定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年12月16日(木)

午前10時00分 午前11時40分

第2 出席者 岡崎委員長、葛西、長谷川、田尾、髙木、山本各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)次期通常国会提出予定法律案件名要旨等について

官房長から、次期通常国会提出予定の法律案として1法案を登録することについて説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「山形県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理事案等に関し、警察庁長官は、本事案を惹起せしめた監督責任により、元山形県警察本部長2名を懲戒手続きに付する必要があると認め、本日、国家公安委員会に申立てを行う」旨の説明があり、その結果、国家公安委員会において、懲戒審査会に審査を要求する旨を決定した。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「警視庁の巡査部長が、捜査費を私的流用等した事案に関し、警視庁は、国家公安委員会の了承が得られれば、12月17日、監督責任として、当時の上司である地方警務官の公安第一課長を警視総監訓戒の措置とする予定である」旨及び「大阪府警察の警部補が、平成21年9月、同署留置施設において、起訴勾留中の女性被留置者を姦淫した事案等に関し、同府警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、12月16日、監督責任として、地方警務官である当時の警察署長を本部長訓戒の措置とする予定である」旨の説明があり、原案どおり了承した。

(4)「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」に対する意見の募集について

生活安全局長から、古物営業法施行規則(平成7年国家公安委員会規則第10号)の一部を改正するに当たり、行政手続法(平成5年法律第88号)第39条の規定に基づき、改正案を一般に公表し、意見を募集しようとすることについて説明があり、原案どおり決定した。

田尾委員より、「改正案に、『影像』という用字が用いられているが、一般に用いられる『映像』とどのように使い分けているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「『映像』は映し出された画像という意味合いであり、『影像』は姿、形そのものをいうが、既に古物営業法施行規則第2条において用いられており、この用字となったものである」旨の説明があった。

髙木委員より、「神田の古書店なども、改正後の規制の対象となるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「そのとおりである」旨の説明があった。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、内容を一部修正の上、その内容を了承した。

  報告事項

(1)犯罪対策閣僚会議(第16回)の開催結果について

官房長から、12月14日に開催された犯罪対策閣僚会議(第16回)の内容について報告があった。

(2)総務省行政評価局による職員研修施設を対象にした行政評価・監視に基づく勧告等について

官房長から、「12月10日、総務大臣から、研修施設を設置している全12府省の各大臣に対し、職員研修施設の廃止・縮小、効率的な研修実施の推進、研修に係る運営の適正化等を内容とする勧告がなされた」旨の報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)で説明のあった山形県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理事案等に係る監督責任について、「前山形県警察本部長等は、現在地方警務官でないことから、警察庁長官が処分する予定である」旨、1(3)で説明のあった警視庁の巡査部長による捜査費の私的流用等事案に関し、「警視庁は、12月17日、同巡査部長等を懲戒免職処分等とする予定である」旨及び1(3)で説明のあった大阪府警察の警部補による起訴勾留中の女性被留置者を姦淫した事案等に係る監督責任等として、「同府警察は、12月16日、当時の上司ら5名を戒告処分等とする予定である」旨の報告があった。

葛西委員より、「警視庁の事案に関して、上司に対する監督責任での減給処分は重すぎるのではないか」旨の発言があり、首席監察官から、「捜査費の適正な執行は、上司による厳格な管理監督が前提であり、それを怠った上司の責任は重い」旨の説明があり、官房長から、「今回責任を問う幹部の捜査費経理の決裁行為は、他所属に比べ特に形骸化しており、行為責任を問う意味合いもある」旨の説明があり、長官から、「過去、複数県警における捜査費執行の問題を踏まえ、全国警察が再発防止に取り組んできているという観点も、処分に当たっては考える必要がある」旨の説明があった。

(4)平成22年(1~11月)の刑法犯認知・検挙状況について

生活安全局長から、平成22年11月末現在の刑法犯の認知件数は、前年同期に比べて6.9%減少、検挙率は0.5ポイント低下していること等について報告があった。

山本委員より、「認知件数の減少が、治安の改善につながっているとの評価は、現実に起きている犯罪をきちんと認知できているという前提の下でできるものであり、例えば、DV被害や女性に対する犯罪といった認知しにくいものが、かなり現実にはあるのではないかと思う。そういう意味では、認知されていない犯罪を、きちんと認知するという努力も併せてした上で、『認知件数の減少』という答えが出ないと、やはり簡単には治安状況が改善されているとは認めにくいのではないか、という思いがある。その結果、認知件数が増えたとしても、決して治安状況が悪化したという評価にはつながらないと思うので、そうした意識もできるだけ持ち、暗数となっているものを表面化させるという努力を含め、考えていただきたい」旨の発言があった。

(5)平成23年における街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策の基本方針について

生活安全局長から、平成15年1月から推進している、『街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策』について、本年11月末現在の治安情勢等を踏まえて策定した平成23年の基本方針について報告があった。

(6)非行少年を生まない社会づくりの推進について

生活安全局長から、「少年の健全育成、少年の規範意識の向上と地域との絆の強化を図るため、生活安全局長通達を発出し、少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動及び少年を見守る社会気運の醸成を内容とする『非行少年を生まない社会づくり』を推進する」旨の報告があった。

葛西委員より、「『非行少年を生まない社会づくり』というのが警察の仕事なのかどうなのか、ということについて、警察がそこまで引き受けてしまうと、ますます警察力が分散配置型になってしまい、弱くなってしまうのではないかという気がする。この施策において、警察としては具体的にどのようなことを実現できると考えているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「基本的には再犯抑止・再非行抑止であると思う。再犯・再非行の悪循環から、なかなか抜け出せない人たちが次第に増えている状況があり、再犯・再非行を抑止することによって、最終的には、警察を始め社会全体のコストの軽減につながり、再犯・再非行を抑止することに重点を置くことは正しい選択だと思う。特に、生活安全警察部門では、少年警察に携わる専務員の数も限られていることから、本施策を打ち出すに当たっては、試算を行い、よりリスクの高い者から順に、対処可能な対象数を抽出して始めることとしている。支援活動は、警察の補導職員が中心になるが、ボランティアや関係機関とも連携して行う。支援のメニューについては、既にある程度そろっており、それらのメニューを対象少年の属性、特性に合わせて提供していくことになる。こうしたことから、新たな事務負担の問題等を考えても、十分に実施する価値のあるものではないかと思う」旨の説明があった。

髙木委員より、「先般、地方視察のため出張し、子ども・女性の対策班の方々と意見交換会を行ったところ、皆さん一生懸命やっているが、一生懸命やればやるほど、『これは警察が中心となって行う仕事なのか』という思いもあるようである。仕事を一生懸命にやろうという思いが強まれば強まるほど、例えば、心理学的なカウンセリングの領域にまで、あるいは親御さんとの関係では、警察の関与を必ずしも喜ばない親御さんをどうやってほぐしていくかといったところまで、結果的に踏み込んで行かざるを得ないということなのだと思う。そうしたところまですべて警察でフォローできるのかという観点からすれば、大変困難な話ではないかと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「警察としても人的な資源は限られているので、最も効率的に運用しなければならないが、警察が他機関等を主導する、牽引するといった役どころはどうしても欠かせないと思う。その上で、それぞれの責務を担っている関係機関やボランティアと協力連携して、うまく役割分担をしていくという構図だと思う」旨の説明があり、長官から、「本件は、本来、社会全体で取り組むべき課題である。しかし、それが自然に動き出さないとすれば、警察が(けん)車というか、スターターの役割を果たすということだと思う。警察ですべて抱えるのではなく、各方面に、『こういうこともやって下さい』という刺激を与えていかなければならない。再犯率が高ければ、いくら被疑者を検挙しても、また事件が起きてしまう。できるだけ根本のところで犯罪を犯させないようにする努力が必要である。警察も資源が限られているので、無制限に広げていくということではなく、戦略的に、治安維持という目的に直結する施策を講じるべきであると思う」旨の説明があった。

葛西委員より、「警察の本来の仕事は、犯罪者の検挙であり、それ以外の領域に立ち入って根源を断とうとすれば、警察の活動は無制限に広がっていくのではないか。警察官が業務を遂行する土俵というものをはっきりさせることによって、警察官は、効率的な仕事ができると思う。いずれにしても用兵の原則は、『選択して、集中して、徹底する』ということであり、やれることをやらせるということが重要だと思う。具体的な指示の代わりに、『こういう結果が起きないようにしろ』という抽象的な指示では、指示された警察官は、何をしてよいのか分からなくなり、結果として、力が分散してしまうおそれがある」旨の発言があった。

(7)死刑が求刑された強盗殺人事件の無罪判決について

刑事局長から、死刑が求刑された強盗殺人事件の無罪判決について報告があった。

(8)指名手配被疑者捜査強化月間の実施結果について

刑事局長から、指名手配被疑者捜査強化月間の実施結果について報告があった。

(9)石岡市内における県議会議員選挙事務所関係者被害の殺人事件について(茨城県警察)

刑事局長から、12月12日に発生した、石岡市内における県議会議員選挙事務所関係者被害の殺人事件について、捜査状況等に関する報告があった。

10)自動車安全運転センター業務方法書の一部変更の認可について

交通局長から、「自動車安全運転センター法の規定に基づき、同センターから国家公安委員会に対して、業務方法書の一部変更についての申請がなされたが、適正であると認められたことから、長官専決により、認可を行った」旨の報告があった。

11)情報保全に関するプロジェクト・チームの設置について

警備局長から、情報保全に関するプロジェクト・チームの設置について報告があった。

12)天皇誕生日一般参賀及び新年一般参賀に伴う警備について

警備局長から、「平成22年12月23日に天皇誕生日一般参賀が、平成23年1月2日に新年一般参賀が、それぞれ皇居において行われる予定である。本行事に伴い、皇宮警察及び警視庁で警備を実施する」旨の報告があった。