し、深みに入ってしまうケースが結構多い」旨の説明があり、官房長から、「同種の非違事案が一時期続いたことがあり、単独で調べない、調べ室のドアを開けておくなど種々の対策を講じて、最近同種事案はほとんどなくなっていた」旨の説明があり、次長から、「千葉県警察では同種非違事案が以前あり、相当指導されていたと思うが、時間が大分経過しているので指導が徹底できていないのかもしれない」旨の説明があり、長官から、「同種事案の再発防止策についていろいろと考えてみたいと思う」旨の説明があった。

(6)子どもや女性を守るための匿名通報モデル事業の運用状況及び対象犯罪の拡充について

生活安全局長から、子どもや女性を守るための匿名通報モデル事業(匿名通報ダイヤル)について、その運用状況のほか、対象犯罪を拡充することについて報告があった。

田尾委員より、「今回、モデル事業の対象犯罪に児童虐待の事件を含めるというのは適切だと思う。実施要領では、法令上の通告義務がある者を情報料支払いの対象から除くという一般的な定め方をしていたと思う。児童虐待に関しては、そういう児童を発見した場合は、法令上通告義務があることになっているが、この場合は情報料支払いの対象から除外するのか。支払い対象をあまりにも絞り過ぎると効果が低いと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「児童虐待に関しては、法令上通告義務がかかっているからといって情報料支払いの対象から除外するわけではない。対象から除外されるのは、加害者、被害者、警察職員及び受託団体の職員のほか、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他法律上早期発見の努力義務を負っている者を考えている。ホームページにおいても、そういった点について誤解のないように措置したい」旨の説明があった。

(7)捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会について

刑事局長から、捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会の第1回会議を2月5日に開催する旨の報告があった。

(8)平成21年における通信傍受に関する国会への報告について

刑事局長から、通信傍受法第29条の規定に基づき、平成21年中の通信傍受の実施状況について国会に報告する旨の報告があった。

(9)平成21年中における死体取扱状況について

刑事局長から、平成21年中における死体取扱状況について報告があった。

長谷川委員より、「変死体と非犯罪死体の判断を最初にしているのは誰か。また、どのように判断しているのか。外表を見て勘で判断しているのか」旨の質問があり、刑事局長から、「基本的には、各警察署の刑事課強行犯の係長クラスが、死体の外表を見てまず判断をする。警察の中で、死体や死体のある現場を見るプロである検視官がなるべく現場に行って判断すべきであるが、現場への臨場率が昨年で約20パーセントであった」旨の説明があり、長谷川委員より、「臨場率が20パーセントというのは低いと思う。それから、犯罪死体と変死体は必ず解剖されるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「犯罪死体については原則として司法解剖が行われる。変死体については、検視官等が、専門的な知識をもって外表を見て、犯罪の可能性がある場合に司法解剖が行われることとなる。今は、CTや携帯エコーを使うなどの努力をしている」旨の説明があった。

葛西委員より、「非犯罪死体の中でも、毒物等を使って病死のように見せかけて、結果的には事件にもならないケースはたくさんあるのか」旨の質問があり、刑事局長から、「たくさんはないと思う。例えば、自殺や病死に見える場合でも検案の結果、死体から睡眠導入剤が検出されることがあり、そうした場合は捜査を行っている。しかし、潜在している可能性もあるので、それをなくすためにどうするかが大きなテーマである」旨の説明があった。

吉田委員より、「今週石川県に行った際、警察本部においてCT画像の解析について説明を受けた。CT画像の解析は法医学の医師と一緒でなければできないかと思っていたが、放射線科の医師でも解析ができるとのことであった。石川県では、誤診や誤読を避けるため、98か所くらいで放射線科の医師をネットワーク化し、送られてきたCT画像を解析するということを実際に始めた。放射線の医師が画像を解析できるということは、死因究明に関する医師の数が随分増えたという感じがしたが、専門的にはどうなのか」旨の発言があり、刑事局長から、「放射線科の医師の見立てで本当に完璧かというと議論があるところだと思う。しかし、石川県の場合は、ネットワークを作ってCT画像をいつでも持ち込んで、法医学の専門医ではないが、放射線科の医師にその画像を見てもらえる。例えば、近くの病院でCT画像を撮影しても、その病院に専門医が当直体制でいない場合には、法医の医学教室に画像を持ち込んだりして時間がかかることになる。そうしたことを分かってネットワークを活用していくのであれば、一定の意味があると思う」旨の説明があり、葛西委員より、「CTという機械にはグレードに差があると思う。グレードによっては細部まで見られるとのことであり、例えば、健康に見える人でも、もう少し見ると健康ではないと分かることがある」旨の発言があり、刑事局長から、「死者のCT画像というのは蓄積があまりない。すべてが止まっているため、生きている人間の見方と死者の見方とでは違ってくる。むしろ重要なのは、死因を究明するための知見やノウハウの蓄積がそれぞれの医者にどれくらいあるかということになる」旨の説明があった。

葛西委員より、「例えば、青酸カリを飲んで死んだ人は肉眼でも分かると思うが、トリカブトの場合はなかなか分かりにくいと思う。CTではどう違いが出てくるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「恐らくCTでも判断するのは難しいのではないか。やはり病理検査でどういうものが体内に蓄積されているのかを見ないと最終的に毒物の成分がはっきりしない。外表的に非常に顕著な特徴が出るということで、ある程度判断は可能だと思うが、正確なものは外表検査では分からないし、恐らくCTで出るものではないと思う」旨の説明があった。

吉田委員より、「石川の場合は、大学の放射線科の医師で法医学に関心を持っている人がリーダーになっている。恐らく大学には相当良い機械が入っていると思うが、画像を流して受け取る側でも良い画像を見るチャンスが増えて、良い武器になるのではないかという感じを受けた」旨の発言があり、刑事局長から、「CTの撮影でさえ引き受けてくれないことがあるので、本当に有り難いと思う」旨の説明があり、長官から、「各都道府県で情報共有を進めるようにしたいと思う」旨の説明があった。

10)平成21年中の捜査本部設置事件の捜査状況について

刑事局長から、平成21年中の捜査本部設置・解決状況等について報告があった。

11)マネー・ローンダリング対策のための事業者による顧客管理の在り方に関する懇談会の開催について

刑事局長から、マネー・ローンダリング対策のための事業者による顧客管理の在り方に関する懇談会の第1回会合を2月5日に開催する旨の報告があった。

12)平成21年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について

交通局長から、平成21年中の交通事故の状況について、交通事故死者数は4,914人であり、9年連続で減少し、昭和27年以来57年振りに4千人台となったこと、交通事故発生件数及び負傷者数も5年連続で減少したことなどについて報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、平成13年7月21日に発生した明石市民夏まつりにおける雑踏事故に関し、1月27日、神戸第二検察審査会において、当時の明石警察署の副署長について2度目の起訴相当の議決が行われ、今後、裁判所において弁護士が指定され、その指定弁護士が公訴を提起する旨の報告があった。

 髙木委員より、「指定弁護士と警察との今後のかかわり方についてはどうか」旨の質問があり、生活安全局長から、「条文を見ないと正確ではないが、検察官を通してだったと思うが、指定弁護士からの要請を受ければ、補充捜査等を行う仕組みになっている」旨の説明があった。

髙木委員より、「今後もこのようなケースが出てくるのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「審査員11名のうち8名が起訴相当と2度議決することが必要とされており、慎重な手続きが設けられていると思う」旨の説明があった。