定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年5月26日(木)

午前10時00分 〜 午前11時05分

 

 

第2 出席者 河野委員長、長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

金長官、栗生官房長、種谷生活安全局長、三浦刑事局長、

井上交通局長、川邉情報通信局長

松本外事情報部長、白川審議官(国際・調整担当)、古谷首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)六代目山口組の指定の確認について

刑事局長から、兵庫県公安委員会から受理した六代目山口組に対する指定暴力団としての指定の確認請求について、審査専門委員の意見聴取を終えたことから、本日、国家公安委員会による確認を求め、兵庫県公安委員会に通知する旨の説明があり、原案どおり決定した

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

北島委員より、「刑事訴訟法の一部を改正する法律とともに、いわゆるヘイトスピーチ対策法も成立したことを歓迎したい。本法はいわゆる理念法であるが、従来のようなヘイトスピーチが無くなるのかどうかなど、その効果を注意深くフォローしてまいりたい」旨の発言があった。

 

(2)平成27年度における留置施設の巡察の実施結果について

官房長から、平成27年度における留置施設の巡察の実施結果について報告があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、4月8日、警視庁の警部補が強制わいせつ致傷に及んだ事案に関し、警視庁は、同警部補を免職処分とする予定である旨、4月29日、兵庫県警察の非常勤嘱託員が窃盗で通常逮捕された事案等に関し、5月30日、同県警察は、同非常勤嘱託員を免職とする予定である旨及び4月18日、警察庁の技官が強制わいせつをしたとして緊急逮捕された事案に関し、5月27日、同庁は同技官を停職処分とする予定である旨の報告があった。

奥野委員より、「兵庫県警察における窃盗事案においては、現金の不足を認知した会計課の幹部が上司に報告せず、自ら現金を補填したことは、幹部の対応として理解できない。これまで、全国的に非違事案の防止のためにリカバリー教養を徹底してきたが、兵庫県警察は教養の在り方を見直すべきではないか」旨の発言があり、首席監察官から、「公金を取り扱うという職責の自覚等について、改めて教養を徹底してまいりたい」旨の発言があった。

 

(4)「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」の成立について

刑事局長から、5月24日に「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」が成立した旨の報告があった。

北島委員より、「新たな刑事司法制度を構築する法律が成立したことを歓迎するとともに、成立に向けた関係者の努力を多としたい。施行までの間に十分に準備をして、新たな制度を活用した成果を上げていただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「日本の刑事司法制度の新たな一歩となる、非常に重要な法改正だと認識している。これまで議論を積み重ね、公安委員会にもその都度報告してもらい、こちらからも意見を述べてきたが、私も長期にわたる関係者の労を多としたい。社会情勢の変化により、従来の犯罪捜査が困難化している状況の下、新たな捜査手法が導入されることで、今後の捜査活動の実効性が上がるよう期待している。一方、議論の過程で、通信傍受の乱用等について相当の懸念が示されたが、それを払拭し警察の信頼を維持するため、新制度が捜査現場で適正に運用されるよう都道府県警察に対する指導・教養を徹底していただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「捜査上、有効な手段を与えていただいたが、一方で、適正確保の必要性については、再三国会でも指摘されてきた。警察としては、国民の期待に応えるべく、今後の警察捜査の在り方についても十分検討しながら、新しい時代に即した警察捜査の運営に努めてまいりたい」旨、長官から、「今回の法改正は、日本の刑事司法制度の在り方を大きく変えることになるものと思っており、警察捜査の構造を供述や取調べに過度に依存しない方向に変えていくことにしたい。一方、治安水準を落とすことは許されないと認識しているので、通信傍受や合意制度等を適正かつ効果的に活用できるように力を身につけ、法が求めるものを実現してまいりたい」旨の説明があった。

 

(5)米軍関係者による死体遺棄事件の検挙について

刑事局長から、沖縄県に在住する女性の死体を雑木林に遺棄したとして、5月19日、沖縄県警察が米軍関係者を死体遺棄罪で緊急逮捕した旨の報告があった。

 

(6)東京都小金井市における女性に対する殺人未遂等事件の検挙について

刑事局長及び生活安全局長から、5月21日、東京都小金井市において女性タレントを刃物で刺傷したとして、同日、警視庁が造園業の男性を傷害罪で現行犯逮捕した旨の報告があった。

木村委員より、「以前、別のアイドルグループのメンバーが襲われた事案もあった。芸能活動に係る全ての事案を警察が対応することは困難であることから、所属先の芸能事務所に自主警戒の協力を依頼するのがよいのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「芸能事務所に所属しているタレントの場合は、芸能事務所に対し自主警戒を行うよう依頼するなどすることもできるが、個人で活動を行っているような形態の場合、どのようにして警戒すべきなのか、今後の課題である」旨の説明があった。

奥野委員より、「相次ぐストーカー事件の発生を受けて、ストーカー規制法が改正され、全国的に警察のストーカー対策の態勢も強化してきた。特に首都圏の警察では、相当力を入れて担当者の訓練、教養を進めている。3年前には、近接する三鷹市内でもストーカー殺人事件が発生したことから、周辺の警察署ではストーカー対策の意識も高かったのではないか。しかしながら、被害者から事前の相談を受けていたにもかからず、本部の人身安全関連対策本部に報告せず、今回のような事件が発生してしまった。被害者が芸能活動をしていたために、ファンからのメッセージはよくあることとして重視せず、判断が甘くなったのではないか。いずれにせよ、何が問題だったのかしっかりと検証していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「警視庁は、人身安全関連事案総合対策本部を設置して、事案認知時の即応態勢を確立しており、また、本部報告についての要綱も定められている。事案対応時の同本部の関わり方について、よく確認したい」旨の説明があった。

木村委員より、「ストーカー事件の被疑者に対する犯罪心理的な検証や分析は行っているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「既に、ストーカー加害者に対して精神医学的・心理学的な対処が必要である旨の調査結果は得られており、本年度から、加害者に関する地域精神科医療等との連携のための予算を措置するなどしているところであるが、協力先の確保等について、地域によって差があるのが現状である」旨の説明があった。

 

(7)「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」等について

交通局長から、意見公募手続を終了した「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」を原案どおり策定・公表する旨並びに政府の高度情報通信ネットワーク推進社会戦略本部が「官民ITS構想・ロードマップ2016」を決定した旨の報告があった。

奥野委員より、「「官民ITS構想・ロードマップ2016」でシステムの定義をきちんと見直したことは、今後の研究開発及び法制の研究を進める上で作業がしやすくなると思う。市場化期待時期の前倒しについては、産業開発、社会的需要に応えるためにも努力目標を高く掲げることは必要かもしれない。研究開発と並行し、警察が担う自動走行の安全問題、事故の責任所在、さらには交通規制の見直し等の研究についても遅滞なく進めていただきたい」旨の発言があった。

 

(8)規制改革に関する答申について

交通局長から、5月19日に政府の規制改革会議が取りまとめ、内閣総理大臣に提出した規制改革に関する答申について報告があった。

川本委員より、「今回の運転免許の見直し検討が提示されているが、運転免許の更新制度については、運転免許を有する技能の有無についてのチェックが適正になされているかという問題が全般にある。今回の見直しを含め、この問題をしっかりと考えていただきたい。検討の結果、普通二種免許の受験資格が若年化した場合、タクシー業界が若年層にとって望ましい労働条件を備えているかなど、警察以外の所管省庁による業界指導の問題が表れてくることから、これらについて、関係省庁とよく連携して対応していただきたいと思う」旨の発言があった。

 

3 その他

(1)審議官(国際・調整担当)から、G7伊勢志摩サミットの概要について報告があった。

 

(2)委員長から、マレーシア・クアラルンプールで開催される世界経済フォーラムASEANに出席するため、6月2日から3日までの間、海外出張する旨の報告があった。