定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年5月27日(木)

午前10時00分 午前11時45分

第2 出席者 中井委員長、葛西、長谷川、田尾、髙木、山本各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1) 「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集等について

生活安全局長から、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」等について、平成22年5月28日から6月26日までの間、一般に公表して意見を募集すること等について説明があり、原案どおり決定した。

田尾委員より、「風営法の施行令の改正について、いわゆるラブホテルの要件を見直すことについては異論はない。しかし一方で、経過措置として現在営業している類似ラブホテルについては既得権を保護するとの規定が盛り込まれており、それでは、営業禁止地域内のこれらホテルが届出をすることによりすべて合法化されてしまうということになる。それが果たして、風営法の規制を強めようという改正の趣旨と合うものかどうか疑問に感じる。警察庁ではこれについてどのように考えているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「委員御指摘の業者が、既得権が認められ、いわゆるラブホテルとして営業する場合には、風営法の規制の対象となるので、良好な風俗環境の確保、少年の健全育成のために行政の指導が及ぶようになるといった意味でプラスであると思う。加えて、既存の法制度にも、例えば建築基準法などの様々な行政権限がある。これまでは残念ながら必ずしもきちんと運用がなされてこなかったということがあるように思われるので、今後においては、警察と各関係機関が協力しながら既存の法制度もフルに活用していく中で、良好な環境の確保や青少年の問題についても、目的にかなった指導が行われるように改善を図ってまいりたいと考えている。改正法令が公布・施行されれば、早速、地方ごとに協議会を設置したいと考えている」旨の説明があり、田尾委員より、「規制の事前評価書の原案が出ているが、少なくともこの事前評価書には、今回の改正で既得権を認めることによる影響に関することについても組み込んで、評価の対象として記述すべきではないかと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「事前評価書については、代替案を仮置きした上で、原案との比較衡量において、効果があり、効率的であるという評価になっている。田尾委員御指摘の点については、そういった比較衡量・評価の必要性も、別途あろうかと思う」旨の説明があった。

(2)温家宝中華人民共和国国務院総理来日に伴う警護警備及び静穏保持法に基づく外国公館等周辺地域の指定に関する協議について

警備局長から、温家宝中華人民共和国国務院総理が、5月30日から6月1日まで公式実務訪問賓客として来日する予定であり、これに対する所要の警護警備を実施する旨の報告があり、同国務院総理の来日に伴い、外務大臣から国家公安委員会に対し、5月30日から6月1日までの間、内閣総理大臣官邸周辺地域等を静穏保持法に基づく地域に指定したい旨の協議があったので、これに同意したい旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

委員間の互選により、「委員長を代理する者」の順位について、第1順位葛西委員、第2位順位長谷川委員、第3順位田尾委員、第4順位髙木委員、第5順位山本委員とした。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成23年度の国家公務員の新規採用抑制の方針について

官房長から、5月21日に閣議決定された平成23年度の国家公務員の新規採用抑制の方針の内容について報告があった。

(3)国の行政機関の法令等遵守(会計経理の適正化等)に関する調査について

官房長から、総務省行政評価局による国の行政機関の法令等遵守(会計経理の適正化等)に関する調査に対する回答について報告があった。

委員長より、「会計に関する監査について、昔に比べて、ずいぶんきちんと実施するようになってきており、これは皆さんの御努力のおかげだと思うが、一方で、管区警察局の会計課が管区内の警察の監査をしていることについて、予算の配賦に関与した会計課が同時に監査も行うことに関して問題を感じる。警察庁や警察本部では、会計課ではあるが、会計課そのものではなく会計監査を行う別組織が行っていることに比して、部外の方から見ると、おかしなやり方に見えると思う。管区による監査の在り方についても少し考えた方が良いと思う」旨の発言があり、長官から、「管区警察局による監査の在り方について、外側からその組織だけを見ると、委員長の御指摘のように見えるかもしれないが、実態は相当活躍してきたことは間違いない。今後、委員長の御指摘を踏まえて、考えてみたい」旨の説明があり、官房長より、「管区警察局は、都道府県警察の予算執行の状況をチェックしているが、管区自体がその予算を執行しているわけではない。管区は、体制も小さいのでやむを得ない部分がある」旨の説明があり、葛西委員より、「管区警察局が、自身の仕事として配賦に関与した予算が適正に執行されているかどうかについて監査するというのは、国の配賦業務の一部分だという考え方もあるのではないか」旨の発言があり、委員長より、「最近の風潮としては、それまでは認められてきた内部による監査は認められず、監査は監査法人などの外部が行うようになっている。警察については、その業務の特殊性から、外部による監査を受けるべしとまでは言わないが、組織として会計課自体が監査を行うことについては違和感を覚えるので、是非御議論をお願いしたい」旨の発言があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、長崎県警察の巡査が、酒気帯び運転車両に同乗したとして、平成22年5月17日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、5月28日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とする予定である旨の報告があった。

(5)児童ポルノ排除総合対策(案)について

生活安全局長から、「児童ポルノ排除対策ワーキングチームにおいて策定されることとなっている『児童ポルノ排除総合対策(案)』が関係省庁の協議を経て取りまとめられ、同ワーキンググループで承認後、内閣府において意見募集を行う予定である」旨の報告があった。

髙木委員より、「私は、去年までユネスコの理事を務めていたが、この日本の児童ポルノ対策について、様々な批判が国際的になされているということを頻繁に聞かされてきたところである。今回の措置で、その辺の批判はかなり回避できるレベルに達することになるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「この問題への対応策として象徴的に言われているのは、単純所持の犯罪化であるので、そのことに直接応じたものにはならないが、児童ポルノの流通防止には、大きな効果が期待されるので、相当の評価はいただけると考えている」旨の説明があり、委員長より、「本日、アグネス・チャン氏を始めとする、ユネスコでこの問題に取り組んでいる方々が、陳情にお越しになる。従来から、世界中が児童ポルノ問題への対策を日本に対して求めており、それは当然だと私は考えている。ブロッキングのことについては、従来、通信業界を含め総務省が、『通信の秘密を侵すものだ』と主張しており、こういう中で、インターネットに醜悪な、また、子供の人権を無視したような画像が流れっ放しになっていた。これは早く排除すべきということで、警察庁も大変努力してくれて、ようやくブロッキングというところまで共同歩調をとることができるようになった。その一方で、業界団体等は、ブロッキングの方法を、その措置の過程で、手間がかかるピンポイントではなく、手間のかからない、きめの粗いものにしようと主張しており、これでは、児童ポルノに関係ない無数の情報提供者がブロッキングされることになってしまうという問題が生じる。我々は、業界団体等に対し、『ブロッキングは、問題のあるサイトのみに対して行うピンポイント方式でやってほしい。工夫しさえすれば可能である』と主張し、これを実現すべく鋭意努力しようと思っている。御協力のほど、よろしくお願いしたい」旨の発言があった。

(6)民暴対策30周年全国大会等の開催について

刑事局長から、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会の発足30周年を記念し、弁護士会、警察及び暴力追放運動推進センターの三者が、民事介入暴力対策において、一層の連携を図ることを目的に全国大会を開催する旨の報告があった。

(7)銃器対策推進会議の開催について

刑事局長から、5月28日に開催される銃器対策推進会議について報告があった。

(8)大相撲観戦からの暴力団排除について 

刑事局長から、大相撲観戦から暴力団を排除するため、日本相撲協会と警察が取り組んでいる各種施策等、暴力排除活動の状況について報告があった。

(9)財団法人全日本交通安全協会に関する事業仕分け結果について

交通局長から、「5月20日の行政刷新会議ワーキンググループにおいて、(財)全日本交通安全協会の『運転免許の更新時講習』事業について事業仕分けが行われ、『実施機関を競争的に決定(事業規模は縮減)』との評価を受けた」旨の報告があった。

10)鳩山内閣総理大臣の韓国訪問(日中韓サミット出席等)に伴う警護警備について

警備局長から、「鳩山内閣総理大臣は、5月29日から5月30日までの間、日中韓サミット出席等のため、韓国・済州島を訪問する予定であり、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

3 その他

(1)委員長より、「本日は、山本新委員の最初の定例会議出席であるので、山本委員から挨拶をお願い致したい」旨の発言があり、山本委員より、「本日、内閣総理大臣より任命を受けたところである。国家公安委員の果たすべき役割を、誠実に務めさせていただきたいと思う。どうかよろしくお願いします」旨の発言があった。

(2)警備局長から、韓国哨戒艦の沈没事案に関する警察措置等について報告があった。

葛西委員より、「北朝鮮の魚雷攻撃の意図について、どのような分析をしているのか」旨の発言があり、警備局長から、「軍の士気高揚、経済難の加速で高まる住民の不満解消等の様々な見方がある」旨の説明があった。

(3)田尾委員より、「先週、九州管区内公安委員会連絡会議に出席した際話題になったこととして、警察の用いる用語が難解であることは、県民とのコミュニケーションを図るに当たっては好ましくないのではないかとの問題提起が、昨年、福岡県の公安委員会でなされたことを受け、福岡県警察では平易な言葉への言換え用例集及び難解な法令用語の解説の二冊をまとめ、九州管区内の各警察に配布したということである。方法としてなかなか面白いと思ったので、参考までに御紹介しておく」旨の発言があり、葛西委員より、「言葉の乱れによる思考の曖昧化に安易に言葉を合わせていくというのは、行政の劣化を示すことにもなり得る。もちろん『こんな分かりにくい言葉は別の言い方に変えたらいい』というものもあるので、このような作業を行う際においては、よく注意して行うべきではないかと思う」旨の発言があり、委員長より、「内部できちんと使っている用語や法的な用語等については、それぞれのルールがあるのだろうと思うが、一方で、警察の考え方を外部に対して説明する際に、一般の方になじみの薄い用語や、難解な用語を用いることによって、聞き手である国民の側に分かりにくさをもたらしてしまうというのは反省すべきである。この御提言について、勉強していただきたい」旨の発言があった。