定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年3月29日(木)

午前10時00分 午後0時15分


第2 出席者 松原委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、刑事局長、交通局長、警備局長、
情報通信局長

長官官房審議官(生活安全局担当)、首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)「国家公安委員会及び警察庁における政策評価に関する基本計画(
案)」等について

官房長から、「国家公安委員会及び警察庁における政策評価に関す
る基本計画(案)」等について説明があり、原案どおり決定した。

(2)地域自主戦略交付金及び沖縄振興公共投資交付金(ともに一括交付
金)について

官房長から、地域自主戦略交付金及び沖縄振興公共投資交付金の内
容及び内閣府告示案を含む関係法令案について説明があり、原案どお
り了承した。

(3)無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況に
関する報告について

警備局長から、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する
法律の規定に基づき、平成23年中の同法の施行状況について国会に
報告することとしたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)国家公務員の雇用と年金の接続に関する基本方針について

官房長から、国家公務員の雇用と年金の接続に関する基本方針につ
いて報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「大阪府警察の警部らが、証拠物件を捏造するな
どした事案に関し、同府警察は、3月29日、同警部らを停職処分等
とする予定である」旨及び「福岡県警察の巡査長が、公文書を偽造・
行使し、交通切符を廃棄するなどした事案に関し、同県警察は、3月
29日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、
上司らを本部長注意等の措置とする予定である」旨の報告があった。

(4)平成23年度「総合セキュリティ対策会議」報告書について

長官官房審議官(生活安全局担当)から、「平成23年度総合セキ
ュリティ対策会議では、「サイバー犯罪捜査における事後追跡可能性
の確保」をテーマに、「データ通信カード・無線LAN」、「インタ
ーネットカフェ」及び「インターネット上の高度匿名化技術」につい
て検討を行い、報告書に取りまとめた」旨の報告があった。

(5)「捜査手法、取調べの高度化プログラム」について

刑事局長から、警察庁における捜査手法、取調べの高度化に向けた
施策を取りまとめた「捜査手法、取調べの高度化プログラム」につい
て、3月22日開催の定例会議における指摘を踏まえて一部修正し策
定した旨の報告があった。

(6)習志野警察署員によるレクリエーション旅行等に関する調査につい
て(千葉県警察)

刑事局長から、平成23年12月16日に発生した長崎県西海市(
さいかいし)における女性2名被害の殺人事件に関して、習志野警察
署員によるレクリエーション旅行等の調査状況等について報告があっ
た。
 長谷川委員より、「どうしてこのようなことになっているのかとい
うことが、一般の目から見てなかなか納得できない。そもそもこのよ
うな旅行に行っても大丈夫であると中にいる人が考えた理由は何なの
か。しかし、それは外から見るととても大丈夫とは思えない。どこに
どのような齟齬があり、どのようなところが中の認識と外の認識がず
れているのかという全体像を明らかにしてもらいたい。それは、千葉
県警察の管理・監督は、千葉県公安委員会が役目を担っているので、
千葉県の公安委員が納得するような形の調査と報告をきっちりするよ
うお願いしたい。そうでなければ他の人は誰も納得できないと思う」
旨の発言があった。
 前田委員より、「12名の署員が12月に休暇を取ったということ
だが、12月は元々繁忙な時期なので、本当に影響がないということ
にならない限りは、おかしいのではないかと思う。自由にいつでも休
暇を取っていいことにはなっておらず、このときも承認しているとい
うことだが、そのような判断に至った経緯もよく調べてもらいたい。
毎年行っているものなのか、たまたまそのときはその時期だったのか
一概には言えないが、北海道まで行くのかということもあるし、何か
特別な事情があったのかどうかなど、きちんと説明してもらう必要が
ある。今回の事件との関連では、明らかにその時点でいろんなことが
起こっていたのに、この人達が旅行に行っても大丈夫だという立証は
困難ではないか」旨の発言があった。
 長谷川委員より、「旅行に行ったため多くの署員が不在となったが、
その間に別の傷害事件を処理して、人員に余裕が出るのを待っていた
旨の説明を受けたがどうか」旨の発言があり、刑事局長から、「被害
申告を受けた数日前に別の傷害事件を認知し、一週間程で処理できる
だろうという見通しを立てて行っているようである」旨の説明があり、
長谷川委員より、「それでは、この12名の署員が旅行に行っていな
くなった状態で行った捜査が現実のものだが、12名が旅行に行かな
かったとすれば、どのような人員配置が可能で、どのような捜査がで
きたのかということを考えれば、そこに差異があるかどうか分かるの
ではないか」旨の発言があり、長官から、「まさに当初の検証結果に
あるように、指揮官が緊急性、切迫性を認識して、他に多くの署員も
いたわけであるから、誰かをこの事件に充てるという判断をすべきで
あったということに尽きてしまうのではないかと思う」旨の説明があ
った。
 山本委員より、「事実経過をみると、国民からは、警察が隠そうと
しているように受け取られても仕方がないと思われるので、現在行わ
れている調査が、国民が判断するために必要な全ての事実を把握した
上で結論を出しているということが分かるような中身にする必要があ
る。長谷川委員の指摘にもあったが、すぐに捜査に着手しようとすれ
ば何人の署員がどのように動く必要があるのか、そのような動きをす
るために必要な署員はいたのかどうか、旅行に行ったがために、その
ような動きを取ろうと思えばできたものができなくなっていたのかど
うか、そのようなことを判断する材料になるものを具体的に明らかに
してもらう必要があると思う」旨の発言があった。
 田尾委員より、「これは組織的なものと受け取られており、やはり
調査がしっかりと透明性を持った方法で行われ、それを外部の調査委
員会のような機能を果たす立場、第三者の立場にある県公安委員会で
しっかりとみてもらうということが必要であると思う。これ以上、検
証の検証、更にまた調査ということのないように、しっかりと客観性
を持った調査をしてもらわないといけない」旨の発言があった。
 髙木委員より、「市民の感覚からすれば、やはり今回の一連の対応
には、『落ち度があったと言え』という感情のようなものがあると思
う。千葉県公安委員会の方でも、県警がどのような調査をしているの
かについても、いろいろと聞いてみる必要がある」旨の発言があった。
 山本委員より、「警察内部だけの調査という印象を与えると、公正
さに疑念を生じさせることになるので、やはり千葉県の公安委員会に
は、特段の配慮、対応をしてもらう必要があると思う」旨の発言があ
った。
 長谷川委員より、「先の検証結果の際は、千葉県公安委員会はどの
ような役割を果たしたのか」旨の発言があり、長官から、「検証結果
はもちろん県警から県公安委員会まで御報告し、御了承を得た上で公
表している」旨、刑事局長から、「県警では、数回にわたって検証状
況の報告を県公安委員会に行っており、最終的にまとまった時点で、
各委員から、再発防止の徹底、危機感の欠如といった厳しい御指摘を
受けたと聞いている」旨、次長から、「昨日、この旅行の事実が発覚
してから初めて千葉県の公安委員会の定例会議が開かれたが、『前回
説明の際には、レクリエーション旅行に関する説明がなかったわけで
あるから、部外から隠ぺいしていると解釈されても仕方がない。しっ
かり検証して説明責任を果たすべき』、『第三者、部外者の目から見
たとき、どのように見られるのか、そういう感覚が特に幹部に欠けて
いたのではないか』という御指摘があったとのことである」旨の説明
があり、長谷川委員より、「しかし、そのときは旅行に行った事実は
報告されていないはずであり、そのようなことも報告されていなけれ
ば、公安委員会としては全体像は分からない。県警側が出して良いと
思っているものだけではなく、『なぜここはこうだったのか』という
ような、公安委員が外からみて知りたいと思うことを全部出してもら
うしかない。管理機能を果たすと言っても、知らされることしか知ら
なければ果たすことはできない」旨の発言があり、官房長から、「管
理していただくためには、必要なことは本来全て出さなければならな
いが、それが今回できなかった」旨、長官から、「それが県警側の務
めだと思う」旨の説明があった。
 田尾委員より、「旅行に行ったことが分かるような資料はあったが
出さなかったのか。それともそのような資料自体が作成されていなか
ったのか」旨の発言があり、官房長から、「当初の検証の際、警察署
に行った調査チームが、まず出勤の状況や休暇の状況を見ていること
から、休暇簿等の資料は既にあったが、取りまとめた報告の中にこの
問題は入ってこなかった」旨の説明があり、田尾委員より、「その辺
りも含めて千葉県公安委員会にはしっかり点検していただく必要があ
る」旨の発言があった。
 前田委員より、「県警は、『旅行は被害届受理を待ってもらったこ
ととは関係なかった』と言っているが、それをきちんと証明しなけれ
ばならない。それはやはり監察が冷静に見て判断し、もしかしたらミ
スかもしれないということも含めて検証しないと、何のために再調査
をやったのか分からない。30人も体制を組んで何をやっているのか
ということになる」旨の発言があった。
 長谷川委員より、「旅行に行ったことは関係なかった、捜査には影
響がなかったと言うときには、旅行に行って多くの署員が不在となっ
ていたときに実際に行われたことと、もしその者らがいればどのよう
に動くことができたかということが客観的に分かれば、本当に影響が
なかったのかどうかが分かるのではないか」旨の発言があり、官房長
から、「そのような検討をしていれば間違いなく影響はあったという
ことになったと思う。担当の係は既に手一杯であり、専従態勢が取れ
るまでは待ってもらうといった指揮であったので、その間係長が一人
旅行に参加しても本件捜査がそのためにできなくなった訳ではなく、
もともと全体としては手一杯なので回らなかったのだからというのが、
そのとき調査に行った者の評価である」旨の説明があり、長谷川委員
より、「その考え方の枠組自体が間違っているのではないか」旨の発
言があり、長官から、「その点は前回の検証結果に入っており、この
係長は旅行から戻った翌日に出勤して、先ほど御説明した別件の傷害
事件の捜査に当たっている。その傷害事件の捜査が負担であって、そ
の事件を処理してから態勢を組んで取りかかろうという判断は、この
係長がいるかいないかに関係なく変わらなかったのではないかと思わ
れるが、それはもう少し詳しく調べないと分からない」旨の説明があ
り、長谷川委員より、「そのような指揮の在り方、考え方の枠組で言
えば、いてもいなくても変わらなかったということになるのかもしれ
ないが、その指揮なり考え方なりを変えるとどういうことになるかと
いうことである」旨の発言があった。
 髙木委員より、「事態が急展開して大事件になるという認識がなか
ったということに尽きると思う」旨の発言があり、長官から、「旅行
に行く前後でいろいろ動きがあった。前の検証結果ではそこで方針を
変えてすぐ聞くべきだったと示されているが、まさにそのとおりだと
思う。それでもまだ切迫感がなかった」旨の説明があった。
 田尾委員より、「やはり所管が生活安全課から刑事課に変わるとい
う問題が根本にあり、一貫して生活安全課が扱っていれば、また状況
は変わっていたのかもしれない。切迫感ということを考えると、スト
ーカー、DV、児童虐待といった事案は一連の事件として捉えるよう
な捜査の態勢を組むべきではなかったのかと思われる」旨の発言があ
り、長官から、「生活安全課から刑事課への引継の在り方にも恐らく
問題があったのではないかと思う。生活安全課が持っている情報、刑
事課が持っている情報等、全ての情報が署長の下に集まったかと言え
ば、それも十分ではなかったようである。やはり全ての情報が司令塔
に集まって、そこで指揮をしていくというのが本来あるべき姿である
が、どうもそのようになっていなかったようである」旨の説明があっ
た。長谷川委員より、「縦割りの弊害を認識していないのではないか」
旨の発言があり、長官から、「検証結果では弊害の認識が示されてい
るが、検証自体も縦割りであった」旨の説明があった。

(7)「安全・安心な利用に向けた自動車運転代行業の更なる健全化対策」
の策定について

交通局長から、「自動車運転代行業がこれまで以上に安全かつ安心
に利用され、業界全体の健全化を一層図るための対策を警察庁と国土
交通省において取りまとめた」旨の報告があった。

(8)平成24年春の全国交通安全運動の実施について

交通局長から、「4月6日から15日までの10日間、「子どもと
高齢者の交通事故防止」を基本に、「自転車安全利用五則の周知徹底
による自転車の安全利用の推進」、「全ての座席のシートベルトとチ
ャイルドシートの正しい着用の徹底」、「飲酒運転の根絶」を重点と
した春の全国交通安全運動を実施する」旨の報告があった。

(9)情報技術解析平成23年報(インターネット観測結果等)について

情報通信局長から、平成23年におけるインターネットに接続され
ている全国の警察の観測拠点におけるサイバー攻撃等の検知状況及び
その主な特徴等について報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、大阪母子殺人・現住建造物等放火事件に係る差し戻
し審の判決に対する控訴について報告があった。

(2)交通局長から、大阪府警察における飲酒運転取締りに係る不適正事
案の起訴について報告があった。

(3)交通局長から、3月15日開催の定例会議において長谷川委員から
指摘があった自転車の自動点灯式前照灯の普及状況等について報告が
あった。

(4)2(6)の事項に関し、国家公安委員会から千葉県公安委員会に対
し、千葉県公安委員会の管理の下、千葉県警察において厳正な調査、
対処等が行われるよう要請することとし、要請文を決定した。