臨時委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年3月12日(土)

午後1時00分 午後1時40分


第2 出席者 中野委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長


第3  議事の概要

1 報告事項

(1)「平成23年 東北地方太平洋沖地震」対策実施状況について

冒頭、委員長より、「本日は、昨日発生した『平成23年 東北
地方太平洋沖地震』の被害の重大性に鑑み、臨時の国家公安委員会
を招集させていただいた。この震災に対し、警察庁では、長官を本
部長とする緊急災害警備本部をいち早く昨日から立ち上げ、正に昼
夜を分かたぬ状況で頑張ってもらっている。また、政府は、内閣総
理大臣を長とする緊急災害対策本部を設置して、総力を挙げて諸対
策に取り組んでいるところである。つい先ほども対策本部会合を行
ったが、『今日が一番大事だ。明日でも良いというものは一つもな
い。むしろ過剰と言われるくらいの対策を打って、後に悔いのない
処置をしっかりと講じていきたい』との気持ちで取り組んでいる。
中でも警察は、特に、情報収集や人命救助等々、最前線に一番早く
到着して、努力をしていかなければならないという任務を負ってお
り、加えて、警察が収集した情報に基づいて様々な対策が打たれる
ものでもあり、極めて責任重大な立場であるので、全力を挙げて取
り組んでいただきたいと思う。また、既に殉職された警察官もおら
れるが、『正に、国民の生命財産を守ることが、政府の、そしてま
た警察の仕事である』そういう気持ちで、全力を挙げて取り組んで
まいりたいと思う」旨の発言があり、その後、警備局長から、地震
による被害状況と警察措置について、交通局長から、地震の災害応
急対策のための緊急交通路の指定等に係る交通対策について、情報
通信局長から、機動警察通信隊活動状況及び警察通信網の被害状況
について、生活安全局長から、航空機の運用状況について及び刑事
局長から検視関係について、それぞれ報告があった。

委員長より、「大変重要な問題として、福島の第一原発及び第二
原発が大変な状況になっている。既に発電機自体はストップさせて
いるが、冷却する装置が壊れてしまったということである。そこで、
緊急処置に必要な充電器等の資機材のかなりの部分を陸路で運ぶこ
とになる。そのために、警察パトカーによる運送車両の誘導の依頼
を受け、相当数の車両が、それぞれ、大変苦労をして、現地への誘
導を行う措置をとっている。これらの原発に万一のことがないよう、
ストップさせた原子炉内に水を循環させ、炉心の燃料棒を冷やさな
ければいけないが、冷却が遅れると、燃料棒が露出してしまい危険
な状況になる。そうなってしまうと、炉内の圧力を下げるために炉
内の空気を抜かなければならなくなり、その際に放射性物質が漏れ
出てしまう可能性があるという、現時点ではまだ危機的状況である。
現時点で、一旦やはり念のために、第一原発は、原発から3km内
の住民を、警察の方で誘導をして、全員既に避難済みであり、また、
現在、10km圏内の住民も、避難をさせている最中である。それ
から、今朝段階で、第二原発の方も、『早いに越したことはない』
という総理の判断もあり、3km圏内の住民を、既に避難をさせて
いる最中であり、10km圏内の住民に対しては、『念のため、自
宅内に待避して下さい』という指示を出しているというものである。
警察は、こうした誘導に際しても、第一原発には約120人、第二
原発については約40人の体制で、誘導、交通整理等に当たっても
らっているが、ある意味で、本来人命救助や避難誘導に当たっても
らうはずだった人員を原発対策に割かなければならなかったという
ことであり、大変惜しいという思いでいる。日本の原発の在り方も
含めて、今後の課題になるのではないかと思い、若干付け加えさせ
ていただいた」旨の発言があった。

山本委員より、「現状では、今動いていることをベースにして、
進めてもらうということで良いのだろうと思う。初期段階での警察
の活動には、情報収集と救助活動があり、当初は、『情報収集も必
要だけれども、人命救助が最優先ではないか』と思ったが、報告資
料を拝見して、情報がなければ必要な救助活動もできないというこ
とで、やはり情報収集活動が必要なのだと思った。そこで、今日、
明日という近い時期については、やはり、人命救助に向けた情報収
集という活動に是非力を入れていただきたい。また、殉職を始め、
被災した警察官がたくさん出ているということを見ると、ある意味
では、津波ということを意識したときの情報収集活動、『現地に行
って確認する』ということが、逆に非常に危険であるということが
見えてきており、今後の問題なのであろうという印象を受けている」
旨の発言があった。

髙木委員より、「大変な大災害であり、今後、もっと死者数等が
増えるであろう。今も、二次災害としての津波や余震の関係があっ
てほとんど手をつけられないところが特に沿海部に残っているであ
ろうと思う。各都道府県警察からも多くの方々が現地に行って活動
を始めているが、おそらく、今日、明日、明後日と、さらに被災地
に対する物資等の支援の強化が必要になっていくと思う。もちろん、
それぞれの県で固有の仕事も多くあり、限度があると思うので、多
分、週明けあたりから、ボランティアを活用しようという動きが出
てくるのではないかと思う」旨の発言があり、委員長より、「現状
では、ボランティアの方々には当面現地入りを遠慮していただくと
いうことにしている。現時点では、現地入りした場合、ボランティ
ア自身も危険であるし、また、必要な活動内容がまだはっきりしな
いために、その手配もできないということで、この数日間は、むし
ろ御遠慮いただきたいという旨を、先ほど官房長官から記者会見で
発表したところである。加えて、先ほどの会議で、皆総力を上げて、
それぞれ協力をし合ってやっていこうということになり、自衛隊に
対して人員確保をお願いした。しかし、自衛隊がどこに行って何を
すればいいかという情報提供が必要であるので、警察からは、情報
提供について、是非よろしくお願いをしたいということが決まった
ところである」旨の発言があり、長官から、「今回の地震の最大の
特徴は、津波による被害が主なものだということであり、津波警報
が解除されないと、直ちに救助等の活動ができず、被災の全貌がな
かなか把握できないというところである。これまでの災害対策の初
動と、かなり様相が異なったものであり、今後、検証してからでは
あるが、将来に備えなければならないと考えている」旨の説明があ
り、次長から、「殉職事案については、調査してからでないと何と
も言えないが、地震の発生から津波が来るまでの時間が非常に短く
て、おそらく、彼らは津波警報が出たことを受け、地域住民に待避
を呼びかけている中で巻き込まれてしまったのではないかと考えて
いる。やはり、津波の到達があまりに早すぎたのが予想外だったと
思う」旨の説明があった。

山本委員より、「津波警報が解除されないと、手を着けたくても
着けられない一方、しかも人命救助は早いほうがいいということで、
その判断のタイミングが難しいと思うが、いろいろな情報を、でき
るだけ集約して、優先課題の高いところへ総力が投入されるような
仕組みにしないと、情報をばらばらに持っているだけでは、有効に
使いにくいと思う」旨の発言があり、長官から、「基本的に、情報
と救助を両方やるのが警察の任務であるが、阪神淡路大震災の際に
は、制服警察官が情報収集の際に被災者に救援を求められ、やはり、
人道的に救助を行った。しかし、大局的に言うと、『この事態はど
のくらいのものだ』という被災情報を、一刻も早く、警察のみなら
ず政府に上げないといけない。そうしたことから情報収集班を編制
している」旨の説明があり、警備局長から、「広域緊急援助隊の中
に情報収集班を作り、オフロードバイク等で現地に行くなどして情
報収集活動を行うこととしている。また、福島県警では、ヘリで南
相馬市の水没情報を上空から確認中に、二階建ての家に二名の被災
者がいるのを発見し、そのままそのヘリで救助したという事例もあ
った」旨の説明があった。

田尾委員より、「先ほど福島県警察本部が被害を受け、その機能
を福島警察署に移した旨の報告があったが、現地の警察活動の拠点
という意味で、全体として警察署の方は大丈夫なのか」旨の発言が
あり、警備局長から、「ダメージを受けているものもかなりあるが、
署とは連絡は取れており、全体として機能している」旨の説明があ
った。

前田委員より、「阪神淡路大震災の当時と比べると、格段にいろ
いろな意味で立ち上げが早くなったという感じがする。当時は明け
方近くで、今回は日中と、発生時間に違いはあるとはいえ、官邸の
災害対策本部の立ち上げが、当時と比べるとはるかにスピードが早
いように思う。委員長の言われるとおり、各種対策を官邸で一本化
せずばらばらになると駄目なので、その意味ではかなり手際よくや
れたのではないかと思う」旨の発言があり、委員長より、「総理大
臣自ら、今朝、福島原発までヘリコプターで飛んで行くなど、文字
どおり先頭に立って頑張っており、全閣僚も、皆、必死で頑張って
いる。また、皆さんの御努力にも感謝している。懸命にこの一両日
を勝負だと思って頑張っていかないといけない」旨の発言があった。

(2)人事異動発令時期の延期について

官房長から、「先月決裁を受け、該当者に内示済みの地方警務官
等に係る人事異動について、被災県の幹部等がその対象になってい
るものもあることから、国家公安委員会の了承が得られれば、この
部分に係る発令を当分の間延期することとしたい」旨の説明があり、
その内容を了承した。

2 その他

(1)官房長から、殉職者の発生を始めとする警察職員の被災状況につ
いて報告があった。