定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成28年12月22日(木)

午前10時00分 ~ 午前11時15分

 

 

第2 出席者 松本委員長、長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、種谷生活安全局長、

吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、川邉情報通信局長

徳永国際・調整担当審議官、古谷首席監察官

 

 

第3 議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、1月18日付けを始めとする地方警務官7名の人事案件及び1月20日付け内閣承認人事2名の承認依頼の手続について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則案に対する意見の募集について

刑事局長から、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」の施行に伴い整備される関係国家公安委員会規則案に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)平成29年度警察庁予算(案)の概要について

官房長から、平成29年度警察庁予算(案)の概要について報告があった。

 

(2)第4回日越治安当局次官級協議の開催結果について

官房長から、12月20日に警察庁において開催された第4回日越治安当局次官級協議の結果について報告があった。

北島委員より、「ベトナムとは非常に友好な関係が構築されていると思うが、残念なことに、来日外国人犯罪に関してベトナム人によるものがとても増加している。ベトナム側はその点を認識し、改善しなければならないと思っているのか」旨の発言があり、次長から、「それぞれの国民がお互いに行き来する中、自国の領域内における犯罪についてはそれぞれが治安責任を全うすべきものであり、一方、相手国において犯罪を行う犯罪組織が自国内にあるならば、情報交換するなどしてお互いに協力したいと発言した。ベトナムも、その点については理解していた」旨の説明があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、12月3日、岡山県警察の巡査部長が児童買春をしたとして通常逮捕された事案に関し、12月22日、同県警察は、同巡査部長を免職処分とする予定である旨及び11月24日、大分県警察の事務職員が地方公務員法違反で通常逮捕された事案等に関し、12月28日、同県警察は、同事務職員を免職処分とする予定である旨の報告があった。

奥野委員より、「大分県警察の事案については、処分された事務職員は許認可事務を担当していたとのことだが、このような事務職員は、全国的に増えているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「事務職員のパーセンテージは、非常に少なくて、全国の警察署の生活安全担当課における許認可事務担当者総数に対する一般職員の割合は4%である。この事務職員も、この署に来て初めてこの許認可業務に就いている」旨の説明があり、木村委員より、「警察官と事務職員では役割が異なるが、事務職員にとって違法店舗の情報収集が権限外なのかという点は判断が難しい。ただし、30万円を収受していた点は悪質である」旨、奥野委員より、「収集した情報を上司が歓迎していたから、関係者との必要以上の付き合いを続けていたのではないか。直属の上司がこれを知っていたとすれば、その監督責任が問われないのか」旨の発言があり、首席監察官から、「積極的に取ってこいとまでは必ずしも言っていないが、プラスになる情報を自主的に取ってくれば上司も悪いようには感じないという状況の中で、次第に高じていったようである。管理に問題があった直属の課長については、監督責任として訓戒の措置としている」旨の説明があった。

 

(4)銀行法施行令等の一部を改正する政令案による犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令等の一部改正に対する意見の募集について

刑事局長から、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」の施行に伴う、仮想通貨交換業に係る業務を「特定業務」とすることなどを内容とした犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の改正案等所要の下位法令の改正案に対する意見の募集を行うことについて説明があった

 

(5)ベルリンにおけるクリスマス市への車両突入事件について

警備局長から、12月19日にベルリンにおいて発生した、クリスマス市に大型トラックが突入して12人が死亡、48人が負傷した事件の概要及びこれを受けた政府、警察の対応について報告があった。

 

(6)安倍内閣総理大臣のアメリカ合衆国訪問に伴う警護警備について

警備局長から、12月26日から28日までの日程で、安倍内閣総理大臣が日米首脳会談、真珠湾訪問等のためアメリカ合衆国(ハワイ州)を訪問予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する報告があった。

 

(7)安倍内閣総理大臣の東南アジア及びオーストラリア歴訪に伴う警護警備について

警備局長から、平成29年1月12日から17日までの間、政府要人等との会談のため、安倍内閣総理大臣がフィリピン共和国、オーストラリア連邦、インドネシア共和国及びベトナム社会主義共和国を歴訪予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する報告があった。

 

3 その他

(1)国際・調整担当審議官から、サイバーセキュリティ対策の課題について説明があった。

木村委員より、「サイバーセキュリティの問題に関しては、どのような犯罪が起きて、国民生活にどのような支障を来すのかなどについて、意外に国民の理解が進んでいないと思うので、その点をもっと広報してもよいと思う。また、官民連携、国際連携が進んでいくものと思うが、日本の場合、縦割りになりがちな面があるので、警察庁が率先して持っている情報をオープンにして、一緒になって対策の検討を進めてもらいたい。さらに、工程表を作って、タイムスケジュールを早めにセットして検討を進めていただきたい。最後に、セキュリティ対策の強化のみならず組織の生産性の向上のためにも、警察庁の全体でIoTやICTをどのように推進していくのかについて、誰かが中心となって検討を進めていく必要があると思う。是非、早めに、積極的に進めていただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「サイバーセキュリティ対策の課題の一つに「体制の拡充」を挙げている。特に、この分野では、人材育成、技術能力の向上のために各都道府県警察の枠を超えた広域的な取組、連携が必要だと考えるが、人材の有効活用、捜査技術、情報の共有のために、今後、体制及び人材の集約化を進めようという考えはないのか」旨の発言があり、国際・調整担当審議官から、「長官官房審議官が設置されたのが26年度であり、今年度が3年目である。今まで施策の調整や人材育成等、基盤等を整備してきたが、サイバーセキュリティ対策全体を考え、よりオペレーショナルなレベルで部門間連携を一層図っていく必要がある。例えば、現在13の都道府県にサイバー攻撃特別捜査隊が設置されているところ、当該特捜隊の無い県でサイバー攻撃が発生したときに迅速かつ積極的に対応するための具体的な取組を打ち出したところである。組織全体の集約化は時間もかかるので、今、目まぐるしく変わる状況への対応をまず重点的にやっていくことは必要であると思う。一方、並行して、より効率的な組織の在り方を検討することは重要なことであり、議論の土俵から外してはいけない問題だと思っている」旨の説明があり、奥野委員より、「有能な人材が育ち、高度な技術能力を持つ都道府県警察もある一方、まだ成長途中のところもあり、都道府県警察間の格差があるのが実態だろう。また、きらりと光る優秀な人材が個人単位で地方の警察に存在するとも聞いており、このような人材を一つの都道府県警察だけで埋没させておくのではなく、全国レベルで活用できるように工夫できないだろうか」旨の発言があり、生活安全局長から、「生活安全部門では、どこかの都道府県警察が端緒を得た場合、警察庁が調整して、能力のある人材がいる都道府県警察を共同捜査で組ませて、その中で能力のある人間が、それ以外の都道府県警察の捜査員たちを指導しながら、全体としての能力を引き上げてきたというのが実態である。非常に優れた人材がいるところに人材を集めて共同捜査、合同捜査をしていくというような形をとって、優秀な人材の能力を全国的に共有していこうというような形でやっている。もう一つは、全国協働捜査方式という形で、警視庁に全国から1年間の期限で捜査員を集めて捜査をさせる方法がある。ただ、今、全国協働捜査方式で捜査しているのは、サイバー空間を通じての児童ポルノ事犯やネットバンキング等の犯罪に限られているので、対象犯罪を広げていくという形で、都道府県警察の枠の中で全国から人材を集めて、実力を高めていくという努力も必要であると考える」旨、国際・調整担当審議官から、「技能指導官という仕組みにより、先ほど生安局長が言ったような、極めて高いレベルの人たちを把握している。事案が起きた時には、そういう人たちを応援派遣できるほか、平時においては、各都道府県における専科等の講師としても広く活用している。今後は、こうした取組をより一層意識的にやっていくことが課題と思っている」旨の説明があった。

北島委員より、「サイバーセキュリティ対策の課題については、平成27年度総合セキュリティ対策会議の報告書の延長で検討がされているものと理解されたが、その方向で対応すればよいと思う。諸課題のうち、特に警察幹部の意識改革が重要ではないかという印象であり、また、アトリビューション等サイバー攻撃に関する分析能力の強化に向けた人材育成をどう図っていくかについては、諸外国でも苦労しているようである。さらに、捜査手法の高度化については、諸外国の状況をよく見ながら実現に向けた検討を進めてもらえればよいと思う」旨の発言があった。

長谷川委員より、「技術的な開発についてはしっかりと進められていくと思うのであまり心配はしていないが、一方、法的根拠の問題、倫理的な問題、個人の権利の問題等人文社会学的な問題についての検討は、諸外国と比べて日本は遅れているのではないかと思う。法律学者のみならず、哲学者、倫理学者、社会学者等様々な分野の方が一緒になって考えなければいけない問題だと思うので、総動員して検討を進めてもらいたい」旨の発言があった。