定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年5月8日(木)

午前10時00分 午前11時35分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備
局長、情報通信局長


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)警察庁長官等の評価手続について

警察庁長官等の評価手続について実施した。

(2)九代目酒梅組の指定の確認について

刑事局長から、「大阪府公安委員会から受理した九代目酒梅組に対
する指定暴力団としての指定の確認請求について、審査専門委員の
意見聴取を終えたことから、本日、国家公安委員会による確認を求
め、当該公安委員会に通知することとしたい」旨の説明があり、原
案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成26年第1四半期における地方警務官に係る贈与等報告書の
提出について

官房長から、「国家公務員倫理法の規定に基づき、地方警務官から
平成26年第1四半期における贈与等報告書が国家公安委員会に対
して提出され、これを国家公安委員会委員長が専決で受理し、この
うち、指定職以上の職員に係るものについては、その写しを国家公
務員倫理審査会へ送付することとしている」旨の報告があった。

(3)平成26年春の勲章伝達式等について

官房長から、4月29日付けで発令された平成26年春の叙勲に
関し、警察関係者の受章者に対する勲章の伝達式の予定等について
報告があった。

(4)鳥インフルエンザへの対応結果について

生活安全局長から、4月12日に熊本県内において確認された鳥
インフルエンザへの対応結果について報告があった。

(5)平成25年度の狩猟期間中における猟銃等による人身事故の発生
状況について

生活安全局長から、平成25年度の狩猟期間中における猟銃等に
よる人身事故の発生状況について報告があった。

(6)法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」における事務当局
試案について

刑事局長から、4月30日に開催された法制審議会「新時代の刑
事司法制度特別部会」第26回会議において提示された事務当局試
案の概要について報告があった。
 長谷川委員より、「この部会の諮問事項には、取調べ及び供述調書
に過度に依存した捜査・公判の在り方を見直すと書かれているが、
そのことについての議論はどうか。日本は、欧米に比べ取調べの時
間が長く、取調べに過度に依存している現状を改めよう、というの
がこの議論の出発点であって、議論の筋としては、取調べへの依存
度を下げていこうとしているからこそ、代替手段としての通信傍受
等が必要だ、となるはずなのだが、そのあたりの展望については話
し合われているか」旨の発言があり、刑事局長から、「過度な供述証
拠の重視からの脱却という意味では、これまでも機会を捉えて客観
証拠の重視、科学技術の活用といった取組を進めていることを国家
公安委員会に御報告させていただいているが、正にこのような取組
を推進することが、供述証拠への負担を減らすことにつながってい
くということになると思う。本部会の検討事項に即して言えば、通
信傍受自体が客観証拠であり、このような新たな手法を取り入れて
いくことが客観証拠を増やしていくことにつながるものであり、そ
の意味では、御指摘の点について本部会で議論がなされているとい
える。他方、供述証拠への依存度そのものを如何に減らしていくか、
という点については、客観証拠を重視する運用を行った結果として
供述証拠への依存度が減っていくという性格のものであるから、そ
の方策自体を議論しているわけではない。いずれにしても、客観証
拠を重視する流れをつくって、供述証拠ばかりを重視した立証の仕
方を少なくするようにしよう、ということが今議論されていること
である」旨の説明があり、長谷川委員より、「客観証拠を重視して、
こちらの方に人と時間を投入すれば、あまり長いこと根掘り葉掘り
取調べを行うということを主眼にしなくなるということか」旨の発
言があり、刑事局長から、「例えば、否認事件で自白が得られない場
合でも、物的・客観的な証拠によって、犯人はこの人しかあり得な
いという合理的な説明をできるような形で立証することは、現在で
も行われているところである」旨の説明があった。
 前田委員より、「この試案において、いわゆる司法取引については、
他人の犯罪事実についての捜査協力が対象となるということだが、
自己の犯罪が今回対象とならなかったのは何故か。『私がやりました』
と言った被疑者と司法取引をすれば、本来取調べは要らなくなるは
ずである。これがないから、客観証拠を得るためにかえって捜査が
長引いたり、供述証拠を得ようと無理な取調べが行われ、結果、警
察は批判され続け、本人の負担軽減にもつながらないという面もあ
るのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「自己の犯罪事実
に関する司法取引制度は、議論には含まれていたが、結果的に今回
の試案には盛り込まれなかった。その要因は様々であるが、罪を犯
した本人がその罪を認めるのは当然であるといった被害者感情など
を含め、日本の風土に果たして合うのか、といった点が主な論点で
あった」旨の説明があり、前田委員より、「対象犯罪にもよるのだと
思う」旨、髙木委員より、「確か独占禁止法では、自ら罪を認めて言
ってきた者は罪一等減ずる、というような形になっていたのではな
いか」旨の発言があり、刑事局長から、「独占禁止法のような経済事
犯と殺人犯や性犯罪のような身体犯では対応が異なってくると思う。
このような身体犯に司法取引制度を導入することに被害者を始め社
会が耐えられるのか、まだ機は熟していないのではないかというこ
とで試案には盛り込まれなかったと思う。なお、付言すれば、今回
試案に盛り込まれた他人の犯罪についての捜査協力に関しても、対
象犯罪は、経済事犯が中心であり、殺人等の身体犯については除か
れている」旨の説明があった。
 委員長より、「他人の犯罪についての協力に留まるとはいえ、司法
取引制度が議論され始めたということ自体が、一歩前進だと思う。
どういう形でこの制度が実現するかはまだ分からないが、まずはや
ってみて、その状況を見極めながら、次のステップとして、前田委
員御指摘のように、自己の犯罪についての司法取引制度の導入につ
いて議論をしていけばよいと思う。被害者の感情など、慎重に議論
すべき論点もあるが、いずれにしても、他人の犯罪についての捜査
協力というだけでも前進という感じがする」旨の発言があった。
 奥野委員より、「この試案においては、取調べの録音・録画義務の
例外事由として、かねて警察等が主張していた性犯罪が盛り込まれ
なかったが、どのような背景でそうなったのか」旨の発言があり、
刑事局長から、「御指摘のように、性犯罪を除外事由に盛り込んでほ
しいということは、警察、それから被害者団体代表の委員から主張
されていたが、これが盛り込まれなかったものである。その背景に
ついて、十分な議論がなされたとは承知していないが、これは被疑
者の取調べに関する議論であり、被疑者以外の事情によって例外事
由を設けることにはなじまないとの考え方があったと推測されるほ
か、性犯罪を例外としなくても、証拠開示の制限や公判における再
生制限といったようないわゆる出口規制を行うことにより、被害者
への配慮は十分可能であるという意見が大勢を占めていたという事
情もある」旨の説明があり、奥野委員より、「背景については理解し
たが、警察としては、今後更なる検討がなされる中で、盛り込んで
もらうように主張していくべきではないか」旨の発言があった。

(7)警察職員宿舎におけるカセットボンベ使用爆発事件の検挙につい

刑事局長から、「北海道警察は、札幌市北区内の警察職員宿舎にお
いてカセットボンベを破裂させ、同宿舎の窓ガラス等を損壊させる
などした爆発事件に関し、4月30日、被疑者を逮捕した」旨の報
告があった。また、これに関連して、刑事局長から、5月3日から
6日にかけ札幌方面北警察署管内において連続発生したカセットボ
ンベを使用した爆発事件の捜査状況について報告があった。

(8)生活道路対策の推進状況について

交通局長から、生活道路対策の推進状況について報告があった。
 委員長より、「ゾーン30を平成28年度までに全国3千箇所で整
備することとしているが、この施策は、昨年末に提言を頂いた取締
り・速度規制等の在り方の見直しに係る施策の一環であると認識し
ている。スクールゾーンや生活ゾーンについては、その整備の仕方
に様々なバリエーションがあるが、おそらく費用が掛からず、事故
防止効果の高い効率的なフォーマットというものがあると思う。全
国の地方自治体、道路管理者と連携してそういったもののデータベ
ースを集めてできるだけ共通化することによって、道路管理者が安
価で道路改良ができるようになることもあると思うので、是非検討
していただきたい。また、取締りの在り方に関して、スクールゾー
ンや時間帯で車両の進入を禁止しているゾーンについては、事前の
警告も組み合わせながら事故抑止を図ってほしい。取締り実績と人
事評価の在り方など課題はあるが、提言の趣旨を踏まえ、是非きめ
細かな対応をしていただきたい」旨の発言があった。

(9)平成25年度中の警衛実施状況について

警備局長から、平成25年度中の警衛実施状況について報告があ
った。

3 その他

(1)生活安全局長から、大阪市平野区内において発生したストーカー
殺人事件について報告があった。

(2)生活安全局長から、約2年前に大阪府内の警察署において迷い人
として保護された認知症の被保護者の身元が判明した事案及び全国
の認知症に係る行方不明者の状況について報告があった。
 委員長より、「このような場合、DNA型鑑定を活用すれば割と早
くトレースできるのではないかと思う。御家族に早く引き渡すこと
には、他方では税金を使わなくて済むという側面もある。是非、検
討いただきたい」旨、髙木委員より、「戦後、『尋ね人』として紙媒
体での広報がなされていたような記憶があるが、今やテレビやイン
ターネットなど、様々な媒体が活用できるのだから、もっと効果的
なお知らせの仕方があるのではないかと思う」旨の発言があり、生
活安全局長から、「インターネットを活用している事例はあるが、今
後、このような事案は増える可能性があり、幅広く検討してまいり
たい」旨の説明があった。

(3)生活安全局長から、元クラブ経営者に係る風営法違反事件の無罪
判決について報告があった。