定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年3月8日(木)

午前10時00分 午後0時10分


第2 出席者 長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、刑事局長、交通局長、警備局長、

情報通信局長

首席監察官、生活安全企画課長


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「3月9日付けを始めとする地方警務官等197名の
人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どお
り決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「警視庁の巡査部長が、複数の若手警察官に対し
て暴力を振るい負傷させたとして1月24日に通常逮捕された事案等
に関し、警視庁は、3月9日、監督責任として、上司を戒告処分等と
するとともに、国家公安委員会の了承が得られれば、地方警務官の警
察署長等を警視総監訓戒の措置とする予定である」旨の説明があり、
原案どおり了承した。

山本委員より、「多くの人の目に触れるはずのことが、すぐに警察
組織として把握するところとならないということについて、反省し、
改めなければならないのではないかと感じる。どうしてここまでの事
態に至ってしまったのか、危惧されるところである」旨の発言があり、
首席監察官から、「部下に対する指導がエスカレートし、この事案が
始まり出した頃に、若い警察官が怪我をしていることにその上司が気
づき、課長代理とこの巡査部長の上司の警部補へ報告をしたものの、
課長代理は警部補から、『時に行き過ぎるところもあるが、非常に熱
心である』などと聞き、着任間がないことから、課長以上にも報告せ
ず口頭注意に止めるという全く誤った対応をしたため、組織が把握す
るところに至らなかった。この時点できちんと対処していれば、その
後の非違事案を防ぐことができたはずであり、この報告懈怠について
は厳しく処分することとしている。これらを通じて、このような事案
が、所属の中で水面下で収められることのないように、組織全体に促
してまいりたい」旨の説明があった。

前田委員より、「このような事案はあまりなかったと思うが、この
ようなケースの場合、上司に相談することはできないのか。暴行を受
けた上に金まで取られて全く相談していないのか」旨の発言があり、
首席監察官から、「強烈な指導をしていく中で、若い警察官たちが、
この巡査部長を非常に畏怖する状態になり、言われるがままに金を出
していくようになってしまったという経過である」旨、官房長から、
「御指摘のとおり、我々としてもちょっと考えにくい実態であると感
じている。上司と部下との風通しが相当悪いというか、何か気づかな
い方がおかしいと思うが、そういう状態が生じてしまっている」旨、
首席監察官から、「組織管理が失敗していると考えざるを得ない」旨
の説明があった。

長谷川委員より、「やはり警察改革はまだまだ成し得ていないので
はないか」旨の発言があり、次長から、「大量増員、大量退職のため、
幹部が大幅に入れ替わり、非常に経験の浅い幹部が多くなっている中
で、よく指導をしておかないと、この種の話を組織に乗せないといっ
たことがやはり起こり得ると思う。最近、所属段階で話が止まってし
まうというケースが散見されるので、重点を置いて指導してまいりた
い」旨、長官から、「この巡査部長は勤務成績が優秀という評価だっ
たので、上司は信頼しきっていたところがあったと思われる。そのた
め、信頼し過ぎて管理が甘くなってしまったところもあるのではない
かと思う」旨の説明があった。

(3)民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係内閣府令の整備案等
について

生活安全企画課長から、民法等の一部を改正する法律の施行に伴う
関係内閣府令の整備案等について説明があり、原案どおり決定した。

(4)原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省
設置法等の一部を改正する法律の施行に伴う府令等の改正案について

生活安全企画課長から、原子力の安全の確保に関する組織及び制度
を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案の成立、施
行に伴い改正が必要となる警察庁所管の内閣府令、国家公安委員会規
則等の改正案について説明があり、原案どおり決定した。

(5)交通の方法に関する教則の一部を改正する国家公安委員会告示案に
ついて

交通局長から、交通の方法に関する教則の一部を改正する国家公安
委員会告示案について説明があり、原案どおり決定した。

(6)「国家公安委員会・警察庁防災業務計画」の修正について

警備局長から、「国家公安委員会・警察庁防災業務計画」の修正に
ついて説明があり、原案どおり決定した。

前田委員より、「この修正案の中に、「業務継続性の確保」という
項目が新しく設けられているが、これは、内容としては、現行の計画
に含まれているのか。また、業務継続計画は新たに作るのか、それと
も既にあったものを修正するということなのか」旨の発言があり、警
備局長から、「これまで、業務継続計画自体はあったが、この防災業
務計画の内容には入っていなかったことから、今回盛り込むことにし
たものである。業務継続計画については、現在、改正作業を行ってい
る」旨の説明があった。

(7)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁長官に対する開示請求の決定について(行政機関個人情報保
護法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関個人情報保護法
関係の開示請求に対する決定について報告があった。

(3)平成23年度犯罪被害者支援推進状況及び平成24年度警察庁犯罪
被害者支援推進計画の策定について

官房長から、平成23年度犯罪被害者支援推進状況及び平成24年
度警察庁犯罪被害者支援推進計画の策定について報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)で説明のあった警視庁の巡査部長による
傷害等事案に関し、「警視庁は、3月9日、同巡査部長等を懲戒免職
処分等とする予定である」旨の報告があった。

(5)平成23年中における自殺の状況について

生活安全企画課長から、平成23年中における自殺の状況について
報告があった。

(6)大阪市東住吉区における女児放火殺人事件の再審開始決定について

刑事局長から、大阪市東住吉区における女児放火殺人事件の再審開
始決定について報告があった。

(7)大規模災害に伴う交通規制実施要領の作成について

交通局長から、大規模災害に伴う交通規制の基本的な考え方、通行
を認める車両の取扱い等について示した大規模災害に伴う交通規制実
施要領の作成について報告があった。

(8)首都直下地震(東京湾北部地震)発生時の交通規制計画原案につい

交通局長から、東京湾北部を震源とする首都直下地震発生時におけ
る緊急交通路の指定予定路線、緊急点検箇所、交通検問所の選定等を
示した交通規制計画の原案について報告があった。

(9)東日本大震災一周年追悼式に伴う警衛警護警備について

警備局長から、「3月11日、政府主催の「東日本大震災一周年追
悼式」が国立劇場において、天皇皇后両陛下御臨席のもと、内閣総理
大臣等の警護対象者、遺族等が出席して開催される予定であり、これ
に伴い、所要の警衛警護警備を実施する」旨の報告があった。

(10)3.11福島第一原発事故1周年を捉えた反原発運動の動向と警察
措置について

警備局長から、3.11福島第一原発事故1周年を捉えた反原発運
動の動向と警察措置について報告があった。

(11)災害に係る今後の危機管理体制について

警備局長から、災害に係る今後の危機管理体制について報告があっ
た。

前田委員より、「業務継続性の確保について、見直しを行って業務
継続計画を早急に改定するとあるが、早急にというのは、民間では普
通3ヶ月くらいを目処としている。関係する機関等も多いと思うので、
いつまでに見直すと明示して取り組まなければ、なかなか難しいので
はないか」旨の発言があり、警備局長から、「これまで、3月11日
を目処に作業を進めてきたが、バックアップ施設の検討等がまだ済ん
でいない。今、いつまでとは明示できないが、御指摘を踏まえ、でき
るだけ速やかに改定してまいりたい」旨の説明があった。

髙木委員より、「バックアップ施設についても電源の確保が重要だ
と思うが、霞が関周辺はどのような状況になっているのか」旨の発言
があり、警備局長から、「この庁舎については、回線は複数化されて
いるが、万一に備えて非常用電源を備えている。庁舎管理は総務省が
行っており、現在一定の燃料が備蓄されているが、それが切れた後、
燃料をどのように運ぶかということが大きな課題である。霞が関全体
で首都直下地震に備えた計画の見直しを始めており、その中の一つと
して、非常用電源の継続整備が議論されることとなる」旨の説明があ
った。

(12)新型インフルエンザ等対策特別措置法案について

警備局長から、新型インフルエンザ等対策特別措置法案について報
告があった。

(13)東日本大震災発災後1年に当たっての被害状況等について

警備局長から、東日本大震災発災後1年に当たっての被害状況、警
備体制、警察施設の復旧状況、信号機の復旧状況及び行方不明者の捜
索状況について、刑事局長から、身元確認の状況について、生活安全
企画課長から、行方不明者届の受理状況及び被災地における犯罪情勢
について、それぞれ報告があった。

3 その他

(1)官房長から、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律の
概要について報告があった。

(2)交通局長から、大阪府警察における飲酒運転取締りに係る不適正事
案について報告があった。

長谷川委員より、「以前も、取締りの件数が業績として評価される
システムであると、業績を上げることの方に意識がシフトしてしまう
ので、そのような評価の仕方はすべきではないと述べたことがあり、
それについては、単に何件取り締まったら評価するというようなこと
はしていないということだったが、業績の評価の仕組み自体をもう少
し考えた方が良いのではないか」旨の発言があり、交通局長から、
「本件事案については、現在調査中であり、原因等はまだ判明してい
ないが、大阪は、全国で最も飲酒運転による事故が多いことから、大
阪府警察はもとより大阪府も含めて非常に危機感を持っており、『飲
酒運転の取締りを徹底しなければならない』という意識が一般的に強
く、警察本部から警察署に対して、多発しているところはしっかり取
り締まるように指示をしている。ただし、それは、ある程度の努力目
標として警察署と相互に協議しながら設定したものであり、個々の警
察官に『何人捕まえろ』と指示したものではない。しかしながら、一
般論として言えば、飲酒運転を多く取り締まった者が評価が高くなる
ということはあると思う。もちろん、それはきちんと一定のルールに
則って取り締まっているかどうかということが前提であって、この事
案では、かなりルールを逸脱したところがあり、捜査管理をしっかり
していれば防げたのではないかと思われる。したがって、この事案の
再発防止策として、基本的なルールを守るよう指示しているところで
ある」旨の説明があった。

前田委員より、「この警察官は、過去においても飲酒運転の検挙実
績を上げていたのか」旨の発言があり、交通局長から、「過去5年分
遡って調べたが、大抵は、年間10件、20件ぐらいの検挙であった
が、昨年は51件であり、かなり多くなっている」旨の説明があった。

前田委員より、「民間においても、極端な業績を上げている人間の
大半は疑わしいものだと思う。普通の人間の10倍の実績を上げるこ
となど、普通はできないことである。そのような業績を上げている者
を署長がどう評価していたかも見て欲しい」旨の発言があり、長官か
ら、「委員御指摘のとおり、各級幹部において、あまりにも急に実績
が上がるなど、個別の書類を見て本来気づくべきところを気づいてい
ないといったものもあるようである。業務管理の面から、署長が全部
見るというのは無理だが、やはり各級幹部がきちんと見ていく必要が
あるのに、それが欠落しているのではないかと感じられる事案がある
ように思う。その辺りも含めて、この事案に限らず、監督者の在り方、
業務管理の在り方についても防止対策として指示をしていかなければ
ならないと思う」旨の説明があった。

田尾委員より、「飲酒検知器の管理体制には問題はなかったのか」
旨の発言があり、交通局長から、「検知管を使用したものであれば管
理はしやすいが、この事案ではデジタル式の検知器を使用していた」
旨、長官から、「本来、複数で飲酒検知を行うべきところを、他を排
して一人で行うという非常に不自然なところがあったようである。こ
れは原則に違反したやり方である」旨の説明があった。