定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成26年7月3日(木)

午前10時00分 午前11時35分


第2 出席者 古屋委員長、長谷川、髙木、山本、前田、奥野各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、
情報通信局長
審議官(警備局担当)


第3 議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「7月4日付けを始めとする地方警務官2名の人事案
件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決
定した。

(2)「射撃の下限年齢の引下げ要望等を受けて考えられる措置」に対す
る意見の募集及び有識者ヒアリングの実施について

生活安全局長から、「2020年オリンピック・パラリンピック東
京大会に向けた射撃競技における競技力強化に関する射撃競技団体
等からの要望及び文部科学省からの検討要請を受け、この度、考え
られる措置について取りまとめたことから、7月4日から17日ま
での間、国民から意見を募集することとしたい」旨の説明があり、
原案どおり決定した。また、生活安全局長から、「本件に関連して、
7月11日、有識者からのヒアリングを実施することとしている」
旨の報告があった。

(3)極東会及び二代目東組の指定の確認について

刑事局長から、「東京都公安委員会から受理した極東会及び大阪府
公安委員会から受理した二代目東組に対する指定暴力団としての指
定の確認請求について、審査専門委員の意見聴取を終えたことから、
本日、国家公安委員会による確認を求め、各公安委員会に通知する
こととしたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(4)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に基づく
適格都道府県センターの認定について

刑事局長から、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
の規定に基づき、公益財団法人北海道暴力追放センターほか12の
暴力追放運動推進センターについて、適格都道府県センターとして
認定し、その旨を公示するとともに、当該センターに書面により通
知したい。なお、今回認定がなされれば、全都道府県の暴力追放運
動推進センターが適格都道府県センターとなる」旨の説明があり、
原案どおり決定した。

(5)自動車安全運転センター役員の選任の認可について

交通局長から、「自動車安全運転センターの常勤理事1名が任期満
了になることに伴い、この度、同センターから、自動車安全運転セ
ンター法の規定に基づき、同理事を再任することとしたい旨の認可
申請がなされ、審査したところ、適正であると認められたことから、
申請どおり認可していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決
定した。

(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)独居高齢者等の被害に係る多額詐欺事件(社債募集の仮装)の検
挙について

生活安全局長から、「大阪府警察は、6月4日、無届けで自社債の
募集を行っていた企業の元役員ら5名を金融商品取引法違反で逮捕
し、所要の捜査を進めてきたが、この社債募集の実態は、償還でき
る見込みがなく、また、その意思もないものであり、この元役員ら
は同社の社債購入代金名下に独居高齢者を始め一般投資家から約4
00万円をだまし取ったものであると判断して、6月25日、同人
らを詐欺罪により再逮捕した」旨の報告があった。
 前田委員より、「社債募集に限らず、債券募集を装った詐欺事件は
多く、今回のケースでも、被害規模は約2年間で約500人、11
億円に上るということが言われている。本件は、まず金融商品取引
法違反を入口として捜査に着手しており、確かに形式的には金融商
品取引法違反ということになるのだろうが、この種の事案では、元々
償還する気などなく、騙し取る意図が明らかであるのだから、最初
から詐欺で立件できないのだろうか、いつも気になっていた。騙し
取られたお金が被害者に還ってくることはほとんどなく、被害を未
然防止するためにも、金融商品取引法違反のような形式犯よりも罪
の重い詐欺罪でいち早く検挙するということを重視しなければなら
ないのではないか。膨大な被害が出てからのんびり捕まえに行って
いるような印象があるので、被害拡大防止のために何らかの工夫を
していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「御指摘の
とおり、少しでも早く捜査に着手して、被害の拡大を防止するとい
う姿勢で取り組む必要があるし、もちろん詐欺で立件できるものに
ついては、それを視野に捜査を進めている。しかし、詐欺で立件し
ようとすると、集めた資金は、本当に事業に投資するのではなく騙
し取るつもりであったのかなど、深く掘り下げて捜査を尽くさなけ
ればならず、実態解明にはどうしても時間が掛かる。それに比べ、
金融商品取引法違反などの特別法犯は、外形で判断して捜査に着手
しやすく、これらを入口にすることが多い」旨、次長から、「今回の
ケースでは、警察が認知して、最初に金融商品取引法違反で捜索差
押えをやっているが、これは正に被害拡大を防止するため、いち早
く着手できることとして行ったものであり、実際、以後の被害発生
は抑えられている。もし、最初から詐欺事件で捜査に入ろうとした
ら更に時間が掛かったことであろう」旨の説明があり、前田委員よ
り、「我々だと電話やパンフレットの勧誘があっても明らかにおかし
いと分かるけど、お年寄りなどは分からずに騙されてしまう。お年
寄りがこういう悪知恵の働く人たちのために巨額の被害に遭うのは
本当に腹が立つので、是非一刻も早く捕まえるという姿勢で取り組
んでいただきたい」旨の発言があった。
 山本委員より、「この種の犯罪の主犯格の者は、同じような犯行経
験のある人間とのネットワークを作っており、また何らかの形でま
た同じような犯罪を企図することがあり得る。そうすると、今回の
事件は、解決してそれで終わりというのではなく、被疑者の人間関
係を幅広く掴み、その後の動きを見ていくということが必要ではな
いか。そうすることによって、常習者のネットワークを見つけるこ
とも可能になると思う。もちろん法律で許容された範囲内で、とい
うことにはなろうが、このような情報収集活動も捜査の一環として
許容されると思うので、よく知恵を絞って、悪者を封じ込める努力
をしていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「これま
でも、検挙した者については、動向を注意してきたが、更に充実し
てまいりたい」旨の説明があった。

(2)FATF対日審査フォローアップ結果について

刑事局長から、FATF対日審査フォローアップ結果について報
告があった。

(3)長崎県南島原市長(当時)らによる贈収賄(加重)事件の検挙に
ついて

刑事局長から、「長崎県警察は、南島原市発注に係る公共工事をめ
ぐる贈収賄事件に関し、7月1日、贈収賄(加重)で、元南島原市
長ら7名を逮捕した」旨の報告があった。

(4)夏季に増加が目立つ交通事故の特徴と対策について

交通局長から、夏季に増加が目立つ交通事故の特徴と対策につい
て報告があった。

(5)皇太子殿下の第50回献血運動推進全国大会御臨席等に伴う警衛
警備について

審議官(警備局担当)から、「皇太子殿下は、7月9日から10日
までの間、第50回献血運動推進全国大会御臨席等のため、愛知県
へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」
旨の報告があった。

(6)安倍内閣総理大臣のニュージーランド、オーストラリア連邦及び
パプアニューギニア独立国歴訪に伴う警護警備について

審議官(警備局担当)から、「安倍内閣総理大臣は、7月6日か
ら7月12日までの間、各国首脳との会談等のため、ニュージーラ
ンド、オーストラリア連邦及びパプアニューギニア独立国を歴訪予
定であり、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、法制審第29回特別部会における録音・録画制度
に関する議論の状況(制度化の数年後に見直しを行う旨の規定を設
けることなど)、次回、第30回特別部会において最終取りまとめが
行われる見込みであることなどについて報告があった。

(2)刑事局長から、「いわゆる脱法ドラッグ対策に関し、厚生労働省は、
本日、全国の麻薬取締部と都道府県衛生主管部局等に対し、都道府
県警察と連携して立入検査、指導取締りを強化するよう通知した。
これを踏まえ、警察庁においては、都道府県警察に対し、この通知
を紹介しつつ、これら関係機関と連携した対策の更なる推進につい
て指示した。また、現在、『脱法ドラッグ』に代わる新たな呼称の在
り方について検討している」旨の報告があった。

(3)刑事局長から、「米国政府は、同国の法令に基づき、工藤會及び同
会の代表者らを、金融資産凍結の対象となる国際犯罪組織として指
定した。なお、日本の暴力団では、山口組、住吉会及び稲川会が既
にこの制度の対象として指定されている」旨の報告があった。

(4)刑事局長から、「特殊詐欺対策に関し、日本郵便は、本日からレタ
ーパックの悪用防止のための新たな取組を行うこととなった」旨の
報告があった。

(5)交通局長から、「6月30日、大阪市中心部の繁華街で自動車が暴
走し、複数の通行車両を巻き込む交通事故が発生した。先日東京の
池袋で発生した、いわゆる脱法ドラッグの影響とみられる暴走事故
を想起させるものであったため、大きく報道されたところである。
現在までのところ、飲酒や薬物の影響はないだろうとみられている
が、運転者は事故発生時、低血糖状態だった可能性もあり、今後、
大阪府警察において、慎重に捜査を進めることとしている」旨の報
告があった。
 山本委員より、「低血糖状態にあるときに、こういう異常な行動を
起こすことは予測されることなのか。そうであれば、こういうこと
もあり得ることについての情報発信が必要ではないか」旨の発言が
あり、交通局長から、「糖尿病でインシュリン注射を打っているよう
な方については、医者から低血糖状態に陥らないための指導を受け
られていると思うが、そういった指導を守っていたのかどうかを解
明していくこととなろう。なお、無自覚性の低血糖症など意識障害
等を伴う病気は免許の拒否事由に該当し、年間数十件処分を行って
いるところである」旨の説明があった。

(6)審議官(警備局担当)から、「国の存立を全うし、国民を守るため
の切れ目のない安全保障法制の整備について」の閣議決定について
報告があった。

(7)審議官(警備局担当)から、日朝政府間協議の結果について報告
があった。

(8)奥野委員より、「通報者の所に向かう高速道路交通警察隊パトカー
が緊急走行中に速度違反をしたとして、運転していた警察官が検挙
されたという報道があった。今回の報道で緊急自動車にも速度制限
があることを初めて知ったが、例えば、速度取締りで違反車両を追
跡するような場合でも速度制限はあるのか」旨の発言があり、交通
局長から、「緊急自動車であっても基本的には最高速度の規定は適用
され、道路交通法及び同法施行令により、高速自動車国道の本線車
道においては時速100キロメートル、その他の道路においては時
速80キロメートルとされている。他方、最高速度違反を取り締ま
る場合における緊急自動車については、例外的に最高速度の規定は
適用されないこととされている。なお、法令の定めとしては申し上
げたとおりであるが、緊急用務中の警察車両が最高速度を超過して
走行した場合において、個別具体の事情によっては刑法第35条の
正当業務行為として評価すべきときもあり、緊急に被疑者を追跡し
なければならなかった、被害者の救護のために現場に急行しなけれ
ばならなかったなど、当時の用務の内容等を詳細に調査した上で速
度超過したことについての正当性の有無を判断しているところであ
る」旨の説明があり、奥野委員より、「本件の警察官は、説明にあっ
たような仕組を理解していなかったのか、それとも分かっていなが
らあえてやったのか」旨の発言があり、交通局長から、「本件の具体
的な事情については承知していないが、いずれにせよ、緊急用務だ
からといって、警察官が特権意識を持った取扱いをしてはならない
ことはいうまでもない」旨の説明があった。