定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年2月18日(木)

午前10時00分 午前11時55分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「2月26日付けを始めとする地方警務官等87名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)国家公務員法等の一部を改正する法律案の一部修正について

官房長から、国家公務員法等の一部を改正する法律案の一部修正について説明があり、原案どおり了承した。

葛西委員より、「説明にあった『自律的労使関係』というのは、警察官にも当てはまるのか」旨の質問があり、官房長から、「現在のところ、一般の公務員には団結権が認められているが、自衛官、警察職員、消防官、海上保安庁職員等には認められていない。また、ILO87号条約でも、警察と軍隊の場合は、国内法で定めるとなっており、警察官等にも『自律的労使関係』を当てはめるという話については、特段検討はしていないと思う」旨の説明があり、委員長より、「消防職員については団結権だけを考えているが、警察官と自衛官は『自律的労使関係』に含めないと理解している。なお、幹部職員の人事に関しては、警察は除外するということになっている」旨の発言があり、葛西委員より、「ここは重要なところだと思うが、そうであれば、安心である」旨の発言があった。

髙木委員より、「働いている人たちの意見が、例えば、労働条件の設定等にどういう形で反映されるのかという視点は重要だと思う。米国では、警察官が組合を作っているが、多くの国では、警察官に関しては、労働組合、団結権がない現状である。一方、警察官の労働組合、団結権のない国においても、労働条件の決定に関して職員の意見を反映させる仕組みがサブシステムとして必要ではないかという議論を最近聞いているが、日本ではそういう話をあまり聞かない。消防職員については、労働組合法上の権能を有しているか否かは別にして、職員組織的なものが既にある」旨の発言があった。

葛西委員より、「かつて国鉄職員は自律的労使関係が制限されていた。スト権を与えられていなかったために、仲裁裁定という代償措置によって労働条件が守られていたが、公務員の場合もそれに似ていると思う。国家公務員の場合、代償措置として人事院によって労働条件が守られている。国家公務員の質や士気を維持するためには、普通の自律的労使関係とは違ったものにしないとおかしくなるのではないか」旨の発言があった。

(3)(財)都市防犯研究センターの残余財産の処分の承認について

生活安全局長から、平成21年度末に解散することとなった財団法人都市防犯研究センターの残余財産の処分方法について説明があり、原案どおり決定した。

(4)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案について

刑事局長から、平成21年12月17日から平成22年1月18日までの間に実施した「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見公募の実施結果及び同命令案について説明があり、原案どおり決定した。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の決定等について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係の開示請求の決定について報告があった。

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(3)平成22年度監察実施計画について

首席監察官から、「実戦的なけん銃訓練及びけん銃に係る安全管理対策等の推進状況、取調べ適正化施策の推進状況等を監察の実施項目とする平成22年度における警察庁の監察実施計画」について報告があった。

(4)警察による相談業務の更なる充実強化について

生活安全局長から、警察改革から10年という節目の年を迎えるに当たり、警察による相談業務の組織的な管理を徹底するなどにより、その更なる充実強化を図る旨の報告があった。

(5)平成21年中の少年非行等の概要について

生活安全局長から、平成21年中の刑法犯少年の検挙人員は、わずかながら前年より減少し、6年連続の減少となったが、児童虐待、児童ポルノ事件等の検挙は増加した旨の報告があった。

(6)平成21年中における人身取引事犯について

生活安全局長から、平成21年中における人身取引事犯について、検挙件数や保護した被害者数など全体的に減少傾向が続いており、また、被害実態として被害女性に多額の借金を負わせて売春に従事させる事例が多く見られる旨の報告があった。

(7)平成21年中のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況について

生活安全局長から、「平成21年中のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙件数は1,203件で、前年と比べて389件減少した。出会い系サイトを利用して犯罪被害にあった児童は453人で、前年と比べて271人減少した」旨の報告があった。

(8)石巻市における殺人等事件について(宮城県警察)

生活安全局長から、2月10日、宮城県石巻市において発生した殺人等事件について、被害者側からの相談と警察の対応の概要等について報告があった。

(9)千葉県松戸市松戸における女性殺人並びに放火事件について(千葉県警察)

刑事局長から、平成21年10月22日、千葉県松戸市のマンションにおいて発生した殺人並びに放火事件について、捜査状況等の報告があった。

10)賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案(仮称)の概要について

刑事局長から、賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案の概要について報告があった。

11)犯罪のグローバル化対策委員会の設置及び犯罪のグローバル化に対応するための諸対策の推進について

刑事局長から、「犯罪のグローバル化に関する情勢を集約し、警察庁及び都道府県警察が対応すべき基本方針を定め、その達成を図るため、『犯罪のグローバル化対策委員会』を設置し、第1回委員会を2月17日に開催した。また、同委員会において決定された『犯罪のグローバル化に対応するための戦略プラン』を、2月23日付けで、『犯罪のグローバル化に対応するための諸対策の推進について(依命通達)』として発出し、同日開催予定の全国犯罪のグローバル化対策担当課長会議において指示する予定である」旨の報告があった。

12)「犯罪収益移転防止管理官(JAFIC)年次報告書(平成21年)」について

刑事局長から、犯罪による収益の移転防止に関する法律の規定に基づく事務の実施に関する規則第14条の規定に基づき、平成21年中における疑わしい取引の届出等の状況、マネー・ローンダリング事犯の検挙状況、主な施策等について報告があった。

13)愛知県における3人死亡のひき逃げ事件の被疑者の逮捕について

交通局長から、愛知県警察は、2月5日、同月1日に発生した名古屋市熱田区内における3人死亡のひき逃げ事件について、被疑者を危険運転致死及び道路交通法違反(無免許、救護義務違反、報告義務違反)の罪で逮捕し、同乗者3人も窃盗等の罪で逮捕した旨の報告があった。

委員長より、「パトカーは被疑者車両の追跡をしなかったのか」旨の発言があり、交通局長から、「パトカーが発見して停止を求めようとしたが、そのまま赤信号を無視して進行した。500メートルくらい追跡したが、それ以上の追跡は危険と判断し、追跡を打ち切った」旨の説明があり、委員長より、「追跡を打ち切って逃げられたのか。応援のパトカーを呼んで対応すれば良かったのではないか。どうして追跡を打ち切ったのか」旨の発言があり、交通局長から、「通常緊急走行する場合には、相手車両とこちらの車両の安全を考えて追跡することとしており、本当に危険なときは追跡を打ち切ることとしている」旨の説明があり、生活安全局長から、「過去の事例でも、逃走車両の無謀な運転により悲惨な事故となる場合がある。逃走方向、車両番号等は無線を通じて手配しており、無線に応じて、他の警察車両も集まってくるが、追跡そのものは、その危険度に応じて打ち切ることがある」旨の説明があり、委員長より、「パトカーがサイレンを鳴らしながら相手車両を追跡していたら、歩行者も気が付いていたという可能性もあるのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「そういうこともあるかもしれないが、追われている運転手の無謀さが更に加速され悲惨な結果になることがある」旨の説明があり、長谷川委員より、「そのような場合に追跡を続けることは非常に危険であると思うので、私はそれで結構だと思う」旨の発言があった。

葛西委員より、「悲惨な結果になった例は多いのか」旨の質問があり、生活安全局長から、「そのとおりである」旨の説明があり、田尾委員より、「警察から追われて事故を起こした場合、その事故は追跡した方が悪いと主張して訴訟が起こされることがあり、しかも警察が負けている例がある」旨の発言があった。

委員長より、「危険な運転をして逃亡した運転手は、逃げ得ではないのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「それは単独での追跡を打ち切ったということであって、警察としては無線で手配するなどして組織的に対応している」旨の説明があり、葛西委員より、「追跡して相手が、反対車線の車と正面衝突した場合に、警察の責任が追及されることが今までに多数あったのではないか。そのため、警察として、防衛的に、そこまで追いかけて捕まえなくても、車両番号、運転手の風体等の十分な証拠がとれるかなど総合判断をしているのではないかと思う」旨の発言があり、次長から、「いろいろな事例があるので、どのような事例があり、どのようなことが裁判になって警察が批判を受けたのか等について、また後で説明することとしたい」旨の説明があった。

14)平成21年中の暴走族の実態及び取締り結果について

交通局長から、暴走族のグループ数、構成員数、110番通報件数、総検挙人員等は、いずれも前年と比べて減少したが、騒音関係違反(近接排気騒音に係る整備不良、消音器不備、騒音運転)の検挙件数は増加した旨の報告があった。

委員長より、「違法車両に改造する工場は大体決まっていると思うが、警察は取り締まっていないのではないか。また、暴走族の構成員が減少したと言っているが、今でも暴走族は我がもの顔で走っているし、警察が暴走族を取り締まっているのを見たことがない。成人式で騒いでいるのも、このグループではないか。もっと徹底的に取締りをすべきである」旨の発言があり、交通局長から、「警察では暴走族を取り締まっており、統計にあるとおり、その数は減っている」旨の説明があり、長官から、「昔に比べて相当追い込んでいると思うが、更に根源的な対策を進めていく必要があると思う」旨の説明があった。

15)「竹島の日」をめぐる動向と警察措置について

警備局長から、2月22日は、島根県条例で「竹島の日」とされ、記念行事が開催されるところ、右翼が「竹島の日」啓蒙街宣等に取り組むほか、韓国人市民団体が来日し、島根県入りするものとみられ、トラブル事案の発生が懸念されることから、所要の警戒警備を実施する旨の報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、国土交通省に設けられた観光立国推進本部外客誘致ワーキングチームにおいて、中国訪日観光査証の問題を含む外客誘致に係る課題の解決に向けた関係省庁間の調整が行われている状況、警察庁は、治安への悪影響を避けるため、経済力要件の緩和には慎重さが必要であるという意見であること等について報告があり、次長から、「個人観光で今課している経済力要件は有効に機能しているので、経済力要件はやはり維持すべきだろうということは主張している。具体的な提案が行われた場合、基本的には、犯罪目的や不法残留目的の人間を確実に排除できるような要件を設定すべきであるという観点から、これからも対応してまいりたい」旨の説明があった。

 葛西委員より、「国内治安に与える影響があり、重要な話だと思うので、警察は、説明であったような姿勢でもってきちんと対応してほしい。観光を装って犯罪その他いろいろなことを行う可能性も出てくるだろうし、きちんと対応しないと取り返しのつかないことになるのではないかという気がする。入国や滞在の管理に当たり、抑止力になる条件を付すことは大事だと思う」旨の発言があり、次長から、「観光について警察として貢献できる最大のことは安全を守ることであり、治安が損なわれることのないよう、警察として対応していきたい」旨の説明があった。