定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成25年3月7日(木)

午前10時00分 午前11時45分


第2 出席者 長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「3月18日付けを始めとする地方警務官等228名
の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案ど
おり決定した。

(2)犯罪被害者等給付金の裁定(千葉県)に対する審査請求事案の審理
状況及び裁決について

官房長から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審
理状況及び裁決について説明があり、原案どおり決定した。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「三重県警察の警視らが虚偽の有印公文書を作成
した事案の監督責任として、同県警察は、国家公安委員会の了承が得
られれば、3月8日、地方警務官の警察署長を本部長注意の措置とす
る予定である」旨の説明があり、原案どおり了承した。

(4)国家公安委員会委員長を代理する者の互選について

委員間の互選により、3月7日以降の「委員長を代理する者」の順
位について、第1順位髙木委員、第2順位山本委員、第3順位前田委
員、第4順位長谷川委員、第5順位奥野委員とすることとした。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)義務付け・枠付けの第4次見直しについて

官房長から、義務付け・枠付けの第4次見直しについて報告があっ
た。

(3)消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための特定事業者による消費
税の転嫁の拒否等の行為の是正等に関する特別措置法案について

官房長から、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための特定事業
者による消費税の転嫁の拒否等の行為の是正等に関する特別措置法案
の概要及び今後の予定について報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「沖縄県警察の警視が、部外協力者等からの寄附
金を不適切に取り扱ったほか、職務を懈怠するなどした事案に関し、
同県警察は、3月7日、同警視を停職処分とする予定である」旨の報
告があった。

(5)平成24年中の児童虐待及び児童ポルノ事犯の検挙状況等について

生活安全局長から、平成24年中の児童虐待及び児童ポルノ事犯の
検挙状況等について報告があった。
 山本委員より、「平成23年中の児童ポルノの被害児童数が600
人程度であった旨の報告を昨年受けたときも、私は、このような児童
がこんなに大勢いるということは大変問題ではないかという趣旨の意
見を申し上げたが、昨年の被害実態をみても、決して被害に遭ってい
る児童数が少なくないということであり、これは、健全な児童の育成
を阻む社会の有り様の問題につながっている、非常に大きな問題であ
るということを理解すべきだと思う。そのような中で、抜本的に被害
を減らすことができるような対策を警察としてどこまでとれるのかと
いうことを本当に詰めてもらい、ここから先は警察では無理であると
いう部分については、社会全体が対応しなければならない問題である
ということを発信していくことも考えなければならないのではないか
という印象をもっている」旨の発言があり、生活安全局長から、「児
童ポルノの被害者数は、平成23年中は600人で、昨年中は531
人であり、減少しているように見えるが、特定ができない立件した児
童を含めると、全体では若干増加している状況にあることから、御指
摘のとおりであると思う。警察としては、取締りの強化や流通・閲覧
防止措置への協力等に取り組んでおり、政府としては、平成22年に、
犯罪対策閣僚会議において総合対策を策定して推進してきている。な
かなか被害の減少までには至っていないものの、一方で、検挙は増加
しているほか、ブロッキングの効果も出てきているのではないかと思
う。ファイル共有ソフト利用事犯の増加という情勢もあるが、御指摘
を踏まえて、引き続き対策について検討するとともに、関係省庁とも
連携してまいりたい」旨の説明があった。

(6)遠隔操作ウイルス「iesys.exe」を使用した犯行予告事件
被疑者の再逮捕について
(警視庁・神奈川県警察・三重県警察・大阪府警察)

刑事局長から、「警視庁等4都府県警察合同捜査本部は、遠隔操作
ウイルス「iesys.exe」を使用した犯行予告事件で2月10
日に逮捕した被疑者を、3月3日、偽計業務妨害罪等で再逮捕した」
旨の報告があった。

(7)準暴力団に関する実態解明及び取締りの強化について

刑事局長から、準暴力団に関する実態解明及び取締りの強化につい
て報告があった。
 奥野委員より、「準暴力団については、今後増えていく傾向にある
のか」旨の発言があり、刑事局長から、「実態解明を始めたばかりで
あるので、増減という面では何とも言えないが、我が国の治安をかく
乱する要因として明らかに捉えられるものがあり、全国的にも類似す
る危険性のある対象があれば、都道府県警察において実態把握を進め、
必要な分析と対応がとられるようにしてまいりたい」旨の説明があっ
た。

(8)平成24年の暴力団情勢について

刑事局長から、平成24年の暴力団情勢について報告があった。
 長谷川委員より、「暴力団構成員等の数が特に近年、減少している
理由は何か」旨の発言があり、刑事局長から、「平成22年以降、暴
力団排除にかなり力を入れて取り組んでおり、平成23年中には全都
道府県において暴力団排除条例が施行されるなど、社会全体による取
組が進んでおり、暴力団の資金獲得活動が困難化していること等が考
えられる」旨の説明があった。

(9)武蔵野市における強盗殺人事件の検挙について(警視庁)

刑事局長から、「警視庁は、2月28日に武蔵野市吉祥寺本町にお
いて発生した強盗殺人事件に関し、3月3日までに被疑者2名を逮捕
した」旨の報告があった。

(10)酒気帯び運転等の違反者に対する取消処分者講習(飲酒取消講習)
の全国実施について

交通局長から、常習飲酒運転者に講ずべき安全対策に関する調査研
究の結果を踏まえ、平成23年6月から十数府県警察において試行実
施中の飲酒取消講習につき、4月1日から全国実施することについて
報告があった。

(11)東日本大震災二周年追悼式に伴う警衛警護警備について

警備局長から、「3月11日、政府主催の「東日本大震災二周年追
悼式」が国立劇場において、天皇皇后両陛下御臨席のもと、内閣総理
大臣等の警護対象者、御遺族等が出席して開催される予定であり、こ
れに伴い、所要の警衛警護警備を実施する」旨の報告があった。

(12)北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案に関する新たな取組
について

警備局長から、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案に関
する新たな取組について報告があった。

(13)在アルジェリア邦人に対するテロ事件の対応に関する検証委員会検
証報告書について

警備局長から、在アルジェリア邦人に対するテロ事件の対応に関す
る検証委員会検証報告書について報告があった。
 奥野委員より、「検証報告書において、「平素からの情報収集体制
についての検証」として、「警察出身のアタッシェ及び警備対策官の
体制を強化」とあるが、これは是非進めてもらいたい。このような事
件が発生する度に感じるが、国際テロというものは日々起きるわけで
はなく、時間が経過すると、やはり風化してしまい、対策に対する熱
意が薄れてしまうのではないかと懸念している。どうしても事件の発
生がしばらくなければ、警察、国民も忘れてしまうという傾向がある
のではないかと思う。情報収集活動というのは、いつ起きるかわから
ない、あるいは、もしかしたら起きないかもしれない事件のために、
日々地道な努力を積み重ねなければならない大変な仕事であると思う
が、関係省庁とともに、国際的な情報収集に取り組むために、20年
後、30年後を見通して人材を育成してもらいたい。また、警察職員
の海外への派遣状況に関して、アフリカや中南米等の地域の警備対策
官には都道府県警察からの出向者が多いのが実情であり、大変素晴ら
しい仕事をしていると思うが、その主たる業務は、公館の警備や邦人
の保護等領事業務であり、これらに追われて情報収集活動までなかな
か手が回らず、また、任期が終われば、都道府県警察に戻ってしまう
ため、長期にわたっての活動やノウハウの修得がなかなか難しいとい
う問題があるのではないかと思う。情報収集活動というのは、やはり
人脈の世界であり、人材の育成には、欧米への留学・出向や関係省庁
の職員との交流等を通して人脈を築くことが大切であると思う。今回
の事件では、情報入手の困難性が指摘されており、確かに難しかった
ものと思われるが、最後は、個人の人のつながりを通した情報の収集
が必要となるのであり、その時点になって組織的に動いても対応でき
ないという現状があるのではないかと思う。北アフリカなどの情報収
集体制は強化する必要があるが、情報収集活動というのは、数だけで
はなく、個人の資質によるものであり、今後、拠点や情報収集の担当
官を増やす一方で、やはり長い目で、専門の担当官を警察もきちんと
育てることが大切ではないかと思う」旨の発言があり、警備局長から、
「委員と同じ認識であり、しっかり努めてまいりたい」旨の説明があ
った。
 髙木委員より、「在留邦人・企業の保護の在り方に関する有識者懇
談会が開催されているということであるが、民間においても、アフリ
カや中南米等に事業進出している企業を対象に、同じような趣旨の議
論を行っているものがあるのではないか」旨の発言があり、警備局長
から、「御指摘のとおり、有識者懇談会のメンバーには、海外に進出
している企業や関係団体の方が複数入っているほか、関係省庁におい
ては、そのような企業に対するアンケートを行うなど、民間の方々か
らの要望も踏まえながら検討がなされていると聞いている」旨の説明
があった。
 次長から、「警察庁において、外国治安機関と接点のある部門には、
警備対策官の経験者を配置するなど、警備対策官としての経験の活用
を図っているほか、警察庁採用の警察官も警備対策官に配置されてき
ており、そのような意味では、一体化が進んできていると思う」旨の
説明があり、奥野委員より、「やはり国の数が多いことから、人材の
確保が大変なのではないか」旨の発言があり、次長から、「確かにそ
のような面はあるが、希望者も多く、都道府県警察としても、こうし
た分野の人材も育成していきたいという考え方であると認識している」
旨の説明があった。

(14)東日本大震災発災後2年に当たっての被害状況等について

警備局長から、これまでの被害状況、警備体制、行方不明者の捜索
状況及び災害に係る危機管理体制の再点検・再構築に関する主要な取
組について報告があり、関連発言として、刑事局長から、身元確認の
状況について、生活安全局長から、被災地における犯罪情勢について、
それぞれ報告があった。

(15)警察情報セキュリティポリシーの改正について

情報通信局長から、「政府機関の情報セキュリティ対策のための統
一基準群」の改正等、情報セキュリティをめぐる情勢の変化に合わせ
て所要の改正を行ったことから、その概要について報告があった。

3 その他

(1)冒頭、奥野委員より、「3月5日付けで国家公安委員会委員を拝命
した。これまで長く報道に関する仕事をしてきたが、職務に全力を挙
げて取り組んでまいりたいと思うので、よろしくお願い申し上げる」
旨の挨拶があった。