定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年6月16日(木)

午前10時00分 〜 午前11時30分

 

 

第2 出席者 河野委員長、長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

金長官、坂口次長、栗生官房長、種谷生活安全局長、

井上交通局長、沖田警備局長、川邉情報通信局長

村田総括審議官、露木審議官(刑事局担当)、古谷首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)平成28年警察白書(案)について

総括審議官から、平成28年警察白書(案)について説明があり、原案どおり決定した

川本委員より、「記述内容に、20世紀的な発想や冷戦時代を引きずっているものも見受けられることから、枠組みを含めて内容を適宜アップデートしていただきたい。また、紹介されている警察官の現場の声はとても説得力のあるものも多いが、国民との距離の取り方についても引き続きよく指導していただきたい」旨の発言があった。

北島委員より、「国際テロ対策を特集とした点や熊本地震をトピックスで紹介している点はタイムリーでよい。また、警察官が現場でどのような仕事をしているのか伝えることは非常に大事である。さらに、訪日外国人対策、司法制度改革に関する記述も加わっていたり、統計の扱いを変えるなど工夫したりして、とてもよい内容である」旨の発言があった。

奥野委員より、「年号表記について、白書は全て元号に統一され、西暦は使用していない。しかし、今回の特集の「国際テロ対策」では、海外で発生した著名な事例を紹介する際も全て元号表記にしている。例えば米国における同時多発テロは、多くの人は発生年を「2001年」と西暦で認識していると思う。ところが、警察白書では「平成13年9月」となっており、ピンと来ない人が多いのではないか。政府刊行物は全て元号を使用するとのことだが、読み手が分かりやすいよう、来年から工夫できないだろうか」旨、委員長より、「白書をみると、「犯罪に強い社会を作る行動計画2008」や「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据え」等とある。両方記載するなど工夫できないのか」旨の発言があり、官房長から、「政府においては、元号で記載することを推奨している。一方、閣議決定した文書でも西暦を使用しているものもあることから、他の白書ではどのようにしているかも含めて研究し、来年に生かしたい」旨の説明があった。

木村委員より、「非常によくできている。警察をもっとアピールするために、民間企業や警察の協力団体等に対して配付してもいいのではないか」旨の発言があり、官房長から、「インターネットで全部公開している」旨の説明があった。

 

(2)犯罪被害者等給付金の裁定(埼玉県・愛知県)に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について

官房長から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について説明があり、原案どおり決定した

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、6月13日に香川県警察の巡査長が窃盗罪で通常逮捕されるなどした事案に関し、6月24日、同県警察は同巡査長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(2)平成27年における行方不明者の状況について

生活安全局長から、平成27年における行方不明者の状況について報告があった。

奥野委員より、「行方不明者の問題については、昨年、東京都の中野区内の公園で倒れていた男性を警察官が認知症の方とは気がつかず、適切に保護できなかったという事件が明らかになり、その後、警察が厚生労働省等と協力して認知症の行方不明者対策を講じたことの報告も受けた。今回の報告では、認知症の行方不明者で所在確認ができていない方は、26年末時点では168人だったが、27年末時点では150人に減少した。統計数字が行方不明者の実態を全て反映するものではないが、これは認知症の行方不明者対策の効果が少しずつ表れているものと理解してよいか」旨の発言があり、生活安全局長から、「認知症の行方不明の方に対する対策については、多くの地方自治体において、自治体と警察とボランティア団体等の情報ネットワークが組まれており、警察や市町村が相談を受けたときに、それぞれメール等で情報共有して迅速に捜索するということが定着してきている。また、警察では、市町村から要請を受けて、行方不明者、特に長期の行方不明になっていて施設に入っている方等の情報を全国の警察署で閲覧できる台帳を備えたり、実際に認知症の方に対応する警察官に認知症サポター養成講座を受けさせるといった施策も講じている。成果はそれなりに上がってきているのではないかと考えている」旨、長官から、「27年中に所在確認できた認知症の行方不明者の数は、前年より10パーセント以上増加している。昨年の中野区での事件の後、警視庁では認知症サポーター養成講座をほぼ全員が受講するなど、警察の取組も強化しており、全体としてレベルは上がっているものと見ている」旨の説明があり、奥野委員より、「行方不明者の問題は、凶悪事件のように社会から大きく注目されるものではないが、家族は警察しか頼るところがないことから、警察としては地道だが大切な仕事だと思う。引き続き、現場への指導と施策の徹底をお願いしたい」旨の発言があった。

川本委員より、「認知症の方に対する対策は必要ではあるが、資料によると、人口10万人当たりで見ると、10代、20代の若い世代の方が圧倒的に多いことから、認知症の方だけではなく、若い人たちをしっかりと守ってほしいと思う」旨、木村委員より、「高齢者よりも、20代を中心とした若年層の方が増えている傾向がみられるが、若年層は、行方不明者対策において考えなければならない対象ではないのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「御指摘のように、若年層の割合が多いことを表すため、10万人当たりを年代ごとのグラフにして添付した。ただ、若年層の行方不明者は自ら帰ってくる事例も多いが、行方不明者本人の生命身体に直接の危険が及ぶ可能性という観点からすると、認知症の行方不明者への対策も重要であると考える」旨の説明があった。

 

(3)平成27年における山岳遭難及び水難の概況等について

生活安全局長から、平成27年における山岳遭難及び水難の概況等について報告があった。

 

3 その他

(1)首席監察官から、非違事案への取組について報告があった。

木村委員より、「全体的には減っているようだが、少しでも減少させていくために、1つ目は制度上の問題への対応、2つ目は組織内での温かい雰囲気作り、3つ目はパワハラとセクハラに対する職員相互のチェック機能や研修の充実が重要である。一方、生活が乱れているなど指導が必要な職員に対しても適した仕事を与えて、少しでも満足感を得られるような形にしていくことも重要である」旨の発言があった。

委員長より、「セクハラ、パワハラに対する研修は、現状ではどのようになっているのか」旨の発言があり、首席監察官から、「セクハラ、パワハラについては、職員の意識改革が非常に重要である。各都道府県において、署長会議に合わせて専門家を招いて研修を行うなど、職員のレベルに合わせ、様々な機会を活用して研修を行っている」旨の説明があった。

北島委員より、「最近、業務上の事案は非常に減ってきているが、私行上の事案、特に性犯罪絡みのものが増えていることを懸念する。今後の対策として特に大事なのは情報共有であり、教養の機会に、非違事案による具体的なペナルティがあることを説明することで、職員の注意喚起につながるものと思う」旨、木村委員より、「教養は、定期的に繰り返さないと、なかなか浸透しないと思う。また、定期的なミーティングを相互チェックの機会として活用し、わずかな時間でもよいので、目標を決めたり、相互に教育し合ったりすることも必要である」旨の発言があった。

川本委員より、「公金の取扱い関係の事案が10%を占めている。これは現金を扱わせないなどシステマチックにすればもう少し予防できると思う。文書偽造等の失敗を糊塗するものも同様である。また、飲酒運転と交通違反も10%で、合わせると30%である。できるところからとにかく撲滅するということをやってもらいたい」旨の発言があった。

長谷川委員より、「相変わらず飲酒運転があるが、その要因となっている旧弊についても考えなければならない」旨の発言があり、長官から、「酒について言えば、飲みすぎることである。他の旧弊についても各都道府県でピックアップして、何とかしようとしている」旨の説明があり、川本委員より、「ジェネレーションのギャップがあり、旧弊について「信じられない」と思っている若者は多くいると思う。そのような若者に対してどうコミュニケートしているのか」旨の発言があり、首席監察官から、「上なり横なり下から「それはまずいのではないか」と言えないことが事案の原因となっているので、言いやすい雰囲気を作り、幹部が兆候の段階から注意していくことが重要だと考えている。」旨の説明があり、川本委員より、「e‐トレーニングの導入も検討するべきである」旨、委員長より、「業務が多忙な場合でも、ソフトやビデオ等を活用して空いている時間に見ることはできる」旨の発言があった。

奥野委員より、「対策が難しいのは、私行上のものである。必ずいる素行不良者を修正するためには、本人に自覚を持ってもらうしかないが、どのような形で自覚を持たせるかが難しい。上層の幹部ではなく、いつも接している直属の兄貴分のような上司がその人とコミュニケーションを持ち、その人物の特性や問題点を把握して指導していくことが重要である。教養についても、警察の今の制度が適切かどうか考え直すことも必要だ。例えば、他の組織の研修制度からアイディアを取り入れ、若者の教育を見直すことを考えてもよいのではないか。私行上の問題についての決定的な解決策はなかなか見つからないようだが、少しでも変えることができると思う。また、若い現場の警察官は、外から見ていても、大変忍耐のいる仕事をしている。彼らのモチベーションを高める必要がある」旨の発言があり、長官から、「特に初期段階の教育がかなり影響するので、その中身をもう少し考えていかなければならないと思う。最初の10年間が大切な期間だと感じている。警察の教育は、昇任時や選ばれた者への専務教養が多く、昇任できなかったりして10年間全く入校しない者もいる。これらの者にどのような義務的な教育制度を作っていくかが課題である」旨、次長から、「達成感については、例えばあまり日の当たらない業務等について別途表彰制度を設けたり、人事上で、留置施設で頑張った者を専務登用したりするなど、少しでもモチベーションの上がるような仕組みを設けている」旨の説明があり、奥野委員より、「警察組織ほど表彰が多いところはなく、何か仕事で成果を上げると表彰されるが、今の若い人が本当に喜んでいるのか、モチベーションの向上につながるのか疑問に思うこともある」旨の発言があった。

委員長より、「公金絡みと文書偽造といった防げるものについてルールを標準化し、それに従っているか管理してほしい。パワハラ、セクハラ、飲酒については、職員の意識改革が徹底できれば減らすことができると思うので努力してほしい」旨の発言があった。