定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年2月18日(木)

午前10時00分 〜 午前11時50分

 

 

第2 出席者 河野委員長、長谷川、前田、奥野、川本、北島各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、2月26日付けを始めとする地方警務官190名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)金融商品取引法の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備等に関する規則案について

刑事局長から、「金融商品取引法の一部を改正する法律」の施行に伴い整備される関係国家公安委員会規則案及び同規則案に対する意見の募集結果について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成27年中における人身取引事犯の検挙状況等について

生活安全局長から、平成27年中における人身取引事犯の検挙状況等について報告があった。

長谷川委員より、「年齢別、年別の被害者の状況については、資料内のグラフをもう少し工夫して作成すれば、実態がわかりやすくなってよいと思う」旨の発言があった。

 

(3)スマートフォン用画像共有アプリによる児童買春・児童ポルノ禁止法違反等事件の検挙について

生活安全局長から、スマートフォン用画像共有アプリを利用して児童ポルノを掲載するなどしたとして、2月10日までに、神奈川県警察が、同画像を投稿した者、同アプリ運営会社代表取締役等及び同社を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ公然陳列)等で検挙した旨の報告があった。

北島委員より、「アプリを利用してインターネット上に児童ポルノを掲載した事案に対し、初めてアプリ運営会社を共同正犯として検挙した点を評価したい。また、本件を踏まえ、インターネット・ホットラインセンターにおいて、アプリを利用してインターネットに掲載された違法情報等の通報を可能とするよう、ガイドラインを改正することとした点も非常に良い」旨の発言があった。

 

(4)不正競争防止法違反(営業秘密の開示)被疑者の検挙について

生活安全局長から、平成25年1月ころ、会社役員の男が以前勤務していた会社から営業秘密を不正に取得し、同年4月ころ、現在勤務する会社の従業員に同秘密を提供した事案について、本年2月16日、愛知県警察が同役員を不正競争防止法違反(営業秘密の開示)で通常逮捕した旨並びに昨年7月の不正競争防止法の改正を受けた警察の取組について報告があった。

 

(5)平成27年中の犯罪収益移転防止法の施行状況等について

刑事局長から、平成27年中の犯罪収益移転防止法の施行状況等について報告があった。

 

(6)川崎市幸区における介護職員による殺人事件の検挙について

刑事局長から、平成26年11月夜、川崎市幸区所在の老人介護施設に入所中の男性を4階ベランダから投げ落として殺害したとして、本年2月15日、警視庁が、当時同施設の介護職員だった男を殺人罪で通常逮捕した旨の報告があった。

北島委員より、「第一の事件が発生した後の捜査が遅かったのではないかという印象がある。早く対応できていれば、その後の事件も防ぐことができたのではないかと思うので、神奈川県警察はしっかりと検証した方がいいのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「発生当初の段階では事件性が明らかではなかったことから、事件、事故の両面で慎重に捜査を進め、ようやく本件の立件に至ったという状況であり、発生後の捜査をしっかりとやっていればその後の事件を防ぐことができたとは必ずしも言い切れるものではないと認識している。しかし、第三の事件まで発生した後、本部と警察署がどのように認識し、対処してきたかという点は、掘り下げて確認する必要があるのではないかと思っている」旨の説明があった。

奥野委員より、「第二の事件が発生した段階で、第一の事件との関連を検討する会議は開催していないのか」旨の発言があり、刑事局長から、「その点は、今後確認する必要はあるが、今のところ、そのような会議の開催は把握されていない」旨、長官から、「神奈川県警察は、同じ施設で高齢者が転落死するという事案が続いたことに不審を抱き、捜査は続けていたものの、なかなか決め手がなく、時間がかかったことは間違いない。その点を踏まえ、今後、どのようにして捜査力を上げていくかが課題となる」旨の説明があった。

 

(7)大量覚醒剤所持事件の検挙について 

刑事局長から、2月12日までに、福岡県警察・鹿児島県警察等13都府県警察、税関、海上保安庁及び厚生労働省麻薬取締部による合同捜査本部が、洋上取引による覚醒剤密輸入に関する情報を得て神戸山口組傘下組織幹部等5人を覚せい剤取締法違反(営利目的所持)で逮捕した旨の報告があった。

奥野委員より、「本件は相当大がかりな態勢で周到な準備を重ねた上での成果ではないか。素直に評価したい。洋上取引での覚醒剤密輸入にからむ事件の検挙は久しぶりとのことだが、現場で取締りに従事する捜査員の士気の向上につながるはずなので、更に取締りを徹底していただきたい」旨の発言があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、長野県軽井沢町における大型貸切バス転落事故の発生を受けた警察庁及び国土交通省の取組について報告があった。

川本委員より、「消費者庁がバス会社の情報開示制度を設けるなど対策が進んでいるのは良いが、警察庁が示した、貸切バスの乗客のシートベルト着用の徹底という対策だけでは、元々やれる範囲でしか対応していないのではないかと感じる。本件の発生を受けて、もっと警察庁として取り組むべき対策は考えていないのか」旨の発言があり、交通局長から、「現時点では、それ以外の具体的な対策は持ち合わせていない」旨の説明があり、川本委員より、「自らの守備範囲でなくても、どのようにすればこのような事故を防ぐことができるのか、自らの問題としてしっかりと考えていただきたい」旨の発言があった。

 

(2)川本委員より、「先日、静岡県に行き、静岡県警察本部の鉄道警察隊を視察した。女性の隊長の下、痴漢や盗撮等の鉄道内の事件に対する女性の捜査チームも置かれ、非常に実績を挙げており頼もしく感じた。このような動きが全国に広がっていくと良いと思う。一方、事業者に協力をお願いしてもなかなかうまく進まないこともあるとのことで、そのようなものについては、警察全体として事業者への働きかけを行っていただきたい」旨の発言があった。

 

 (3)議事終了後、委員長より、「御案内のとおり、前田委員におかれては、任期満了により近く御退任になる。前田委員より御退任に当たっての御挨拶を賜りたい」旨の発言があり、前田委員より、「今週いっぱいで、5年間の任期を満了する。公安委員会制度は、戦後導入した民主警察を作るための制度であるが、国、地方を問わず、公安委員会が存在することにより、政治の介入から保護された状態で自由に本来の目的の仕事ができるという、たいへん優れた制度だと思っている。しかし、私が見る限りでは、ある意味過保護な状態になり、独自の組織防衛の論理がはびこりやすくなったり、改革・改善とか創意工夫がほとんど育たなくなったりする。一言で言えば、自己中心的に陥りやすいという組織的な欠陥を持っている。民間から来た立場から考えると、これを克服するためには、現場の方の仕事をよく見ていただくということに尽きるのかなと思う。先例を重視して対策を打つというのは常に後手になるので、現場で起こっている様々なことよく見るために、現場との距離感を縮めていただきたい。また、私も現場の警察官の方とたくさん接触して来たが、現場の方は本当に使命感に燃えて、一生懸命働いているので、達成感がある仕事になるように工夫してあげないといけない。たいへん貴重な人材でもあるので、皆に良い仕事をしてもらうような組織にしていただきたいと思いながら、警察を見守っていきたい。いろいろとありがとうございました」旨の挨拶があった。

委員長より、「私の着任後の10月8日の公安委員会からと半年弱ではあるが、大変お世話になった。豊富な御経験と高い御見識で公安委員会での議論を活発にしていただき、また、様々な地域の御視察も精力的に赴き現場の士気を高めていただいたと思っている。白バイの職員の殉職、事故を減らす大きな号令をかけていただいたことや、国家公安委員会にテレビ会議システムで御参加いただき、その方式で会議が開催できることを、身をもって示していただいたことなどについても、本当にありがたく思っている。どうぞ、御体に御自愛いただき、これからも、更に高い立場から御示唆を賜れればと思っている。本当にありがとうございました」旨の送辞があった。