定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年9月8日(木)

午前10時00分 午前11時20分


第2 出席者 山岡委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「9月15日付け地方警務官2名の人事案件について
発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「警視庁の警部が、捜査対象者に対して捜査書類
の写しを交付し、職務上知り得た秘密を漏らしたなどとして、9月2
日、懲戒免職処分となった事案に関し、警察庁長官は、同事案等を惹
起せしめた監督責任により、警視庁刑事部捜査第一課長を懲戒手続に
付する必要があると認め、本日、国家公安委員会に申立てを行う」旨
の説明があり、その結果、国家公安委員会において懲戒審査会に審査
を要求する旨を決定した。

(3)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等について

交通局長から、本年7月15日から8月20日までの間実施した
『道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案』に対する意見募
集の結果、及び、本年7月22日から8月20日までの間に実施した
『道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令
案』に対する意見募集の結果を説明するとともに、「同内閣府令等の
改正案について決裁いただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定
した。

田尾委員より、「現在、条件付きで免許を持っている聴覚障害者は、
今回の改正で、拡大される種類の車両を当然に運転できるようになる
のか。それとも、適正な検査を経ることが必要になるのか」旨の発言
があり、交通局長から、「当然運転できるようになる。ただし、条件
として、サイドミラーに視角が広くなるような補助ミラーを装着する
こと等が条件となる」旨の説明があった。

田尾委員より、「免許証に条件が記載されている者は、それを訂正
することになるのか」旨の発言があり、交通局長から、「既に発行さ
れた免許証については訂正しないが、改正法施行後に発行するものに
ついては、『特定後写鏡で普通車に限る』などと条件が記載されるこ
とになる」旨の説明があった。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)犯罪被害者等給付金不支給裁定取消請求事件の上告審決定について

官房長から、福岡県公安委員会による犯罪被害者等給付金不支給裁
定について提起された取消請求事件の上告審決定について報告があっ
た。

(2)ライブハウス内無差別殺人未遂事件の発生に伴う安全対策の強化に
ついて

生活安全局長から、ライブハウス内無差別殺人未遂事件の発生に伴
う安全対策の強化について報告があった。

(3)平成23年上半期のサイバー犯罪の検挙状況等について

生活安全局長から、「平成23年上半期のサイバー犯罪の検挙件数
は2,513件で、前年同期と比べ2.8パーセント減少し、また、
サイバー犯罪等に関する相談受理件数は40,643件で、前年同期
と比べ9.3パーセント増加した」旨の報告があった。

(4)平成23年上半期の出会い系サイト等に起因する事犯の検挙状況に
ついて

生活安全局長から、「平成23年上半期の出会い系サイトに起因す
る事犯の検挙件数は497件で、前年同期と比べて41件減少し、出
会い系サイトを利用して犯罪被害にあった児童は133人で、前年同
期と比べて8人減少した。他方、コミュニティサイトを利用して犯罪
被害にあった児童は546人で、前年同期と比べて55人減少した。
平成20年から統計を取り始めて以降、児童被害数は増加の一途を辿
っていたが、今回初めて減少に転じた」旨の報告があった。

前田委員より、「被害に遭うのは未成年者が多いが、保護者は何を
しているのか。警察が言うことではないかもしれないが、保護者が何
もしなかったということでいいのか。予防という意味では、保護者対
策にもっと力を入れるべきではないか。保護者に対して、しっかり保
護させることをしなければ、いくら犯人を捕まえても被害はなくなら
ない。法律では少し難しいのかもしれないが、せめて保護者に対する
啓発に力を入れなければ、きれい事では済まないと思う」旨の発言が
あり、生活安全局長から、「委員御指摘のとおりと思う。政府レベル
において、本年2月に『子どもを守るための対策に関する関係省庁申
合せ』がなされ、学校や教育委員会等に働きかけて、例えば入学説明
会等の保護者が集まる機会に、必要な説明をしてもらうという努力は
している。また、各都道府県警察においては、昨年11月から、学校
行事や非行防止教室等の保護者と接する機会を捉えて、被害の実情や
フィルタリングの必要性等について、警察官が直接赴いて説明すると
いうことも進めており、本年6月までに全国で約2万5千回実施して
いる旨報告を受けているので、引き続き地道に進めていきたいと考え
ている」旨の説明があった。

田尾委員より、「出会い系サイトより、最近はコミュニティサイト
に起因する犯罪がかなり増えており、今後もその傾向は続いていくと
思われる。これは、出会い系サイトについては、様々な規制による効
果が現れて減少してきたが、コミュニティサイトについては、規制が
間接的なもので難しい面があり、結局EMAという機関に頼らざるを
得ないということなのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「出
会い系サイトに起因する事犯については法改正もあり、様々な規制が
強化され、継続的に減少してきていると思う。他方、コミュニティサ
イトについては、現状では、まさに事業者、サイト運営者、保護者、
認定機関であるEMAそして警察が一緒になって、このような取組み
を進めていくしかないと思っている。中には、非常に深刻に捉えて自
助努力しているサイトも増えてきているので、この傾向が続けば、事
犯の減少傾向が拡大するのではないかと思われる。特に、事業者等へ
『自主的にミニメールをよくチェックして下さい』ということを要請
して、大手事業者が体制を拡大して対策を本格的に行ってもらうよう
になったのは、本年5月からであるので、今後、更に効果が出るもの
と期待している。また、新しいサイトも出てきているので、そのよう
なサイトも含めて更に働きかけていきたい」旨の説明があった。

田尾委員より、「フィルタリングについて、出会い系サイトに対し
ては大体かけるようになっているが、コミュニティサイトに対しては、
そのようになっていないのか」旨の発言があり、生活安全局長から、
「一概に、コミュニティサイト全てが対象になるものではなく、その
中で有害なものを含んでいるものについてEMAが認定すると、各事
業者がフィルタリングをかけている中でも、有害情報に引っかかって
くるということになると思う」旨の説明があった。

長谷川委員より、「先日、ある研究会で聞いたが、インターネット
の技術というのは、テクノロジーの成熟度としては、おもちゃみたい
なものだそうで、安全性の点では穴がたくさんある状況のようである。
まだまだ発展途上の技術のようだが、技術の成熟よりも先に広がって
おり、未熟な技術がこれだけ世に広まってしまった現在は過渡期とい
うことである」旨の発言があり、生活安全局長から、「確かに穴はた
くさんある。民間技術者も含めて様々な検討を行う枠組みがあるので、
追いつかないところもあるが、しっかり対応してまいりたい」旨の説
明があった。

髙木委員より、「EMAにももっと防犯意識を持ってもらいたい。
報告にもあったが、事犯の多いサイトについては厳しい姿勢で臨む必
要がある」旨の発言があり、生活安全局長から、「自助努力もせず、
きちんと監視もしないまま被害の多発を及ぼしているサイトに対して
は、EMAも『認定しないよう努力していく』とのことであり、期待
したい」旨の説明があった。

山本委員より、「善良な社会人に被害を及ぼす犯罪的行為を、金儲
けのために平気で実行する者は、何度も同種行為に及ぶと思われるの
で、直ちに氏名の把握は困難でも、例えば、行為者の痕跡を記録する
など、メルクマールを付けるようなことも検討し、属性を掴んでおく
ようなことも必要ではないかと感じる」旨の発言があった。

(5)平成23年上半期の暴力団情勢について

刑事局長から、平成23年上半期の暴力団情勢について報告があっ
た。

長谷川委員より、「暴力団の排除ということで、条例が全国に行き
渡って環境が整ってきたのかもしれないが、『本当に暴力団に関係し
ている企業あるいは人なのか』ということを一般の人はどのようにし
て知り得るのか。条例で『そういうことは止めましょう』としていて
も、実際に暴力団かどうか、どうやって見分けるのか」旨の発言があ
り、刑事局長から、「暴力団関係の企業か否かということは確かに一
般的には分かりにくい。現時点では、違反する行為があれば勧告した
り、公にしたりする手続が規定された条例がかなりできている。また、
警察へ相談に来られた際に、『このような企業なので、このような対
応が必要ではないか』ということを警察から教示するという対応をと
っているところである」旨の説明があった。

長谷川委員より、「そうすると、『おかしい』と思って警察へ聞く
と、何らかの情報を得ることができるということなのか」旨の発言が
あり、刑事局長から、「暴力団排除のために警察へ相談される企業や
関係者に対しては、情報提供する方針である」旨の説明があり、長官
から、「事件検挙により、捜査の過程で様々な情報を入手したりして、
新たに条例を適用するための準備を行っているところである。東京都
では本年10月から条例が施行されるので、これで全国で同種条例が
施行されることとなる。警視庁では努力して様々な情報を整理してい
るところであると思う。つまり、条例という相当な威力がある新しい
武器で対処する努力をしていくことが必要であり、条例ができただけ
でそのまま黙っていてはいけない」旨の説明があり、長谷川委員より、
「即効力があるようにやっていただきたい」旨の発言があった。刑事
局長から、「暴追センターでも、各企業等からの相談に対応しており、
そこにある程度の暴力団の資料が蓄積されているが、業界でも、報道
されたものが基になっているとは思われるが、既にデータベースを構
築しているところがある」旨の説明があった。

髙木委員より、「北九州の工藤會による事件がなかなか検挙されな
いが、やはり捜査は難しいのか」旨の発言があり、刑事局長から、
「恐らく暴力団との関係を遮断しようとする企業等に対する攻撃であ
るとみられるが、これらの事件の防圧と検挙は喫緊の課題であると警
察庁も福岡県警察も受け止めて取り組んでいる。相当検挙もしている
ものの、発砲事件そのものの解決については非常に少ない現状である。
暴力団と戦う人たちが狙われているという非常に特異な状況にあるこ
とから、このような人たちをしっかり守りながら、取締り、暴排も含
めて対策を強化し、一生懸命取り組んでまいりたい」旨の説明があっ
た。

(6)自動車安全運転センター評議員任命の認可について

交通局長から、「自動車安全運転センター法の規定に基づき、同セ
ンターから国家公安委員会に対して、評議員任命についての申請がな
されたが、適正であると認められたことから、長官決裁の上、専決に
より評議員の任命について認可を行った」旨の報告があった。

(7)天皇皇后両陛下の国際微生物学連合2011会議記念式典御臨席等
に伴う警衛警備について

警備局長から、「天皇皇后両陛下は、9月9日から9月12日まで
の間、国際微生物学連合2011会議記念式典御臨席等のため、北海
道へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施す
る」旨の報告があった。

(8)台風12号に伴う被害状況と警察措置について

警備局長から、台風12号に伴う被害状況と警察措置について報告
があった。

(9)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの特
別派遣部隊の数、行方不明者の捜索活動等について報告があり、関連
発言として、刑事局長から、死体取扱及び身元確認状況等について、
生活安全局長から、避難所において相談受理等に従事する特別派遣の
女性警察官の活動を8月末で終了したこと等について、情報通信局長
から、通信機能の維持・復旧のための活動について、それぞれ報告が
あった。