定例委員会の開催状況

第１　日　時　平成２７年２月１２日（木）

午前１０時００分〜午前１１時１０分

第２　出席者　山谷委員長、山本、前田、奥野、川本各委員

金��長官、坂口次長、栗生官房長、辻生活安全局長、

三浦刑事局長、鈴木交通局長、川邉情報通信局長

瀧澤外事情報部長

桑原首席監察官

第３　議事の概要

１　議題事項

　（１）国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

２　報告事項

（１）国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

　（２）警察庁長官に対する異議申立てに係る諮問について（行政機関情報公開法関係）

　　　　官房長から、情報公開・個人情報保護審査会に諮問予定の行政機関情報公開法関係の異議申立て事案に係る警察庁の方針等について報告があった。

（３）平成２６年第４四半期における地方警務官に係る贈与等報告書について

　　　官房長から、「国家公務員倫理法の規定に基づき、地方警務官から平成２６年第４四半期における贈与等報告書が国家公安委員会に対して提出され、これを国家公安委員会委員長が専決で受理し、このうち、指定職以上の職員に係るものについては、その写しを国家公務員倫理審査会へ送付することとしている」旨の報告があった。

（４）監察の取扱い事案について

首席監察官から、「大阪府警察の巡査長が、１月２４日午前、女性を殺害したとして、１月２５日に通常逮捕された事案に関し、大阪府警察は、２月１３日、同巡査長を懲戒免職処分とする予定である」旨、及び「埼玉県警察の巡査部長が、１月２６日、強制わいせつ等致死傷罪で通常逮捕された事案に関し、埼玉県警察は、２月２０日、同巡査部長を懲戒免職処分とする予定である」旨の報告があった。

（５）携帯電話販売店に対するフィルタリング推奨状況等実態調査の結果について

生活安全局長から、スマートフォン等の普及を背景として、インターネット利用に係る児童の犯罪被害が深刻化していることを踏まえ、この度全国の携帯電話販売店等に対して行った、スマートフォン用のフィルタリングの説明・推奨の実施状況に関する調査結果について報告があった。

奥野委員より、「フィルタリングはなかなか進まないのが実態であるが、これまでのお願いベースの対応から一歩進めて、法的に義務付けることは検討できないか。今回の調査結果において、販売業者の説明の在り方の問題が指摘されている。だが、いくら販売業者が説明しても、子供にスマートフォンを買い与える親の側が、フィルタリングの必要性について理解し、納得しなければ販売店側も強制はできない。児童虐待の報告などに対しても指摘しているが、現在は親といっても様々な親がいる。子供は親を選べないことからすると、社会全体で子供を守っていかなければならない。親の判断に全てを任せるよりも、ある程度社会の側が介入し、義務化することを考える段階になっているのではないか。警察だけではなく、関係機関と連携して考えていかなければならない問題だと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「子供の部活などの連絡がＳＮＳを使って行われるので、スマートフォンは必要不可欠だという現実のニーズがあるが、フィルタリングの必要性、やり方について親御さんに丁寧に説明し、対応していただくことによって、子供たちを有害情報から守ることができるということもあるので、そこは進めてまいりたい。また、フィルタリングの義務付けについて、従来型の携帯電話に関しては、『青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律』において、販売業者に、フィルタリングサービスの利用を条件として販売することを義務付けているが、それもあくまで保護者の判断による。やはり情報通信の利用は利用者の自由に委ねるというのが基本的な考え方にはなっている。申し上げたインターネット利用環境整備法が議員立法でできた当時の議論でも、利用制限、有害情報の閲覧制限は、通信の自由、表現の自由に対する制約であるということで、相当な反対運動も盛り上がった、非常にセンシティブなテーマだというふうに伺っている。ただ、現在、先ほど申し上げたインターネット利用環境整備法に基づく次の３か年の基本計画を策定するための内閣府に設置された検討会が開催されており、ここに今回の調査結果を提供するなど、警察として、問題のある状況にあることは説明し、問題提起を行ってまいりたい」旨の説明があり、奥野委員より、「フィルタリングの義務付けについて、通信の自由、表現の自由を理由に反対している業界があるのは承知しているが、明らかに悪質で、子供にとって害があることがはっきりしている情報であっても、規制に反対するのは企業にとって利益につながるからだろう。表現の自由を守りつつも、子供を犯罪から、非行から守るという観点から、明らかに悪質で、問題のあるものについては、警察として、規制すべしとの方向性をある程度打ち出してもよいのではないか。生活安全局長から説明があったように、警察だけでなく、関係機関を含め政府全体として考え方を高めていかなければならない課題ではあるが」旨の発言があった。

前田委員より、「やはり保護者に対応を義務付けることを考えなければならないと思う。外国に比べ、日本は保護者対策が遅れており、やるべきことをしない保護者が多い。それでいて事件が起こったら警察の責任にされてしまう。子供がスマートフォンを持っていないと生活できないということはあり得ない。業界の主張にあまり耳を傾ける必要はなく、保護者にきちんと対応を義務付け、守らないと厳罰にするというくらいやらないと、子供たちは守れない。そういうことを言えるのは警察だけだと思うので、よろしくお願いしたい」旨の発言があった。

川本委員より、「義務付け以前の問題として、今のスマートフォンは、善意のある親がフィルタリングを掛けようとしても、作業がものすごく難しくてできないという現実もある。内閣府と連携して対応されているということであるが、是非フィルタリングに関する知識を保護者に十分広めていくような対応をしてほしい」旨の発言があり、生活安全局長から、「これまで用いてきた広報資料を更に活用するなど、フィルタリングの普及に努めてまいりたい。また、今回の調査で分かったが、販売店の店員自身が、フィルタリングのやり方が難しくてよく分かっておらず、十分に説明できなかったということもあるようなので、もう少し簡便な方法で掛けることができないか、研究してまいりたい」旨の説明があり、山本委員より、「その意味では、既にフィルタリングの設定がなされ、子供たちの日常生活に必要な機能に絞った、子供向けの安全なスマートフォンを作って販売すればよいと思う。フル装備の製品を販売しておいて、後は保護者の責任でフィルタリングをしてくださいというのは、ある意味傲慢だと思う。年間で６００人もの子供が被害に遭っているということを踏まえると対応しなければならない。もちろん警察だけでできる話ではないが、危険ドラッグを封じることができたように、関係機関が連携して取り組めば不可能ではないと思う。是非御検討いただきたい」旨の発言があった。

委員長より、「私は、第一次安倍内閣で教育再生担当の総理大臣補佐官を務めていた時に、この問題を何とかしたいと考え、携帯電話会社と意見交換するなど、取り組んだことがある。山本委員の御指摘にあったような、子供向けの機種を開発したが、ニーズに合わなかったりしてなかなか普及しないという現実もあったようである。スマートフォンが普及して、各委員から御指摘のあったように、フィルタリングがお手上げ状態になっていたり、つい先日報道があったように、女子高校生が一日７時間、男子高校生が一日４時間も使っていたりという状況は異常だと思う。この機械が、心身ともに子供たちを破壊していくという状況になってしまっていることを非常に憂いている。警察だけではなく、健康被害の観点から厚生労働省も巻き込んで、文部科学省、内閣府、経済産業省、総務省などの関係省庁がお互いデータを出し合いながら、海外での取組を紹介したりして、日本の現状は異常であることを保護者に伝えながら、自覚を促していくという大きな流れをつくらなければ、なかなか解決が難しい問題だと思っている。援助交際などで被害を受けた子供たちが、なかなか被害を言えないという数は水面下にものすごくあると思うし、性的な画像を見てＰＴＳＤになる子供もいると思う。本気で対策を考えていかなければいけない時期に来ていると思う」旨の発言があった。

（６）平成２６年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について

生活安全局長から、平成２６年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について報告があった。

（７）和歌山県紀の川市における男子児童被害殺人事件の検挙について

　　刑事局長から、「和歌山県警察は、２月５日、和歌山県紀の川市内において、男子児童が刃物様のもので切られるなどして殺害された事件について、２月７日、被疑者を殺人罪で通常逮捕した」旨の報告があった。

（８）平成２６年中における死体取扱状況について

刑事局長から、平成２６年中における死体取扱状況について報告があった。

（９）邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会について

外事情報部長から、「この度のシリアにおける邦人殺害テロ事件に係る政府の対応について検証を行い、国際テロ事案に関する在留邦人保護等の政府対応の在り方について検討するため、内閣官房副長官を委員長とする検証委員会が設置され、その第１回検証委員会が２月１０日に開催される予定である」旨の報告があった。

奥野委員より、「テロ対策とは別の話になるが、イスラム教徒に対する嫌がらせや攻撃が起きないように目を配っていただきたい。欧米ではイスラム教徒に対する攻撃が起こっているという報道があるが、日本は欧米諸国とはイスラムに対する国民感情は異なるとしても、今回あのような事件が起きてテレビなどでかなり報道がなされ、一部の人たちの間ではイスラム教徒に対する短絡的な反感が出てきている。警察では、何が起きるか分からないということでモスク等に対する警戒を強めているとお伺いしたが、施設だけでなく、日本在住のイスラム教徒個人が被害に遭わないように目配りをお願いしたい。イスラム教徒といっても中東出身の方だけでなく、様々な国から来られている方もいるし、観光客もおられる。もし、イスラム教徒に対する攻撃が起きたら、テロリストを刺激して、日本に対する無用の攻撃の口実を与えることになる。日本は民主国家として、そのようなことは起こさせない国であることを国際的に認識していただくためにも、そういった点に配意して対策を行ってもらいたい」旨の発言があり、外事情報部長から、「御指摘の点については、今回の事案が発生した当初から、イスラム関係の施設に対する嫌がらせや攻撃等がないか警戒しているところである。現在までのところ、重大な攻撃に至るような事案は把握していないが、一部に無言電話や心ない電話などはあるというふうに聞いており、御指摘を踏まえ、よく実情を把握し、警戒してまいりたい」旨の説明があった。