定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成25年7月11日(木)

午前10時00分 午前11時20分


第2 出席者 長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備
局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「広島県警察の警部が、捜査諸雑費を私的に流
用した事案に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれ
ば、7月12日、監督責任として、地方警務官の元警察署長等を本
部長注意の措置とする予定である」旨の説明があり、原案どおり了
承した。

(2)五代目共政会、七代目合田一家、六代目会津小鉄会及び四代目小
桜一家の指定の確認について

刑事局長から、「広島県、山口県、京都府及び鹿児島県公安委員
会から受理した五代目共政会、七代目合田一家、六代目会津小鉄会
及び四代目小桜一家に対する指定暴力団としての指定の確認請求に
ついて、審査専門委員の意見聴取を終えたことから、本日、国家公
安委員会による確認を求め、各公安委員会に通知することとしたい」
旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)「子ども霞が関見学デー」の実施について

官房長から、8月7日に実施予定の「子ども霞が関見学デー」の
概要等について報告があった。

(2)警察庁長官に対する開示請求の決定について(行政機関情報公開
法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関
係の開示請求に係る決定について報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(1)で説明のあった広島県警察の警部によ
る業務上横領事案に関し、「広島県警察は、7月12日、同警部を
懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を警務部長注
意の措置とする予定である」旨の報告があった。

(4)平成25年上半期の刑法犯認知・検挙状況と今後の犯罪抑止対策
について【暫定値】

生活安全局長から、平成25年上半期の刑法犯認知・検挙状況と
今後の犯罪抑止対策について報告があった。
 髙木委員より、「検挙率が前年同期比で1.8ポイント低下して
いるが、その背景としてどのようなことが考えられるのか」旨の発
言があり、刑事局長から、「下げ幅としては近年でも大きいと思う。
検挙件数が約25,000件減少しているが、一つは、侵入盗を中
心に余罪の検挙が大きく落ち込み、前年同期比で約12,000件
減少していること、もう一つは、地域警察官の職務質問による検挙
が減少していることが挙げられる。これらの理由として、余罪の検
挙件数の減少については、捜査を取り巻く環境が非常に厳しくなっ
てきていることに加え、ベテラン捜査員の大量退職により、若手の
捜査員が大幅に増加し、実力、経験を十分に身に付けるまでには至
っていないのではないかということも考えられ、取調べを始め、捜
査能力の向上にしっかり取り組んでいく必要がある。また、地域警
察官についても、捜査員と同様、若手が大変増加しているという状
況にあると思う」旨の説明があった。
 奥野委員より、「知能犯と風俗犯の検挙率が大きく減少している
が、風俗犯が減少しているのはなぜか」旨の発言があり、生活安全
局長から、「風俗犯は、賭博、強制わいせつ、公然わいせつ、わい
せつ物頒布等に分類されるが、このうち、背景は必ずしも明らかで
はないが、わいせつ物頒布等の検挙件数が大きく減少している」旨
の説明があった。
 髙木委員より、「検挙人員に占める再犯者率は全体の半分近く、
罪種によっては6割というものもあるということである。警察だけ
で対応することは困難であり、法務省を始めとする関係機関との連
携はもちろん、社会全体で考えなければならない問題であるが、何
とか改善できないものかと思う」旨の発言があり、生活安全局長か
ら、「御指摘のとおり、大きな問題であり、平成22年に、犯罪対
策閣僚会議の下に再犯防止対策ワーキングチームを設置して、法務
省を中心に省庁横断的な検討を進め、刑務所等を出所後2年以内に
再入所する者の割合を平成33年までに20パーセント以上減少さ
せるという具体的な再犯防止対策の数値目標が掲げられ、取り組ん
でいるところである。警察としても、就労支援機関等と連携した出
所後の就労支援や、少年等の場合であれば、不良交友関係に代わる
居場所づくりなどについて検討して取り組んでいるところである。
また、多くの出所者を雇用し、社会復帰支援に取り組んでおられる
事業者の方々もおられ、困難を伴うが、委員御指摘のとおり、法務
省を中心として関係省庁全体で、また、社会全体で取り組んでいか
なければならない問題であると思う」旨、刑事局長から、「以前、
公安委員会にも御報告したとおり、暴力団離脱者の出所後の社会復
帰対策に関しては、警察の支援により暴力団を離脱し、仮釈放とな
った者の出所情報を警察と保護観察所が共有し、トライアル雇用や
身元保証制度等の保護観察所が有する就労支援メニューの活用を図
るといった取組を進めているところである」旨、長官から、「有前
科者率はそれほど変動がないにもかかわらず、再犯者率は年々増加
している。検挙されたものの刑罰が科されない者による再犯が問題
になってきているのではないかと思われる」旨の説明があった。
 山本委員より、「先ほどの検挙率の低下との関連で、被疑者に対
する不当な人権侵害が生じないようにという観点から、被疑者の国
選弁護制度が充実してきているところであるが、その反面、これに
よって本来は処罰されなければならない者に対する追及が甘くなっ
たりできなくなって、処罰に値するにもかかわらず処罰されないと
いう人が増えるようなことがあってはならないと思う。ただ、そう
した実情があるのか、ないのかということは、警察しか分からない
と思うので、仮にあるということであれば、警察から指摘をしてい
ただきたいと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「先ほど、捜
査を取り巻く環境が非常に厳しくなってきているということを申し
上げたが、現場では、弁護活動がかなり活発に行われるようになっ
てきているとか、窃盗事件を中心に否認事件が増加してきていると
か、逮捕された本件は認めるが余罪については供述しない傾向が見
られるなどといった話も耳にする」旨の説明があり、山本委員より、
「例えば、日頃の生活状況や犯行態様などからみて、余罪がないと
いうことは考えられないというような窃盗犯のケースもあると思う。
もしそのような実態があるのであれば、社会に伝えていく努力が必
要なのではないかと思う」旨の発言があった。
 奥野委員より、「検挙率の低下の背景の一つとして、地域警察官
の職務質問が端緒となって検挙に至る事案の件数が落ち込んでいる
ということであったが、職務質問は、警察活動の原点というべきも
のではないかと思う。世代交代の時期で技術の伝承が難しくなって
いたり、地域社会の人々の意識や活動も変化するなど、いろいろな
背景があるとは思うが、職務質問の技術の更なる向上に向けた研修、
特に警察学校等における研修に力を入れるようにしていただきたい」
旨の発言があり、生活安全局長から、「警察庁としても問題意識を
持っており、職務質問の優れた技能を有する警察官を、技能指導官
として県・国レベルで指定し、技能指導官を中心に、職務質問の技
能伝承のための教養に取り組んできたところである。次の世代の指
導者の育成も含め、引き続き、全体のレベルアップのための教養に
努めてまいりたい」旨の説明があった。

(5)千葉県等における小売店舗陳列食品に対する異物混入事件につい

刑事局長から、6月下旬以降発生している千葉県等における小売
店舗陳列食品に対する異物混入事件の捜査状況等について報告があ
った。

(6)「第48回交通安全子供自転車全国大会」の開催について

交通局長から、8月7日、東京都内において開催される「第48
回交通安全子供自転車全国大会」に関し、同大会の概要及び小学生
の自転車事故の発生状況等について報告があった。

3 その他

(1)刑事局長及び生活安全局長から、7月4日開催の定例会議におい
て報告があった東京都練馬区において発生した小学生に対する刃物
使用殺人未遂事件に関し、学校等における児童・生徒に危害を及ぼ
す事案に対する学校関係者の対応等について報告があった。