定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年5月13日(木)

午前10時00分 午前11時50分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官、国家公安委員会会務官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「5月24日付けを始めとする地方警務官3名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)国家公安委員会委員長に対する行政文書開示請求に関する決定について

国家公安委員会会務官から、国家公安委員会委員長に対して4月20日になされた行政文書の開示請求に関する開示決定について説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会委員長に対する保有個人情報開示請求に関する決定について

国家公安委員会会務官から、国家公安委員会委員長に対して4月8日になされた保有個人情報の開示請求に関する開示決定について説明があり、原案どおり決定した。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、兵庫県警察の巡査長が、拾得物として受理した現金を横領したとして、4月21日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、5月13日、地方警務官の警察署長を本部長注意の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成22年第1四半期における地方警務官に係る贈与等報告書について

官房長から、「国家公務員倫理法の規定に基づき、地方警務官から平成22年第1四半期における贈与等報告書が国家公安委員会に対して提出され、これを国家公安委員会委員長が受理したが、このうち、指定職以上の職員に係るものについて写しを国家公務員倫理審査会へ送付することとしている。」旨の報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(4)で説明のあった、兵庫県警察の巡査長が、拾得物として受理した現金を横領した事案に関し、同県警察は、5月12日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司2名を本部長注意等の措置とした旨の報告があった。

(4)平成21年中における自殺の概要について

生活安全局長から、「平成21年中の自殺者の総数、男女別数、都道府県別数については、去る1月26日に暫定値を公表しているところであるが、本日、平成21年中における自殺の概要を取りまとめた」旨の説明があり、長谷川委員より、「平成10年に自殺者数が3万人台まで急増し、その後は3万人台のレベルで推移しているが、このような変化が起きた前提としての確認になるが、この時期に統計の取り方に変更を行ったことはあるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「変更はしていない」旨の説明があった。

委員長より、「自殺者数は昨年9月以降減り続けており、本年3月の自殺対策強化月間も、政府として集中的に取り組んだ。このままで推移すれば、今年は、3万台を切るのではないかと期待している。一方で、自殺者関係の統計に関して、昨年1年間分の統計が5月に出るのでは、迅速な対応ができなくなってしまう。もっと早く出せるように努力すべきである」旨の発言があり、髙木委員より、「経年で数値の変化を見ると、失業率が上昇した時期と自殺者が増加した時期が概ね一致しており、今年の数字でも、20代、30代のところの数字が悪化している。その意味では雇用状況と自殺者というのが、相当程度相対的な関係にあるのではないかと思う。警察においても、両者の関係について体系的に研究するのは有効ではないかと思う」旨の発言があり、委員長より、「自殺総合対策については、内閣府に本部を置いて行っているので、担当の福島大臣に対し、髙木委員の御指摘に関する分析やアンケート調査などを行ってもらえるよう申し入れてみる」旨の発言があり、長官から「自殺対策については、警察というよりも政府全体で見た方が良いであろう」旨の説明があった。

(5)情報セキュリティ政策会議(第23回)の開催について

生活安全局長から、「平成22年5月11日に、第23回情報セキュリティ政策会議が開催された。国民を守る情報セキュリティ戦略が策定されるとともに、第2次情報セキュリティ基本計画の進捗状況が報告された」旨の報告があり、長谷川委員より、「情報セキュリティ戦略について、『2020年までに世界最先端の情報セキュリティ先進国を実現する』という表現があるが、非常に抽象的に感じる。現在の日本の情報セキュリティレベルは、先進国の中でどの程度のレベルにあるから2020年までに最先端になれると考えてのことか」旨の発言があり、委員長より、「2020年までということについては、IT戦略本部本体でも各種の取組事項に、『2020年までに』という目標を冠している。私自身としては、我が国は情報セキュリティに関しては先進国の中でも最後進の部類になるのではないかと考えている。また、ITに関して言えば、例えば、政府全体で見たときに、『IT政府』を標榜しながら、必ずしもその実現がなされていないというのは恥ずかしい限りであるというのが、IT戦略本部の認識である。こうした認識の下、とにかく先進各国に追いつくということを目標にしている。それを急ぎ進めていく中で、情報セキュリティをどうするかということをよく考えて行かなければならない。その意味で、先進国の状況を参考にしつつ様々な法制度や人材、システムを整備していかなければならず、警察にとってはこの面で、また新しい分野が出てくるであろうと考えている」旨の発言があり、葛西委員より、「民間企業に比べると、官は国家機密だとか保秘という観念が薄く、政府のセキュリティは大変甘いのではないかと感じる。そこを厳しくしないといけないと思う」旨の発言があった。

(6)マネー・ローンダリング対策のための事業者による顧客管理の在り方に関する懇談会における議論の状況について(中間報告)

刑事局長から、マネー・ローンダリング対策のための事業者による顧客管理の在り方に関する懇談会における議論の状況について報告があった。

(7)APG相互審査フォローアップへの対応について

刑事局長から、APG相互審査フォローアップへの対応について報告があった。

3 その他

(1)交通局長から、特例民法法人等の事業仕分けに関するこれまでの経緯と今後の予定について報告があった。

(2)葛西委員より、「先週、米国に出張してきたので、その概要を説明したい。ワシントン及びニューヨークにおいて、FBI本部やニューヨーク市警察本部などを訪問し、主に国際テロ対策について意見交換を実施した。たまたまニューヨークのタイムズ・スクエアでテロ未遂事件があった直後であり、この事件についても話を聞いてきたが、先方の認識としては、手口は稚拙な面があるものの、犯人はパキスタンで訓練を受けた潜在的テロリストとも言える人物であり、心配すべき点があるとのことであった。その他にも、各種テロ対策について意見交換をしたが、米国と日本とで著しく異なることをやっているわけではないということが確認でき、非常に参考になった。」旨の発言があり、長官から「タイムズ・スクエアの事件は、個人がインターネット等の影響を受け、急に過激化することの危険性を感じさせるものだ。将来的にも、こうした内面的に過激化した個人によるテロの脅威は続いていくのではないかと懸念している。」旨の発言があった。

    委員長より、「先ごろ、オーストラリアに行った際、テロ等の担当は第一には州警察であるが、それでは手に負えない場合には軍が出動すると聞いた。また、テロ対策における軍と警察との役割を調整する委員会を作っているとのことである。日本では、テロ対策においてどう自衛隊と警察とを区分けするのか、そうした法的整理はできているのか」旨の発言があり、警備局長から、「第一次的には警察が対処することとなるが、警察力で対処できない場合には、内閣総理大臣の判断で自衛隊が治安出動することとなる。また、治安出動に関しては、自衛隊とも協定を結び、合同訓練も随時行っている」旨の発言があった。

(3)髙木委員より、「今週初め、中国管区内の公安委員会連絡会議に出席したところ、岡山県では、運転免許証を自主的に返納した者は、返納後は車の運転ができなくなって経済的負担が増えるだろうという観点から、1000くらいの業者が協力して、このような返納者向けにカードを作成、交付し、当該カードの保有者は、協力業者から割引が受けられるという工夫をしており、岡山で運転免許証を返納した者は、2000人くらいいるという報告があった」旨の発言があり、長官から、「これは、高齢運転者が運転免許証の自主返納を決心するための後押しをしようという取組で、全国的に行われている」旨の説明があり、交通局長から、「高齢運転者による運転免許証の自主返納の数は、運転免許更新時の講習予備検査の制度ができるまでは2万人前後だったが、講習予備検査制度の施行後は自主返納される方の数が増加している。取組の内容として多いのは、こうした方々のモビリティを確保することを目的としたタクシー、バスなどの割引サービスであり、中には無料としている地域もある。また、一般的な商店で割引を受けられるものもある」旨の説明があった。

(4)長谷川委員より、「今週初め、関東管区内の公安委員会連絡会議に出席したところ、山梨の公安委員で、医師でもある方から、『変死体に関して自殺か他殺かの判断を行うために、鼻腔から差し込む方式の内視鏡があれば、ずいぶん違うと思う』との意見が出た」旨の発言があり、刑事局長から、「変死体については、発見時の状態を保ち、必要があれば解剖を行うことを基本にしており、死体を傷つけるおそれがあるため、器具を死体の中に挿入する作業はなるべくしないようにしている。警察では、検視官がエコーを使って、骨折や内出血などの体内の損傷の透視を行っているほか、医師が用いるものとしては、CTスキャナーや薬物検査などに用いる資機材を活用している」旨の説明があった。