定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年4月1日(木)

午前10時00分 午前11時30分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)犯罪捜査規範の一部を改正する規則案について

刑事局長から、犯罪捜査規範の一部を改正する規則案について説明があり、原案どおり決定した。

(2)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集について

交通局長から、ICカード免許証の全国導入の完了及び臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律の施行のため、平成22年4月2日から5月1日までの間、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等一般に公表し、意見を募集することについて説明があり、原案どおり決定した。

(3)無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況に関する報告について

警備局長から、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況に関する報告を行うに当たり、その内容について説明があり、原案どおり了承した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)殉職事案の発生について

官房長から、新潟県警察の巡査部長が、3月27日、家出人使用車両をパトカーで追尾中、被追尾車両が対向車線にはみ出して大型貨物車両と正面衝突、その後、当該大型貨物車両が対向車線から飛び出してパトカーと正面衝突し、同巡査部長は、同日、収容先の病院で死亡、殉職した旨の報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、福岡県警察の巡査部長が、強制わいせつをしたとして緊急逮捕された事案に関し、同県警察は、4月2日、同巡査部長を懲戒免職処分とする予定である旨の報告があった。

(4)足利事件の無罪判決と警察捜査の問題点等の検証結果について

刑事局長から、足利事件に関し、本年3月26日に行われた再審公判における無罪判決と、警察捜査の問題点等を検証した結果について報告があった。

委員長より、「足利事件の検証に関連して、菅家さんや担当の弁護士さんを、高度化研究会にお呼びすることを是非考えてほしい」旨の発言があり、刑事局長から「明日、研究会の実施が予定されているので、そこでお諮りしたい」旨の説明があった。

(5)DNA型鑑定及びデータベースの更なる効果的活用方策について

刑事局長から、DNA型データベースにおける登録数の増加等を踏まえ、DNA型鑑定及びデータベースを更に効果的に活用していくために講じる施策について報告があった。

吉田委員より、「データベースへ登録する対象の枠を広げるということだが、莫大な増加になっては登録担当者の負担になると思う。これにより、どの程度登録件数が増えるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「今回の見直しでは、その対象を、典型的に余罪率が高い性犯罪等6罪種を中心にしているので、件数の増加は7,000~8,000件程度に止まると考えている」旨の説明があり、委員長より、「個人的には、警察がこのようなデータを持っていることに対して批判があることには疑問がある。こういうデータはもっと積極的に持つべきだと思うが、いろいろな制約や議論のあるところなので、是非、高度化研究会でも意見を出していただくと同時に、法的措置が必要ならばそれも考えて、他国に追いつけるように努力していただきたい」旨の発言があった。

田尾委員より、「DNA型のデータベースについて、これを将来的にはもっと拡充すべきと考えているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「警察としては必要だと考えている」旨の説明があり、田尾委員より、「委員長が御指摘になったような問題もあるが、将来的にはその方向が好ましいと思う。今回、採取する対象に関する方針を余罪のおそれがある場合にまで広げたことは適切であるが、そこでネックになるのが、任意でなければ被疑者から資料が採取できないということだと思う。一方、指紋の採取については法律上逮捕された者から強制的に採取できることになっており、DNA型についても指紋と同様に逮捕された者からは強制的に採取できるようにするべきではないか。これからはそういった議論も行っていただきたい」旨の発言があった。

(6)中国製冷凍餃子薬物混入事件の被疑者の身柄拘束について

刑事局長から、中国側から提供を受けた中国製冷凍餃子薬物混入事件の被疑者の身柄拘束に関する情報について報告があった。

葛西委員より、「この事件については、既に週刊誌などで『突然証拠が出てきて被疑者が検挙されるなど、不自然に感じる部分がある』等の様々な憶測が書かれている。今後、日本側が把握している事実関係と、中国側で把握している事実関係とを突き合わせて、その結果を国民に対しても説明すべきである。日本側から、中国側に要求すべきものは要求して、その対応についても、中国側から提供されなかったものがあれば、その経過を含めて事実をありのままに発表すべきだと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「当方としても、まずは日本側で持っている証拠資料と中国側のものとがどの程度合致するのかということについて、中国側から得られるものは得た上で、よく検証していきたいと考えている。この事件については『最終的に真相はどのようなものだったのか』ということが国民の関心事でもあるので、必要なところは明らかにするという姿勢で臨んでいきたい」旨の説明があり、委員長より、「中国側から、捜査員の派遣等に関する具体的な連絡はないのか」旨の発言があり、刑事局長から、「すでに中国側から連絡は入っており、現在、相互で調整を行っているところである」旨の説明があった。

吉田委員より、「この事件に関して、吉村前長官が、当時の中国側の対応に対して、毅然とした態度を示した。今後とも、中国側との交渉が続くと思うが、警察としては、法と証拠に基づいて対するようにしてほしい」旨の発言があり、長官から、「そのためにも、早急に職員を派遣し、中国側とも協力して、きちんと真相を解明していきたい」旨の説明があった。

(7)「平成22年春の全国交通安全運動」の実施について

交通局長から、「平成22年春の全国交通安全運動」の実施について報告があった。

(8)自動車安全運転センターの平成22年度予算及び事業計画の認可について

交通局長から、自動車安全運転センターの平成22年度予算及び事業計画の認可について報告があった。

(9)警察庁長官狙撃事件の捜査結果について

警備局長から、警察庁長官狙撃事件の捜査結果について報告があった。

吉田委員より、「捜査の役割分担について、発生当時は誰もが『オウムの仕業だろう』といった予見を持つような状況だったので、公安部が捜査を担当したということについて、さほど違和感はなかったが、捜査がこういう結果に終わってしまい、刑事部と公安部の役割分担、協力関係についてもいろいろと批判が出ている。このような事件は起きてはならないのではあるが、今後ともテロ殺人のような事件が起きる可能性を排除できないのであるから、その際に両部門がきちんと対応できるように注意していただきたい」旨の発言があり、長官から、「そのためにも、まずはしっかりとこの事件を検証することが大事だと思う」旨の説明があった。

委員長より、「今回の警視庁の発表について、どうしてここまで踏み込んだ発表をしたのか」旨の発言があり、警備局長から「警視庁としてはこの15年間、相当の捜査力を費やし捜査をしてきた結果を、何らかの形で国民に知らせる必要があるという判断をしたと考えている。また、事件の重大性もさることながら、オウム真理教が現在も観察処分に付されている、危険な団体であると警察としては見ており、その危険性をきちんと国民に知らせるべきとの意味においても公益性が勝ると判断して公表したものと考えている」旨の説明があり、長官から、「これは極めて異例な発表ではあるが、事案の重大性から、『何らかの説明をしなければならない』という警視庁の最終的な判断があった」旨の説明があった。

田尾委員より、「私は、捜査機関としては『この事件はオウムによるものという疑いがきわめて強い』という程度の表現にとどめるべきであったと思う。事件を解決できなかったことに対する悔しい思いが入りすぎているように感じる」旨の発言があり、葛西委員より、「私も田尾委員の御発言のような表現に止めるのが妥当ではないかという印象がある」旨の発言があり、警備局長から、「警察は捜査機関であると同時に行政機関でもあるので、公共の安全と秩序を維持し、国民の安全を守る行政機関として、今回のような形で、捜査の結果得られた情報を国民に知らせることについては意味があると考えている」旨の説明があった。

葛西委員より、「公安部門というのは、事件の発生を未然に予防することが大変重要な部署であり、特にテロ対策の場合にはとても大事だと思う。その点、日本の警察は強い制約を受けており、例えばアメリカやヨーロッパの各国に比べると、手足を完全に縛られた格好になっている。今年はAPECが予定されていることもあり、これからの教訓としては、様々な法制をきちんと見直して、抑止能力をさらに高める方策を考えていくべきではないかと思う。特に、いかに予防、抑止のための情報収集能力を高めていくのかということが課題であると思う」旨の発言があり、委員長より、「今後とも大いに議論をしていきたいと思う」旨の発言があった。

10)日本赤軍逃亡メンバー手配ポスターの更新について                                      

日本赤軍逃亡メンバー手配ポスターの更新について報告があった。

3 その他

(1)官房長から、フリージャーナリストによる取材妨害禁止仮処分命令申立を行った事件に関し、東京地裁がこれを却下する決定をしたことについて報告があった。