定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成23年1月27日(木)

午前10時00分 午前11時45分

第2 出席者 葛西、長谷川、田尾、髙木、山本各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「2月15日付けを始めとする地方警務官等45名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)平成22年中の万引きの情勢及び万引き防止に向けた古物営業法施行規則の一部を改正する規則案について

生活安全局長から、平成22年中の万引きの情勢について報告するとともに、古物営業法施行規則(平成7年国家公安委員会規則第10号)第16条第2項に規定する対価が一万円未満でも本人確認義務等を免除しない古物に、書籍やCD・DVD等を追加する改正を行いたい旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案に対する意見の募集について

刑事局長から、金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成22年法律第32号)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成22年法律第34号)の施行に伴い、警備業の要件に関する規則等の一部を改正する必要があることから、改正案及び関係資料を公示し、広く一般の意見を求めたい旨の説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への照会、意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)都市再生基本方針の改訂について

官房長から、閣議決定を予定している都市再生基本方針の改訂について報告があった。

(3)平成22年度第3四半期監察の実施状況について

首席監察官から、警察庁が都道府県警察等に対して行った平成22年度第3四半期における監察の実施状況について報告があった。

(4)平成22年中の懲戒処分者数について

首席監察官から、「平成22年中の全国警察職員の懲戒処分者数は、前年と比べ、143人、59.1%増加の合計385人で、その内訳は、懲戒免職48人、停職70人、減給136人、戒告131人である」旨の報告があった。

田尾委員より、「懲戒処分者数が大幅に増えているというのは、遺憾なことであるが、その中でも、年齢がかなり上の者の処分者数が増え、しかも、上位の階級にある者も非常に目立っている。こうした層で非行を行う者が多いということは、組織全体として、その信頼性というか、土台が揺らいでいる、ということが言えるのではないかと思う。また、それだけに対策が難しいと思うので、この点については、重点的に、しっかりと指導をしていただきたい。もう一つ、警部補の業務上による非違行為が多いということについては、自分の職責・職務についていけない者が、大変多くなっているのではないかとも考えられ、これには任用上の問題があるのではないかと思われるが、その点についてはどうか」旨の発言があり、首席監察官から、「幹部による非違事案については、自らがその姿勢をもって部下の非違事案を防止させるのが役目であるにもかかわらず、処分者数が多く、特に厳しい状況と認識しており、引き続き幹部教育をしっかりとやっていく必要があると考えている。また、警部補による非違事案の増加の問題については、多くはベテラン職員であるが、具体的な事例を見ると、警察が様々な批判を受け、警察改革を推進してきたことを経験しているにもかかわらず、()とか惰性が原因になっているという事例が多くある。これらの者の多くは、中高年でもあり、家庭環境等の因子が重なって、仕事に対する意欲が低下しているような状況も見られる。そこで、このような複雑な事情も勘案した上で、指導していくことが必要であると考えている」旨の説明があった。

(5)平成23年度監察実施計画について

首席監察官から、情報セキュリティ対策の実施状況、留置管理業務の実施状況等を監察の実施項目とする平成23年度における警察庁の監察実施計画について報告があった。

(6)平成22年度全国青年警察職員意見発表会の開催について

官房長から、2月4日、平成22年度全国青年警察職員意見発表会が、警察大学校で開催されることについて報告があった。

(7)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「福島県警察の巡査が、青少年にみだらな行為をしたとして、平成22年12月23日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、2月2日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、警察署長を本部長注意の措置とする予定である」旨の報告があった。

(8)探偵業の業務の適正化に関する法律(平成18年法律第60号)の附則に基づく検討結果について

生活安全局長から、探偵業の業務の適正化に関する法律附則第3条に基づき、探偵業法の施行状況、探偵業者の業務の実態等を勘案して検討を加えた結果について報告があった。

田尾委員より、「本法では、公安委員会が、指示等の行政上の措置をとることができるようになっているが、こうした処分の件数については、増えているのか、減っているのか。また、苦情についてはどうか」旨の発言があり、生活安全局長から、「苦情は減少しているが、処分件数は、増えている」旨の説明があった。田尾委員より、「探偵業における業者数は、約5,000ということであり、おそらく、個人的な業者が大半であろうと思うが、業界の現状は、どのような状況にあるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「業界団体は3つあり、加盟率は必ずしも高くないが、大手業者の加入実態が確認されること等から、そういった団体を通じて指導していきたいと考えている。業者は約5,000社であるが、施行以降毎年、新たに1,000社が届け出て、500社が廃業する、といった、『出入りの激しい業界』である」旨の説明があった。

(9)警備業法の一部を改正する法律の附則に基づく検討結果について

生活安全局長から、警備業法の一部を改正する法律附則第11条に基づき、警備業法第18条、第19条及び第22条の規定について、その施行状況を勘案して検討を加えた結果について報告があった。

10)「少年非行に関する世論調査」の概要について

生活安全局長から、昨年11月に内閣府政府広報室が実施した少年非行に関する世論調査の結果が取りまとめられたことについて報告があった。

11)平成22年における通信傍受に関する国会への報告について

刑事局長から、「通信傍受法第29条の規定に基づき、平成22年中の通信傍受の実施状況について国会に報告する」旨の報告があった。

国会に報告される資料について、髙木委員より、「資料の中に、10日間ずつ2回、通信傍受を実施して犯罪に関連する通信の数がゼロというものがあるが、これはどのようなものなのか」旨の発言があり、刑事局長から、「実務上は、相当な事前の捜査をして、十分、その犯罪が行われた、あるいは行われるという可能性を疎明し、その際に対象となる通信機器が使われるということを疎明した上で令状を得て、傍受を行うが、その結果として当該通信機器では犯罪のやりとりは行われなかったというのが、報告書に記載されている内容である」旨の説明があり、髙木委員より、「対象となった通信機器では犯罪に関係する会話はなかったが、ほかの手法により検挙したということか」旨の発言があり、刑事局長から、「本件については、結果として検挙に至らなかった」旨の説明があった。

12)大阪地裁所長に対する強盗致傷事件における国賠敗訴判決について

刑事局長から、平成16年2月に発生した強盗致傷事件に係る大阪府警察の捜査等に対する国家賠償請求訴訟について、1月20日、大阪府敗訴の判決がなされた旨の報告があった。

13)平成22年中の捜査本部設置事件の捜査状況について

刑事局長から、平成22年中の捜査本部設置・解決状況等について報告があった。

14)大相撲関係者が絡んだ野球賭博事件の検挙について

刑事局長から、警視庁が、1月26日、大相撲関係者が絡んだ野球賭博事件で元力士等4名を逮捕したことについて報告があった。

15)平成22年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について

交通局長から、平成22年中の交通事故の状況について、交通事故死者数は4,863人であり、10年連続で減少したこと、交通事故発生件数及び負傷者数も6年連続で減少したことなどについて報告があった。

16)情報保全に関するプロジェクト・チームにおける検討状況について

警備局長から、情報保全に関するプロジェクト・チームにおける検討状況について報告があった。

長谷川委員より、「今回、具体的な事案の発生が契機となって、調査したところ、好ましくない状態が見つかったということであるが、もし、事案の発生がなかったとしたら、チェックをやり直す機会がなかったのかと思うと、お寒い状況と言わざるを得ない。今後どのようにしていくのか」旨の発言があり、警備局長から、「これまでは、ファイル交換ソフトを不用意に使うなどの過失による情報漏洩に対して、これをどう防ぐかということで対策を取っており、これに関してはかなりセキュリティレベルが上がってきた。しかし、内部の人間が故意に情報を盗み出すということを想定しての対策という観点でのチェックは、不十分ではあったと考えている。今回の調査において管理不徹底が発覚したのは、ごく一部の所属であり、現時点では、調査の結果ほとんどの県では、適切に行われており、問題は見つかっていないということである。今後は、情報管理課が入った形で、部外との電子データのやりとりの状況等の監視がきっちりできるようなシステムにしていきたいと考えている」旨の説明があった。

長谷川委員より、「今後、どのような問題が起こるかという想定が困難であり、想定外のことも起こるし、技術が、ハッキングも含めてどんどん進化していくと考えられることから、組織として、先手を打って対策をしていかないといけないと思う」旨の発言があり、警備局長から、「引き続き、研究していきたい」旨の説明があった。

髙木委員より、「同種事案が発生した場合、警察の信頼を回復することは難しくなる」旨の発言があり、長官から、「委員御指摘のとおりである。そうならないように、この機会を、最初にして最後のチャンスと捉えなければならない。そのために、対策には相当な力を入れてやらないといけないと考えている。そういう意味では、幹部の意識から徹底することが必要である。幹部には、コンピュータシステムの関係が得意でない者も多いと思うが、一部の担当者に任せておけば済むという性質の問題ではないので、何が問題かということについて、自ら関心を持つ必要がある。一生懸命やりたいと思う」旨の説明があった。

17)菅内閣総理大臣のスイス訪問(ダボス会議出席等)に伴う警護警備について

警備局長から、「菅内閣総理大臣は、1月28日から30日までの間、『世界経済フォーラム2011年年次総会』、通称『ダボス会議』への出席等のため、スイスを訪問する予定であり、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。