定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成27年1月29日(木)

午前10時00分午前11時35分

 

 

第2 出席者 長谷川、山本、前田、奥野、川本各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、辻生活安全局長、

三浦刑事局長、鈴木交通局長、橋警備局長、川邉情報

通信局長

桑原首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

 議題事項

(1)人事案件について

   官房長から、2月16日付け地方警務官3名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

 (2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

 (2)平成26年度第3四半期監察の実施状況について

   "> 首席監察官から、「恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案への迅速かつ的確な対応状況」を全国統一実施項目として、警察庁が都道府県警察に対して行った平成26年度第3四半期における監察の実施状況について報告があった。

    奥野委員より、「今回の全国統一実施項目は、深刻なストーカー事件が発生したことを踏まえて昨年講じた施策が、現場で機能しているかということを調べたものであり、報告によると、問題があったものはほとんどなく、状況は相当改善され、総じて対策がうまくいっているということである。しかし、『長期的・継続的な対応が必要なことが多く、現場での業務負担が大きい状況が認められた』と資料では簡単に触れられている点は、実は相当重要な問題なのではないか。ストーカー対策は、警察としてもちろん取り組まなければならない課題ではあるが、他方で、現場の相当な負担になっているという事実も見過ごせないと思う」旨の発言があり、首席監察官から、「そのような問題意識も踏まえ、来年度の増員を要求しているが、少しずつでも業務のやり方を改善していかなければならないと考えている」旨、刑事局長から、「私が最近まで在籍していた大阪府警察の例を申し上げれば、大阪府はストーカーの相談件数が全国トップクラスであり、大阪府警察では限られた体制の中で、一件一件丁寧な対応をしていかなければならず、現場の負担は非常に重い。来年度以降、増員などにより、警察署の体制を強化することにしており、少しでも現場の負担を軽くするよう、取り組んでいるところである」旨の説明があり、奥野委員より、「現場の所属長は、現場の状況を一番詳しく御存じであり、いろいろ意見をお持ちだろうと思うが、監察という形で調査をしても、現場の意見を聴き取るのは限界があるのではないだろうか」旨の発言があり、首席監察官から、「最近では、現場の抱える問題点をできるだけ吸い上げようという姿勢で監察を行うようになってきている。私も最近まで都道府県警察にいたが、現場にいても警察庁や管区警察局の監察に臨む姿勢が変わってきたなという感じはあった。これからもそのような方向で前向きに進めていきたいと考えている」旨、長官から、「監察の目的が、業務改善をかなり重視するようになってきており、その意味では変わってきている。現場から相談されることもあるし、警察庁において、現場の意見を吸い上げて業務改善の在り方の検討にいかせるようになってきている」旨の説明があった。

    前田委員より、「この種の事案は、加害者が諦めない限りずっと続き、長期化することは避けられない。これまでの事案を見ても、当事者同士の話し合いで解決したからと警察の手を離れた途端に殺人事件に至るという例もあり、当事者同士が大丈夫と言っても全然大丈夫ではない。このように長期化する事案には、警察官を増員して張り付けるというレベルの問題ではないと思う。多分できないと思うし、合理的な、違う形でウオッチするシステムを考えなければならないのではないか」旨の発言があり、山本委員より、「関連するが、私は以前から、被害者が何らかの形で加害者の動向を掴めるような工夫が必要ではないかと申し上げてきた。警察官が被害者に付きっきりで保護をするということもできないから、やはり被害者自身が加害行為から身を守るための行動がとれるような工夫をしなければならない。刑を終えた加害者に更に制約を課すことへの問題意識というのも分かるのだが、男女間のトラブルに関しては、加害者が刑務所から出所したからといって問題がなくなるというものではない。例えば、警察が加害者の携帯電話の位置情報を追跡し、被害者に情報提供するというようなことは考えられると思う。このような事案は今後累積的に増え、現場の負担がますます増えることははっきりしている。そういった対策を考えられるのは警察庁だと思うので、是非検討していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「加害者の行為をシステム的に監視することについて、課題はあるが、そのようなことでもしないと解決できない現状になってきているので何とか工夫できないか、との御指摘だと承りたい。行為者対策に関しては、警察だけではなく、関係省庁と連携して、例えば刑務所から出所するまでの間に何かできることはないかなど、検討している。御提案のようなことは難しいかと思うが、現場の負担も相当なものになっているので、負担軽減策については、よく考えてまいりたい」旨の説明があり、前田委員より、「加害者を監視することへの考え方が日本はまだまだ遅れているのではないか。加害者の人権を考えることも大切だが、被害者を保護する対策だけでは限界がある。被害者保護を突き詰めれば被害者にはずっとシェルターに入ってくださいということになりかねず、むしろ被害者の方により大きな制約を課すことになることの方が問題だ」旨の発言があった。

    奥野委員より、「ストーカー対策に限らず、相談件数が増加するなど、警察が行わなければならない仕事は拡大する一方だが、拡大するたびに増員で対応するというのはいつか限界が来る。警察は増え続けるこの種の事案にどう対応していくのか、方針についてもう一度検討し直さなければならないのではないか」旨の発言があった。

    前田委員より、「やはり警察はまだ縦割り意識が相当強い。署長の業務を見直して負担を軽くしたのは、このような事案に対処しなければならない時に、署長がリーダーシップを発揮して、縦割りを超えて署員を使いこなしてもらうためであるので、よろしくお願いしたい」旨の発言があった。

 

(3)平成27年度監察実施計画について

   首席監察官から、「この度、監察に関する規則に基づき、平成27年度に警察庁が行う監察の実施計画を作成した。このうち、四半期ごとの全国統一実施項目は、それぞれ、『犯罪被害者支援の推進状況』、『交通事故抑止に資する交通指導取締り・速度規制の推進状況』、『適正な捜査管理の推進状況』及び『厳正にして合理的な許可等事務の推進状況』である」旨の報告があった。

 

(4)警察官による殺人事件の発生について

首席監察官から、「大阪府警察の巡査長が、1月24日午前、女性を殺害したとして、1月25日に通常逮捕された」旨の報告があった。

奥野委員より、「この巡査長の普段の勤務態度はどうだったのか」旨の発言があり、首席監察官から、「現在のところ、何か問題があったという話は特段聞いていないが、発生したばかりの段階であり、まずは大阪府警察において、刑事事件として捜査を尽くし、事実関係の解明に努めてまいりたい」旨の説明があった。

 

(5)平成26年における通信傍受に関する国会への報告について

刑事局長から、「通信傍受法第29条の規定に基づき、平成26年中の通信傍受の実施状況について国会に報告する」旨の報告があった。

川本委員より、「通信傍受を行う場合、対象者が電話をするのを24時間ずっと待っていなければならないようである。警察には、このように職員が精神論でなんとか乗り越えているという話があまりにも多いのではないか。行政コストが掛かっていることでもあり、きちんと現場で見直しができるようにしていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘のとおり、通信傍受に関しては、捜査員や立会いをしていただく電気通信事業者の負担が大きいことがこれまでも指摘され、法制審議会の『新時代の刑事司法制度特別部会』の答申において、通信傍受の合理化を図ることが盛り込まれた。現在、通信傍受法の改正案を法務省で検討しているところである」旨の説明があった。

 

(6)平成26年の特殊詐欺認知・検挙状況等について

刑事局長から、平成26年の特殊詐欺認知・検挙状況等について報告があった。

 

(7)大阪府泉佐野市における殺人事件の検挙について

   刑事局長から、「大阪府警察は、平成24年3月9日に、大阪府泉佐野市内において当時内縁関係にあった夫を殺害したとして、1月28日、その当時内妻であった女を殺人罪で通常逮捕した」旨の報告があった。

   長谷川委員より、「今回の事件では、当初司法解剖した際に、被害者の血液を保存していたことが検挙の決め手になったが、司法解剖をして、犯罪性がないと判断された場合に、血液など何も残らないこともあるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「司法解剖を委託した病院で研究等のため保管されていることはあるが、保管場所の問題などもあり、病死等と認定されたような場合には、必ずしも十分保存されているわけではない」旨の説明があった。

 

(8)名古屋市昭和区における女子大学生による殺人事件の検挙について

刑事局長から、「愛知県警察は、平成26年12月7日頃、名古屋市昭和区内居住の女子大学生が知人女性を殺害したとして、1月27日、被疑者を殺人罪で緊急逮捕した」旨の報告があった。

 

(9)指定暴力団五代目工藤會幹部の検挙について

刑事局長から、「福岡県警察は、1月26日、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反及び恐喝未遂で、指定暴力団五代目工藤會理事長代行等を検挙した」旨の報告があった。

 

10)オウム真理教に対する観察処分の期間の更新決定(5回目)について

警備局長から、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第5条第4項の規定に基づき、1月23日、公安審査委員会はオウム真理教に対する観察処分の5回目の期間の更新を決定した」旨の報告があった。

 

11)シリアにおける邦人拘束事案について

警備局長から、シリアにおける邦人拘束事案の現在までの状況について報告があった。