定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年8月19日(木)

午前10時00分 午前11時35分

第2 出席者 中井委員長、葛西、長谷川、田尾、髙木、山本各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)平成23年度税制改正要望及び要望事項に係る事前評価の実施について

官房長から、平成23年度税制改正要望及び要望事項に係る事前評価の実施について説明があり、原案どおり決定した。

(2)高齢運転者標識のデザインに関する検討結果及び今後の対応方針について

交通局長から、高齢運転者標識のデザインに関する意見募集結果及び「高齢運転者の様式に関する検討委員会」における検討結果を踏まえ、高齢運転者標識のデザインを変更すること等に関する説明があり、その内容を了承した。

山本委員より、「新標識の採用後、いわゆるもみじマークについても当分の間は使用できるとのことであるが、具体的にはどの程度の期間を想定しているのか」旨の発言があり、交通局長から、「一般的に相当な期間である」旨の説明があった。委員長より、「新標識に切り替えるに当たっては、これまでの使用していたもみじマークと無料で交換できるようにするといったことを考えるべきではないか」旨の発言があった。

葛西委員より、「今回、高齢運転者標識のデザインの変更を検討したわけであるが、本来的には高齢者が運転していることを示す標識なのであるから、それと分かりやすければよいのであり、その意味で、行政サイドが決定し、既に多くの方が使用している標識のデザインを、あえて様々な人の意見を聞いて変更する必要性があったのかについて疑問を感じる。むしろ、行政が『民の声』におもねり過ぎているのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「アンケート調査の結果によれば、高齢者の方々の多くは、『新しい標識の方がいい』という御意見であり、高齢ドライバーの方々に喜んで付けてもらうというのが一番良いと思う。また、現在、例えば、パブリックコメントを行うようになっているのは、『行政サイドが独善に陥らないように、広く国民の意見を聴く』という考え方である」旨の説明があった。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)平成23年度警察庁予算概算要求・要望(案)の概要について

官房長から、平成23年度の警察庁予算概算要求・要望(案)の概要について報告があった。

(2)警察庁長官に対する開示請求の決定について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係の開示請求に対する決定について報告があった。

(3)平成22年度全国警察柔道選手権大会及び全国警察剣道選手権大会の開催について

官房長から、平成22年度全国警察柔道選手権大会及び全国警察剣道選手権大会が、平成22年8月26日、日本武道館で開催されることについて報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、北海道警察の巡査長が、ストーカー行為及び職権を濫用して個人情報を収集するなどした事案等に関し、北海道警察は、8月20日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司等4名を本部長注意等の措置とする予定である旨及び北海道警察の巡査長が被留置者の現金を窃取して、8月2日に通常逮捕された事案に関し、北海道警察は、8月20日、同巡査長を懲戒免職処分とする予定である旨の報告があった。

田尾委員より、「最初の事例について、ストーカー行為と目的外の照会ということであるが、これらは法令違反等の罪になるような行為なのか」旨の発言があり、首席監察官から、「ストーカー行為は、具体的には、『つきまとい等の行為』であり、直接的に犯罪が成立するものではないので、警察としては、同人に警告を行っている。また、目的外の照会については、警察本来の業務目的から外れた用途のために警察署内の個人情報を照会する端末装置を操作して個人情報を収集し、かつこれを職員の私的な目的で使ったという、内部の規律違反である」旨の説明があり、葛西委員より、「説明のあった端末装置を操作すると、その痕跡は残るのか」旨の発言があり、首席監察官から、「その痕跡は残り、後でそれは確認することができる。しかしながら、本件では、誰が、どの程度の件数を照会しているかについて、全署員分のチェックをしていなかったので、発覚が遅れてしまった。そこで、現在は改善策として、少なくとも件数については、全数について誰が、どれだけの照会を行ったかということを、各所属に通知することとしている」旨の説明があった。

(5)平成22年上半期の出会い系サイトに関係した事件等の検挙状況について

生活安全局長から、「平成22年上半期のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙件数は538件で、前年同期と比べて106件減少した。出会い系サイトを利用して犯罪被害にあった児童は141人で、前年同期と比べて124人減少した。他方、出会い系サイト以外のサイトを利用して犯罪被害にあった児童は601人で、前年同期と比べて56人増加した」旨の報告があった。

長谷川委員より、「『出会い系』及び『非出会い系』事件について、被疑者のほとんどは男性であろうかとは思うが、年齢層がどれくらいに広がっているかというのを知りたいので、被疑者の性別及び年齢別の統計は分からないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「後ほど調べてお知らせする」旨の説明があった。

(6)「犯罪死の見逃し防止に関する特別世論調査」の速報結果について

刑事局長から、内閣府が実施した「犯罪死の見逃し防止に関する特別世論調査」の速報結果について報告があった。

葛西委員より、「このアンケートの最後であるQ5に、『回答者の家族が亡くなられた場合に、遺族の意向にかかわらず解剖を行うことに抵抗感を感じますか』旨の質問があるが、これに対しては、抵抗を感じるのが当然であると思うので、この質問は、『解剖を行うことをやむを得ないと思いますか』などとしつつ、用意する回答を『絶対に容認できない』、『やむを得ない』などとしておかないと、起承転結の、「結」がないことになってしまうと思う。その意味で、『この質問の書き方では、回答が概ねこのようになると思えてしまう』という構造になっていると思う」旨の発言があり、長谷川委員より、「しかも、Q1において『死因を知りたい』と答えておきながら、Q5において『嫌だ』というのでは、両者の答えが矛盾していることになる。何に対して『嫌だ』と言ったのかが明確ではない」旨の発言があった。

葛西委員より、「この調査はどの官庁の所管で行われているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「所管官庁は内閣府である。手続的には、内閣府から各省庁に対し、『世論調査のテーマにふさわしいものはないか』旨の照会があり、各省庁が希望を出し、内閣府がその中からテーマを選ぶ、どういう問いにするかについても各省庁から希望を出し、最終的には内閣府が実施する、というプロセスである。今回の場合も、警察庁がこのテーマを提出し、聞いてほしいと考えることを先方に伝え、当方の希望とすり合わせつつ、アンケートの内容を作成していったが、最終的には内閣府の専門的知見に委ねられたところである。委員御指摘の部分については確かに何を聞いているのか、答えがどこの部分に反応が特にあるのか、よく分からない部分もあるが、警察庁としては、死因究明のための解剖について、一般論では解剖が必要としつつも、対象が自分の身内ということでは、抵抗感は若干出てくるということ、という受け止め方をしている」旨の説明があった。

田尾委員より、「過去に警察関係で、緊急世論調査が行われたことは、何件もあるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「今回のテーマとは異なるが、過去に何回か実施されたことがある」旨の説明があった。

(7)第22回参議院議員通常選挙の違反取締りについて

刑事局長から、第22回参議院議員通常選挙の違反取締りについて報告があった。

(8)外交ルートに基づくスペインからの国外逃亡被疑者の身柄引渡しについて

刑事局長から、平成19年6月14日、東京都中央区銀座で発生した強盗致傷等事件に関し、平成22年8月13日、スペインで身柄を拘束されていた被疑者の身柄引渡しを受けた旨の報告があった。

田尾委員より、「この事件は、日本と被疑者引渡し条約を結んでいない国であるスペインから、被疑者の身柄引渡しを受けたという非常に貴重な例で、外交上様々な努力をしてその成果が得られたものであろうが、こういった場合に最も問題となるのは、どこの場所で、どういう方法で身柄の引渡しを受けるかということであろうと思う。また、スペインからフランス経由で日本に引致していることから、それに関しても問題があったと思うが、本件は、具体的にはどのように行われたのか」旨の発言があり、刑事局長から、「今回の特殊性ということで言えば、まず、スペインは、日本への引渡しに当たり、被疑者の引渡しを受けたキプロスの了解も必要であったということ、それから、日本への直行便がないため、スペインからフランスで飛行機を乗り換えることとなり、フランスを通過することについて、フランスとスペインの当局との調整にも様々なやりとりがあったことが挙げられる。結果的には、『被疑者がピンクパンサーである』ということもあると思われるが、インターポールや関係各国は非常に協力的であり、乗換時にはフランスから相当の警察部隊が支援してくれたということがあった。一方、ピンクパンサーは、この5年半の間に、何回か奪還事件や、脱獄事案が発生しているので、そういう意味では、日本はもとよりそれぞれの国で、相当、手厚い体制をとって、気を遣いつつ引致した、という状況である。なお、被疑者の身柄の引渡しは、スペインの空港警察署で受けた」旨の説明があった。田尾委員より、「日本における逮捕状を、スペインで執行したところに苦労があったということか」旨の発言があり、刑事局長から、「そのとおりである。非常に珍しいケースだと思うが、飛行機に乗る前の、空港警察署で逮捕状を執行した。それは当然、スペイン側の了解があったのでこういう形になったということである」旨の説明があった。田尾委員より、「恐らく、この被疑者は各地で犯罪を行っており、多くの余罪があると思うが、日本で仮に裁判が終わった段階で、各国から引渡しの要請があり得るが、日本の犯罪人引渡しの法律に基づいて適宜当局が判断するということになるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「そのとおりである」旨の説明があった。

(9)平成22年上半期の暴力団情勢について(資料配付)

刑事局長から、平成22年上半期の暴力団情勢について、資料の配付をもって報告があった。

10)平成22年上半期の薬物・銃器情勢について(資料配付)

刑事局長から、平成22年上半期の薬物・銃器情勢について、資料の配付をもって報告があった。

11)平成22年上半期における来日外国人犯罪の検挙状況について(資料配付)

刑事局長から、平成22年上半期における来日外国人犯罪の検挙状況について、資料の配付をもって報告があった。

12)高速道路等における速度規制基準の改定について

交通局長から、高速道路等における速度規制基準の改定について報告があった。

13)全教「教育研究全国集会2010」をめぐる動向と警察措置について

警備局長から、8月20日から22日までの3日間、和歌山県和歌山市内を中心に開催される全教(全日本教職員組合)「教育研究全国集会2010」をめぐる右翼等の動向と警察措置について報告があった。

14)平成22年度警察庁総合防災訓練について

警備局長から、「警察庁及び都道府県警察では、9月1日の「防災の日」を中心とした「防災週間」(8月30日~9月5日)に、関係機関と連携の下、総合防災訓練を実施する」旨の報告があった。

15)第11回アジア大洋州地域サイバー犯罪捜査技術会議の開催について

情報通信局長から、アジア大洋州地域の治安機関が情報技術の解析に係る知識・経験等を共有し、サイバー犯罪等の対策に資する解析能力の向上を図るため、平成22年9月1日から3日の間に開催される第11回アジア大洋州地域サイバー犯罪捜査技術会議の概要について報告があった。

3 その他

(1)官房長から、人事院が8月10日に国会及び内閣に対して行った平成22年人事院勧告の主な内容について報告があった。

委員長より、「人事院勧告でなされた公務員の給与引下げに係る減額分は、先日閣議決定した『平成23年度予算の概算要求組替え基準』における10%減額分に反映されるのか」旨の発言があり、官房長から、「実際には人件費自体を10%削減するのは困難であり、また、人事院勧告についても、まだこれが行われたばかりであるなどのことから、現時点ではっきりとしたことは申し上げられないが、給与の改訂がなされた場合には、何らかの形で平成23年度予算に反映されることとなる」旨の説明があった。

(2)官房長から、新潟県警察における行政文書非公開決定処分取消訴訟の第一審で原告の請求を一部認める判決が言い渡されたことを受けて、新潟県警察が控訴を提起したことについて報告があった。

(3)官房長から、愛媛県警察における警乗旅費請求訴訟において、原告が最高裁判所に上告受理申立てをしていたところ、上告審として受理しないとの決定がなされたことについて報告があった。

(4)官房長から、国家公安委員会委員長のベトナム訪問結果について報告があった。

    委員長より、「ベトナムに対しては、日本はこの15年ほど、ODAによる援助は世界で最も多く、現在、対ベトナム援助の約3割を日本からの援助が占めている。現地でお会いしたアイン公安大臣は、警察・公安、そして消防、治安、防災等を所管する実力者だと言われている。北朝鮮ともかなり交流があるということで、拉致問題も含めてお願いをした。また、特に私自身が原子力安全委員会の事務を担当していることから、日本の原子力発電の技術についてアピールするとともに、ベトナムが南北に長い国であることから、日本と同じように、東京-大阪-福岡まで行ったり来たりできる、新幹線網の素晴らしさを、是非使うべきだというアピールをもしてきたところである。同時にまた、捜査共助や犯人引渡しについて、先方も協力関係をつくりたいと言っており、これは今後事務方同士でやろうとこういうことを言い置いた」旨の発言があった。

(5)委員長より、「先般、110歳以上のお年寄りの行方不明の事案が多数発生していることに関し、警察を含めた5つの関係省庁の担当大臣会議が開かれたので、これに出席した。当方からは、『お年寄りの行方不明ばかりでなく、子どもの虐待をも含めて、この対応のために警察へ権限行使を求めるのであれば、例えば、民生委員や児童相談所の職員、地域の市役所の職員が揃った時点で警察が弾力的に権限を行使できるといったような、警察官が迅速に権限行使できる仕組みを作っていただきたい。現状では、緊急の場合であるにもかかわらず、裁判所の判断を得る必要があるなど時間がかかり過ぎる。また、高齢者の行方不明事案を踏まえ、約4万人いるといわれている100歳以上の方々については、これを所管する機関の職員が、該当者宅を1軒1軒丁寧に訪問して、その安否を確かめるべきである』旨の提言をした。これらの中には、年金の不正受給事案もあるのではないかと思われるケースもあるが、こんな情けないことはない。この件に関しては、人権、プライバシーといった問題もあり、警察の側でも権限行使を遠慮しているように思えるので、警察としても、『この問題に関しては、制度をこのように整えてくれたら警察は対処しやすくなる』という提言を出すべきであると思う」旨の発言があった。