定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年1月16日(木)

午前10時00分 午前11時25分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「1月24日付け地方警務官2名の人事案件について
発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)次期通常国会提出予定法律案件名要旨について

官房長から、次期通常国会に提出予定の法律案として、提出確定
1法案、検討中2法案を提出することについて、刑事局長から、法
律案の概要等について、それぞれ説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会の権限に属する事項の専決区分の整備(案)等に
ついて

官房長から、国家公安委員会の権限に属する事項の専決区分の整
備(案)等について説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「福井県警察の警部が、福井県に出向中の平成2
5年6月、恐喝をしたとして、同年11月15日に通常逮捕された
事案等に関し、同県警察は、1月17日、同警部を懲戒免職処分と
する予定である」旨の報告があった。

(2)平成25年中における自殺者数(速報値)について

生活安全局長から、平成25年中における自殺者数(速報値)に
ついて報告があった。

(3)インターネットバンキング不正送金事犯に係る国外送金被疑者の
検挙について(愛知県警察・栃木県警察)

生活安全局長から、「愛知県警察及び栃木県警察は、1月14日、
それぞれ、インターネットバンキングに係る不正送金により自己の
口座に入金された現金を資金移動業者を介して国外に送金していた
犯罪収益移転防止法違反の被疑者を検挙した。なお、資金移動業者
を介した送金の受取りに必要な為替取引カード等の有償譲渡に係る
犯罪収益移転防止法の罰則の適用は全国初となる」旨の報告があっ
た。
 髙木委員より、「資金移動業者を介した国外送金の規模はどれくら
いか」旨の発言があり、生活安全局長から、「資金移動業者の数は、
平成25年11月30日現在で35業者であり、平成25年中にイ
ンターネットバンキングの不正送金後、海外送金されたものは、同
年11月30日現在で、218件、約2億5千9百万円に上り、こ
れはインターネットバンキング不正送金事案の17.8%を占める
ものである」旨の説明があった。
 奥野委員より、「この事件はよく検挙できた。捜査は大変だっただ
ろう。しかし、これは、まだまだ氷山の一角であると思う。今回の
事件は、被害届から送金業者、資金移動業者へとたどり着いたとい
うことであるが、逆に、資金移動業者の方で不正送金をチェックし
て、警察に情報を提供するようなシステムにはなっていないのか」
旨の発言があり、生活安全局長から、「一般的に、疑わしい取引につ
いては、警察庁の犯罪収益移転防止管理官に情報提供される仕組に
なっており、資金移動業者についても、おかしいと感じたものがあ
れば届け出てもらう仕組になっている」旨の説明があった。

(4)集団強姦等被疑者の逃走事案について(神奈川県警察)

刑事局長から、「神奈川県警察は、1月7日に横浜地方検察庁川崎
支部において弁護人と接見中であった集団強姦等被疑者が逃走した
事案に関し、1月9日、横浜市泉区内において逃走中の被疑者を発
見、逮捕した」旨及び今回の事案を踏まえた再発防止に係る今後の
対応について報告があった。

(5)防災基本計画の修正について

警備局長から、平成25年6月の災害対策基本法の一部改正、同
年9月の原子力災害対策指針の改正等を踏まえた政府の防災基本計
画の一部修正案について報告があった。
 髙木委員より、「災害対策に関する全国の取組状況を見ると、対策
の検討やその具体化が非常に進んでいるところがある一方で、まだ
まだ緒についたばかりという感じのところがあるというように、地
域ごと、市町村ごとの格差が出てきたという印象がある。災害対策
を強化・深化させるのは当然であり、また、都道府県や市町村ごと
に対応力の差があるという課題は、災害対策に限らずほかにもある
とは思うが、殊に災害対策の話だけに、あまり地域ごとのギャップ
が大きくなりすぎるのは、対策が進んでいない地域の住民にとって
は不安なことだと思う。もちろん警察だけの問題ではないが、政府
全体で災害対策を議論する中で、対策の地域格差についても議論し
ていただく必要があると感じている」旨の発言があり、警備局長か
ら、「災害対策の主体は地方公共団体であり、都道府県や市町村の役
割が非常に大きく位置付けられ、各自治体においては、東日本大震
災を踏まえ、災害対策を強化しているところであるが、その中で、
進んでいるところと遅れ気味のところとの格差が大きくなりつつあ
るという現実はあると思う。警察は、警察本部と都道府県庁の災害
対策部門、警察署と市町村というように、それぞれのレベルに応じ
て、自治体と連携して災害対策に取り組んでおり、警察庁が対策の
全国標準を各都道府県の警察本部に示し、警察本部は警察署にそれ
を示すことによって、遅れている自治体があれば問題提起をしたり、
一緒になって検討したりするということを通じて、都道府県や市町
村のレベルアップに貢献してまいりたい」旨の説明があった。

(6)平成25年中の災害警備訓練実施状況について

警備局長から、平成25年中における災害警備訓練の実施状況に
ついて報告があった。
 長谷川委員より、「特徴のある訓練として、近畿管区警察局が、あ
らかじめ決められたシナリオに沿って行う展示型の訓練ではなく、
参加者にシナリオを全く示さずに行う完全ブラインド型の訓練を行
い、これが非常に良かったとのことであるが、今までこのような訓
練はやっていなかったのか」旨の発言があり、警備局長から、「一部
ブラインド型というのはあるが、完全ブラインド型の訓練はあまり
やってこなかったと思う」旨の説明があり、長谷川委員から、「展示
型のようにあらかじめシナリオが分かっていると、参加者は頭で理
解するだけになるが、ブラインド型の訓練では、状況が分からない
中で自ら試行錯誤しながら動くことになり、単なる認識の記憶に残
るだけではなく、あの時どこでどうどきどきしたとか、どこでどう
いうふうにひらめいたとか、体にも心にも感情を伴ったエピソード
型の記憶として残ることになることから、大変効果があると思う。
こういう訓練を是非たくさんやっていただきたいと思う」旨の発言
があった。

(7)安倍内閣総理大臣のスイス連邦訪問に伴う警護警備について

警備局長から、「安倍内閣総理大臣は、1月21日から1月23日
までの間、世界経済フォーラム年次総会、いわゆるダボス会議出席
等のため、スイス連邦を訪問予定であり、これに伴い所要の警護警
備を実施する」旨の報告があった。

(8)在アルジェリア邦人に対するテロ事件を踏まえた警察の取組につ
いて

警備局長から、平成25年1月16日に発生した在アルジェリア
邦人に対するテロ事件に関し、政府の検証報告書等を踏まえた警察
の取組について報告があった。
 奥野委員より、「警察の取組として、情報収集・分析体制や官民の
情報共有・協力体制を強化するとの報告があり、特に、官民の情報
共有に関しては、『海外安全対策に係る官民集中セミナー』を4回
にわたり開催したということだが、今後もこのようなセミナーを定
期的に開催するような体制ができたということか」旨の発言があり、
警備局長から、「御指摘のセミナーは、事件を踏まえ、関係省庁の共
催により開催したものであるが、平成26年度においても、外務省
が中心となって、継続して実施する方向で検討している。また、公
共政策調査会主催の企業安全対策責任者講習についても、今後もで
きるだけ数多く開催するようにしているほか、その他民間団体が主
催するセミナーなどについても、主催者からの要請があれば担当官
を派遣して説明を行うなど、情報提供に努めたい」旨の説明があり、
奥野委員より、「こうした事件が起きると、発生直後はいろいろ対策
を考えるが、すぐに冷めてしまうところがあるので、是非、説明の
あった官民の情報交換や海外の治安・情報機関との日常的な情報共
有などを図っていただきたい。更には、アフリカの在外公館への警
備対策官の増員について説明があったが、その他の危険地域への警
備対策官の派遣も検討し、国際テロに対する情報収集を強化してい
ただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「警備対策官の派遣状
況をよく見ながら、空白が生じないようしっかり対応してまいりた
い」旨の説明があった。
 長谷川委員より、「発生から1年経って、関係する企業では、今回
の反省を踏まえた改善点などについて検討されているか」旨の発言
があり、警備局長から、「一つには、現地における大使館と企業との
情報共有、情報交換をより緊密にやっていくということであり、外
務省を中心に進められている。もう一つは、現場の工場等について
きちんと危険判断を行った上で、足りない点について措置を講じる
ということであり、その点についての企業の意識は非常に高まって
いると思う」旨の説明があり、長谷川委員より、「かつてアフリカに
派遣されていた時、身の代金目当てのゲリラが来るという情報があ
り、実際、外国のチームのメンバーが誘拐されたということがあっ
たが、その時には、現地で雇ったスタッフの中にゲリラ側への内通
者がいた。今回のアルジェリアでの事件でも内通者がいたとのこと
であるが、こちらを良く思わなかったり、お金に目が眩んだりして、
ゲリラ側に内通するような人をなるべく出さないようにしなければ
ならない。そのためには、時間は掛かるが、現地で雇ったスタッフ
に、日本はいい国で、日本人の下で働くのはいいことだと思っても
らえるような親密な関係をつくることが大切である。それでも、お
金に目が眩んだ内通者が出てくるのを完全に防ぐことは難しいから、
次に大切なのは、そのような怪しい動きをする者が出たときに、そ
れを教えてくれる人をつくることである。内通者を完全に防ぐこと
はできないが、現地スタッフのネットワークも活用することが大切
である」旨の発言があり、長官から、「アルジェリアの事件では、民
間警備員、治安機関、軍という三重の防護措置があったが、内通者
によってこれらが無力化されたということが一番の教訓である。内
通者をなくすのが一番であるが、あった場合にいかに早く発見する
かということも大切だと思う」旨の説明があった。

(9)国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案に関
する国賠訴訟の判決について

警備局長から、国際テロ対策に係るデータのインターネット上へ
の掲出事案に関する国賠訴訟の判決について報告があった。
 奥野委員より、「審理の過程で被告側が十分立証を尽くせなかった
という事情があるかもしれないが、結局は警察の敗訴である。判決
では、原告の受けた被害は甚大であるとし、警視庁の情報の管理責
任が指摘されており、警察は重く受け止めてほしい。時効にはなっ
たが、更に捜査を継続して実態を解明し、国民に説明責任を果たす
とともに、再発防止を徹底してほしい。特に今回は、公安情報の管
理責任を指摘されており、情報を管理する現場の担当者には仕事に
対する責任の重さをしっかりと受け止めていただきたいと思う」旨
の発言があった。

3 その他

(1)刑事局長から、1月9日の定例会議において報告のあった、エク
アドルにおける邦人観光客被害強盗殺人事件に関し、これまでの現
地警察の捜査状況等について報告があった。