定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年11月10日(木)

午前10時00分 午前11時30分


第2 出席者 長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「11月21日付けを始めとする地方警務官7名の人
事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり
決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「青森県警察の巡査部長が、青森市内の民家敷地
内に侵入し、下着を窃取しようとしたとして、10月24日に緊急逮
捕された事案等に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られ
れば、11月14日、監督責任として、地方警務官の警察署長を本部
長注意の措置とする予定である」旨及び「警視庁の警部補が神宮球場
の地下倉庫内等に侵入し、Tシャツ等を窃取したとして、10月14
日に懲戒免職処分となった事案に関し、警視庁は、国家公安委員会の
了承が得られれば、11月11日、監督責任として、地方警務官の警
察署長を警視総監注意の措置とする予定である」旨の説明があり、原
案どおり了承した。

(3)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募
集について

交通局長から、道路交通法施行令等を改正するに当たり、11月1
1日から12月10日までの間、同改正案を一般に公表し、意見を募
集することについて説明があり、原案どおり決定した。

山本委員より、「運転経歴証明書の扱いについて、これは本来警察
がやるべき業務なのか。警察の持っている力は本来必要とされるとこ
ろへなるべく集中することが望ましいという考え方からすれば、警察
以外のところで対応するということで良いのではないか。確かに利用
する立場からみると、このような制度があった方がいいということで
あろうが、警察が本来やらなければいけないことかどうか考えると、
なるべく負担を軽減することも考えなければならないと思うが、その
辺りについてはどのように認識しているのか」旨の発言があり、交通
局長から、「基本的には委員の言う通りである。その上で3点につい
て説明したい。第一は、この施策は国民からのニーズが高かったこと
から、できる限り身分証明書としての機能を果たしやすいように変え
ていこうというものである。第二に、広く交通安全を求める交通警察
行政において、関係があるのかないのかということであるが、典型的
な例として、家族から、『高齢だから免許証を返納して欲しい』とい
う声があっても、返納すれば身分証明書がなくなってしまうからと高
齢者が躊躇されているということがあり、このような高齢者の方々が
免許証の自主返納をしやすくするということができるようになり、ひ
いては交通安全につながるということである。第三に、この事務がど
のくらいの負担になるのかということについては、運転経歴証明書の
発行は、全国で年間に2,3万件であり、運転免許行政全体では、年
間に約1,000万件くらい取り扱っていることを考えれば、それほ
ど大きな負担にはならない」旨の説明があった。

山本委員より、「本件そのものを止めるべきだと言うつもりはない
が、この種のことを考える際には、警察業務全体から見た対応という
ことも是非検討してもらいたい」旨の発言が、田尾委員より、「今回
の改正は、運転経歴証明書が身分証明書的な機能を持っているという
ことが大きな柱となっているが、この制度ができた後、住基カードが
できたことから、身分証明書としての運転経歴証明書の存在理由は低
下しているのではないかと思われる。むしろ、交付申請が可能な期間
を1ヶ月から5年以内に延長することによって、免許証の返納に伴う
特典を得ることが目的の運用が多くなるというのが実際のところでは
ないか」旨の発言があり、交通局長から、「県によっては、免許証を
自主返納した高齢者の方の利便性確保という観点から、運転経歴証明
書を持っている方には、例えば、タクシー代やバス代について割引を
するといった特典を設けているところがあるが、これは身分証明書の
機能とは違うものである」旨の説明があった。田尾委員より、「犯罪
収益移転防止法施行規則を今回改正して、この運転経歴証明書を同規
則上の本人確認書類として明記するということであるが、同規則では、
作成から6ヶ月以内であれば本人確認書類として使用できることとさ
れているが、この部分はどのようになるのか」旨の発言があり、交通
局長から、「規則に明記されれば、作成から6ヶ月以内という制限は
なくなる」旨の説明があり、田尾委員より、「同規則に列挙されてい
る本人確認書類は全て有効期間があるものではなかったのか」旨の発
言があり、交通局長から、「例えば、母子手帳等は有効期限はない」
旨の説明があり、田尾委員より、「そうすると、運転経歴証明書は有
効期間がないものとして明記されることになるのか。昨年、10年間
の期限を付けるというようなことが話題に上ったと思うが、どうなの
か」旨の発言があり、交通局長から、「御指摘のようなことが以前新
聞等に出たことはある。しかし、運転経歴証明書は、運転経歴という
過去の事実の証明であり、過去の事実として続くものであるから、有
効期限を設けることにはやはり無理があるという意見が強く、部内で
検討した結果、有効期限を外したものである」旨の説明があった。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)会計検査院の平成22年度決算検査報告について

官房長から、会計検査院の平成22年度決算検査報告について報告
があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)で説明のあった青森県警察の巡査部長に
よる窃盗事案等に関し、「同県警察は、11月14日、同巡査部長を
懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長訓戒の
措置とする予定である」旨、「神奈川県警察の巡査長が、盗撮行為を
したとして、9月22日に現行犯逮捕された事案等に関し、同県警察
は、11月11日、同巡査長を懲戒免職処分とする予定である」旨、
「新潟県警察の警視が、酒気帯び運転車両に同乗するなどした事案に
関し、同県警察は、11月11日、同警視を懲戒免職処分とするとと
もに、監督責任として、上司を本部長訓戒の措置とする予定である」
旨及び「福岡県警察の巡査が、当番勤務中に管内住民宅において現金
を窃取し、10月11日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、
11月10日、同巡査を懲戒免職処分とする予定である」旨の報告が
あった。

前田委員より、「新潟の事案のように酒気帯び運転車両への同乗で
懲戒免職とするものは他にもあったのか」旨の発言があり、首席監察
官から、「同乗で懲戒免職とするものは、本年の発生では初めてであ
る」旨の説明があり、前田委員より、「一緒に酒を飲んでいて、自分
で運転したことと同じであるということなのか」旨の発言があり、首
席監察官から、「取締りにあった際、一緒に酒を飲んでいたにもかか
わらず、運転していた女性に対して、『警察に聞かれたら、アルコー
ルチェッカーで検知したけれども、自分はアルコールはゼロだったと
弁解しろ』などと言っていたことが判明し、飲酒運転とわかっていな
がら自分も同乗していたということが露見するということもあり、女
性にそのようなことを言わしめたというものであり、非常に悪質な事
案であるため、最も厳しい免職処分としている」旨の説明があり、長
官から、「共同正犯に近いものである」旨の説明があった。

田尾委員より、「非違事案が最近随分多いと感じる。昨年も多かっ
たが、それに次ぐくらいの多さではないか」旨の発言があり、長官か
ら、「警視や警部という幹部によるものが多いことが特徴である。ま
た、福岡の事案のような、制服を着て家人の現金を窃取するなど言語
道断の事案が発生している」旨の説明があった。

長谷川委員より、「先日、九州管区内公安委員会連絡会議に出席し
てきたが、席上、県の公安委員より、『最近いろいろ不祥事が多いが、
国家公安委員会としてはどのような指導をしているのか』と聞かれ、
私から、『一つの対策を講じたからといってすぐに改善するものでは
なく、様々な対策を講じていかなければならない。警察改革10年の
中で、長い目で見れば良くなっていると思う。全体で下げる方策はな
いことから、飲酒、会計の不適正経理、盗撮等の破廉恥な行為、暴力
団との癒着等、いろんな種別ごとに、何が原因で、どうしてそのよう
なことになるのかということを、年齢や地位や生活環境等とも合わせ
てきめ細かく検討していくほかないと思う』と話したところ、ある委
員より、『採用時に見分けられないかと言われるが、10分や15分
の面接試験で見分けるというのは無理だと思うが、本当に採用の際に
見分けられるような兆候はあるのか』と聞かれたが、そのようなもの
はあるのか」旨の発言があり、長官から、「採用後、警察学校に相当
の期間入校し、その間は共同生活であり、教官もずっと接しているた
め、その過程で適格者かどうかはある程度わかると思う。各県での対
策については、国家公安委員会ではなく、各県の公安委員会において
責任をもって対応していただくものと思う」旨の説明があり、官房長
から、「初任科の入校中で見ると、2割程度辞めている県もある」旨
の説明があった。

長谷川委員より、「私もその点を指摘して、入校中に不適格者を把
握することは良いことである旨話したところである」旨の発言があっ
た。

首席監察官から、「懲戒処分者数は、昨年が一昨年と比べて6割増
であったところ、今年は、現時点で昨年のペースにかなり近づいてき
ており、昨年よりわずかに少ない状況である」旨の説明があった。

(4)第80回ICPО総会の開催結果について

刑事局長から、「10月31日から11月3日までの間、ベトナム
において、第80回ICPО総会が開催され、我が国からは組織犯罪
対策部長ほかが出席し、2012年のICPO活動計画及び予算案等
の審議、採決が行われた」旨の報告があった。

(5)FATF対日審査フォローアップ結果について

刑事局長から、FATF対日審査フォローアップ結果について報告
があった。

(6)安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検討委員会について

交通局長から、「平成20年に国土交通省と指定した自転車通行環
境整備モデル地区事業の評価・検証を行い、有識者からガイドライン
の提案を受けるため、安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検
討委員会を開催する」旨の報告があった。

(7)皇太子殿下の山梨県及び長野県行啓に伴う警衛警備について

警備局長から、「皇太子殿下は、11月13日から11月14日ま
での間、恩賜林御下賜100周年記念大会御臨席のため、山梨県へ、
11月14日から11月15日までの間、第14回全国農業担い手サ
ミットin長野御臨席等のため、長野県へ行啓になる予定であり、こ
れに伴い所要の警衛警備を実施する」旨の報告があった。

(8)野田内閣総理大臣の米国訪問(ホノルルAPEC首脳会議出席等)
に伴う警護警備について

警備局長から、「野田内閣総理大臣は、11月12日から11月1
4日までの外遊日程で、APEC首脳会議出席等のため、米国(ハワ
イ)を訪問する予定であり、これに伴い所要の警護警備を実施する」
旨の報告があった。

(9)野田内閣総理大臣のインドネシア訪問(ASEAN関連首脳会議出
席等)に伴う警護警備について

警備局長から、「野田内閣総理大臣は、11月17日から11月2
0日までの外遊日程で、ASEAN関連首脳会議出席等のため、イン
ドネシアを訪問する予定であり、これに伴い所要の警護警備を実施す
る」旨の報告があった。

(10)東日本大震災における警察活動に係る検証と今後の災害対策につい

警備局長から、東日本大震災における警察活動に係る検証と今後の
災害対策について報告があった。

前田委員より、「警察そのものの対応はこれで良いと思うが、大災
害が発生した場合、自衛隊とどのように任務を分担するか、若しくは
一緒に行うかといった基本的なことを決めておく必要がある。昨日、
東北管区内公安委員会連絡会議に出席してきたが、議論の中で、『自
衛隊は知事からの出動要請を受けて出動し、警察は自らの判断で行動
するが、警察は本当に十分な装備もなく活動をしている一方、自衛隊
は近代装備を多く保有しており、両者の連携のあり方はどうなのか』
といった意見が出ていた。今回の震災において連携はどうであったか、
国単位で考えた場合、もう少しあらかじめ決めておく必要があるので
はないか」旨の発言があり、警備局長から、「昨日の災害対策検討委
員会でも御指摘のような意見が出ており、現地のヒアリングも含めて、
平時から今後の災害活動における自衛隊との連携のあり方について十
分検討してまいりたい」旨の説明があった。

前田委員より、「警察と自衛隊の連携がうまくいかない場合は、総
理大臣のところで決めるなど、何か決めておかないと、また同じこと
が起こると思う。関東で大規模な災害が発生したら、更に被害はひど
くなるので、これは平時に決めておかないと反省したことにはならな
い。具体的にどこまでは決めておいて、後はそのときに決めるという
ようにしておかないと、何も決まっていなければ一から始めることと
同じで、極めて効率が悪く、毎回反省だけが残るということになって
しまう」旨の発言があり、長官から、「委員御指摘のとおり、まず警
察において検討し、今回の連携のあり方についていろいろと問題は出
ているので、それをきちんとまとめた上で、防衛省等と協議すること
は必要であると思う」旨の説明があった。

山本委員より、「先日、ラジオで学者の発言を聞いていたところ、
アメリカでは、非常事態の対応の際は大統領直属の組織が動いて、各
省庁の権限や所管事項を超えて対応することができるものが存在する
ようであり、防衛省との関係に限らず、地方自治体との関係も含めて、
もう少し緊急時の対応を考えた組織作り、体制作りが必要ではないか」
旨の発言があり、警備局長から、「委員御指摘のとおり、アメリカに
はFEMAという組織があり、日本でも日本型のFEMAの設置につ
いて検討したことがあるが、そのような組織はできていない。現在の
枠組は、東日本大震災の際もそうだが、内閣危機管理監の下、総理大
臣官邸の危機管理センターに関係省庁の局長が集まり協議するという
ものであり、これで対応してきたところである」旨の説明があった。

(11)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの特
別派遣部隊の数、行方不明者の捜索活動等について報告があり、関連
発言として、刑事局長から、身元確認状況について、生活安全局長か
ら、防犯活動等について、それぞれ報告があった。

3 その他

(1)警備局長から、国際テロ対策に係るデータのインターネット上への
掲出事案に対する国家賠償請求訴訟への対応状況について説明があっ
た。

   また、警備局長から、同事案に関する国家公安委員会(委員長)あ
ての意見要望に対する措置について説明があり、その内容を了承した。