定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成25年12月12日(木)

午前10時05分 午前11時30分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「12月13日付け地方警務官1名の人事案件につい
て発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「12月5日の国家公安委員会の審査の要求を
受け、警察庁懲戒審査会は、大阪府堺警察署における捜査不適切等
事案に係る同府警察本部警務部付の行為・監督責任についての審査
結果を答申する」旨の説明があり、同答申を踏まえ、同警務部付を
戒告処分とすることを決定した。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、(2)で説明のあった、大阪府堺警察署における
捜査不適切等事案に関し、「国家公安委員会の了承が得られれば、1
2月13日、警察庁は、地方警務官1名を長官注意、大阪府警察は、
地方警務官1名を本部長注意とする予定である」旨の説明があり、
原案どおり了承した。

(4)警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案について

刑事局長から、不動産特定共同事業法の一部を改正する法律の施
行に伴う警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案につ
いて説明があり、原案どおり決定した。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、第185回国会における法案審議状況等について報
告があった。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)及び(3)で説明のあった、大阪府堺
警察署における捜査不適切等事案に関し、「大阪府警察は、12月1
3日、警察署の警部補を停職処分とするなど計17名について処分
等を行う予定である」旨の報告があった。

(3)平成25年11月末の刑法犯認知・検挙状況と今後の犯罪抑止対
策について(暫定値)

生活安全局長から、平成25年11月末現在の刑法犯認知・検挙
状況と今後の犯罪抑止対策について報告があった。
 前田委員より、「刑法犯の認知件数の中で、自転車盗が30万件
弱と圧倒的に多くなっているが、その検挙件数は約1万5千件、検
挙率は1桁にとどまっている一方で、他の犯罪の検挙率はかなり高
く、結果、刑法犯全体の検挙率としては約3割となっている。自転
車は、昔は大事な資産として扱われていたが、今や路上に放置され
ていたり、投げ捨てられたりしているものも多く、また、その検挙
対策も困難であり、こういったものを含めて犯罪全体の検挙率が低
いということについて議論をするのはあまり賢明ではなく、むしろ、
重要犯罪をどれだけ検挙しているかということに少し力点を置いた
方がよいのではないかという感じがする。重要犯罪と同様な形で自
転車盗などを統計として計上することは、それ自体は致し方ないこ
とだとしても、違和感があるので、分析においてそのあたりを勘案
した分析をお願いしたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「御
指摘の点については、全刑法犯と併せて、重要犯罪・重要窃盗犯と
いう概念を設け、その増減等の状況については詳しく分析している。
その中には自転車盗は入っていないが、これをきっかけとして、も
っと悪質な犯罪が行われるようになっていくということもあり得る
ので、犯罪事象全体としては、そこまで視野に入れて、全体をまず
捉えるということは必要かと思う」旨の説明があった。
 奥野委員より、「検挙率が下げ止まらないことが気に掛かる。そ
の背景として、例えば、余罪の追及が減っているとか、事件検挙に
つながる職務質問の効果が減っているとか、様々な指摘がなされて
いる。昨今、サイバー犯罪やストーカー行為など、警察が取り組ま
なければならない新たな犯罪が増えてきたことが、検挙率を低下さ
せる新たな要素として加わってきているのではないか。こうした背
景について、数字を基に分析をきちっとやっていただきたいと思う
が、現時点で何か新たな要因が把握されているのか」旨の発言があ
り、刑事局長から、「本年11月末までの刑法犯の検挙件数は、昨
年同期と比べると約4万件、約1割の減少となっているが、このう
ち、2万件余りは余罪の検挙件数の減少、約1万7千件は地域警察
官の職務質問による検挙件数の減少であり、この二つでそのほとん
どを占めていると思われる。窃盗の常習者を検挙しても余罪の検挙
が減少している原因としては、取調べを巡る様々な環境が困難化し
ているとか、大量退職により捜査員の世代交代が進み、取調べの技
能などが習熟しきれていないとかいったことに加えて、御指摘のよ
うに、警察署の刑事部門、生活安全部門を含め、現場が様々な相談
やストーカーへの対応等の新たな業務への対応が必要となる中、粘
り強い捜査によって余罪を解明していくということに時間が割けな
くなってきているということもあろうかと思うが、そのあたりはつ
ぶさには分析しきれていない。ただ、根源的な対応策ではないが、
本年9月、盗犯捜査において、適切に余罪の検挙を推進するよう通
達しているところである。警察署において、窃盗常習者を逮捕して
も、余罪の解明のために粘り強く時間を掛けた捜査を行うことが困
難になっている反面、被疑者自身から本件以外の供述を得にくくな
っているといったことがあることから、警察本部がグリップして、
必要に応じて本部の取調官を投入したり、供述が得られない場合で
あっても、指紋やDNAなどの盗犯現場における遺留資料を採取し、
データベースとの照合を徹底することなどを指示している。その後
の経過を見ると、顕著な結果ということではないが、10月、11
月で見ると窃盗犯の余罪の検挙割合は15ポイントほど上がってき
ており、これが定着して検挙率の向上につながっていくのかどうか
については、しっかりと見ていく必要がある」旨の説明があり、奥
野委員より、「科学技術の活用による捜査の高度化とか、若手警察
官の捜査能力の向上など、いろいろな対策はとられていると思うが、
新型の犯罪への対応が増えてきた、すなわち捜査活動が非常に忙し
くなって手が回らなくなってきたということが背景にあるとすれ
ば、数値などから背景を分析していただき、今後の警察活動の在り
方や人員配置の見直しの参考にしていただきたい」旨の発言があり、
刑事局長から、「現在、厳しい情勢の中における捜査に関する問題
の把握に努めているところであり、そうしたものをしっかりまとめ
て、根源的なものを含め、今の犯罪情勢や課題を捉えて対応策に結
びつくようなものを見いだしたいと考えている」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「刑法犯認知件数が減少している中で、警察官
は増員され、一人当たりの負担は減っているはずなのに、なかなか
うまくいかないのは、新たなタイプの仕事が増えたか、犯罪抑止の
ためのほかの仕事が増えたか、捜査がやりにくい環境になったか、
捜査の能力が落ちたかの4つの要因に分けられると思うが、それぞ
れの要因がどのような割合で影響しているのかについて分析してみ
るのも興味深い」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘の4つ
の要因すべてがあると思う。どれだけ数字として捉えられるか分か
らないが、具体的にどういう形で現場に影響しているのか考えるこ
とは大事だと思う」旨の説明があり、長谷川委員より、「現場の職
員は、どのように、どこが一番困ると認識しているのだろうか。刑
法犯自体は減少しているものの、世の中がすごく変わったというこ
ともあろうが」旨の発言があり、刑事局長から、「職員へのアンケ
ートのようなこともやってみようと考えている」旨の説明があった。

(4)特定抗争指定暴力団等及び特定危険指定暴力団等の指定の期限延
長について

刑事局長から、道仁会と浪川睦会(旧九州誠道会)に係る特定抗
争指定暴力団等としての指定期限を3月間延長すること及び五代目
工藤會に係る特定危険指定暴力団等としての指定期限を1年間延長
すること等について報告があった。

(5)指定薬物の単純所持・使用等に対する規制の新設等について

刑事局長から、第185回国会において成立した改正薬事法及び
改正薬剤師法において新設された指定薬物の単純所持・使用等の禁
止規定の概要並びに本年における「脱法ドラッグ」対策の推進状況
及び今後の取組について報告があった。

(6)柏市内における強盗殺人事件の被疑者検挙について(千葉県警察)

刑事局長から、「本年2月22日、千葉県柏市内において、自動
車盗の被疑者が、自動車が盗まれるところを発見し、ボンネットに
しがみついた被害者を振り落とし死亡させるという事件が発生し、
千葉県警察において捜査中であったが、同県警察は、警視庁と共同
捜査中の組織的な自動車盗グループのメンバーを被疑者と認め、1
2月7日、強盗殺人の罪により通常逮捕した」旨の報告があった。

(7)厚生年金基金常務理事らによる年金投資をめぐる贈収賄事件の検
挙について(警視庁)

刑事局長から、「警視庁は、証券会社社員が、年金給付等積立金
の管理及び運用を総理するみなす公務員である大手企業の厚生年金
基金常務理事に対し、自社の金融商品に投資を決定したことの謝礼
等として接待を行い、同常務理事はその趣旨を知りながら接待を受
けたとして、12月5日、両人を贈賄及び収賄の罪によりそれぞれ
通常逮捕した」旨の報告があった。

(8)交通事故被害者等の意識調査の結果について

交通局長から、交通指導課及び科学警察研究所交通科学部が全国
の交通事故被害者及びその御遺族に対して実施した意識調査の結果
について報告があった。
 山本委員より、「このような調査をしていただいたことに敬意を表
したい。調査結果を見ると、警察の事故捜査結果について納得して
いるという回答が平成9年に行った前回調査に比べて増えているこ
と、事故の発生状況や事故原因についてもっと説明が欲しかったと
いう回答が減っていることなどからすると、全体としては改善され
ているという理解ができるのではないかと思う。被害者が死亡した
事故、被害者が高次脳機能障害等になり事故の状況を全く説明でき
ないような事故において、警察の事実認定が後々の民事賠償に大き
く影響しているということを経験しており、加害者側の説明が過大
に評価されていることはないかという懸念を持っていたが、この結
果を見る限りは例外と捉えられると思う。ただ、刑事事件の処理が
終了した後も、多くの場合、損害賠償の問題が生じ、民事訴訟にお
いては、民事の裁判官が事実認定を行うことになるが、その時にな
って客観的証拠を改めて全て集めることは困難であり、警察の事実
認定が民事裁判にも大きな影響を及ぼしているという実態があるの
で、特に、被害者がお亡くなりになられた場合、被害者が事故の状
況を説明することが困難な場合については、客観的証拠に基づく公
平な判断がなされるよう是非努めていただきたい」旨の発言があっ
た。

(9)日・ASEAN特別首脳会議開催に伴う警護警備について

警備局長から、「日・ASEAN特別首脳会議が、12月13日
から12月15日までの間、東京都内赤坂迎賓館等において開催予
定であり、これに伴い所要の警護警備を実施する」旨の報告があっ
た。

3 その他

(1)生活安全局長から、12月9日に開催された第2回食品表示等問
題関係府省庁等会議の結果及び今後の取組について報告があった。

(2)警備局長から、第185国会において成立した特定秘密の保護に
関する法律について報告があった。

(3)警備局長から、長官狙撃事件の捜査結果公表に対する国賠訴訟上
告審に向けた対応について報告があった。

(4)前田委員より、「奈良県警察においては、パトカーがメロディー
を流してパトロールを行うという取組を始めたということであるが、
住民の方には、パトロールをしてくれていることが明確に分かるの
で安心であると大変好評のようである。泥棒も嫌がるだろうし、パ
トロールしているということを効果的に知らせることができるので
はないか。全国一律ということではないが、参考にすべき例と思わ
れるので、管区警察局を通じるなどして都道府県に紹介してはどう
か」旨、委員長より、「パトカーが音楽を流してパトロールを行っ
て住民に安心感を持ってもらうというのは、新たな発想かもしれな
い」旨の発言があった。