定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年3月6日(木)

午前10時00分 午前11時50分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備
局長、情報通信局長
首席監察官


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「3月18日付けを始めとする地方警務官等303名
の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案
どおり決定した。

(2)特別試験研究費税額控除制度の対象となる試験研究費の額の認定
手続に関する告示の改定について

官房長から、平成25年度税制改正により拡充された「特別試験
研究費税額控除制度」の対象となる特別試験研究費の額についての
試験研究機関等の長等の認定手続を定める共同告示の案について説
明があり、原案どおり決定した。

(3)地方公務員法の一部改正に伴う警察法の一部改正について

官房長から、地方公務員の退職管理の適正化等を図るための地方
公務員法等の一部改正に伴い、特定地方警務官の退職管理に関して
地方公務員法の適用の特例を定める警察法の一部改正案について説
明があり、原案どおり決定した。

(4)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正す
る命令案について

刑事局長から、金融商品取引法の改正に伴う金融商品取引業等に
関する内閣府令の改正等を踏まえ、犯罪による収益の移転防止に関
する法律施行規則について所要の改正を行う標記の命令案について
説明があり、原案どおり決定した。

(5)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等について

交通局長から、道路交通法の一部を改正する法律の施行に伴う道
路交通法施行令の一部を改正する政令案等の関係法令案について、
1月24日から2月22日までの間に実施した意見募集の結果及び
同政令等の案の概要について説明があり、原案どおり決定した。

(6)「警察法施行令及び道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等
に対する意見の募集について

交通局長から、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰
に関する法律の施行に伴い、警察法施行令を始めとする関係法令の
一部を改正するに当たり、3月7日から4月5日までの間、その改
正案を一般に公表し、意見を募集することについて説明があり、原
案どおり決定した。

(7)「国家公安委員会関係産業競争力強化法第十二条の規定に基づく内
閣府令の特例に関する措置を定める内閣府令案」に対する意見の募
集について

交通局長から、産業競争力強化法に基づく企業実証特例制度によ
り、駆動補助機付自転車の基準の特例に関する措置を定める標記の
内閣府令案を制定するに当たり、3月7日から4月5日までの間、
その案を一般に公表し、意見を募集することについて説明があり、
原案どおり決定した。

(8)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成25年度犯罪被害者支援推進状況及び平成26年度警察庁犯
罪被害者支援推進計画の策定について

官房長から、平成25年度における犯罪被害者支援の推進状況及
び平成26年度警察庁犯罪被害者支援推進計画の策定について報告
があった。

(3)「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会」の
開催について

官房長から、「第2次犯罪被害者等基本計画に基づき、犯罪被害者
等施策推進会議の下に設置された『犯罪被害者等に対する心理療法
の費用の公費負担に関する検討会』の提言を受け、有識者で構成す
る『犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会』
を開催することとした」旨の報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「岐阜県警察の警部補が、2月8日に麻薬及び向
精神薬取締法違反で通常逮捕された事案等に関し、岐阜県警察は、
3月12日、同警部補を懲戒免職処分とするとともに、監督責任と
して、上司らを本部長注意等の措置とする予定である」旨及び「岐
阜県警察の事務職員が、1月30日に業務上横領で通常逮捕された
事案に関し、岐阜県警察は、3月12日、同職員を懲戒免職処分と
するとともに、監督責任として、上司らを本部長訓戒等の措置とす
る予定である」旨の報告があった。
 委員長より、「岐阜県警察の警部補については、制服をインターネ
ットオークションに出品した事実もあるが、これは落札されたのか」
旨の発言があり、首席監察官から、「7万円で落札されたが、落札者
の手に渡る前に差止めをしており、実際に制服が部外に渡るという
事態は防止した」旨の説明があった。
 奥野委員より、「岐阜県警察の事務職員の事案について、この職員
は、横領して着服した1,300万円の返済能力はあるのか」旨の
発言があり、首席監察官から、「この職員は以前の職場においても同
様の事案をいくつか起こしており、家族の協力により返済をしたと
いうことである。今回も、家族の協力等により返済をしていくとい
うことであるが、なかなか目途が立ちにくいようであり、弁護士と
相談していると聞いている」旨の説明があった。
 奥野委員より、「過去に同種の事案を起こしているのに、なぜ今回
チェックできなかったのか」旨の発言があり、首席監察官から、「身
上把握・監督が不足しており、その点が今回の事案の反省・教訓で
ある」旨の説明があり、委員長より、「預かり金を横領・着服した過
去のある職員を、また同種の現金を扱うセクションに配置したのは
人事管理上好ましくない。これは癖だから、一度こういうことをや
った人は二度三度同じことをやる可能性は高い。他に、同様の例は
ないか徹底調査してほしい」旨の発言があり、首席監察官から、「こ
のように現金を扱うところについては徹底調査してまいりたい」旨
の説明があった。

(5)不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案に
ついて

生活安全局長から、昨年12月に食品表示等問題関係府省庁等会
議により取りまとめられた「食品表示等の適正化について」を踏ま
えた不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案
の概要及び今後の予定について報告があった。

(6)平成25年中の児童虐待及び児童ポルノ事犯の検挙状況等につい

生活安全局長から、平成25年中の児童虐待及び児童ポルノ事犯
の検挙状況等について報告があった。
 山本委員より、「日本の児童ポルノに関する出版物の規制が先進諸
国に比べて緩すぎるのではないかということもあって、児童ポルノ
の被害が減らずにむしろ増える傾向にあるが、児童は国の宝であり、
こうした被害を防ぐため、なお格段の努力をしていただきたい」旨
の発言があった。

(7)平成25年中における風俗関係事犯の取締状況等について

生活安全局長から、平成25年中における風俗関係事犯の取締状
況、風俗営業所等の営業所数等及び行政処分の状況について報告が
あった。
 山本委員より、「違法な風俗店は潜在化しており、取締りが難しく
なっていると思うが、いろいろ知恵を絞っていただきたい。例えば、
事例の報告があった非常口を塞いでいる無許可営業のクラブや要塞
化した賭博店などについては、火災が発生したときの消火活動の問
題があり、消防法の立入検査により、火災が発見されたらすぐに入
れるような構造に改善させることが必要ではないかと思う。関係省
庁と協力して対策を講じていただきたい」旨の発言があった。
 奥野委員より、「風俗営業関係事犯の取締状況について、平成25
年中は、検挙件数・人員ともにマイナスであったが、取締りが困難
になっているという現状を踏まえると、風俗営業に興味のある人が
減り、衰退しているということではなく、実態としては減っていな
いが、発覚した事案が減ったというふうにも感じられるがどうか」
旨の発言があり、生活安全局長から、「取締りの対象となる違反の実
態はまだまだ数多くあると思うが、賭博店が要塞化し、摘発しよう
としてもすっかり片付けられたり、わいせつDVDの販売が店舗型
からインターネット利用になり、販売者の特定が困難になっていた
りするなど、なかなか摘発が難しくなっている現実があり、悪質な
事案に重点を置いて取締りを行っているところである。ただ、東京
オリンピックを控えていることなどを踏まえると、繁華街・歓楽街
の環境浄化は重要なテーマになってくるので、今後も努力してまい
りたい」旨の説明があり、奥野委員より、「山本委員からも御指摘が
あったが、要塞化というか、外から見えにくくなっている事例とし
て、無許可営業のクラブが非常口をロックしたり、火災報知器にカ
バーを掛けたりという実態があるとの報告を受け、大変驚いた。こ
れで火災が発生したら、100人単位で犠牲者が出る大惨事になる。
実態把握が難しくなっているという状況の中でも、防火については
特に気を付けなければならないと思う」旨の発言があり、生活安全
局長から、「かつて、東京の新宿歌舞伎町で雑居ビル火災があり、非
常に多くの方がお亡くなりになられたということもあり、消防当局
にも関心を持っていただいている。警察が取締りを通じて防火対策
の不備があれば消防に通報して立入検査を実施してもらうとか、逆
に消防から警察に情報提供してもらうとか、相互に連携を図って取
り組んでまいりたい。違法店を摘発することはもちろん、御指摘の
ように、大惨事の発生を防止することも同様に大切なことである」
旨の説明があり、委員長より、「消防との連携は重要だと思うので、
よろしくお願いしたい」旨の発言があった。

(8)平成25年の暴力団情勢について

刑事局長から、平成25年の暴力団情勢について報告があった。
 長谷川委員より、「平成16年には、暴力団構成員等は約8万7千
人、検挙件数は約5万1千件、検挙人員は約2万9千人だから、暴
力団構成員等の数に占める検挙件数の割合は59%、同じく検挙人
員の割合は34%である。一方、平成25年には、暴力団構成員等
は約5万8千人、検挙件数が約4万3千件、検挙人員が約2万3千
人であり、暴力団構成員等の数に占める検挙件数の割合は74%、
同じく検挙人員の割合は39%になっている。このことからすると、
暴力団対策はよくやっていると思う」旨の発言があった。
 髙木委員より、「日本における暴力団規制については、暴力団対策
法の指定暴力団制度により行われているが、団体そのものの存在を
否定しているものではない。外国の中には、このような組織犯罪集
団については、そもそも存在を認めていないという国もあるようで
ある。これまでの経緯もあるので、すぐにとはいかないかもしれな
いが、一度制度の組み立て方を整理する必要があるのではないかと
思う」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘の点は、ずっと研究
課題となっている。まだ研究の方向性をお示しできる段階にはない
ので、外国の例だけ申し上げると、一つには、そもそもそのような
グループの結成そのもの自体を犯罪とする形。もう一つは、犯罪集
団がやりそうな一定の行為について、集団で謀議してそれを行った
ら犯罪とする形。それから、共謀罪で対処する形。いずれも、日本
ではどうか、という議論はいろいろあって難しいところではあるが、
今後の研究課題にしたいとは思う」旨、長官から、「一昨年の暴力団
対策法改正で新たに設けられた特定危険指定暴力団、特定抗争指定
暴力団の制度においては、一般の人なら罪にならないことにも罰則
を設けているので、従来の規制からは一歩踏み込んだ形になってい
る」旨の説明があった。

(9)三重県朝日町における女子中学生被害の強盗殺人等事件の被疑者
の逮捕について

刑事局長から、「三重県警察は、昨年8月29日に三重県朝日町に
おいて認知した女子中学生被害に係る強盗殺人等事件について、所
要の捜査を実施してきたが、3月2日、被疑者を逮捕した」旨の報
告があった。

(10)千葉県柏市における強盗殺人事件の被疑者検挙について

刑事局長から、「千葉県警察は、3月3日に千葉県柏市において発
生した殺人及び連続強盗等事件について、3月5日、被疑者を強盗
殺人罪で逮捕した」旨の報告があった。

(11)北陸自動車道で発生した高速乗合バスによる死傷者多数の交通事
故について

交通局長から、3月3日、富山県小矢部市所在の北陸自動車道上
り小矢部川サービスエリア内において、高速乗合バスによる死傷者
多数の交通事故が発生した旨、これまでの捜査状況、今後の対策等
について報告があった。

(12)東日本大震災発災後3年に当たっての被害状況等について

警備局長から、東日本大震災発災後3年に当たっての被害状況、
警備体制、行方不明者の捜索状況、被災地における活動等について
報告があり、関連説明として、刑事局長から身元確認の状況につい
て、生活安全局長から被災地における犯罪情勢について、それぞれ
報告があった。
 委員長より、「前回の取りまとめから、DNA鑑定等によって身元
が判明して行方不明者が20人減少したが、これに伴い増えるはず
の死者数は、1人しか増えていない。発見部位など、計上の仕方で
そのようになっているのだろうが、データを見たときに素朴に疑問
に感じるので、工夫してほしい」旨の発言があり、長官から、「昔か
ら用いている計上方法によっており、DNA型鑑定等が可能になっ
た現在なら別の方法があるかもしれないので、今後の課題として研
究したい」旨の説明があった。
 なお、これに関連して、大規模災害等の緊急の事態に際し、会議
の議決をすることができない場合における国家公安委員会の意思決
定手続についての申合せを行った。また、官房長から、「警察庁長官
に事故あるとき又は警察庁長官が欠けたときの職務代行者として、
第1順位警察庁次長、第2順位長官官房長、第3順位生活安全局長、
第4順位刑事局長、第5順位交通局長を指定していただきたい」旨
及び「国家公安委員会が警視総監及び道府県警察本部長の職務代行
者をあらかじめ指定することとし、指定する者や指定の方法につい
て、国家公安委員会申合せとして定めていただきたい」旨の説明が
あり、原案どおり決定した。

(13)反原発運動等をめぐる動向と警察措置について

警備局長から、最近の反原発運動及び普天間飛行場の辺野古移設
をめぐる動向と警察措置について報告があった。
 奥野委員より、「普天間飛行場の辺野古移設問題をめぐる警備につ
いては、尖閣諸島警備への対応などもあって、沖縄県警察の体制だ
けでは厳しいということは、先日沖縄県を視察したときにも理解し
たところではあるのだが、一方で、沖縄県民の基地問題に対する心
情を考えると、本土の警察が来て警備に当たると反発を受けるおそ
れがあるのではないかと心配している。特別派遣を行うのであれば、
配置場所など、県民感情をこじらせないような配慮をしていただき
たい」旨の発言があった。
 委員長より、「沖縄県の特殊な事情はあるとは思うが、違法行為が
あれば厳しく対応するというのが大前提だと思うので、よろしくお
願いしたい」旨の発言があった。

3 その他

(1)髙木委員より、「最近、東京都内の図書館を中心として、アンネ・
フランク関連書籍が破られるという事件が相次ぎ、社会問題となっ
ている。先日、委員長がイスラエルの公安大臣にお会いになったと
きにも徹底捜査をお約束されたということだが、その後の捜査状況
はどうか」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘の一連の事件は、
東京都内や神奈川県内の図書館等で被害が確認されている。現在、
警視庁を中心に、防犯カメラ映像などを手掛かりに、捜査を行って
いるところであり、然るべき結果を出したいと思っている」旨の説
明があった。
 委員長より、「先週、イスラエルの公安大臣が訪問された際、徹底
捜査する旨話をさせていただいたし、国会においても、許し難い犯
罪ゆえ、その背景も含めて徹底した捜査を行う必要があると答弁さ
せていただいた。現在、警視庁において捜査していると思うので、
よろしくお願いしたい」旨の発言があった。