定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年3月3日(木)

午前10時00分 〜 午前11時55分

 

 

第2 出席者 長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

三浦刑事局長、井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、3月18日付けを始めとする地方警務官217名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)「国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について

警備局長から、「国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法施行令」の一部を改正する政令案に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成27年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について

官房長から、平成27年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について報告があった。

川本委員より、「重大な監督対象行為は認められなかったとのことだが、深夜、長時間の取調べに関する指導については、国際的にも関心が高いということに留意していただきたい」旨の発言があった。

 

(3)移動電話からの110番通報に対する的確な対応の推進について

生活安全局長から、移動電話からの110番通報に対する的確な対応の推進状況について報告があった。

北島委員より、「仮想移動体通信事業者(MVNO)契約の移動電話についても、110番通報者の発信者情報を照会できるシステムを構築した点について、改めて評価したい」旨の発言があった。

奥野委員より、「確認書を締結したMVNO事業者との間で新たに照会システムを構築したことで、全国の移動電話からの110番通報がどの程度カバーされることになるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「全国の移動電話契約の約1億6千万件のうち、MVNO契約のものは1,063万件であり、このうち110番通報を行うことができるものの多くが今回確認書を締結した18社に含まれるものと思われる」旨の説明があり、奥野委員より、「今回の報告で、従来の照会システムではカバーできない事業者があることを初めて知った。今後、移動電話からの110番通報は更に増えていくと思われるので、通信事業者に対する協力要請をしっかりと進めていただきたい」旨の発言があった。

 

(4)平成27年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について

生活安全局長から、平成27年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について報告があった。

川本委員より、「わかりやすい資料となっておりとてもよい。また、信金・信組の法人口座被害が全体の3割に達しており、しかも近年急増していることはあまり知られていないので、この点についてしっかりと注意喚起していただきたい」旨の発言があった。

 

(5)第10次交通安全基本計画最終案について

交通局長から、中央交通安全対策会議において検討されている、第10次交通安全基本計画の最終案について報告があった。

北島委員より、「非常に立派なものができたという印象である。基本計画の中では警察の果たす役割が非常に大きいことから、決定後には強力に推進していただきたい」旨の発言があった。

川本委員より、「高齢者と子供を守ることを中心としているが、特に、子供を守ることを強調していただきたい。また、基本計画案で交通事故死者数を2,500人以下とする目標を設定していることについては、これまで国家公安委員会で議論があったところであるが、目標の達成は容易ではないのではないかと思った。目標は非常に難しい専門的な試算により設定されたそうだが、次の基本計画案策定においては、交通安全対策の現場を受け持っている警察庁から意見を述べられるようにしていただきたい」旨の発言があった。

 

(6)平成27年における交通死亡事故の特徴について

交通局長から、平成27年における交通死亡事故の特徴について報告があった。

川本委員より、「統計の分析の仕方を変えることは非常に大変なことだが、これまでの類型を変えるなどして分析的にまとめられており、とてもよい。また、今回の分析の結果、高齢者の死亡事故では、横断中、自転車乗用中のいずれについても法令違反の割合がとても高いことが明らかになっているが、一般的にはこの点があまり認識されていないので、もっと周知していただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「切り口を変えて分析したことで、これまで見えていなかった部分も見えてきており評価したい。これを踏まえて、取締り等交通事故抑止対策も新たな視点で進めることも必要だろう。例えば、従来も高齢者に対する啓発活動を行ってはいるものの、横断中の死亡者の中で80歳以上の高齢者に法令違反の割合が高いという事実が指摘されており、高齢者に対しては、角度を変えた対策を講じる必要もあるのではないか」旨の発言があった。

 

(7)中核派系全学連活動家らによる威力業務妨害事件の検挙について 

警備局長から、平成27年10月、京都大学において、講義を行う施設の出入口を封鎖するなどして同大学の業務を妨害したとして、本年2月29日から3月1日にかけて、京都府警察、警視庁及び大阪府警察が中核派系全学連活動家6人を威力業務妨害罪で通常逮捕した旨の報告があった。

木村委員より、「最近、欧米だけではなく、日本でも若者の閉塞感が大きくなっている印象がある。賃金が上がらず、非正規雇用者の割合が増加し、生活面の不安もある状況に進むならば、そのような若者に育てられた子供が更に閉塞感を増大させることが懸念される。ここに、極左集団、極右集団、あるいはカルト集団や暴力団等がつけ入るようなことにならないよう注意する必要がある。今後、犯罪組織の多様化が進む中で、そのような点を十分に認識して対応していただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「予想以上に中核派の活動が広がっているという印象である。現在、彼らは何を闘争目標に掲げているのか」旨の発言があり、警備局長から、「中核派を含む極左暴力集団の目標は、以前は安保法制反対、反原発等であり、現在はサミット粉砕と、その時々で個別のテーマは変わっているが、基本的には反体制、政権打倒、革命を起こすことである」旨の説明があり、奥野委員より、「極左暴力集団の逮捕は高齢者が多いが、本件では若い人が逮捕されている。若い世代に対するリクルートが進んでいるのか」旨の発言があり、警備局長から、「全学連なので比較的若いが、学生としては若くはない。若い世代に対するリクルートは、各セクトの実態に応じて様々である」旨の説明があった。

 

(8)外為法違反事件被疑者の逮捕について

警備局長から、平成23年1月、北朝鮮にニット生地等を不正に輸出したとして、本年3月1日、大阪府警察が会社員の女性を外国為替及び外国貿易法違反(無承認輸出)で通常逮捕した旨の報告があった。

北島委員より、「昨日、国連の安保理でも新しい制裁決議が採択されたが、対北朝鮮経済制裁の実効性を担保するための警察の役割は非常に大きい。本件のような事件を検挙したことを評価したい」旨の発言があった。

 

3 その他

 (1)会議冒頭、木村委員から就任の挨拶があった。