定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年5月15日(木)

午前10時00分 午前11時35分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備
局長、情報通信局長
審議官(サイバーセキュリティ担当)


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命
令案」等について

交通局長から、改正道路交通法の施行により新たに設けられる環
状交差点に係る規制標識等を新設する「道路標識、区画線及び道路
標示に関する命令の一部を改正する命令案」に関し、3月24日か
ら4月22日までの間に実施した意見募集の結果及び同命令案の概
要について説明があり、原案どおり決定した。また、交通局長から、
「交通の方法に関する教則」及び「交通安全教育指針」に関し、環
状交差点における通行方法その他昨今の交通情勢を踏まえた所要の
記述を行う「交通の方法に関する教則及び交通安全教育指針の一部
を改正する国家公安委員会告示案」について説明があり、原案どお
り決定した。
 委員長より、「私は防災担当大臣及び国土強靱化担当大臣を兼任し
ている関係もあって各都道府県知事と面会する機会が多く、機会を
捉え、環状交差点のメリットについて、資料もお示ししつつ紹介さ
せていただいているが、まだ認識されていない知事もおられるよう
である。以前にも指摘したが、環状交差点は、景観上も、交通事故
防止上も、更には、信号機を必要としないので災害時の交通安全対
策にも極めて効果がある。警察本部長に対し、是非、知事とよく相
談しながら推進するよう、警察庁からしっかり指導していただきた
い」旨の発言があった。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)情報セキュリティ政策会議第39回会合の開催について

審議官(サイバーセキュリティ担当)から、5月19日に開催予
定の情報セキュリティ政策会議第39回会合について報告があった。

(3)ダンス営業の規制見直しに関する規制改革会議意見書について

生活安全局長から、規制改革会議において5月12日付けで取り
まとめられ、警察庁に送付された、ダンス営業に係る風営法規制の
見直しに関する意見書の概要等について報告があった。
 前田委員より、「ダンス営業の規制の在り方に関しては、警察庁が
各方面から責められているような印象があるが、警察庁としては、
規制緩和ありきでこの種の営業を野放しにするようなことにならな
いよう、対案を考えておく必要があるのではないか。規制する法律
は国会が決めることではあるが、規制の在り方が決められてしまう
と、問題が発生して警察としてはどうにも対処できなくなってしま
うこともあり得る。規制改革会議は、規制があるから優良な資本が
参入できないというようなことを言っているが、それは違うと思う。
この種の営業にはどうしても弊害がつきまとうものであり、優良な
資本が入ってきたら浄化されるというものではない。規制改革会議
もこのような弊害には触れてはいるものの、対策案を示しているわ
けではない。浄化するためにはまず規制緩和をしろ、というのはお
かしな論理であり、規制緩和をすべきというのであれば、まずは弊
害の部分にどう対応していくかを考えなければならないはずである。
警察庁としては、そのあたりのことを余程考えておかないと、問題
が発生した場合、警察に苦情が殺到することになる」旨の発言があ
り、生活安全局長から、「まずはできるだけいろいろな方からお話を
聞こうということで各方面からの御意見を伺っているところである。
実際、参入に関心を持っている大手の事業者もあるとのことであり、
いろいろな方からよく話を聞き、その上で、適切な形で対応してい
かなければならないと考えている」旨の説明があった。

(4)バスジャック事件の検挙について

刑事局長から、「宮崎県警察は、5月12日、えびの市内において、
路線バスの乗客・乗務員を刃物で脅して人質にした被疑者を監禁罪
で現行犯逮捕し、人質による強要行為等の処罰に関する法律違反で
5月13日送致した」旨の報告があった。

(5)古美術商強盗殺人事件の検挙について

刑事局長から、「警視庁は、5月3日に国立市所在の古美術商店舗
内において発生した強盗殺人事件に関し、5月14日、被疑者2名
を通常逮捕した」旨の報告があった。

(6)3Dプリンターを使用した密造拳銃所持事件の検挙について

刑事局長から、「神奈川・兵庫両県警察は、3Dプリンターにより
密造した手製拳銃様のもの2丁を所持したとして、5月8日、被疑
者1名を通常逮捕した」旨の報告があった。
 奥野委員より、「3Dプリンター自体は道具であり、使い方の問題
であるから、それ自体に罪はないとは思うのだが、このように3D
プリンターにより拳銃が製造されたということを踏まえると、新た
な法的規制を講じることを考えるべきなのか、それとも現行法の範
囲内で取締り等対応は可能であるといえるのか、そのあたりはどう
考えるか」旨の発言があり、刑事局長から、「刑事部門としては、罰
則に触れる行為があればそれを検挙するということになり、行政上
の規制は、銃刀法に基づく規制は生活安全局が、武器等製造法に基
づく規制は経済産業省がそれぞれ所管している。経済産業省と連絡
を取り合っているが、現在のところ、現行法で対応するという認識
のようである」旨、生活安全局長から、「銃刀法上は、製造、輸入、
他人からの購入等いかなる形態であれ、許可等なく銃を所持してい
れば違反となる。また、製造に関しては、武器等の製造の許可を受
けていない者が、拳銃を含む武器等を製造すれば武器等製造法違反
となるが、これは密輸同様、無から有を生じさせるということで、
非常に厳しい罰則になっている。このように、銃に関しては、製造
することと、所持することの両面での規制が現行法の枠組みの中で
も行われている。3Dプリンター自体をどうすべきかということは、
また別の問題であると考える。今回の設計図のような情報は、現在
のところ、インターネット・ホットラインセンターにおいて削除の
対象となる有害情報に含まれていないが、公序良俗に反する情報で
あるので、警察から、関係するプロバイダー等に削除するよう働き
掛けることはできると思う」旨の説明があった。
 前田委員より、「今回密造された拳銃の殺傷能力はどのくらいか」
旨の発言があり、刑事局長から、「鑑定の結果、金属性弾丸の発射機
能を有し、人を殺傷するに足る程度の威力を有していると確認され
たものである」旨の説明があった。
 奥野委員より、「今回の事件に関しては、3Dプリンターを使用し
た事件であるということと、プラスチック製でも銃を製造できると
いうことが気に掛かった」旨の発言があり、刑事局長から、「プラス
チック製の銃自体はもともとあったものではある」旨の説明があっ
た。

3 その他

(1)生活安全局長から、インターネットバンキングに係る不正送金事
犯の発生状況について報告があり、「このような状況を踏まえ、本日、
金融機関関係団体の担当者を集め、インターネットバンキングによ
る不正送金事犯への対策の強化を要請する会議を開催する」旨の説
明があった。
 山本委員より、「このような会議を開催し、金融機関に対策の強化
を要請することはいいことだと思うが、本日の会議に金融庁は出席
するのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「金融機関を対象と
した会議であり、金融庁には出席を要請していない」旨の説明があ
り、山本委員より、「できるだけ早く被害の発生を防止するという観
点からすると、金融機関の取組の必要性がもっと早く認識されてい
たはずだし、その必要性を金融機関に伝えるのは本来金融庁にやっ
てもらわなければならないと思うが、その点について警察庁から金
融庁に対する働き掛けは行っているのか」旨の発言があり、生活安
全局長から、「事務的に連絡は取っているところである」旨の説明が
あり、山本委員より、「金融機関が具体的に対策を行おうとした場合、
各金融機関それぞれの課題があり、対策のし易さ、難しさといった
ことも様々であると思う。そういった金融機関ごとに異なる課題に
対しては、本来であれば、金融庁が必要なサポートを行い、できる
だけ早く被害発生の可能性を減らしていくことが必要である。警察
として現時点行うべきこととしては、報告にあったような内容でよ
いと思うが、本来は金融庁が、もっと早く対応の指示をすべきこと
なのではないかという気がする。金融庁がこの問題を警察任せにし
ていないかということが気に掛かる」旨の発言があり、生活安全局
長から、「御指摘も踏まえ、金融庁において必要な対策が取られるよ
う、これまで以上に連携を図ってまいりたい」旨の説明があった。
 奥野委員より、「インターネットバンキングによる不正送金事犯の
被害防止対策は、被害の規模が金融機関ごとに異なり、各金融機関
が独自で行うものなのか、それとも、業界で協力して取り組んでい
こうという動きになっているのか」旨の発言があり、生活安全局長
から、「基本的には個々の金融機関ごとに取り組んでいただいており、
全体として一律この水準まで、というところまでは至っていないと
承知している」旨の説明があった。
 前田委員より、「インターネットバンキングでは、金融機関ごとに
抱える事情や提供しているサービスの内容が異なり、執るべき対策
も異なってくるため、一律の対応というのはなかなか難しい。イン
ターネットバンキングは、どこででも携帯電話やパソコンで取引が
できるという利便性の高さとの裏返しでこのようなリスクが元々つ
きまとい、セキュリティのレベルを上げてガードを固めると利便性
が下がって普及しないし、かといって普及させようとしてガードを
緩めると被害が出るという悩みがある。特にインターネットバンキ
ングの利用者数が少ないと見込まれる地方の金融機関では、セキュ
リティのレベルを高めようとするとコストが掛かり、その結果、サ
ービスそのものが提供できなくなるということにもなる。最近では、
犯人の側がかなり進んでいて、利用者のパソコンをウイルス感染さ
せ、預金データを丸ごと盗んでいくという手口が共通している。こ
れを放置しておくと利用者、特に、一回の取引額の制限のない法人
は桁違いの被害に遭うことになるので、こういった実態をまずは周
知していくことが必要だと思う」旨の発言があり、生活安全局長か
ら、「これまでは、法人は一定のセキュリティ対策を行っていたので、
個人が主に被害に遭っていたが、昨年あたりから法人が狙われ始め、
被害額が急増しているという状態にある。御指摘のとおり、警察と
しては、新たな手口による被害が発生したら、できるだけ早くお知
らせして対策を取っていただく、ということをやっていく必要があ
ると思う」旨の説明があり、前田委員より、「犯人は、ガードの薄い、
犯行のやりやすいところを狙うものである。かつて、ATMをシャ
ベルカーで壊して、機械ごと盗んでいくという事件が相次いだこと
があったが、あの時は、犯人は当初大手を狙っていたが、大手が被
害防止対策を執るようになると、ガードの薄い、地方の金融機関に
ターゲットをシフトするようになった。この種の犯人は、わざわざ
危ない橋を渡って犯行に及ぶことはなく、今回のインターネットバ
ンキングの件についても、教訓にできるのではないか。啓発に当た
っては是非こういったことを注意喚起していただきたい。また、警
察が報道機関に情報提供して報道してもらうことも、犯人への抑止
効果があるのでそういった対策もお願いしたい」旨の発言があった。
 髙木委員より、「犯人は中国人が非常に多いと聞くがどうか」旨の
発言があり、生活安全局長から、「インターネットバンキングに係る
不正送金事犯でこれまで検挙したのは47事件74人となるが、こ
のうち、口座を提供したりする末端の人間の5割強が中国人である。
まだ、その先の追及はできていないが多くは外国、中でも中国が多
いとは見ている」旨の説明があり、奥野委員より、「仮に中国らしい
と推定できたとしても、犯人は個人が中心なのか、大規模な犯行グ
ループが集中的に犯行に及んでいるのかについては解明できている
か」旨の発言があり、生活安全局長から、「現在解明を進めていると
ころである」旨の説明があった。
 奥野委員から、「相当数の金融機関が被害に遭って、その被害額も
14億円強というかなりの金額になる。しかし、金融機関ごとに割
って考えると、被害額は一行あたり数千万円の規模となり、その程
度の被害であれば、金融機関としては、これを防止するために多大
なコストを掛けられないという発想になることも考えられるがどう
か」旨の発言があり、生活安全局長から、「被害額が急増している旨
の報告をしたが、特殊詐欺と同様、この種の被害は一気に拡がる可
能性があり、それを見越した先制的な対策が必須となる。本日の会
議ではそのあたりをよく金融機関に注意喚起したい」旨の説明があ
った。
 髙木委員より、「被害に遭った法人に対しては被害が補償されない
ということであれば、法人の側でもっと意識を高めて自己防衛をし
ていただくということが重要だと思う」旨の発言があり、前田委員
より、「本来そのようにやっていただかなければならないが、中には
ウイルス対策ソフトを入れていないという企業もある。対策ソフト
を無料で提供したり、パスワードを変えるように警告したりするな
ど、地道に対策をしていかないと、悪い者だけがのさばるという最
悪の事態となる」旨の発言があった。

(2)生活安全局長から、認知症に係る行方不明者に関する報道を契機
として、約6年半前に群馬県内において迷い人として保護された女
性の身元が判明した事案について報告があった。
 委員長より、「DNA型鑑定を活用すれば、かなり調べやすくなる
のではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「実際には、行
方不明になられた方も一週間くらいで発見され、身元が判明すると
いう例が大多数である。DNA型鑑定を活用する場合、対象の範囲
や、意思表示ができない御本人の代わりにどなたから同意を得てD
NA型を採取すればよいのかといった問題など、検討しなければな
らない課題がある。御指摘の点についても検討を進めつつ、短期的
にできることは行い、一人でも多くの方の身元が判明できるように
してまいりたい」旨、長官から、「この問題は、警察の行方不明者へ
の対応の問題でもあるが、介護・福祉行政の問題でもある。警察は、
このような迷い人の方を保護した場合、24時間以内には福祉施設
等に引き継がなければならず、関係する行政機関、施設等と協同し
て取り組む必要がある」旨の説明があった。