定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年10月20日(木)

午前10時00分 午前11時35分


第2 出席者 山岡委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、交通局長、警備局長、

情報通信局長

長官官房審議官(刑事局担当)、首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「北海道警察の技術職員が、酒気帯び運転をして
物件交通事故を起こし、現行犯逮捕された事案に関し、北海道警察は、
国家公安委員会の了承が得られれば、10月20日、監督責任として、
地方警務官の警察署長を本部長注意の措置とする予定である」旨の説
明があり、原案どおり了承した。

(2)自動車安全運転センター役員の選任の認可について

交通局長から、自動車安全運転センター役員の選任の認可について
説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、内容を
一部修正の上、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成23年度上半期会計監査実施状況について

官房長から、平成23年度上半期会計監査実施状況について報告が
あった。

(3)警察庁夏期節電実行計画の実施結果について

官房長から、警察庁夏期節電実行計画の実施結果について報告があ
った。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(1)で説明のあった北海道警察の技術職員に
よる酒気帯び運転事案に関し、「北海道警察は、10月20日、同職
員を懲戒免職処分とする予定である」旨及び「茨城県警察の警部補が、
酒気帯び運転をした事案に関し、同県警察は、10月25日、同警部
補を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注
意の措置とする予定である」旨の報告があった。

(5)サイバー空間の脅威に対する総合対策推進要綱の制定について

生活安全局長から、「サイバー空間の脅威に対処するためには、社
会全体の対処能力の強化を促進する必要があることから、サイバー空
間の脅威に対する総合対策推進要綱を制定して、警察の各部門が連携
して総合的な対策を効果的に推進することとした」旨の報告があった。

(6)平成23年上半期の「インターネット・ホットラインセンター」の
運用状況について

生活安全局長から、「インターネット・ホットラインセンターでは、
平成23年上半期に86,200件の通報を受理し、通報された情報
を分析した結果、違法情報は19,286件、有害情報は3,053
件であった」旨の報告があった。

(7)警察における取調べの実情について

長官官房審議官(刑事局担当)から、警察における取調べの実情に
ついて報告があった。

前田委員より、「自白の契機のところで一番目に『信頼関係』とい
うのが挙げられているが、『信頼関係』というのはとても情緒的な表
現であって、『取調べ官が信頼関係を作ったから犯人が自白した』と
いうのは科学的とは思われない。対等な関係ではないから、取調べで
被疑者と『信頼関係』を構築するということ自体が異常なことである
と思う。科学性が出るよう表現を工夫すべきではないか」旨の発言が
あり、官房長より、「警察として、以前から『信頼関係』という言葉
を使用しているが、確かに追及する側と追及される側に『信頼関係』
ができるというのは違和感があるという指摘はあり、更に良い表現が
ないか検討してみたいと思う。ただ、重い罪を犯した人間ほど単に追
及するだけでは自白しないものであり、アンケート結果にも示されて
いるが、不利益な証拠があっても認めない、罪の意識があってもそれ
だけでは認めない。それで、取調べ官としては、犯人がなぜこのよう
な犯罪を犯したのかということを一生懸命知ろうとする。すると、犯
人の不幸な生い立ちや、犯行の背後にある醜い人間関係があったりす
る。取調べ官としては、犯人が最も話したくない犯行動機を引き出す
ため、犯人を理解しようという努力をし、それによって閉ざされた犯
人の心がある程度開かれていくというプロセスを経ることが多いと思
われる。このような関係を警察では『信頼関係』と言ってきたところ
である」旨の説明があった。

前田委員より、「それは、プロの取調べ官による『説得』であり、
『信頼』ではないと思う」旨の発言があり、官房長から、「犯人に、
『この取調べ官なら分かってもらえるかもしれない』、『この取調べ
官なら言わなければいけない』という気持ちが芽生えなければ自白し
ないことも事実であり、説得だけではなかなか自白しないということ
も含めて、『信頼関係』という表現を使っている」旨の説明があり、
前田委員より、「『信頼関係』とは価値を含む言葉であり、情緒的で
あって科学的なものではないと思われる」旨の発言があり、次長から、
「以前、科学警察研究所において研究を行い、取調べの形態で最も有
効なものは、『共感的アプローチ』ということであった。これを捜査
員の感覚に置き直すと、『信頼関係』ということになるのだと思われ
る」旨の説明があった。

(8)大手建設会社に対する恐喝未遂・会社法違反(利益供与要求)事件
の検挙について(警視庁)

長官官房審議官(刑事局担当)から、大手建設会社に対する恐喝未
遂・会社法違反(利益供与要求)事件の検挙について報告があった。

委員長より、「暴排条例の整備等、暴力団排除の機運が高まってい
る中で本件を検挙したことは時宜を得たものである。抑止効果が働く
よう、よく広報してもらいたい」旨の発言があった。

(9)良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について

交通局長から、良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推
進について報告があった。

前田委員より、「『自転車は車両であることを徹底する』というこ
とであるが、アンケート結果では8割以上の人が自転車の交通ルール
を知っていると答えているにもかかわらず、実態としては交通ルール
が守られておらず、大きく乖離している。道路交通法で自転車は車両
とされているが、自転車は免許が不要であり、自転車しか乗らない人
は免許の更新ということもなく、交通法規を勉強する機会もないので、
このような人にどのようにして周知徹底を図っていくのかをもう少し
検討する必要があるのではないか。また、交通統計をみると、年間に
自転車で事故を起こした人は2万人余であり、そのうちの約半分は未
成年者である。未成年に、『自転車は車両である』という定義のよう
なことだけ言っていても効果は低く、『自転車は車両だから、違反し
たら検挙される』といった何かメッセージを発信するような工夫が必
要なのではないか。この点、小学生や中学生に対する学校での交通安
全教育はかなり進んでいるが、高校生になると、暴走したり、ルール
を守らなかったりするため、一番事故が多い。だから対象を絞ること
も必要ではないか。また、国民のほとんどが免許を持っているが、免
許更新に行っても、講習で自転車については教えていないのではない
か。『自転車には気をつけろ』とは言われるものの、自転車に乗ると
きの危険性や道路交通法が適用されることについて、あまり聞く機会
がない。交通の教則の本でも記述が少なく、平成19年の道路交通法
令改正による自転車利用対策の推進について記述があるくらいであり、
検討する必要があるのではないか」旨の発言があり、交通局長から、
「『自転車は車両である』ということで何を訴えたいかというと、自
転車に乗る人に対しては、『自転車は車両であり、基本は車道を走る
ものであること。歩道を走る際は、車両なのだから例外として歩道を
走っているのであり、歩行者に配慮すべきであること』を自覚して欲
しいということ、自動車を運転する人に対しては、『自転車は車両な
ので、車道を走るのが当然であり、邪魔だから歩道に上がれと思わな
いこと』を認識して欲しいということである。また、学校教育に関し
て、中央教育審議会で学校の安全の推進に関する計画を策定すること
となっているが、その中に交通安全も含まれており、警察庁からは自
転車の安全利用についても入れるように申し入れている。特に高校生
に対する交通安全教育としては、「スケアード・ストレイト」という
手法で、スタントマンに依頼して、自転車に乗って自動車にぶつかっ
た場合にどのようになるか実演してもらい、それを見学させて危険性
や交通ルールを守ることの重要性を教える取組みを全国で進めている
ところである。また、成人に対しては、交通の教則の中に加えて読ん
でいただくようにしているところではあるが、必要なことは加えてい
きたいと考えている。ただ、優良講習は30分しかないので、その中
で、『こういうことが書いてあるので見てください』などと、講習時
に説明するようにしている。また、『ルールは知っていても守られて
いないから、きちんと取り締まった方がよいのではないか』という御
指摘についてはそのとおりであり、今回発出する通達においても、積
極的に取り締まるように検挙の方針を示しているところである。現在、
全国で2,000件強の検挙であるが、取り締まるべきは取り締まっ
ていきたい」旨の説明があり、長官から、「今回のアンケートは免許
更新時の講習の際に実施したものであり、免許を持っている方が対象
となっている。免許を持っている方は、一応交通ルールを知っている
が、問題は免許を持っていない方にどのようにして安全教育を行うか
ということである。これは必ずしも行き届いていないことから、更に
検討していかなくてはならない」旨の説明があった。

(10)皇太子殿下の第11回全国障害者スポーツ大会御臨場等に伴う警衛
警備について

警備局長から、「皇太子殿下は、10月21日から10月22日ま
での間、第11回全国障害者スポーツ大会御臨場等のため、山口県へ
行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨
の報告があった。

(11)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの特
別派遣部隊の数、行方不明者の捜索活動等について報告があり、関連
発言として、長官官房審議官(刑事局担当)から、身元確認状況につ
いて、生活安全局長から、防犯活動等について、それぞれ報告があっ
た。

3 その他

(1)官房長から、トルコにおけるアフガニスタン警察官訓練への支援
(柔道講師の帰国)について報告があった。

(2)交通局長から、大阪マラソン(新規開催)における交通対策等につ
いて報告があった。

(3)警備局長から、国際テロ対策に係るデータのインターネット上への
掲出事案への対応について報告があり、山本委員より、「今後このよ
うな事案が発生しないように、再発防止措置を徹底してもらいたい」
旨の発言があった。