定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成23年2月3日(木)

午前10時00分 午前11時35分

第2 出席者 葛西、長谷川、田尾、髙木、山本各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「2月14日付けを始めとする地方警務官等123名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「石川県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理等事案に関し、警察庁長官は、本事案を惹起せしめた監督責任により、元石川県警察本部長等の地方警務官3名を懲戒手続きに付する必要があると認め、本日、国家公安委員会に申立てを行う」旨の説明があり、その結果、国家公安委員会において、懲戒審査会に審査を要求する旨を決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の決定について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係の開示請求に係る決定について報告があった。

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(3)平成22年第4四半期における地方警務官に係る贈与等報告書について

官房長から、「国家公務員倫理法の規定に基づき、地方警務官から平成22年第4四半期における贈与等報告書が国家公安委員会に対して提出され、このうち、指定職以上の職員に係るものについて写しを国家公務員倫理審査会へ送付することとしている」旨の報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)で説明のあった石川県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理等事案に係る監督責任について、「元石川県警察本部長等の警察庁職員3名は、警察庁長官が処分する予定である」旨及び「近畿管区警察局の技官が、酒気帯び運転をして人身事故を起こすなどした事案に関し、同警察局は、2月3日、同技官を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を局長注意の措置とする予定である」旨の報告があった。

(5)平成22年中における人身取引事犯について

生活安全局長から、平成22年中における人身取引事犯の検挙件数等について報告があった。

田尾委員より、「人身取引事犯について、刑法上は人身売買罪があるが、今回の報告では、偽装結婚における電磁的公正証書原本不実記載罪を適用したケースなどが人身取引事犯として報告されているところ、人身売買罪以外にどういう犯罪を人身取引事犯としてカウントしているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「実際の適用罪名には様々なものがあり、売春防止法違反、入管法違反等が主流である。委員御指摘の電磁的公正証書原本不実記載、同供用罪を適用した事件について言えば、入国管理局や在日公館からの相談、被害者自身の駆け込みをその端緒として摘発検挙したものであり、実態は人身取引に絡んだ犯罪であるとの判断がなされたものである」旨の説明があった。

田尾委員より、「人身取引については、国連議定書の内容に照らすこととなる訳であるが、日本の法体系に当てはめると、どのようなものが該当するのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「人身取引に当たる罪としては、刑法では逮捕監禁、略取誘拐及び人身売買の罪、売春防止法、入管法の不法就労助長、職業安定法の有害業務紹介、労働基準法の暴行等による労働の強制等の罪名がこれに当たるが、実際の送致罪名は必ずしもこれらに限られていない」旨の説明があった。

髙木委員より、「外国人の研修実習制度で来日している者が、雇用先でパスポートを取り上げられたといった事案を聞くが、これについても人身取引になるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「強制労働も対象事件であるが、昨年は該当事案の検挙はなかった。研修制度については、入管法改正等により随分改善されてきていると考えている」旨の説明があり、田尾委員より、「国連の報告書では日本に関して、先ほど髙木委員が言われたようなケースについて、日本は摘発や立件をしていないというような指摘を受けているが、大分認識が違うのだろうと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「国際的な指摘も受け、実態を踏まえた改善の取組みが進められ、適正なものになってきているのではないかと思う」旨の説明があった。

(6)平成22年中における子どもや女性を守るための匿名通報事業の運用状況について

生活安全局長から、子どもや女性を守るための匿名通報事業(匿名通報ダイヤル)に係る平成22年中における運用状況について報告があった。

(7)平成22年中における死体取扱状況について

刑事局長から、平成22年中における死体取扱状況について報告があった。

髙木委員より、「司法解剖と行政解剖について、手続等もう少し詳しく説明をお願いする」旨の発言があり、刑事局長から、「司法解剖とは、捜査の一環として行われ、捜査上必要であるということで、裁判官から鑑定処分許可状という令状を得て、専門の医師に委託をして解剖し、その結果を証拠化するというものである。次に、行政解剖は犯罪捜査ではなく、基本的には、監察医が、公衆衛生等の観点から解剖を行うものと、大学病院等の医師が、遺族の承諾を得て解剖するという、2つがある。実務的には、『犯罪としての疑いは認められないけれども、念のために、死因の詳細をきちんと解明するため、解剖してもらう』という場合が多い。なお、行政解剖をした結果、『これはやはり犯罪死だった』と判明するものもあり、その場合には司法解剖へ途中から切り替え、証拠化するという手続を取っており、これが年間10件程度ある」旨の説明があった。

田尾委員より、「解剖数が、行政解剖を含めて3,000件程度増えたという報告があったが、解剖を行う医師の数は、どの程度充実しているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「司法解剖の数字を見ると、嘱託の解剖医が一昨年から昨年にかけて3人増え、現在全国で137人となっている。一方でその1年間に、解剖数は3,000件増加した訳であり、解剖医の負担は高まっており、その体制はかなり厳しくなっていることから、文部科学省及び厚生労働省にも研究会に入ってもらい、その体制の強化について議論を行っている」旨の説明があり、田尾委員より、「当面、臨場率を50%まで、解剖率を20%まで高めるという研究会の中間報告があって、それは立派なことだと思うが、解剖医の体制が、どうかということも併せて考えないと、これはなかなか大変なことになると思う」旨の発言があり、長官から、「それは最も重要である。法医学を目指す学生は必ずしも多くないので、そこをどう増やすかは難しい問題であり、予算、制度等高いレベルで引っ張っていく必要があると考える」旨の説明があった。

髙木委員より、「地方視察を行った際に、解剖だけではなく、検視自体に関わってくれる医師の確保で苦労しているとの話を聞いたが、これについてはどうか」旨の発言があり、刑事局長から、「検視は警察官が行い、必ずこれに医師が立ち会って、検案を行う。地域の医師に、協力を要請しているが、死体見分という観点から専門的な人が、必ずしも多いとは言えない状況であることから、こうした方々の能力の向上や、その体制の充実というのも、一つのテーマである」旨の説明があった。

(8)平成22年中のP2P観測システムの運用状況等について

情報通信局長から、多数の違法ファイルが流通するファイル共有ネットワークの実態を把握するため、平成22年1月1日から運用を開始した、P2P観測システムの運用状況等について報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、「大相撲の野球賭博事件に関する捜査を進める中で、いわゆる『八百長』の疑惑が浮上したため、これについて、公益性にかんがみ、2月1日、警察庁から文部科学省に対し、官庁間協力として情報提供を行った」旨の報告があった。

葛西委員より、「本件は、どのようにして発覚したのか」旨の発言があり、刑事局長から、「野球賭博事件の捜査に際し、力士たちから差し押さえた携帯電話を解析したところ、その中に、『八百長』が行われていることが疑われるデータがあったというものである」旨の説明があり、田尾委員より、「警察の解析技術が、随分進歩しているということを感じさせるような出来事であり、今後の捜査にもそういった面が活用されるであろうと思う」旨の発言があった。

髙木委員より、「例えば、これに伴って力士の間に金銭のやりとりがあったことが確認されたとしたら、事件性があるということになるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「力士間で勝敗に関して金銭のやりとりがあったというだけでは、犯罪が成立するものではない。今回は、行政的に、相撲協会の監督官庁である文部科学省に対して判断材料を提供したというものである」旨の説明があった。