4 国家公安委員会定例会議

定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成27年8月6日(木)

午前10時00分 〜 午前11時30分

 

 

第2 出席者 山谷委員長、長谷川、奥野、川本、北島各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、鈴木交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

桑原首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、8月24日付けを始めとする地方警務官等117名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

2)第35回ASEAN警察長官会合(ASEANAPOL)の開催結果について

官房長及び次長から、8月4日から6日までの間、インドネシア共和国において開催された第35回ASEAN警察長官会合(ASEANAPOL)の結果について報告があった。

 

(3監察事案の取扱いについて

首席監察官から、5月16日、長崎県警察の巡査が知人女性に対し性的暴行を加えた事案について、8月7日、同県警察は同巡査を懲戒免職処分とする予定である旨、並びに7月2日、警視庁の巡査が過失運転致傷等で通常逮捕された事案に関し、8月7日、同庁は同巡査を懲戒免職処分とする予定である旨の報告があった。

長崎県警察の巡査による性的暴行事案について、奥野委員より、「事件については不起訴処分であるが、免職にできるのか。免職処分を不当として裁判を提起する可能性もあるのではないか」旨の発言があり、首席監察官から、「刑事処分と行政処分とは別物であることから、免職処分とすることは可能である」旨の説明があった。

 

(4「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第3次)」の策定について

生活安全局長から、「子ども・若者育成支援推進本部」が策定した「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第3次)」の概要等について報告があった。

 

5)仮想通貨交換取引所元代表取締役による電磁記録不正作出事件の検挙について

刑事局長から、仮想通貨交換取引所において多額の仮想通貨が消失した事件について、8月1日、警視庁が当該仮想通貨交換取引所の元代表取締役を電磁的記録不正作出罪で通常逮捕した旨の報告があった

奥野委員より、「これは、極めて捜査が難しい事件だったのではないか。金の流れを把握する技術とサイバー捜査技術とがマッチして、チームワークがうまくいったと思う。近年、警察はサイバー捜査体制を強化することに努めているが、その成果が現れているとの印象を受けた。全容解明に向け捜査を進めているとのことだが、是非、資金の流れについても解明し、捜査を徹底してもらいたい。また、今回の捜査で蓄積された経験、技術を今後のサイバー捜査に活かしていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「当初は、不正アクセスのような情報があったことからサイバー犯罪対策課が入り、膨大な電磁的記録の解析等を行い、その後、少し事件の姿が見えてきた段階で捜査第二課も入ったというものである。サイバー犯罪対策課の方でかなり努力した成果であると思う。引き続き、資金の流用の関係なども視野に入れて解明を進めてまいりたい」旨の説明があった

 

(6)平成27年上半期の特殊詐欺認知・検挙状況等について

刑事局長から、平成27年上半期の特殊詐欺認知・検挙状況等について報告があった。

 

(7)「車座ふるさとトーク」の開催について

交通局長から、8月16日、青森市において「高齢者の交通事故を防止するために」をテーマに開催される「車座ふるさとトーク」について報告があった。

 

3 その他

(1)生活安全局長から、7月27日に公表された「2015年米国務省人身取引報告書」における日本に対する評価等について報告があった。

北島委員より、「依然として、日本はTIER2で止まっているが、JITCO(国際研修協力機構)の見直しを含めた新たな技術実習制度に関する法案も提出されており、近い将来、TIER2から上がることを是非実現できるよう頑張って欲しいという期待感を表明しておきたい」旨、川本委員より、「一部報道でも出ていたが、今年の報告書は、監視対策部の専門隊が出した評価よりも一般的に甘めになっているとの評判がある。それでも、日本の評価はTIER2と変わっていないので、恥ずかしいように思う。是非、政府全体での取組をお願いしたい」旨の発言があり、次長から、「パレルモ条約を締結していないことが大きく、これを締結していないと評価されにくい。現在、共謀罪の点で担保法が整備できない状況であるが、政府全体としては、対策会議を設置するなどして取組を進めているところである」旨、生活安全局長から、「技能実習制度に関する法案が成立することは、かなり大きな評価になると思われる。昨年度は、アメリカ国務省に対して3回ほど説明しているが、国務省は、公的な情報のみならず、報道等からの情報も総合的に勘案して判断しているとのことである。警察としては、法に触れるものについてはしっかりと取締りを行うとともに、いわゆるJKビジネスに対しては、条例を制定して取締りをしている県もあることから、実態に応じて適切な対応をしていかなければならないと思う」旨の説明があった。

奥野委員より、「アメリカ国務省の指摘については、日本政府の認識と異なっている点もあるとのことなので、日本側からはっきりと事実を訴えることが必要である」旨の発言があり、生活安全局長から、「取締りを徹底するとともにしっかりと説明することも必要だと思うので、的確に対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

(2)刑事局長から、8月5日に衆議院法務委員会で修正の上可決された「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」に関する国会審議の状況等について報告があった。

奥野委員より、「通信傍受において通信事業者の立会人を必要としなくなるということだが、警察内部で傍受の実施状況を確認する形になるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「特定電子計算機という暗号技術も使った技術的措置を講じた新しい方式を用い、傍受の状況が全て機械的に改ざんできないような形式で記録され、全て裁判所に提出されるということにより、今まで立会人が果たしてきた、例えば、スポット傍受が適切に実施されているかどうかや期間が守られているかどうかなどをチェックする役割については、完全に代替できるものと考えている。ただし、国会審議では、物理的に人がいないことへの懸念も示され、その点も踏まえ、傍受を実施する事件の捜査に従事していない者が適宜傍受の場所に行って指導することとする。昨日の国会審議で、そのような検討をする旨を答弁した」旨、長官から、「要するに、警察が恣意的な傍受をしようと思っても、機械的にできないシステムになるものである。万が一、そのようなことがあれば全部裁判所で明らかになるため、関係者は処分され、事件は立件できなくなる」旨の説明があり、奥野委員より、「取調べの適正化を進めたときに、取調室の状況をチェックする制度を設けたが、通信傍受でもそのような制度になるのか」旨の発言があり、次長から、「現在でも、捜査官以外に、例えば技術指導の部隊が投入されており、実務的に大きく変わる話ではない」旨、長官から、「おそらく、刑事総務課等の適正捜査の指導担当等が、法的・技術的な面から指導するという体制を作ることとなると思う」旨の説明があった