定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成27年2月19日(木)

午前10時00分午後0時00分

 

 

第2 出席者 長谷川、山本、前田、奥野、川本各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、辻生活安全局長、

三浦刑事局長、鈴木交通局長、橋警備局長、川邉情報

通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

 議題事項

(1)人事案件について

   官房長から、3月6日付けを始めとする地方警務官等248名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について

   生活安全局長から、今国会に提出予定の、客にダンスをさせる営業に係る規制の範囲の見直しを行うこと等を内容とする風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)「交通安全施設等整備事業の推進に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」について

交通局長から、幼保連携型認定こども園の制度が新設されたことに伴い、交通安全施設等整備事業の推進に関する法律に基づき特定交通安全施設等整備事業を実施すべき道路の指定の基準を改正する標記の命令案について説明があり、原案どおり決定した。

 

 (4)緊急時の事態に際しての意思決定手続について

    大規模災害、重大テロその他緊急の事態に際しての国家公安委員会の意思決定手続について申し合わせた。

 

 (5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

 (2)平成26年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について

    官房長から、平成26年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について報告があった。

山本委員より、「被疑者取調べ監督制度は、かつての被疑者取調べをめぐる様々な問題を背景として導入されたことは承知しているが、報告によれば、かなり問題となる取調べは減少し、ごく限られたものになっているということがうかがえる。だとすれば、かつての問題のあった状況を踏まえたこの対策は、もうそろそろ見直してもよいのではないか。一度始めた制度を見直すことはなかなか難しいかもしれないが、わずか約30件の問題事案を発見するために、300万回もの視認をしているというのは、必ずしも必要のないことをしているという見方もできると思う。被疑者からの苦情が459件あるというので、基本的にはこのような苦情があったものについて詳しく調べて、問題があれば直すというふうに改めてもよいのではないかという感じがした」旨の発言があった。

 

(3)平成26年中における人身取引事犯の検挙状況等について

   生活安全局長から、平成26年中における人身取引事犯の検挙状況、被害状況等について報告があった。

   山本委員より、「まだまだ隠れたところで被害を受けている女性がいるという可能性を考えると、是非もっと注意を払っていただきたいと思う。不法に入国して、生活実態が分からないという人もおり、実態を調査するのも大変だとは思うが、入国管理局などとも連携して、取り組んでいただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「人身取引の問題については、政府を挙げて取り組むこととしており、外務省、入国管理局などとも連携し、来日外国人の実態についてよく意見交換していくことが必要だと思うので、組織犯罪対策部門などとも連携して、取り組んでまいりたい」旨、長官から、「御指摘のとおり、このような人身取引事件があるということは、国として恥ずかしいことだと思うので、よく注意を払って見ていきたい」旨の説明があった。

 

(4)フィリピン人女性被害に係る人身取引事犯の検挙について

    生活安全局長から、「岐阜県警察は、フィリピン人女性に不法就労させたとして、2月14日、被疑者9名を通常逮捕した」旨の報告があった。

 

(5)不正競争防止法違反(営業秘密の領得)被疑者の検挙について

生活安全局長から、「神奈川県警察は、2月14日、自動車メーカーの元社員が、不正の利益を得る目的又は同社に損害を与える目的で、営業秘密を管理すべき任務に背き、同社の営業秘密であるモーターショーに関する情報等が記録されたファイルデータを自己所有のハードディスクにコピーして、同社の営業秘密を領得したとして、同人を不正競争防止法違反で通常逮捕した」旨の報告があった。

川本委員より、「今後の対策として、この罪を非親告罪化するという不正競争防止法の改正を経済産業省が検討しているとあるが、これを厳しく罰すると、企業活動の自由度が落ちるのではないか、合理性を欠くのではないかという考え方もある。果たして経済産業省が言い出した話なのか、という感じがするが、警察は、法律ができると取り締まる立場になると思うが、この動きをどのように捉えているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「親告罪か非親告罪かというのは、あくまでも訴追されるときの要件に関するものであり、警察の捜査自体は、親告罪であろうが非親告罪であろうが関係なく行えるものである。ただ、実際問題としては、被害企業が積極的に被害を申告してこないものを事件化するのは困難であろうと思う。今回の非親告罪化に係る議論は、業界の方から、親告罪では警察の捜査もやりにくいのではないかということで、要望が出てきたものである。警察の捜査は親告罪であろうとなかろうと、被害申告があればやると申し上げてきたのだが、業界の強い御要望を踏まえ、このような流れになっているものである」旨の説明があり、川本委員より、「この営業秘密の保護対策に関しては、警察も技術立国を守る観点から協力する立場にあると思うが、技術に対する国策や、企業の考え方には様々なものがあり、時代によっても変わるものだと思うので、そのあたりをよく配慮していただきたい」旨の発言があった。

 

(6)FATF対日審査フォローアップへの対応について

刑事局長から、FATF対日審査フォローアップへの対応について報告があった。

 

(7)第20回アジア・太平洋薬物取締会議(ADEC−20)の開催について

    刑事局長から、2月24日から26日までの3日間、東京都内において開催される第20回アジア・太平洋薬物取締会議(ADEC−20)の概要について報告があった。

 

(8)指定暴力団五代目工藤會傘下組織組員の検挙について

    刑事局長から、「福岡県警察は、平成26年5月26日に発生した組織的殺人未遂事件で、2月15日から16日にかけて、指定暴力団五代目工藤會傘下組織組員9名を検挙した」旨の報告があった。

    奥野委員より、「これまでの警察の総力を挙げた工藤會対策の成果であり、評価したい。昨年、工藤會のトップとナンバー2を検挙した際にも、この2人の検挙を突破口に未解決事件の解明と犯人検挙に全力を挙げていただきたい旨申し上げたが、やはり1件検挙できると次々に事件が明らかになってくるものだと認識している。今回の事件の被害者である歯科医師は、殺害された漁協組合長の一族というだけで、全く利害関係から遠いところにいたのに襲われたわけで、こういう無関係の人まで襲われるというのは、相当危険であると考えられ、その意味でもこの事件を解決できたのは大きな成果だと思う。まだほかにも未解決の事件はあり、事件解決が組織の壊滅につながると思うので、引き続き徹底した捜査をお願いしたい」旨の発言があった。

 

(9)特定危険指定暴力団等五代目工藤會に対する事務所使用制限命令の発出等について

刑事局長から、特定危険指定暴力団五代目工藤會に対する事務所使用制限命令の発出等について報告があった。

 

10)平成26年中の交通死亡事故等の特徴について

交通局長から、平成26年中の交通死亡事故等の特徴について報告があった。

長谷川委員より、「統計資料の中に、各年齢層別の人口10万人あたりの交通事故死者数の推移が掲載されているが、このデータが最も重要で、全体像を示すものだと思う。実数は、母数が変わると当然変わりうるし、実態を本当に示すのは、人口あたりの死者数といった確率であり、その集団が全体の中でどれだけのリスクがあるのかということを見なければならない。例えば、各年齢層別の人口10万人あたりの交通事故死者数の推移を見ると、すべての年齢層において人口10万人あたりの交通事故死者数が減っているのが分かる。高齢者は確かに他の年齢層に比べて人口あたりの死者数は多いが、それでも確実に減っている、といったことが分かる。このように、実数のデータと、比率計算したものでは全く意味が異なるということを指摘したい」旨の発言があり、交通局長から、「御指摘のとおり、人口あたり、自動車走行台キロあたりの事故件数といった分析は重要だということは認識しており、今後とも有益な分析に努めてまいりたい」旨の説明があった。

川本委員より、「同様に、警察の統計は、分母がどうなっているのか、ということがいつも気になる。例えば、40歳、50歳代の自動二輪乗車中の事故が増えているといっても、40歳代以上の所有する自動二輪車の台数の推移を踏まえないと、本当に増えていると言っていいか、これだけでは分からない。いちいち本当なのかと感じてしまう。世の中のデータサイエンティストが活用される統計であるので、そういうことのないようにしていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「御指摘の点も踏まえて、今後資料も提供していきたいと思う。なお、若干補足的に申し上げると、運転免許保有者数あたりで見ても、人口あたりで見ても、全体として自動二輪車乗車中の交通事故死者数が減っている中で、40歳代、50歳代の死者は増えているという傾向はある」旨の説明があった。

前田委員より、「長谷川委員御指摘のとおり、棒グラフで絶対数だけ追いかけるという、昔ながらの統計手法をやっていても、見えてこない。やはり、人口何人あたり、といったようなことを意識していただきたい。あと、広報資料に関して言えば、警察として、事故抑止のためにこういうところをマスコミの人にPRしてほしいということを分かりやすく打ち出さなければならない。そうしないと、せっかく広報しても意味がないものになってしまう。それから、昨年の死者数約4,100人の内訳を見ると、歩行者・自転車といった、いわゆる交通弱者が約半分を占める。車両対車両の事故抑止対策はこれまでの取組である程度良くなったが、元々日本は人馬一体で、車道と歩道と分かれていない状態が長く続いてきたこともあってこういう結果になっていると思うので、そこはそういう日本の道路事情に合わせた対策を行わなければならない。そこで考えると、歩行中の死者のうち、3分の2が高齢者で、その半分以上は夜間の事故であるが、反射材はほとんど普及していないという現状がある。反射材の利用促進キャンペーンは各都道府県で行われているが、もっと警察が旗を振らなければならない。自転車に関していうと、自転車乗車中に交通事故にあった人の約8割がルール違反をしているということが気になる。ここの部分をマスコミにもっと言って取り上げていただく必要がある。他方、高速道路における交通事故は実はものすごく減っており、あまりここにエネルギーを使っても仕方がないと思う」旨の発言があり、交通局長から、「正に御指摘のとおり、歩行者対策、特に高齢者の歩行者対策は、死者数の中でも大きな数字を示しているところであるので、最も力を入れて対策を行っていかなければならないと認識している。また、反射材の普及についても、関係団体とも話をして、反射材フェアを開催していただくことにしており、こういった取組も含め、高齢者の歩行者に対する指導、それから御指摘の自転車に対する対策についてもしっかり取り組んでまいりたい」旨の説明があった。

奥野委員より、「報告の中で、薄暮時間帯の交通事故死者数が減少しているというのがあり、昨年来、薄暮時間帯の事故を減らそうという取組をされてきた成果が出たものだと受け止めたい。最近では、このように、テーマを絞った運動が行われてきているが、他方で、春と秋の交通安全運動は依然として総花的な取組を行っているような印象がある。これを見直し、ターゲットを絞って運動を続けていくという考え方はあるのか」旨の発言があり、交通局長から、「春秋の全国交通安全運動については、政府全体、日本全体で取り組んでいるものであり、やはり全体としての死亡事故、あるいは交通事故の特徴として、例えば高齢者が多いといった全国に通じるテーマがあり、通年的なものもあるので、全国テーマとしてはだいたい毎年同じようなものになってくる。ただ、御指摘のとおり、季節に応じて、例えば薄暮時間帯の事故が多いとか、新入生の入学時期とか、そういった季節に応じた対策というのが必要であることもあり、また、地域によって課題が異なるところもあるので、警察庁や都道府県警察において、必要に応じて関係機関と連携して交通安全運動を行っているところである」旨の説明があり、奥野委員より、「交通状況も変わってきており、今のような、春と秋に政府全体で一大キャンペーンをやるという、交通安全運動の在り方も、今後考えていかなければならないだろうという思いもある」旨の発言があった。

 

 (11)平成26年中における機動警察通信隊の活動状況について

情報通信局長から、平成26年中における機動警察通信隊の活動状況について報告があった。

 

 3 その他

(1)官房長から、「群馬県警察の巡査が、1月15日午後、女児を誘拐 しようとしたとして、2月18日に通常逮捕された」旨の報告があった。

   奥野委員より、「社会全体で子供を守ろうという機運が高まり、警察も子供の安全を守る活動に取り組んでいる中で、未遂とはいえ一般の子供が被害に遭った事案であり、警察官の非違事案の中でも特に悪質だと思う。一部報道では、交番の巡回連絡簿を悪用したという話もある。事実関係や背景については今後の捜査で明らかにされると思うが、徹底した捜査をお願いしたい」旨の発言があり、長官から、「御指摘のとおり非常に重く受け止めている。よく事案を解明して、再発防止に努めてまいりたい」旨の説明があった。

 

 (2)生活安全局長から、2月12日の定例会議で山本委員より発言のあった、子供向けスマートフォンに関し、現在市販されている製品の概要等について報告があった。