定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年6月16日(木)

午前10時00分 午後0時00分


第2 出席者 中野委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「7月10日付け地方警務官1名の人事案件について
発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)警視総監及び道府県警察本部長の職務代行者の指定について

官房長から、国家公安委員会が警視総監及び道府県警察本部長の職
務代行者をあらかじめ指定することとし、指定する者や指定の方法に
ついて、国家公安委員会申合せとして定めることとすることについて
説明があり、原案どおり決定した。

(3)自動車安全運転センターの役員人事の今後の方針等について

交通局長から、自動車安全運転センター役員人事に関し、今後の方
針として、公募の実施、役員出向の活用等を行うことについて説明が
あり、その内容を了承した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成22年度における留置施設の巡察の実施状況について

官房長から、平成22年度において、警察庁及び管区警察局が都道
府県警察の留置施設に対して行った巡察の実施状況について報告があ
った。

前田委員より、「改善すべき指摘事項とともに、良好であった点も
報告されたが、基本的には、巡察というこの種の点検事務は、業務が
きちんと行われているかどうかについてチェックポイントにより確認
するものであり、その結果レベル以下であった点を分かり易く具体的
に記述すればよいのであって、『良好である』というのを敢えて記載
する必要があるのかという気がする。良好な点も報告するのは法定の
手続なのか」旨の発言があり、官房長から、「良好な点を記載するこ
とは法定されているものではないが、推奨事項として全国警察に知ら
せるという意義があるので行っているものである。そのやり方につい
ては、御指摘を踏まえて検討させていただきたいと思う」旨の説明が
あった。

前田委員より、「200を超える所属で巡察を行ったということで
あるが、その中で、『要改善』の指摘を集中して受けている所属はあ
ったのか。また、警察庁の巡察が、『5年で全国を一巡する』という
ことであるが、実際の現場では、留置業務を担当している者は2年程
度で異動している実態があるので、『5年に1回』では、頻度が少な
いと思う。一巡目はともかく、それ以降はこのやり方で良いのかにつ
いて検証すべきである。また、警察庁は、巡察の実施を1週間前に予
告して行っているが、一巡した後は、抜き打ちで行うなどしないと、
牽制機能はほとんど働かないのではないかと思う。こうした方法を含
めて、合理的に考え直した方が、巡察を行う側の負担も減って良いの
ではないか」旨の発言があり、官房長から「まず、指摘が集中してい
る所属の有無については、269か所を巡察し、そのうち1か所で6
件以上の指摘を受けた施設が、10警察署あった。また、警察庁の巡
察が5年で一巡するということについては、法律上、警察庁による巡
察を行うこととされている中で、体制的に精一杯の頻度である。一方、
制度として、それぞれの都道府県の警察本部による実地監査があり、
これについてはかなりの頻度で行っており、かつ、それは、状況によ
っては抜き打ちで実施することもある。警察庁の巡察を、抜き打ちで
行うことについては、当該都道府県警察の職員でない国家公務員の立
場にある者が、ある日突然巡察に現れることでのトラブルが生じるこ
となども考えられるので、そういった抜き打ち方式というのは、それ
ぞれの県警察の中で行ってもらい、国が実施する場合は、むしろ県警
サイドの監査・監察をする部門をも含めて、どのようにやっているか
について、しっかり見るというやり方を採っているものである」旨の
説明があった。

田尾委員より、「巡察において、改善点として指摘された事項がい
くつかあり、指摘を受けた県警は、次年度において検証を実施すると
いうことであり、こうした検証の在り方は、業務の改善に役立つと思
う。一方、指摘された事項がきちんと改善されているのかどうかにつ
いて、この報告書には出ていないようであるが、平成19年の制度開
始以降、検証結果は具体的にはどのような方法で行い、フィードバッ
クされているのか」旨の発言があり、官房長から、「指摘を受けた留
置施設には行かないものの、当該都道府県警察の留置主管課から、そ
の後の改善状況を聞くことになっている。全体的に申し上げると、指
摘を受けた施設は問題点が改まっているものの、同じ傾向が、次の年
に巡察した別の施設でまだ少し残っている等の例が見られる」旨の説
明があり、長官から、「指摘事項の改善状況については、当該県警察
全体の風潮とでもいうようなものが現れるものなので、ここ数年どう
なっているかについてよく見なければいけない。単に『指摘された部
分が改善されたらいい』という見方はしていないと思う。言わば、悪
しき『社風』があるならば、それを改善しなければいけない。絶えず、
端緒をつかんだら、構造的なものかどうかといった視点で切り込んで
いく、県警の実地監査にしても、警察庁の巡察にしても、そういう鋭
さが必要である」旨の説明があった。

田尾委員より、「捜査及び留置業務における問題点というのも、あ
る意味では、組織的な、長官が指摘した『社風に関わる』ことなので
あろうと思う。おそらく、県警本部では、監察や巡察の重要性は、十
分理解しているはずだと思うけれども、所轄署のレベルでは、なかな
かチェックしても改善されていないということか」旨の発言があり、
長官から、「捜査及び留置業務の分離は、もう30年以上前から取り
組んでおり、各県警察本部でもかなりのチェックを行っているが、そ
れでもまだ問題点が残っている。徹底を何故できないかということや、
監督をきちんとさせるにはどうしたら良いかというのが課題になると
思う」旨の説明があった。

田尾委員より、「留置業務は大変な仕事で、人員も潤沢というわけ
ではない。現場の実情もいろいろあると思うが、その辺りのこともよ
く見た上で指導しないと改善は難しいということなのであろう」旨の
発言があり、官房長から、「御指摘のとおり、留置業務は、職員の士
気が業務の成否を大きく左右するものであると思う。留置業務は、極
めて単調であるとともに、ミスは許されない。しかも、規律を緩くし
ようと思えば簡単に緩くなってしまう。各県警では、留置業務に若い
職員を送り込んで、そしてそこを登竜門として、刑事などの内勤専務
部門に登用していくということを一生懸命やっている」旨の説明があ
り、委員長より、「県警サイドでは、厳しい財政状況を背景に、予算
措置や人的な手当が困難である現実があり、結果として問題が起きる
こともあると思うので、こういう部分について、一般的に警察庁の方
から指導する必要はあるかもしれないと思う」旨の発言があった。

(3)警察庁における夏期節電対策について

官房長から、警察庁における夏期節電対策の内容について報告があ
った。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「福島県警察の警部が、酒気帯び運転をして物損
交通事故を起こした事案に関し、同県警察は、6月17日、同警部を
懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の
措置とする予定である」旨の報告があった。

(5)より合理的な交通規制のための点検の推進状況について

交通局長から、平成21年10月以降、より合理的な交通規制のた
めの点検を推進中のところ、本年2月末までの点検・見直しの進捗状
況について報告があった。

(6)プロファイル信号制御のモデル事業における効果測定結果について

交通局長から、平成18年度から21年度までに整備した『信号制
御の高度化モデル事業』の効果測定を実施した結果について報告があ
った。

(7)皇太子殿下のドイツ国御訪問に伴う警衛警備について

警備局長から、「皇太子殿下は、6月21日から6月25日までの
間、ドイツ国を御訪問される予定であり、これに伴い、所要の警衛警
備を実施する」旨の報告があった。

(8)菅内閣総理大臣の「平成23年沖縄全戦没者追悼式」出席等に伴う
警護警備について

警備局長から、「菅内閣総理大臣は、6月23日、『平成23年沖
縄全戦没者追悼式』出席等のため、日帰りで沖縄県を訪問する予定で
あり、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

(9)「6.11脱原発100万人アクション」の取組結果と警察措置に
ついて

警備局長から、「6.11脱原発100万人アクション」の取組結
果と警察措置について報告があった。

(10)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの特
別派遣部隊の数、福島第一原子力発電所周辺における活動等について
報告があり、関連発言として、刑事局長から、主な被災地である岩手、
宮城、福島3県における死体取扱及び身元確認状況等について、生活
安全局長から、避難所において相談受理等に従事する特別派遣の女性
警察官に関し、現地の要請を踏まえ派遣を再開すること及び行方不明
者の親族等に対し、死亡届に添付する書面を交付すること等について、
交通局長から、震災や津波による信号機等の交通安全施設の被害状況
について、情報通信局長から、各種警察通信活動に関し、通信機能の
維持・復旧の状況について、官房長から警察職員の被災状況に関し、
新たに1名の殉職者が発見されたことについて、それぞれ報告があっ
た。

3 その他

(1)官房長から、内閣府副大臣を座長として開催されている、「PKO
の在り方に関する懇談会」の開催状況について報告があった。

(2)官房長から、「国を被告とする文書不開示処分取消請求訴訟の第一
審判決」に対し、原告が控訴したことについて報告があった。

(3)刑事局長から、福岡県川崎町議会議員選挙違反取締りをめぐる抗議
事案に関する調査結果について報告があった。

髙木委員より、「本件の調査の結果、『抗議にあるような不適切な
取調べは認められなかった』とのことであるが、一方で、この方は自
殺してしまった。警察に取調べを受けるということの受け止め方が、
人それぞれいろいろあることにより、自ら死を選んでしまう訳であり、
これは非常に難しい問題だという印象を持っている」旨の発言があり、
刑事局長から、「御指摘の点について、確かに、捜査の過程で、取調
べを受けて自殺する事案が発生することがある。今回の調査は、『自
殺者が指摘したようなことが、実際にあったのか』というところを調
査したもので、自殺に至った事情等には直接言及していないが、特に
選挙違反事件の捜査においては、初めて警察の取り調べを受けるとい
う方がほとんどであるので、警察では、事前の会議等で、自殺防止に
ついてはそれぞれのレベルで指示している。本件において、取調べの
過程で、当事者の自殺の兆候に気付くとか、あるいは、取調べ後自宅
へ送り届けた際に、家族に話をするといった自殺防止を念頭に置いた
捜査が全てできていたのかについては、また別の問題として、被疑者
等の自殺を防ぐ努力が必要であるというのが本件の教訓事項だろうと
思うので、御指摘を踏まえて対応するようにしてまいりたい」旨の説
明があった。

委員長より、「選挙違反事件の場合は、一般犯罪者と違う難しさが
ある。刑事局長の説明のように、多くの方は警察の取調べ、事情聴取
を受けるのは初めてという点がある。その人の生い立ち、年齢、性別
といったものにより、心理的な圧迫感の感じ方が違うため、警察に取
調べを受けたことにショックを受ける方もいるであろう。また、中に
は、実際に選挙違反をやっていて、隠しきれないとか、誰かをかばい
きれないといった後ろめたさで、心理的に追い詰められるようなこと
が起こってくるかもしれない。警察として、自殺防止には気をつけな
ければいけないが、かなり不可抗力的なものも多いかと思う。だから
といって、真相解明のために厳しくやればいいというだけのものでも
なく、そこは今後とも、常に努力をし、気を付けるということしかな
いのだろうと思う」旨の発言があった。