定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年2月13日(木)

午前10時00分 午前11時15分


第2 出席者 長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
警備局長、情報通信局長


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)三代目俠道会、太州会及び浪川睦会の指定の確認について

刑事局長から、「広島県公安委員会から受理した三代目俠道会並び
に福岡県公安委員会から受理した太州会及び浪川睦会に対する指定
暴力団としての指定の確認請求について、審査専門委員の意見聴取
を終えたことから、本日、国家公安委員会による確認を求め、各公
安委員会に通知することとしたい」旨の説明があり、原案どおり決
定した。
 前田委員より、「先日、福岡県に出張し、暴力団対策の推進状況に
ついて視察した。県警察の説明では、防犯カメラを大量に整備でき
たことが効果的であるとのことであった。実際の設置状況も見せて
いただいたが、警察、自治体、民間と整備主体は様々であるが、密
な間隔で精度の高いカメラが設置されていたりしており、警戒はし
やすくなったとのことである。暴力団が関係する犯罪では、暴力団
の側の対抗策が上手を行っている側面があり、このような思い切っ
た対策を執らないと、なかなか起訴に持ち込めず、暴力団に勝つこ
とができないのではないか。今回の指定暴力団の指定のような機会
を捉えて防犯カメラなどのインフラを整備するなど、都道府県警察
に対しては、予算措置を含め、配慮していただきたい。福岡県では
検挙した暴力団員の起訴率が大幅に良くなったようであるが、こう
したことにも資すると思う。せっかくこれだけ暴力団対策法の網を
掛け、大勢の警察官を動員しているわけだから、犯罪は絶対に見逃
さないという心積もりで対策を徹底していただきたい」旨の発言が
あった。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁長官に対する異議申立てに係る決定及び開示請求に係る決
定について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関
係の異議申立てに係る決定及び開示請求に係る決定について報告が
あった。

(3)平成25年中における人身取引事犯の検挙状況等について

生活安全局長から、平成25年中における人身取引事犯の検挙状
況、被害状況等について報告があった。
 奥野委員より、「米国国務省が発行しているトラフィッキングレポ
ート、人身売買報告書では、日本への評価はあまり良くない印象が
あるようだ。昨年の人身取引事犯の検挙数は減少しており、これだ
けを見ると、人身取引事犯自体が減少したのか、警察の努力が足り
なくて検挙が追いついていないのか、いずれの見方も可能であると
思うが、米国側は、この結果をどのように見て、トラフィッキング
レポートに反映させると考えられるか」旨の発言があり、生活安全
局長から、「検挙数が減少したのは努力が足りないというよりも、む
しろ様々な努力により人身取引事犯自体が減少したと考えている。
人身取引事犯という場合、搾取的なものであったり、支配下に置か
れて監視されているといった状況にあるものというように、一定の
定義があり、その定義に当てはまるものを統計として計上している
が、例えば風俗店で年少者が雇用されていたり、外国人が不法就労
させられていたりするような事犯など、人身取引事犯の定義には該
当しないものの、その周辺にある事案も含めて総合的に取り組んで
おり、米国側には、こういったことを含めて努力していることをし
っかりと説明してまいりたい。一方、トラフィッキングレポートに
おいては、検挙件数だけではなく、人身取引を禁止する法律の整備
や国際的組織犯罪防止条約の附属議定書としての人身取引議定書へ
の批准の状況といった点も踏まえて評価される。日本では、人身取
引の禁止については、独立した法律ではなく、刑法の中で規定され、
入管法にも人身売買に関する規制が設けられていること、また、人
身取引議定書の批准に関しては、上位の条約である国際的組織犯罪
防止条約の批准を踏まえて行えるよう準備をしていることといった
点について、外務省を中心として米国側に説明してまいりたい。こ
のほか、NGOやNPOから人身取引事犯に関する情報が米国側に
提供されることがあるが、我々としても実態解明を行い、米国側に
説明して理解を得てまいりたい」旨の説明があった。
 山本委員より、「事例の中でスカウトグループの存在について説明
があったが、日本人の被害者が増えてきたということと関連して、
違法な活動によって収益を上げようとする悪い集団が新たな収益源
としてこれに着目しているという発想で取締りを強化していただき
たい」旨の発言があり、生活安全局長から、「あらゆる法律を適用し
て実態解明と取締りを進めてまいりたい」旨の説明があった。

(4)日・米重大犯罪防止対処協定実施法案の概要について

刑事局長から、今国会に提出予定の日・米重大犯罪防止対処協定
実施法案の概要について報告があった。
 奥野委員より、「いつどこで国際テロが起きるか分からず、また、
日常的に犯罪の多くが国境を越えて行われているのが世界を取り巻
く現状であるという点を踏まえると、このような捜査情報の照会と
提供に関するシステム化は、いずれ避けられないことではあると思
う。ただ、日米間を比較すると、テロリストの出入国の状況、一般
の外国人の出入国者数等の状況が全く異なり、日米双方の捜査機関
がそれぞれ相手方に求める情報も異なると思われるが、そう考える
と、果たしてこの協定が日本にとってはどれだけ有益なものになる
のだろうか気懸かりではある。未解決事件の捜査や2020年の東
京オリンピック・パラリンピックにおけるテロ対策にも役立つとい
うことが言われているがどうか」旨の発言があり、刑事局長から、
「そもそも日米間の犯罪捜査に関する協力の枠組みは、友好国であ
るということも踏まえて促進されてきた。例えば、日米刑事共助条
約は、日本が初めて結んだ犯罪捜査共助に関する条約であるし、逃
亡犯罪人引渡し条約についても他国に先駆けて結んでおり、今回の
協定も、同様の流れの中でできたものであるといえると思う。次に、
実際の犯罪捜査共助の実施状況であるが、ICPOルートを通じた
情報交換に関しては、実は、日本への依頼数が最も多いのは米国で
ある。情報面では、日本から米国に情報提供を依頼するよりも、米
国の警察が日本の警察の保有する情報を必要としているケースが多
い。他方、証拠に関しては、日本から米国に依頼するものが、外国
に依頼するもののうち約25%を占めているのに対し、米国から日
本へ依頼するものは少なく、この点に関しては、サイバー犯罪への
対応がますます求められる中で、日本の方が米国の協力を必要とし
ている場面は多くなると思われる。ただ、いずれにしても、現状で
は、中韓などと比べると、日本人と米国人がそれぞれ相手国内で犯
罪を行った事件のように日米間でお互い協力して捜査に当たらなけ
ればならない事案をそれほど数多く抱えているわけではない。第3
に、未解決重要事件の捜査にどれだけ資するかという点については、
今回の協定により照会システムができれば、まず、照会に係る者の
データを持っているか否かについて相手国に自動照会し、その上で、
該当があった者についてのみ掘り下げた調査をすれば済むという手
続になり、照会を受けた側にとっては作業の省力化が図られるので、
特に米国からの照会数が多い日本にとってはメリットがあるという
ことがいえると思う。また、他国の所有するデータベースに照会が
できるようになることは意義のあることだと思う。第4に、東京オ
リンピック・パラリンピックに向けたテロ対策への効果という点に
ついては、この協定のユーザーの一つである法務省の入国管理局が
積極的に活用すれば、水際でチェックするのに大きな効果があると
思う。いずれにしても、この協定が機能するためには、テロリスト
が来るとか、重大な薬物密売組織のルートとか、ある程度のインテ
リジェンスが働いていることが前提であると考えられる。日本は、
通信傍受を始め、捜査機関に与えられた情報収集のための環境が他
の国に比べて厳しく、オリンピックを控え、テロ情勢が厳しくなる
中では、足りない捜査環境を補うものにはなり得ると思う」旨の説
明があり、奥野委員より、「捜査の迅速化、情報の入手に要する時
間の節約に資するものではあるだろう」旨の発言があった。

(5)平成25年中における死体取扱状況について

刑事局長から、平成25年中における死体取扱状況について報告
があった。
 長谷川委員より、「解剖数は、警察が取り扱った死体のうち11.
3%であるが、犯罪死体、変死体、その他の死体というそれぞれ区
分への分類は、死体を取り扱った最初の段階で行われるのか。よく
分からないので解剖したら犯罪死体であったという場合もあるのか」
旨の発言があり、刑事局長から、「たいていの場合、臨場した最初
の段階で分かることが多い」旨の説明があり、長谷川委員より、「犯
罪死体の取扱数が減少しているのは、殺人事件が減少していること
と関連しているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘の
とおりである」旨の説明があった。

(6)第19回アジア・太平洋薬物取締会議(ADEC-19th)の
開催について

刑事局長から、「第19回アジア・太平洋薬物取締会議『ADEC
-19th』が、2月18日から20日までの間、東京都内におい
て開催される」旨の報告があった。

(7)平成25年中の暴走族の動向及び検挙状況等について

交通局長から、平成25年中の暴走族の動向、検挙状況及び今後
の対策について報告があった。

(8)東京マラソン2014開催に伴う警察措置について

警備局長及び交通局長から、東京マラソン2014開催に伴う警
察措置について報告があった。