定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成24年10月18日(木)

午前10時00分 午前11時30分


第2 出席者 小平委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「10月19日付け地方警務官1名の人事案件につい
て発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「警視庁の警視が、捜査費を私的に流用した事案
に関し、警視庁は、国家公安委員会の了承が得られれば、10月19
日、監督責任として、地方警務官の元警察署長を警視総監訓戒の措置
とする予定である」旨の説明があり、原案どおり了承した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国家公安委員会委員のインドネシア共和国及びフィリピン共和国へ
の出張結果について

官房長から、田尾国家公安委員会委員のインドネシア共和国及びフ
ィリピン共和国への出張結果について報告があった。
 田尾委員より、「インドネシアについては、警察組織が国軍から分
離されたのは13年前ということで非常に歴史が浅く、警察活動や組
織をどのようにしていけばいいのか、まだ模索中のように感じた。日
本の公安委員会と似た組織として、国家警察委員会がある。大統領の
アドバイザーのような組織であり、構成員も国家警察関係者が入るな
ど、日本とはかなり異なっているものの、各委員は、これからどのよ
うに運営していくかについて非常に関心を持っており、多くの質問を
受けたところである。また、インドネシアとの国際協力の関係では、
現地の様々な施設を見学し、日本から派遣されている警察職員とも懇
談をしたところであるが、派遣されている職員は現地の職員から信頼
され、一生懸命よい仕事をしているという印象を受けた。現在、警察
庁から派遣されている統括者の下に3名の職員が、現地で警察の運営
の在り方、現場鑑識活動等について指導を行っているとのことである。
このほか、駐在所と交番も見学したが、駐在所については、日本と同
様、警察官と家族が同居し、地域の警察活動に当たっている。交番に
ついては、女性警察職員のみ勤務する交番があるが、実力行使を伴う
ような取扱いは行わず、トラブルの仲裁等に専ら従事しているとのこ
とであり、武器の携行が必要な事案に対しては、警察署の警察官等が
対応することになっているようである。フィリピンについては、プロ
ジェクトとして、指紋の採取、照合等の業務を主に指導しているとの
ことである。現在、警察庁から派遣されている統括者の下に3名の職
員が現地で指導を行っており、フィリピンにおける鑑識活動の中で重
要な位置を占め、今後定着していくのではないかという印象を受けた
ところである。約1,000万の被疑者指紋データを保有している日
本に対して、フィリピンはまだ約70万ということであるが、個々の
事件の捜査において非常に有用なものとなっており、現地でも高い評
価を受けているとのことであった。いずれにしても、両国に派遣され
ている警察職員は、現地で大変頑張っているということを報告させて
いただく」旨の発言があった。

(2)平成24年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会の開催につい

官房長から、平成24年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会
の開催について報告があった。

(3)平成24年度上半期会計監査実施結果について

官房長から、平成24年度上半期会計監査実施結果について報告が
あった。
 前田委員より、「埼玉県警察において、旅行命令権者である警察署
長が旅行命令簿の記載内容を確認していなかったとして指導がなされ
ているが、署長が自ら内容を確認して押印しなければならない根拠と
なる法令は何なのか。民間では考えられないものだが」旨の発言があ
り、官房長から、「これは、いわゆる旅費法で定められた手続になっ
ている。現在、警察庁において、署長についてのいろいろな義務付け
や権限の見直しを図っており、その対象の一つになり得るとは思うが、
警察庁だけで見直しができるものではない」旨、次長から、「旅費に
ついては、都道府県の方は実態に合わせていろいろ制度改正が行われ
ているが、国費の旅費の方は実態に合っていないところがある」旨の
説明があった。
 前田委員より、「署長は業務多忙であり、土日も休めない状況にな
っていて、放置できない状況にあると思う。実際の業務状況を分析す
ることも必要であるが、その基になっているものを見直さなければな
らないのではないか。そして、それが警察庁だけで手当できないもの
であるならば、所管官庁と協議したり、法改正を求めるなど、何かし
ないと、あまりにも時代に合わなくなっている状況があるのではない
かと率直に感じる。警察職員は真面目なので一生懸命仕事をするが、
そもそもそれが本来の仕事なのかと疑問に思う」旨の発言があり、官
房長から、「旅費の執行については、過去にかなり問題になったケー
スもあることから、執行手続を厳格に行うこととしており、その点を
踏まえて検討する必要がある」旨の説明があった。
 前田委員より、「問題が発生するとそのようになってしまうが、そ
れが本当に必要なことなのか。根拠法令等が他省庁に関わるものであ
っても実態と合わないようなものについては見直した方がよいのでは
ないか。署長が休めないということが常態化しているのに、なかなか
手が打てないというのは、あまりにもひどいのではないかと率直に感
じる」旨の発言があり、次長から、「権限をどこまで下ろせるかとい
う問題であり、財務省にも関係することではあるが、検討したいと思
う」旨の説明があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)で説明のあった警視庁の警視による業務
上横領事案に関し、「警視庁は、10月19日、同警視を懲戒免職処
分とするとともに、上司らを警視総監注意の措置とする予定である」
旨及び「奈良県警察の警視が、電車内で痴漢行為をした事案に関し、
同県警察は、10月23日、同警視を停職処分とする予定である」旨
の報告があった。
 前田委員より、「奈良県警察の事案については、本人は否認してい
て、第三者の目撃証言もなく、被害者の供述やポリグラフ検査の結果
により事実認定したということであるが、初犯ということなども考え
ると今回の行為に対する行政処分としては重いのではないのか」旨の
発言があり、首席監察官から、「確かに事実認定が難しい事案ではあ
るものの、この種の行為については、懲戒処分の指針や先例に照らし
ても、期間の長短はあるが、停職が相当であると考えている」旨の説
明があった。
 前田委員より、「しかし、本人がその行為を行ったという立証はな
されていないのではないのか」旨の発言があり、首席監察官から、「
本人が否認していることもあり、冤罪にならないよう慎重に捜査を進
め、可能な限り客観的証拠の収集に努める一方、本人及び被害者の取
調べも卓越した力のある取調官を充てて行ったところである。その結
果、客観的証拠は得られなかったが、被害者の供述が被害申告時から
終始一貫していること、ポリグラフ検査において顕著な結果が出たこ
と、取調官の心証としても本人が犯人であるということなどから、事
実認定を行ったところである。また、今回の処分方針について、奈良
県警察において県公安委員会に対し、これまでの捜査・調査の状況を
説明したところ、「難しい事案である」という慎重な意見も一部にあ
ったものの、県公安委員会として処分方針案に御了承いただいたとの
ことである」旨、官房長から、「奈良県警察としては、本人は否認し
ているものの、事実はあるという捜査結果である。仮に、本人が今後
裁判等で争うこととなったとしても、奈良県警察としてしっかり対応
するということである」旨の説明があり、前田委員より、「分かった」
旨の発言があった。

(5)インターネットを利用した犯行予告・ウイルス供用事件について
(警視庁・三重県警察・大阪府警察)

刑事局長及び生活安全局長から、インターネットを利用した犯行予
告・ウイルス供用事件に関し、警察庁と関係警察との捜査会議の開催、
3都府県警事案の検証及び過去の犯行予告事件の調査等について報告
があった。
 髙木委員より、「報道によれば、海外では、このような事案に対応
するための資機材を導入しているとのことであったが、そのような有
効な資機材はあるのか」旨の発言があり、情報通信局長から、「海外
の状況について、そのような報道があるとしか承知していないが、自
由なネットワークで、個人や企業が整備しており、そこへ政府機関が
何らかの仕組みを導入するというのは、現状では難しいのではないか
と思う」旨、長官から、「警察だけでは分からないことも多いため、
事業者からも様々な意見を聴取するなど、幅広く対策は検討したいと
考えている。この種事案はやはり予防が大切であり、事件が発生して
捜査し解明していくというのは非常に効率が悪いので、システム的に
予防する仕組みを作っていくことが重要なのではないかと思う」旨の
説明があった。
 山本委員より、「報告のあった事案の中で、自分が犯人ではないの
に自白しているという事案があるようなので、結果として起きたこと
は仕方ないということがあるにしても、なぜ事実に反するにもかかわ
らず自白したのか、その原因を把握し、同じことが起きないように努
力するということも併せてしてもらいたい」旨の発言があり、刑事局
長から、「御指摘のとおり、その点を現在検証しているところである」
旨の説明があった。
 委員長より、「過去に検挙した犯行予告事件について調査している
ということであるが、かなりの件数に上るのか」旨の発言があり、刑
事局長から、「調査中であるが、ネットワーク利用犯罪の検挙件数の
うち、脅迫や業務妨害等犯行予告事案にも適用があると思われる罪種
のものは、平成20年4月以降、全国で700件以上である。適用罪
名は様々である」旨の説明があった。

(6)米軍人による集団強姦致傷事件の発生・検挙について(沖縄県警察)

刑事局長から、米軍人による集団強姦致傷事件の発生・検挙につい
て報告があった。

(7)尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と警察の対応について

警備局長から、尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と警察
の対応について報告があった。

(8)情報セキュリティ緊急支援チーム(CYMAT(サイマット))に対
する訓練の実施について

情報通信局長から、「内閣官房情報セキュリティセンター(NIS
C)に設置された情報セキュリティ緊急支援チーム(CYMAT(サイ
マット))の要員に対する訓練を警察庁で企画し、10月17日から
19日までの3日間で実施しているところである」旨の報告があった。

3 その他

(1)交通局長から、10月21日に開催が予定されている「ちばアクア
ラインマラソン」における交通対策等について報告があった。

(2)情報通信局長から、本年5月末の設置時から9月末までにおける警
察庁CSIRTの活動状況について報告があった。