定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年2月6日(木)

午前10時00分 午前11時20分


第2 出席者 長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「2月7日付けを始めとする地方警務官18名の人事
案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり
決定した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成25年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規
則の施行状況について

官房長から、平成25年における被疑者取調べ適正化のための監
督に関する規則の施行状況について報告があった。
 前田委員より、「監督対象行為の内容について見ると、単なる間違
いとか、本質的な問題とは関係のない形式的なものが大半を占め、
本当に深刻で問題のある事案はほとんど見られないのではないか。
この種の対策は、問題のある事案が発生すると行わざるを得ないも
のではあるのだが、昨年は39件で、平成21年以降ほとんど変化
がなく、今年も同じような結果になると思う。また、苦情等を端緒
としたものは重視する必要があるが、それも昨年は9件程度である。
大切なのは、このような結果について、かなり良くなってきたと見
るのか、まだ残っている限りは全部なくすことを目指して続けるの
かということについて、警察庁がどのような基本スタンスを取るの
かということであり、そうでないと、この種の対策は永遠にただや
り続けるだけということになってしまう。むしろ、取調べ監督に力
を入れるよりも、捜査員に対する教養を充実させることを通じて監
督対象行為が行われなくなることを目指す方が重要ではないか。制
度ができて5年経ち、そろそろ方向を切り替える時期に来ていると
思う」旨の発言があり、官房長から、「監督対象行為の39件のうち、
懲戒処分に至ったものが1件、監督上の措置を行ったものが7件あ
り、このあたりが内容的にも問題のある事案であると考える。その
他のものは、手続上の誤りに係るものなどであるが、手続上の問題
とは言っても監督対象行為が残っていることには変わりないので、
教養を充実させていく必要がある。今は捜査員の世代交代が激しく、
新人が次々と入ってくる状況にあるが、取調べ監督制度には、やっ
ていいことと悪いことの線引きを示し、それを守らせるという意義
があり、今後も続けていく必要があるが、委員御指摘のように、教
養の方を充実させていくことは重要であると考える。ただ、その場
合、取調べ監督制度を運用する総警務部門でというよりも、実際に
取調べを行う刑事などの捜査部門で行わないとなかなか捜査員に徹
底しないという側面はあり、総警務部門が教養の素材を提供し、実
際の教養は捜査部門においてしっかりと取り組むということが大切
だと考える」旨、刑事局長から、「取調べ監督制度自体は、より第三
者的な立場からチェックをするという趣旨から総警務部門が運用し
ているものであるが、むしろ大切なのは、捜査部門が如何に的確に
捜査指揮を行うかということである。捜査指揮官としては、取調べ
を取調べ官任せにせずに、被疑者や取調べ官の状況を把握し、的確
に捜査指揮をすることにより、取調べ官が苦し紛れに便宜供与をし
てしまうなどといったことを防止することが重要である。捜査指揮
官が、取調べ監督担当者に任せきりにしてしまうという状態が一番
良くないのであり、取調べ監督制度自体は続けつつも、的確な捜査
指揮を通じて、監督対象行為が自然に無くなっていくということが
理想である」旨の説明があった。

(3)平成25年第4四半期における地方警務官に係る贈与等報告書に
ついて

官房長から、「国家公務員倫理法の規定に基づき、地方警務官から
平成25年第4四半期における贈与等報告書が国家公安委員会に対
して提出され、これを国家公安委員会委員長が専決で受理し、この
うち、指定職以上の職員に係るものについては、その写しを国家公
務員倫理審査会へ送付することとしている」旨の報告があった。

(4)第3回「命の大切さを学ぶ教室全国作文コンクール」表彰式の開
催について

官房長から、「第3回『命の大切さを学ぶ教室全国作文コンクール』
の優秀作品が決定し、2月8日、東京都内において表彰式が開催さ
れる」旨の報告があった。

(5)日米PCSC協定の署名等について

官房長から、「『重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協
力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定』
については、平成25年9月に日米間で実質合意に至り、その後、
署名に向けて日米間で所要の作業を進めていたが、2月7日、閣議
決定を経て署名が行われることとなった。今後、今国会において、
同協定を実施するための法律案を提出することとしている」旨の報
告があった。

(6)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「埼玉県警察の警部補が、平成20年9月、捜
査費を詐取した事案等に関し、同県警察は、2月7日、同警部補を
懲戒免職処分とする予定である」旨及び「愛知県警察の警部が、平
成25年9月19日に地方公務員法違反で通常逮捕された事案等に
関し、愛知県警察は、2月14日、同警部を懲戒免職処分とすると
ともに、監督責任として、上司らを本部長注意等の措置とする予定
である」旨の報告があった。

(7)平成25年の特殊詐欺認知・検挙状況等について

刑事局長から、平成25年の特殊詐欺の認知・検挙状況、今後の
取組等について報告があった。
 奥野委員より、「被害額は約487億円に上るということであるが、
この種の犯罪の特殊性からすると、被害に遭ったことを家族にも言
えないというような例があると思われ、表面に出てこない被害が相
当数あると考えられるがどうか」旨の発言があり、次長から、「約4
87億円のほか、金融機関で水際阻止したものが約190億円あり、
これら把握された被害額等は約700億円の規模になるが、御指摘
のとおり、被害届が提出されない例など、警察において把握されて
いない被害は一定程度存在すると思われる」旨の説明があり、奥野
委員より、「被害規模は大変なものである。この度、全国会議を開催
し、各部門の総力を挙げて取り組むよう指示されたということであ
るが、是非それを推進してほしい。特に、暴力団は資金源を確保で
きなくなってきており、新たな資金源として特殊詐欺に着目してい
るとの話も聞くので、組織犯罪対策部門には、通常の暴力団捜査を
行う中で特殊詐欺に絡む情報収集をするなど、組織を挙げて捜査を
していただきたい」旨の発言があり、次長から、「御指摘のとおりで
あり、昨年の検挙人員約1,800人中、暴力団関係者が3割近く
含まれるなど、暴力団が相当この種の犯罪に絡んできている様子が
うかがえ、警察庁としても重点的に取り組んでいるところである」
旨、長官から、「昨年は、本犯の検挙人員、助長犯罪の検挙人員、金
融機関等の水際阻止率がいずれも過去最高を記録するなど、官民挙
げて対策に取り組んでいる中、被害総額も過去最高になっており、
非常に深刻な状況にあると認識している。特に組織犯罪対策部門を
巻き込みながら、警察の総力を挙げて取り組んでまいりたい」旨の
説明があった。
 山本委員より、「警察の力だけではなく、宅配業者に協力要請する
など、社会において様々な犯罪に利用されているツールの実態を掴
みながら、被害の発生防止のためにいろいろと工夫されているとい
うことであり、大変良いことだと思うし、敬服する次第である。検
挙も確かに重要ではあるが、実害を発生させないような工夫をすれ
ば、この種の犯罪を行う者はいなくなると思うので、お金の流れを
止めたり、騙されたふり作戦を活用したりといった対策を是非続け
ていただきたい。最近では、犯人側が騙されたふり作戦を警戒して、
現金受渡場所を転々とさせるようになってきたと言われており、い
わば犯人側との知恵比べといった状況が出てきていると思うので、
実態を掴みながら、是非被害防止に有効な手法を考えていただきた
い」旨の発言があった。

(8)FATF対日審査フォローアップへの対応(第8回報告)につい

刑事局長から、FATF対日審査フォローアップへの対応(第8
回報告)について報告があった。

(9)平成25年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状
況について

交通局長から、「平成25年中の交通事故死者数は4,373人で
あり、13年連続で減少し、交通事故発生件数及び負傷者数も9年
連続で減少した。また、平成25年中の道路交通法違反取締り総件
数は、1,047万4,402件であり、前年に比べると約77万
件、約7ポイント減少した。今後とも、事故分析に基づく事故抑止
に資する活動の推進など、総合的な交通死亡事故抑止対策に取り組
んでまいりたい」旨の報告があった。

(10)安倍内閣総理大臣のロシア連邦訪問に伴う警護警備について

警備局長から、「安倍内閣総理大臣は、2月7日から2月9日まで
の間、日・露首脳会談、ソチ五輪開会式出席等のため、ロシア連邦
を訪問予定であり、これに伴い所要の警護警備を実施する」旨の報
告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、今国会に提出される予定の「少年法の一部を
改正する法律案」の概要について報告があった。

(2)生活安全局長から、「シカやイノシシ等の増加に伴う農林水産業等
への被害の深刻化や狩猟者の高齢化等による担い手不足等を背景と
して、環境大臣は、鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措
置について中央環境審議会に諮問していたが、この度、同審議会に
おいて答申が取りまとめられた。環境省では、答申を踏まえ、今国
会に関係する法律案を提出する予定であるが、警察庁としては、銃
刀法との関係などの論点を整理するとともに、今後の議論において
必要な意見を申し述べてまいりたい」旨の報告があった。
 髙木委員より、「麻酔銃は効果がないとか、サルなどには撃っても
当たらないなどと言う人が時々いるのだがどうか」旨の発言があり、
生活安全局長から、「麻酔銃については、対象となる鳥獣に応じた麻
酔薬の量があって、専門家が検討した結果、一定の効果があるとい
うことで使用することとされているのだと思う。また、撃っても当
たらないというのは、技術の問題といえるのだろうが、街の中に出
没したクマやサルなどを捕獲するために銃を使用することは、流れ
弾の危険を伴うものであり、警察としては、安全管理に関してどの
ように協力していくかということが課題になると思う」旨の説明が
あった。