定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年5月24日(木)

午前10時00分 午後0時00分


第2 出席者 松原委員長、長谷川、田尾、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)警察庁長官等の評価手続について

警察庁長官等の評価手続について実施した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成24年春の勲章伝達式について

官房長から、平成24年春の勲章伝達式について報告があった。

(3)平成24年における行政事業レビュー・公開プロセスについて

官房長から、平成24年における行政事業レビュー・公開プロセス
について報告があった。

(4)惨事ストレスの調査結果等について

官房長から、東日本大震災災害対策業務に従事する岩手、宮城、福
島の各県警察職員等のPTSD発症を防止することを目的とし、平成
23年4月から5月及び平成24年1月から2月までの間の2回、3
県の警察職員等に行った惨事ストレスに係る調査結果等について報告
があった。

(5)国連人権理事会による普遍的・定期的レビュー(UPR)第2回政
府報告について

官房長から、国連人権理事会による普遍的・定期的レビュー(UP
R)第2回政府報告について報告があった。

(6)初動警察刷新強化の取組状況及び今後の取組について

生活安全局長から、初動警察刷新強化の取組状況及び今後の取組に
ついて報告があった。
 前田委員より、「初動警察を支える情報通信の強化について、イン
フラに関しては、かなりよくなったということであるが、警察庁から
全国に配分した地域警察デジタル無線システムや映像伝送装置等につ
いては、これで必要十分なのか。また貸与の仕方についても、1人1
台ではなく3人に1台というもので十分なのか」旨の発言があり、生
活安全局長から、「PSDデータ端末については、昨年から運用を開
始しており、現在、全国で約28,000台を配分している。貸与に
関しては、基本的に地域警察官が当務につく際に貸与することになっ
ており、配分は3人に1台程度となっている。また、地域部門以外に
も、全国で約1,700台を配分しており、各部門が必要なときに貸
し出せるだけの数にはなっているが、本年4月に全国調査を実施した
ところ、合計約4,000台の増強配備の要望があったことから、今
後も検討していきたいと思う」旨の説明があった。
 前田委員より、「情報端末については是非十分に整備してもらいた
い。現場の警察官に話を聞くと、実際は、このような情報端末と公用
の携帯電話、場合によっては私用の携帯電話の3台を持っていなけれ
ばならないということである。他方、せっかくデジタル無線で非常召
集をかけようとしても、警察官全員が情報端末を持っていなければそ
れが使えず、公用の携帯電話に別途システムを組んで呼び出すような
ことをしている。これだけいいデジタル無線システムができたのであ
るから、こちらをベースにしてもう少し拡充したらどうか。警察庁で
全国整備しても、国では予算が足らないと言われ、各県は各県で一生
懸命やろうとして、いまある別の端末に繋げるようなことをしていて
は、合理的とは言えない。また、情報保全という観点からすれば、高
度なセキュリティを施したものをベースにするようによく議論しても
らいたい。また、警察官は実質的に24時間勤務と同じであり、非番
でも非常召集があれば出て行かなければならないが、現状では、情報
端末は警察署まで取りに行かなければならないということであり、も
う少し使い勝手をよくする工夫をしないと、せっかくこれだけいい物
を作っても利用度が低くなるのではないかと思う。是非頑張って取り
組んで欲しい」旨の発言があり、情報通信局長から、「情報通信局と
しても、関係各局と連携し、その要望を踏まえて、端末の在り方につ
いて検討してまいりたい」旨の説明があった。

(7)警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律案等に
ついて

刑事局長から、警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関
する法律案等について報告があった。
 田尾委員より、「この法律案の第5条によれば、検視を行う際には、
体液や尿の簡易検査や採取等はできないということなのか。つまり検
視官は行えないということなのか」旨の発言があり、刑事局長から、
「犯罪の疑いがある場合には検視を行い、犯罪の疑いが強い場合は刑
事訴訟法の手続によることになり、逆に疑いが薄い場合は、この法律
によって念のための検査を行うということである。検視を行ったらこ
の法律が適用されなくなるということではない。刑事訴訟法の検視は
外表検査に止まり、体液を採取するといったことまではできないこと
から、体液や血液を採取することになれば、犯罪であれば検証許可状
等により行い、犯罪でない場合はこの法律により、できる部分は行う
という整理である」旨及び官房長から、「検視官も警察官なので、検
視では死因が明らかに分からないという場合には、この法律でいう警
察官として検査を行うことになる」旨の説明があった。
 田尾委員より、「そうすると、本来の検視官である検察官は行えな
いということなのか」旨の発言があり、刑事局長から、「この法律は、
刑事訴訟法とは別の範疇の問題であるという整理がされていることか
ら、検察官は対象にはなっていない」旨の説明があった。
 田尾委員より、「立法にあたって検視のときでもこのような検査が
できるようにしておくこともできると思うが、どうしてこのような形
になったのか。検視の概念からくる制約があるからか、あるいは警察
官の権限上の問題があるからか」旨の発言があり、刑事局長から、「
御指摘のように、死因という意味では同じであり、まず死因の究明と
いうことで統一し、その中から犯罪死であれば刑事訴訟法の手続に移
行し、それ以外であれば別の手続に移行するという意見もあるところ
である」旨及び次長から、「民主党から以前提出されていた法案では、
検視に関する規定についても検討し、一本化するようなものであった
が、今回は、刑事訴訟法の改正には触れないという前提でこのような
法律になったものと承知している。刑事訴訟法の体系に入れば、検視
を経て犯罪ありと思料して、証拠物である遺体を検査、解剖するとい
うことになる」旨の説明があった。
 田尾委員より、「総合的に考えるとそうかもしれないが、最初から、
検視するときにこのような手法を利用させるということの方が、むし
ろ法律としてはいいのではないかと思うが、そのような意見は少ない
のか」旨の発言があり、官房長から、「そのような議論ももちろんあ
り、御指摘のようなものが確かに理想型なのかもしれないが、今回は
刑事訴訟法との整理でこのような法律になったというものである。検
視は外表検査であるが、もっと科学的な検視があってもいいのではな
いかという議論から始まってこれまで検討が行われたが、結果的には、
警察行政として死因を究明するという体系の法律になったものである」
旨の説明があった。
 山本委員より、「医療行為の結果として死亡した場合に、医師にそ
の責任があるのかどうかということが問題になる例があって、犯罪と
して取り扱っていくのか、それとも医療行為の適正化のための検証や
改善策の検討という観点から特別に調査委員会等を設けるのかといっ
た議論があり、一部運用されていると承知しているが、この法律がで
きても、医療関連死について、基本的に従前と扱いは変わらないとい
う認識でよいのか」旨の発言があり、刑事局長から、「その点は従前
と変わらない。例えば、医師法に基づいて届出があった場合にはそれ
に基づいて調査や、業務上過失致死の疑いが認められる場合には捜査
を行い、御遺族の方から告訴があればこれを受理して捜査を行うとい
うことであり、この法律ができても変わることはない。一方、死因究
明等の推進に関する法律においては、いわゆる医療関連死の部分は固
有の問題があることから、別途検討することとしており、検討対象か
ら外されている」旨の説明があった。

(8)社会資本整備重点計画の素案(警察関連部分)について

交通局長から、現在策定中の社会資本整備重点計画の素案における
警察関連の事業・施策、今後の手続等について報告があった。

(9)天皇皇后両陛下の第63回全国植樹祭御臨場等に伴う警衛警備につ
いて

警備局長から、「天皇皇后両陛下は、5月26日から28日までの
間、第63回全国植樹祭御臨場等のため、山口県へ行幸啓になる予定
であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の報告があった。

3 その他

(1)長官から、新潟県南魚沼市内のトンネル掘削現場における爆発事故
の発生について報告があった。

(2)刑事局長から、5月21日に発生した副都心線渋谷駅構内における
刃物使用殺人未遂事件の検挙について報告があった。

(3) 交通局長から、「登下校時に児童等が死傷する交通事故が全国で多
発している現状を踏まえ、文部科学省、警察庁及び国土交通省が連携
して、5月30日から、通学路の交通安全に関する緊急の合同点検を
実施し、危険箇所に係る具体的な安全対策を行う」旨の報告があった。
 長谷川委員より、「今回このように文科省等と連携して安全対策を
講じることは大変よいことだと思うが、これまでも通学路の点検とい
うのは行っていたのではないのか」旨の発言があり、交通局長から、
「交通安全運動の際などに行っているが、今回の取組は、学校、PT
A等学校関係者の方でまずきちんと把握してもらって、その危険箇所
を、学校、警察と道路管理者でチェックするということがポイントで
ある」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「京都府内で先月発生した小学生等多数が被害者
となった交通事故の報道に、以前からその事故現場となった場所は危
険であると住民が指摘していたというものがあるが、事故前の点検で
も気づいていたのではないのか」旨の発言があり、交通局長から、「
事故現場周辺は危険であると気づいていたことから、側溝に蓋をし、
そこを路側帯にして人が通れるようにしていた。それでも、ガードレ
ールを設置できるほどの幅員はなかったことから、最高時速40キロ
とし、時間帯によって一方通行規制とするなどの対策をとっていたと
ころである。しかし、今回の事件を踏まえ、事故現場周辺の道路には
一定の速度以上で走ると音や振動が出るような舗装にしている」旨の
説明があった。
 長谷川委員より、「いろいろ指摘があったことは、事故が起こらな
いうちに改善した方がよいので、今回のような安全対策は今後も続け
てもらいたい」旨の発言があった。