定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年1月19日(木)

午前10時00分 午前11時05分


第2 出席者 松原委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、交通局長、警備局長

情報通信局長

組織犯罪対策部長、首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「1月13日付けを始めとする地方警務官等2名の
人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案ど
おり決定した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)東北3県警察への特別出向の開始について

官房長から、岩手県警察、宮城県警察及び福島県警察への特別出
向の開始について報告があった。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「北海道警察の巡査部長が、虚偽の供述調書を
作成するなどしたとして、平成23年10月28日に通常逮捕され
た事案等に関し、北海道警察は、1月19日、同巡査部長を懲戒免
職処分とする予定である」旨の報告があった。

前田委員より、「本件のように、書類を作らないで放置しておく
というのは、警察のみならず一般企業でも見受けられることではあ
るが、管理する仕組みがどこかまずいのではないか。半年間も放置
していることがそもそも異常なことであるが、もしその異常なこと
を上司が異常と気付かず、『はい、わかりました』として了解して
いたら、更に異常なことである。それは管理していないということ
であり、管理の仕組みがワークしていないということである。少な
くとも、捜査して書類を作成しないというのは、どうみても異常で
あり、それについて上司が全く感知しなかったのか、元々の仕組み
が悪いのか、その辺りを検証しないと再発防止にはならないと思う
が、どうなのか」旨の発言があり、首席監察官から、「北海道警察
においては、本件のような交通事故処理や、交番において取り扱う
軽微な事案の捜査書類に関して、同様の事案が続発している。この
ことから、現在、個別の事案について責任を追及するとともに、担
当部局においても、再発防止に向けての業務指導を行っているとこ
ろである」旨、交通局長から、「一般論として申し上げると、各県
に、交通事故の捜査状況等を管理するコンピュータシステムがあり、
事故が発生すると認知の登録をし、供述調書を作成したかどうかも
そのシステムによって調べることができるようになっている。なお、
『書類を半年以上作らないのは異常ではないか』という御指摘があ
ったが、事件関係者が怪我などで入院している場合は、かなり長期
間、書類を作成しない状態が続くことはある」旨の説明があった。

前田委員より、「そのような理由があることを上司もわかってい
て管理しているのであれば良いが、本件はそうではないのではない
か」旨の発言があり、交通局長から、「書類が作成されたかどうか
はコンピュータに登録され、『何月何日に誰々の供述調書が作成さ
れた』ということはコンピュータを見れば分かり、形式上は、各県
ともそのようなチェックはできるようになっている。ただし、そも
そも書類が偽造されたかどうかは、よく読んで中身を見極められる
幹部の力量そのものにかかってくる面がある」旨、生活安全局長か
ら、「地域警察官の交番における取扱い事案の放置については、組
織としての事案処理の管理という観点から、都道府県警察を指導し
ているところである」旨の説明があった。

首席監察官から、「北海道警察の巡査が、クレジットカードを使
用してブランド品販売店において商品購入名下に高額商品を騙し取
ったとして、平成23年12月7日に通常逮捕された事案に関し、
北海道警察は、1月19日、同巡査部長を懲戒免職処分とするとと
もに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とする予定である」
旨及び「長崎県警察の巡査が、交際していた女性等から現金等を窃
取した事案に関し、同県警察は、1月20日、同巡査を懲戒免職処
分とするとともに、監督責任として、上司らを本部長注意等の措置
とする予定である」旨の報告があった。

(3)インターネットバンキングにおけるセキュリティ対策向上のため
の全国銀行協会の申し合わせについて

生活安全局長から、インターネットバンキングにおけるセキュリ
ティ対策向上のための全国銀行協会の申し合わせについて報告があ
った。

(4)広島刑務所からの逃走受刑者の検挙について(広島県警察)

組織犯罪対策部長から、1月11日に発生した広島刑務所からの
受刑者逃走事件に係る捜査状況等について報告があった。

(5)平成23年の特殊詐欺認知・検挙状況等について

組織犯罪対策部長から、平成23年の特殊詐欺認知・検挙状況等
について報告があった。

山本委員より、「従前から事件が継続して発生していて、できる
だけ減らすために、『高齢者が見る番組等で、被害防止のための情
報を流してもらうような工夫をしてもらいたい』などとお願いし、
その後、ラジオ等でもオレオレ詐欺に対する一口メモのようなこと
が継続的に報道されるようになり、いろいろと努力していることは
よく分かる。しかし、特殊詐欺の被害額が200億円を超えるとい
う実情をみると、個々人に甚大な被害を及ぼしている例がまだまだ
あるということを考えなくてはならず、恐らく限られた人間が繰り
返し犯行に及んでいるとも考えられるので、まだまだ楽観できる状
況にない。これまで行ってきた取組については引き続き推進してい
くとともに、新しい方法、手段というものがないのか、創意工夫に
努めてもらいたいと思う」旨の発言があり、組織犯罪対策部長から、
「振り込め詐欺の被害額は、多いときで280億円を超えていたが、
平成21年に100億円を下回り、最近は100億円前後で推移し
ている。しかし、減少していると言っても、依然として多額の被害
が出ていることから、御指摘を踏まえて知恵を絞ってまいりたい」
旨の説明があった。

長谷川委員より、「グラフを見ると、急増して多発していたのが、
広報活動とか検挙で減少したが、ある程度以上は減少せず、ゼロに
はならない。新手の手口が出れば、また急増することになる。どの
ような手口であれ、電話を架けたり、いろいろな話を持ちかけて金
を騙し取るわけであり、オレオレ詐欺や還付金等詐欺等の特定の手
口に注意を集中するのではなく、話の内容は何であれ、『そういう
話は絶対疑ってください』、『この手の話は信じたらダメですよ』
という一般的な注意を喚起するような広報啓発をすることが必要で
はないか」旨の発言があり、長官から、「例えば、還付金等詐欺に
ついては、かなり広報啓発活動をして、一時ほとんどなくなったが、
最近また増加している。広報啓発活動や注意喚起は継続する必要が
あり、新しい手口だけでなく同じ手口による被害がまた発生するこ
とがある。マスコミに対しても、引き続きお願いしながら、広報啓
発、注意喚起に努めていかなければならないと思う」旨の説明があ
った。

(6)福岡県中間市における建設会社役員に対する拳銃使用殺人未遂事
件の発生について(福岡県警察)

組織犯罪対策部長から、福岡県中間市における建設会社役員に対
する拳銃使用殺人未遂事件の発生について報告があった。

山本委員より、「暴力団対策に関し、仕返しや脅しの可能性があ
るのではないかという感じもするが、そういう意味からすれば、本
件のような事件をきちんと検挙することが、同種事犯の再発を防ぐ
ことに繋がるし、警察に対する協力や、暴力団と縁を切るという動
きを進めることにも繋がると思う。なかなか困難が伴うと思うが、
是非力を入れてもらいたい。先日の広島刑務所から脱走した受刑者
の逮捕は、それ以前のオウム真理教特別手配被疑者の出頭の際の対
応等で『どうなっているんだ』ということを言われる中で、警察庁
を管理する立場としても、非常に的確な対応であったし、その努力
を多としたいと思う。そういう流れの中で、本件についても良い結
果を出すことができれば、警察に対する信頼がなお高まっていくと
思われるので、検挙に向けて尽力してもらいたい」旨、髙木委員よ
り、「本件は、暴力団との関係を絶ったことが原因なのか」旨の発
言があり、長官から、「一般論として申し上げると、この種事件の
被害関係者の方々の中には、暴力団とどのような関係にあったかと
いうことについて、あまりお話ししていただけない方もおられ、な
かなかそこから先に捜査が進まないという問題がある。被害関係者
の方々は、暴力団を恐れてなかなか話しづらいとは思うが、そこは
警察を信頼していただいて、いろいろと背景事情をお話ししていた
だきたいと考えている。本件の被害者の方はまだお話いただける状
況ではないようであるが、回復後、是非御協力いただきたいと思う。
警察としても、御協力いただけるように、引き続き努力してまいり
たいと考えている」旨の説明があった。

(7)「第17回銃器犯罪根絶の集い・埼玉大会」の開催について

組織犯罪対策部長から、1月30日に開催される「第17回銃器
犯罪根絶の集い・埼玉大会」について報告があった。

(8)「特別会計改革の基本方針」について

交通局長から、「特別会計改革の基本方針」について報告があっ
た。

髙木委員より、「これはどのような意義があるのか」旨の発言が
あり、交通局長から、「特別会計に対する批判を受け、一般会計の
中に通すことによって、『このお金はこのように使われます。予算
を見て下さい』ということで、一覧性、総覧性が高まるという判断
でこのような改革が行われている。いまの特別会計の整理の仕方と
して、できるだけ一般会計を経由していくという流れがあり、その
一つである」旨の説明があった。

(9)情報セキュリティ政策会議第28回会合の開催について

警備局長から、情報セキュリティ政策会議第28回会合の開催に
ついて報告があった。

(10)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの
特別派遣部隊の数、行方不明者の捜索活動等について報告があり、
関連発言として、組織犯罪対策部長から、身元確認状況について、
生活安全局長から、防犯活動等について、それぞれ報告があった。

3 その他

(1)組織犯罪対策部長から、平成9年に発生した流山市鰭ヶ崎におけ
る女性殺人事件の検挙等について報告があった。

田尾委員より、「物的証拠の扱いについてかなり問題があった旨
報告があったが、私自身は、取調べの在り方というか、当時の被害
者親族に対する取調べにかなり問題があったのではないかと思うの
で、その辺りは十分検証して、どこに間違いがあったのか、しっか
り検討すべきであると思う」旨の発言があり、組織犯罪対策部長か
ら、「御指摘のとおり、被害者親族の供述がきっかけとなって当時
逮捕に至っているわけであるが、取調べ状況の詳細な報告を受け、
確認に努めたいと思う」旨の説明があり、委員長より、「田尾委員
の指摘のとおり、本件については、何故そのようなことが起こった
のかということを徹底的に調べてもらいたい」旨の発言があった。