定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年2月20日(木)

午前10時00分 午前11時15分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、交通局長、警備局長、
情報通信局長
審議官(刑事局担当)、首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「3月4日付けを始めとする地方警務官等389名の
人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案ど
おり決定した。

(2)日・米重大犯罪防止対処協定実施法案について

審議官(刑事局担当)から、日・米重大犯罪防止対処協定実施法
案について説明があり、原案どおり決定した。

(3)産業競争力強化法第8条第5項の規定に基づき新たな規制の特例
措置を講ずることとする旨の通知及び公表について(企業実証特例
制度関係)

交通局長から、「道路交通法施行規則に定める駆動補助機付自転車
の基準について、事業者から、産業競争力強化法の規定に基づき、
特例措置を整備するよう、経済産業大臣及び国土交通大臣に要望書
が提出され、両大臣から国家公安委員会あてに当該特例措置の整備
について要請がなされた。要請を受け、事業者が使用を予定してい
る駆動補助機付三輪自転車について試験等を実施した結果、一定の
安全性が認められたことから、安全上必要な措置を講ずることを条
件として特例を認めることとし、その内容について事業者に通知・
公表することとしたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「和歌山県警察の警部補が、暴力団組員に捜査
情報を漏洩するなどした事案に関し、同県警察は、2月21日、同
警部補を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司らを
本部長注意等の措置とする予定である」旨及び「和歌山県警察の警
視らが、暴力団と親交のある者から飲食の提供を受けるなどした事
案等に関し、同県警察は、2月21日、同警視らを減給等の処分と
する予定である」旨の報告があった。
 奥野委員より、「この警視らは、暴力団と親交のある者から、た
だ親しい友人というだけで、ここまで供応を受け続けたのか」旨の
発言があり、首席監察官から、「この警視らの先輩に当たる、暴力
団対策のベテランだった県警察OBが、当時暴力団捜査に従事して
いたこの警視らに、暴力団の実態に詳しい人ということでこの人物
を紹介し、以後、この人物と警視らとの交際が続いてきた」旨の説
明があり、奥野委員より、「金品の提供等の見返りはなく、捜査に
資する情報を収集する目的だとしても、暴力団員に捜査情報を漏洩
した罪はやはり重いと思う。今回の事案の背景には、和歌山県警察
の体質や風土があるのではないかと感じる。現場の刑事と暴力団員
が持ちつ持たれつの生ぬるい関係があるのではないかと思わざるを
得ないところがあり、他にこのような事案がないのか、さらに調査
をしてほしい。暴力団排除条例の整備等を背景として、市民ぐるみ
で暴力団追放に取り組み、中には命の危険も顧みず協力してくれる
人もおり、何より、警察官が暴力団取締りに懸命に取り組み、九州
には全国から応援に行っている中で、このような事案があると、努
力している関係者はたまらない気持ちになる」旨の発言があり、首
席監察官から、「今回、幹部の職にある者がこのようなことをした
ことを大変重く受け止めており、来月早々にも和歌山県警察に対し
て監察を実施することとしている。委員の御指摘を十分に踏まえ、
実態を把握し、指導してまいりたい。そのためには、業務主管部門
との連携も重要であるので、暴力団対策部門と連携し、暴力団捜査・
情報収集の在り方についてしっかりと和歌山県警察を監察してまい
りたい」旨の説明があった。
 前田委員より、「確かに暴力団情報は、暴力団員に接触しないと
得られないものであるが、相手に絡め取られてしまったらどうしよ
うもない。この警視らを当該暴力団と親交のある者に引き合わせた
のは県警察OBであるが、警察のような上下関係が厳しい世界で、
OBになった先輩から声を掛けられたら現役の人はなかなか断れな
いのではないか。暴力団対策のベテランだったOBで、今だったら
とても通用しないタイプの人であったとすると、現役が影響を受け
てしまうこともあるかもしれない。暴力団情報の収集の在り方は大
きく変わっており、また、この種のことはどこでも起こり得ること
なので、具体的にきちんと手当していただきたい」旨の発言があっ
た。
 奥野委員より、「今回は、暴力団組員の供述で発覚したが、警察
内部の調査や内部告発ではなく、相手方からの情報で発覚したとい
う点が懸念材料である。自ら問題を指摘できないで、外部から言わ
れて初めて認知するというのは、警察にとって相当恥ずかしい話で
ある。警察は、非常に管理の厳しい組織であるのに、幹部がこうい
うことに気付かなかったというのであれば、やはり、何らかの形で
暴力団との癒着を必要悪として黙認してきたような体質があるので
はないか。和歌山県警察自身の手で、もう一度きちんと調査を行い、
膿があるなら出してほしい。もしできないというのであれば、外部
の力によってでも改めなければならないと思う」旨の発言があり、
官房長から、「暴力団情報の収集の在り方は、かねてから課題であ
った。昔はベテラン捜査員のノウハウや『顔』に頼って情報収集を
してきたようなところがあり、確かにその中では不適正事案も発生
した。しかし、警察庁に組織犯罪対策部を整備し、今後の組織犯罪
対策の在り方を考える上で、情報収集については、個人対個人の関
係ではなく、組織として管理されたものにしていかなければならな
い」旨、長官から、「暴力団から情報を得ようと接触したが、結局
相手方に情報を与え、してやられるというように、ある意味、警察
官のしたたかさが弱くなってきているという感もある。確かに奥野
委員御指摘のように、かつては情報を取るために様々な部外者と付
き合うのはいいことだという、ある種の体質というか風潮のような
ものがあったが、そこにはものすごく危険が伴う。もはやそういう
個人の力量に頼る時代ではなく、慎重に、組織に乗せて、と切り替
えているが、今後さらに情報収集の組織管理化を着実に進めてまい
りたい」旨の説明があり、奥野委員より、「情報収集は大変難しく、
例えば暴力団員から拳銃の情報を引き出そうとすれば、ぎりぎりの
駆け引きをしなければならないこともあるのは理解しているが、そ
れにしても超えてはならない一線はあるはずだ」旨の発言があり、
次長から、「この警視らは、奥野委員御指摘のような危ない橋を渡
って情報を収集するというところまで至っておらず、ただごちそう
になっていた。もし、情報収集の必要があるというのであれば、組
織に乗せれば必要な捜査費は執行できるのであり、相手にごちそう
になったら負けである。非常に単純なことではあるが、そこが大き
な分かれ道になる。この警視らはOBを通じて交際に発展したとい
うことで、切り替えができなかったのではないかと思う」旨の説明
があった。
 長谷川委員より、「警察と暴力団との情報収集をめぐる駆け引き
は『囚人のジレンマゲーム』に似たところがある。このゲームでは、
両者が『協力』・『協力』の関係にあるとある程度の成果が得られ、
『非協力』・『非協力』であっても同様である。一方、こちらが『協
力』的に振る舞っているのに相手が『非協力』であれば多大な損失
を被る反面、相手が『協力』的に振る舞ったときに、こちらは『協
力』するふりをして相手を裏切れば最大の利益が得られる。ここで
の登場人物はお互い利己的な者たちであり、自らの利益を最大化し
ようとするので、結局双方が相手に『協力』するふりをして裏切る
という対応になる。ここでは、相手に『協力』して何かを得ようと
いうのは危険であり非常に難しい、という構図があり、このような
ことを理解しておけばかなり違った対応になると思う」旨の発言が
あった。
 髙木委員より、「一連の事案を見ると、和歌山県警察全体のガバ
ナンスに問題があるのではないかと心配になる」旨の発言があり、
長官から、「ガバナンスはないわけではないが、地元出身者中心に
まとまった世界で、やや古めかしいガバナンスのままになっている
ところがあるかもしれない。そこを気付かせるため、本部長を始め
とする中央人事の幹部の役割は大きいと思う」旨の説明があった。
 委員長より、「各委員の御指摘は、暴力団情報の収集が属人的な
関係に委ねられてきたことへの問題提起であり、まさに、ベテラン
捜査員のノウハウを組織的に伝承するための管区警察局を中心とし
た取組と共通するところがある。長官の説明にあったように、今は
情報収集を組織的に管理する方向に進めていく過渡期であり、でき
るだけ早くそのようなシステムを構築することが大切だと思うので、
是非、長官自らよくチェックして真剣に御議論いただき、公安委員
会に報告していただきたい。特に、暴力団対策は、今の内閣におい
て、警察関係ではサイバー犯罪対策とともに、最重点課題としてい
るものであり、そういう視点からも、改善に取り組んでいただきた
い」旨の発言があった。

(3)雪害への対応状況について

生活安全局長から、2月14日から降り始め、関東甲信地方等に
被害を及ぼした大雪による地域の孤立状況等及び警察の対応状況に
ついて報告があった。
 委員長より、「私も防災担当大臣として14日から対策本部で対応
し、警察関係者には大変御協力を頂いた。一部では初動が遅かった
のではないかという声もあるが、全くそのようなことはない。雪が
降り始めた14日は、昼には全省庁を集め、対策会議を行っており、
特に山梨県に対しては、知事と連絡を取り合い、早く自衛隊の派遣
要請をするようにお伝えし、15日の午前中には既に派遣要請がな
されている。16日も、日曜日ではあったがもちろん対策会議を開
くなど、連日のように対応してきた。現在までの状況であるが、孤
立集落に関しては全員確認でき、行方不明者はいない。食事などに
関しても、ヘリコプターや自衛隊等により提供されており、孤立状
況は徐々に解消されてきている。今回の大雪対策における教訓等を
いくつか申し上げると、まず、山梨県は、大雪への対処の経験がほ
とんどなく、機材がない、人がいない、専門のノウハウを持った職
員がいないという厳しい状況であり、経験豊富な北陸地方整備局や
新潟県から専門家を応援派遣して対応した。しかし、何から手を付
けていいか分からないという状況もあったようである。次に、これ
は警察にも関係することであるが、放置車両の存在が除雪を遅らせ
た大きな要因となった。これを強制的に撤去できるような法整備を
すべきではないかということは、昨年の災害対策基本法の改正にお
いても問題提起され、12月の首都直下地震の対処報告書にも検討
課題として記載されていたが、今回このようなことがあったので、
総理・官房長官とも相談し、官邸においても速やかに取り組むこと
とした。個人の所有物を強制的に撤去できるようにするという、私
権制限をするものであり、検討すべき課題はあるが、是非取り組ん
でいただきたい。それから、今回の大雪対策ではソーシャルネット
ワークサービスをうまく活用できた。ソーシャルネットワークサー
ビスには危険なものもあるが、非常に活用できる部分も多いので、
警察にとっても参考になるのではないか」旨の発言があった。

(4)平成25年中における生活経済事犯の検挙状況等について

生活安全局長から、平成25年中における生活経済事犯の検挙状
況等について報告があった。

(5)中国系中継サーバ事業者による不正アクセス事件の検挙について

生活安全局長から、「警視庁と埼玉県警の合同捜査本部は、2月
12日、他人のID等を不正利用してインターネットサービス接続
事業者の認証を受けていた中国系中継サーバ事業者による不正アク
セス事件の被疑者を検挙した」旨の報告があった。

(6)FATF対日審査フォローアップ結果(第8回報告)について

審議官(刑事局担当)から、FATF対日審査フォローアップ結
果(第8回報告)について報告があった。

(7)平成25年中における機動警察通信隊の活動状況について

情報通信局長から、平成25年中における機動警察通信隊の活動
状況について報告があった。